太田述正コラム#4561(2011.2.15)
<皆さんとディスカッション(続x1107)>
<太田>(ツイッターより)
エジプト革命は非暴力抵抗運動の勝利だったがインド独立はガンジーの非暴力抵抗運動だけでは達成できなかった。
英領インドの被治者達はエジプトのそれのように団結していたわけではないからだ。
インド国民軍に敬意を!
(コラム#4342に関し)イタリア人て言えば、英国防大学の明るく善良な同僚と、ロンドンの路上で見事に私をハメてまがい物の皮ジャンパーを売りつけた2人組やヴェネティアのレストランでボクらをぼったくった店主の両極端のイメージだな。
<けいc。>
≫藤田幸生将補が、防衛庁での米側との公式の会議の席上、先の大戦において米国が日本に対してやったことを我々は絶対忘れない、と眦を決して語ったことを覚えています。私が出席した米側との公式の会議の席上、そんな発言をしたのは、防衛庁(省)の文官制服すべての中で、後にも先にも、彼ただ一人です。≪
アメちゃんの反応はどんな感じだったんですか?
更にどんな話の流れでそのようは発言に至ったのかが気になります。
いずれにしても大した人がいたもんですね。
<太田>
美辞麗句の交換がなされていた時に唐突にこの発言が飛び出し、彼以外、日米双方とも、きょとんとした顔つきになったように記憶しています。
ちょっと気まずい沈黙があった後、何事もなかったかのように、会議は再開され進行しました。
ついでに記しておくと、それよりかなり前、私が信頼醸成措置の政府専門家として国連の会議に出席する前、陸海空幕からそれぞれ意見を求めたのですが、海幕防衛課防衛班の村中壽雄2佐(当時。防衛大5期。後に自衛艦隊司令官)
http://j-navy.sakura.ne.jp/file-chiefstaff.html
が作成したペーパーが傑出しており、大いに役立ちました。
制服中、私が自分の世界観の形成で参考になったのは、こんな具合に、もっぱら海自の人でしたね。
陸自、空自の人については、そういう人はほとんどいませんでした。
ただし、陸自の人には世間知に長けた人が多く、そういう点では未熟者だった私、学ぶ点が多かったですねえ。なお、陸自には海空自と違って、はったりのうまい人も少なくなかったけれど、この点は、私、全くマネができないまま現在に至っています。
比較的最近まで、私が、戦後の通説であったところの、「帝国陸軍悪玉/帝国海軍善玉論」に疑いを抱かなかったのは、防衛庁内でのこの種の経験からです。
今にして思えば、海自の人々の「高い」見識は、少なくとも、自衛隊の発足から当時までは、彼らが陸海空自中、最も米軍との交流が密であったことから、陸空に比べて、はるかに世界に向かって開かれ、啓蒙されていた賜だったのであり、私は、もっと陸自の世間知とその拠って来たるところに注目しなければいけなかったのです。
<ΔΦΦΔ>(「たった一人の反乱」より)
そういやおーたん、これ観てる?
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/daiseidou/
自分は原作読んだけど結構読み応えありましたぜ
<φφΔΔ>(同上)
ケン・フォレットのね。もともと、こちらの方が書きたかったが、地味すぎて出版社受けが今ひとつだった。
針の眼とか有名な方は身過ぎ世過ぎのために仕方なく書いたみたいな話だったね。
てか、20年ぐらい前に読んだけど、映画化なるとは。
<太田>
全く気づかなかった。
情報提供、感謝。
さて、これからの放送分、見るべきか?
<Fat Tail>
–資料提供:IN DEFENSE OF JAPAN IN CHINA–
コラム#4539でも紹介した、戦前の日本外務省の法律顧問だったトーマス・バティについての論考をお送り致します。
“IN DEFENSE OF JAPAN IN CHINA:ONE MAN’S QUEST FOR THE LOGIC OF SOVEREIGNTY”
http://www.nzasia.org.nz/downloads/NZJAS-Dec01/Oblas.pdf
下記は英語版Wikiからの抜粋です(日本語版Wikiは存在せず)。
これだけ見ても、興味の尽きない人物です。
ロバート・クレイギーとの関係について述べている記述は、未だ見つかりません。
石井・ランシング協定締結時の石井菊次郎特命全権大使とは近しい友人関係にあったようです(上記論考に依る)。
Thomas Baty
http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Baty
<大戦中も日本に残り、日本の対外政策を擁護。>
In July 1941, the Japanese government froze the assets of foreigners residing in Japan or any of its colonial possessions in retaliation for the same move against Japanese assets in the US, but Baty was exempt from this due to his service for the Japanese government. Baty decided to remain in Japan even following the outbreak of war between that country and the British Empire in December 1941. He rejected the efforts by the British Embassy to repatriate him back to his country, and kept working for the Japanese government even during the war. He defended the Japanese policy of conquest as a remedy to western colonialism in Asia.
<戦後英国籍を剥奪され、最後は千葉県で生涯を閉じる。>
Following the Japanese surrender in 1945, the British Ministry of Foreign Affairs was considering indicting Baty for treason, but the Central Liaison Office (a British government agency operating in Japan) provided an opinion stating that Baty’s involvement with the Japanese government during the war was insignificant. In addition, some legal advisers within the British government shielded Baty from possible prosecution on the grounds that he was too old to stand trial. Instead, the British government decided to revoke Baty’s British nationality and leave him in Japan. He died in Ichinomiya, Chiba Prefecture, Japan, on February 9, 1954.
<セックス嫌いだったようで生涯独身を通す。>
Baty was never married. Some evidence suggests that he hated sex, as he was disillusioned with Victorian sexual norms, and was disgusted by the then accepted notions of male domination over female. An important female personality in his life was his sister, who went with him to Japan in 1916, and lived with him until her death in 1944.
<太田>
ファイルが壊れているというエラーメッセージが出て開けません。↓
http://www.nzasia.org.nz/downloads/NZJAS-Dec01/Oblas.pdf
<XXXX>
太田さん、送ると予告していたイアン・ニッシュ資料の詳細は以下の通りです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5
イアン・ニッシュ著『日本の外交政策 1869‐1942―霞が関から三宅坂へ』 ミネルヴァ書房 1994
イアン・ニッシュ著『戦間期の日本外交―パリ講和会議から大東亜会議まで 』 ミネルヴァ書房 2004
Ian Nish 『Collected Writings of Ian Nish PARTⅠ(Collected Writings of Modern Western Scholars on Japan Vol.6)』 2001
Ian Nish 『Collected Writings of Ian Nish PARTⅡ(Collected Writings of Modern Western Scholars on Japan Vol.7)』 2001
昨日、二回目を発送しましたので、本日の午後には着くと思います。
『Collected Writings of Ian Nish PARTⅡ(Collected Writings of Modern Western Scholars on Japan Vol.7)』については、分量が多かったので三回目の発送になるので、暫しお持ちください。
<太田>
2番目、3番目が入ったゆうパックが午前中に届きました。
『日本の外交政策 1869‐1942』の前書きだけ読んだ状態ですが、あなたの言うように、彼、ホントに私の「史観」に近いのかどうか、若干の懸念を持ったけれど、本文をとにかく読んでみましょう。
それでは、記事の紹介です。
ムバラク一家は、報道されてるほど、国のカネ、ネコババしてないってよ。↓
・・・“Compared to other kleptocracies, I don’t think the Mubaraks rank all that high,” says one Western envoy in Cairo, asking not to be named on a subject that remains highly sensitive. “There has been corruption, [but] as far as I know it’s never been personally attached to the president and Mrs. Mubarak. They don’t live an elaborate lifestyle.”・・・
http://www.newsweek.com/2011/02/13/the-tragedy-of-mubarak.html
チュニジア、エジプトの次は、イランか、イェーメンか、バーレーンか。↓
Violent protests erupted in Iran, Yemen and Bahrain on Monday・・・
<イランでのデモが一番大規模。↓>
Some witnesses said the Monday protests drew more than 100,000 people.
The demonstration had been called more than a week in advance by Mir Hossein Mousavi, the de facto leader of the opposition movement and former presidential challenger. Mousavi was placed under house arrest Monday, opposition Web sites said, joining another opposition leader, former parliament speaker Mehdi Karroubi, whose house arrest was reported by the sites Thursday. ・・・
<イランに関しては、クリントン米国務長官がデモ側を支持し体制側を批判。↓>
・・・Secretary of State Hillary Rodham Clinton praised the Iranian demonstrators, saying White House officials “very clearly and directly support the aspirations” of the protesters. She also accused the Tehran government of hypocrisy for claiming to support pro-democracy demonstrators in Egypt while squelching dissent at home. ・・・
<シーア派が多数を占めているバーレーン。↓>
Bahrain is considered more vulnerable than most other regimes in the region, such as Saudi Arabia, Kuwait and the United Arab Emirates, because of its restive 70 percent Shiite majority, which has long chafed under the nation’s Sunni monarchy.
<しかも、石油が枯渇しかけているバーレーンはアブナそう。↓>
But as the first Persian Gulf nation to discover oil, and the first to be running out of it, Bahrain confronts problems that other gulf nations may also eventually confront, including a growing fiscal deficit and an expanding population that cannot find jobs・・・
<クウェートもサウディ東部もシーア派が多数。↓>
・・・You could see Bahrain having an impact on Kuwait and the eastern provinces of Saudi Arabia,” where there is a Shiite majority・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/14/AR2011021405301_pf.html
はたまた、アルジェリアか。↓
・・・Now it could be Algeria’s turn to free itself from autocratic rule.・・・
<引用しなかったが、長期の非常事態宣言下、及び長期いすわる大統領、と、一見チュニジアとエジプトの革命前の状況と酷似。
だけど、デモの規模はまだ小さい。↓>
About 2,000 demonstrated in the capital, Algiers, on Feb. 12, and another protest is planned for Saturday, Feb. 19.・・・
<だけど、内戦のトラウマから回復してないので革命は起こらない?>
Despite the fervor on the streets of Algeria, Western intelligence agencies believe that Algerians, exhausted from years of civil war, might be unwilling to face a potentially bloody assault should they revolt against their government. The country suffered massive losses in a war between Islamic groups and government forces that lasted from 1991 to 2002 and killed about 200,000 people. The conventional wisdom of intelligence agencies has proved of little use this past month, however: just a few weeks ago, Western intelligence agencies said there was only a small chance that Mubarak would be driven from office by the huge protests in Cairo’s Tahrir Square. Now we know how wrong they were.
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2048975,00.html
ぽっぽ殿下のかくも壊れた人格を形成したのは、父親か母親かその双方か、それとも彼が初等中等教育を受けた、学習院初等科、学習院中等科(彼のウィキペディア)か。↓
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110214-OYT1T00835.htm?from=main4
北方領土問題に関してはロシア側の主張以外の主張は成り立たない。↓
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110214-OYT1T00855.htm?from=main7
ベルルスコーニの下でイタリアの女性は、公にも酷い目にあっている。↓
・・・<In Italy> the percentage of women employed in the labor market is declining. Currently, only 46.4 percent of women work — compared with 80 percent of Norwegian women. In Europe, only Turkey, where 24 percent of women are employed, makes a poorer showing. The 2007 World Economic Forum gender gap index put Italy in 84th place, down from 77th in 2006. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2011/02/14/berlusconis_real_woman_problem?page=full
私の豊洲の印象は正しかった(コラム#2269)。↓
http://www.nikkei.com/biz/product/article/g=96958A9C93819499E3E6E2E2E38DE3E6E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E3;dg=1;q=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;p=9694E3E0E2E0E0E2E3E2E6E0E7E0
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太田述正コラム#4562(2011.2.15)
<日英同盟をめぐって(続)その14)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1107)
- 公開日:
>なお、陸自には海空自と違って、はったりのうまい人も少なくなかったけれど
太田的属国論に照らし合わせて言うと、憲法の解釈範囲に関わらず海上自衛隊、航空自衛隊は、装備的には宗主国である米軍の補助戦力にはなりえても、陸上自衛隊の隊員を日本国外に輸送して実戦にエンゲージさせるという構想自体に無理があるため、米軍からしたら本国の平時の州兵以下の認識しかなく、自らの価値を対外的に認めさせるにははったりをかますしかない・・・と言うのは言い過ぎですかね?
それは具体的に言うとこいうことですかね?
わずか数時間で日本は中国に占領されるぞ守りに強い陸自を削るとは、新防衛大綱の大失態
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5378?page=4
それには陸上自衛隊の増強、充実は不可避である。中国海軍が強化されるということは、すでに強大な兵力を持つ人民解放軍を、その海軍力が及ぶ範囲のどこへでも軍事展開できるということである。
ちなみに上記コラムの筆者の経歴です↓
柴田 幹雄
Mikio Shibata 元陸将・前中央即応集団司令官
1951年静岡県生まれ、75年・防衛大学卒業(機械工学専攻)、陸上自衛隊入隊。76年・第一空挺団小銃小隊長、82年・米陸軍歩兵学校 幹部上級課程、91年・在米日本大使館 防衛駐在官、94年・ルワンダ難民支援連絡調整員、97年・第32普通科連隊長、2003年・中部方面総監部幕僚副長(陸将補)、2006年・陸自幹部候補生学校長、2007年・北部方面総監部幕僚長、2008年・中央即応集団司令官(陸将)、2009年退官。
ちなみにイアン・ニッシュは『<1930年代の>日本の対中国政策には反共意識が反映され・・・この意識は単に対ソ、対韓、対満関係に見られただけではな<く、>中国を共産主義から救うという使命感が一本の強い糸として日本の文章を貫いている』と概観し、彼自身の認識を明らかにしています。(『戦間期の日本外交―パリ講和会議から大東亜会議まで 』p169)
ただ、そう認識しているだけで、それに対し何の評価を与えようともしていませんので、彼の歴史観は意趣を含むところがありそうだと感じましたが、歴史認識自体はあてになると思い資料集として送りました。
イアン・ニッシュの歴史認識にコペルニクス的転換を行えば、太田さんと同じ歴史観になるのではないかと思った次第であります。
また、特に英文資料は二つ併せて57編の論文が収録されているので、使えそうだと思ったモノをお読み頂ければ良いと思いますよ。