太田述正コラム#4641(2011.3.24)
<皆さんとディスカッション(続x1150)>
<太田>(ツイッターより)
このところ読者の皆さん、科学談義を花開かせているねえ。
そんなことになるのも、政府や東電が、権威ある科学者達のコンセンスを分かりやすく公示することを怠っているからだ。
なら、科学者達が何とかしなくっちゃ。
<太田>
ボケ科学者の元締めがここにいた?↓
「班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員会委員長は・・・事故や放射性物質の放出データなどを評価し、わかりやすく伝えるという委員長の役割について、会見を拒否してきた12日間を謝罪、「官邸や文部科学省へ伝えれば良いと考えていたが、今後はできるだけ市民にも事故の軽重判断、評価を伝えたい」と語った。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110324-OYT1T00138.htm?from=main2
それが事実だとすれば、即公表してなきゃ。
東電はモノスゴーイ風評被害を受けてるぜ。↓
「炉心への海水注入は、津波による被害の判明直後に決断したが、圧力を抜く弁の開閉にも、電源が必要だった」(上掲)
情報公開をさぼってまで「仕事」に専念してたはずなのに宗主国サマに先を越されるなんて、原子力安全委員会とやら、どうしょうもないね。↓
「<同委員長は、>放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI(スピーディ)」
<http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/index0301.html>
の結果を発表した。
本来、事故発生時に住民が迅速に避難するために利用するはずだったが、東日本巨大地震による停電や計器故障で、前提となる放射性物質の放出量が分からず、避難に役立つ計算ができなかった。
このため、安全委では20~22日の原発周辺の大気中の放射性物質の観測結果をもとに放出量を逆算。これを前提に、改めて放射性物質がどう拡散するか計算した。23日午後9時にようやく結果を公表したが、米エネルギー省が同日午前9時に独自の計算結果を公表した後だった。・・・
安全委は、放出量を特定しない計算も行っていたが、結果を公表せず、専門家の批判を受けていた。」
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110323-OYT1T01046.htm
役に立たないだけでなく、余計な情報結節となっちゃってる原子力安全・保安院よ、記者発表なんて止めちゃえ。↓
「原発情報 目立つ公表遅れ 東電 訂正に1週間の例も・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011032402000024.html
<ΘΕΘΕ>(「たった一人の反乱」より)
≫また、結局の所は放射性ヨウ素はセシウム等の他の放射性物質に比べれば危険が少ないって事は変わらないよね。 ≪(コラム#4639。ΘΘΕΕ)
「危険性が少ない」なんてオレもオクレ教授も言ってないぞ。
<この前、>略した部分もコピペするから、よく読んでくれ↓
「放射線物質を含むものを扱ったり、食べたりする人はいろいろな場合があります。
極端なことを言えば、ほうれん草を買ってから1万年も貯蔵しておけば、 あらゆる放射性物質は「安全」という事になります。
そのようなことを言っても意味が無いので、標準的な被曝を考え、半減期も考慮に入れて放射性物質の規制が決まっています。」
「なお、原子炉から出る有害な放射性物質の半減期は、ヨウ素が8日、バリウムとストロンチュームがともに30日、そしてプルトニウム241が14年です。
でも同じ半減期を持つバリウムに比べてストロンチュームは骨に蓄積しやすいので、
その分を考えなければなりません。」
これを読むだけでも、単純に半減期だけから「危険が少ない」などとは言えないとわかんだろ?
反論は、「規制の値がどのように決まっているかを詳細に」典拠付きで述べてからにしてくれ。
<ΘΘΕΕ>(同上)
放射性ヨウ素の危険は少ない=半減期が短いのだから、長期間食品が汚染された状況が続く訳じゃない。
環境への長期の影響が心配されない分、これから放射性ヨウ素を多量に摂取してしまう事は、少なくとも当分の間、該食料品を避けるなどを行えば無いはずだよ。
半減期が何十、何万年単位のモノに比べれば、半減期が八日、一ヵ月で放射線量が16分の1に減り、三ヶ月もするとほぼゼロになる放射性ヨウ素は、危険が少ない。
http://mainichi.jp/tanokore/topics/004903.html
こういう主張です。摂取した時の場合のみを指して言ったのではないですよ。
武田教授自信も半減期が短いのは示している事でしょ。
<ΘΕΘΕ>(同上)
いやいやいや、だから、はじめに<εεηηクン>が、<コラム#4639で>「基準値の二倍超だから飲用控えて」って記事を引用したよな?
んで、<ΘΘΕΕクン>がそれにたいして、半減期を基に「そんなに重大な事態じゃない」ってケチ付けたよな?
それに対して俺が、オクレ教授を引用して、「基準値というのは、半減期も考慮に入れた上で設定されている」って言ったよな?
もともと、基準値を超えた飲用水あるいは食品の摂取を控えるべきか否かっていうのが論点なんだ。
だから、<ΘΘΕΕクン>が「控える必要はない」って主張なら、そう考えるべき根拠を、「「規制の値がどのように決まっているかを詳細に」典拠付きで述べ」るなりして論じてくれって言ってんだ。
多分<ΘΘΕΕクン>の主張は、「放射性ヨウ素の基準値は、長期的に基準値を超えた食品を摂取し続けた場合を前提としている。
半減期から考えて、これ以上の放射性物質の漏洩がないという前提が成り立つなら、長期的に摂取し続けるような事態は起こり得ない。だから、ある程度基準値を超えていようが、健康に問題はない・無視できるレベルなので、特に控える必要はない」ってとこか?
これの典拠なり、論拠なりを示してくれっていってんだ。おk?
<ΘΕΕΘ>(同上)
こういうときは典拠の重要性がわかるね。
<ΘΘΕΕ>(同上)
<ΘΕΘΕクン、>それこそ、<コラム#4639でのεεηηクンとそれに続くボクの記述>の何処に、『もともと、基準値を超えた“飲用水あるいは食品の摂取を控えるべきか否か”っていうのが論点<だった。>』事実があるのよ。
<εεηηクン>は感嘆符を付けたコメントしかしていないし、私はそれに対し>>23-24で災害時に不安を助長する書き込み云々という諫言を述べただけだよね。
それが論旨である事は>>28でも明確に、そして繰り返し述べて確認した事だよな。
それがどうして、その論旨が『“飲用水あるいは食品の摂取を控えるべきか否か”』だった事になるのよ。
また、放射性ヨウ素の拡散について『そこまで重大な事態じゃない』と述べた事がどうして、私が飲用しても大丈夫だと主張した事になっているんだ?
そしてなぜ私が、<ΘΕΘΕクン>のその思い込みを前提として、『基準値を超えた食品の<飲食を>特に控える必要はない』という典拠を出さなければいけないんだ?
<ΕΘΕΘ>(同上)
日本を諸々の安全基準を、かなり安全側に設定しているっぽいね。
「都は「基準は1年以上の長期にわたり摂取した場合の健康影響を考慮して設定されている。
代替となる飲用水が確保できない場合、数回飲んでも健康に影響はない」(水道局)と説明。
枝野幸男官房長官も同日の記者会見で、「乳児の健康に万が一にも影響を与えないための万全の措置だ」と強調するとともに、他県の水道水の放射性物質については「しっかりとモニタリングをして状況を把握し、対処できるようにしたい」と述べた。」
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E1E2E1988DE0E1E2E1E0E2E3E39F9FEAE2E2E2;at=DGXZZO0195583008122009000000
東京の水道水からの放射性ヨウ素検出に関する海外専門家コメント
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1476
「厚生労働省は15日、東京電力福島第一原子力発電所での事故に対応するため、同原発での緊急作業時に限り、体に受ける放射線の被曝線量の限度を現行の100ミリ・シーベルトから250ミリ・シーベルトに引き上げたと発表した。・・・
放射線の専門家でつくる「国際放射線防護委員会」が示す国際基準では、緊急作業時の例外的な被曝線量の限度は約500ミリ・シーベルト。」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110315-OYT1T00826.htm
<ところで、太田さんの提起している>東京電力への天下り問題<(コラム#4639)>
地震以後に、この問題にふれたのは赤旗のみの模様。
「独立した機関に
・・・小池氏は東電が原発の安全対策を怠り、経済産業省から「天下り」を受け入れ原発を推進してきたと指摘。
政府の対応も情報公開が不十分で、原発を推進した経産省原子力安全・保安院が中心になっていると批判し、「経産省から独立した規制機関(原子力安全委員会)を中心にすべきだ」と主張しました。」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-03-22/2011032202_01_1.html
地震以前では、各紙書いてたけど。例えば、朝日↓。
「前エネ庁長官、東電顧問へ「天下り」 退官から4カ月余」
http://www.asahi.com/politics/update/0104/TKY201101040397.html
<太田>
「赤露」は大嫌いだが、現在の「赤日」は大好き。
「左」の朝日も好きだよー。
<ΘΕΕΘ>(「たった一人の反乱」より)
「2011年3月22日 (火)放射能の暫定基準値
私はホーレンソウも牛乳も平気です。出荷停止のもの、私が食べますからお送りくだ さい。」
http://ohtsuki-yoshihiko.cocolog-nifty.com/blog/
→大槻教授は楽観派
http://takedanet.com/2011/03/26_cb62.html
「原発 緊急情報(26) 赤ちゃんをお風呂に入れても大丈夫?
ザッと言うと{「自分」+「食べた野菜」+「飲んだ水道水」+「飲んだ牛乳」}になります。
汚染されたものを体に入れれば、自分が被曝した量が何倍かになりますので、できるだけ採らない方が良いと言うことになります。」
→武田教授は慎重派
<ΕΘΕΘ>(同上)
老人と乳幼児じゃ違うから、そういう引用の仕方は、大槻教授に怒られるなw
<ΕΕΘΘ>(同上)
<ΘΘΕΕクン、>んじゃ、「そこまで重大な事態」っていう言葉を、他にどう理解すりゃいいのよ?
<ΕΘΕΘクン>が典拠を示したから、この話に一応の区切りはついたな。
ごく微量の放射性物質の摂取に伴う健康被害なんぞは、確たることをなんか誰にもわからんだろうから、
あとは各々が慎重に行動するか無頓着に行動するか、各々の責任で決めるこったな。
俺はオクレ教授と同じ慎重派、可能な限り法の厳密な適用を是とする派だ。
<ΕΘΘΕ>(同上)
<コラム#4639でのεεηηクンとそれに続くボクの記述>の文脈上から考えれば、この世の終わりとでも言うように感嘆符を付けた<εεηηクン>に対し、『そういった書き方はやめろ』と前置きした上で、私が放射性ヨウ素の半減期を根拠に『そこまで重大な事態じゃない』と釘をさし、災害時に不安を助長するような事は慎むべきと言ったにすぎない事はわかるだろ。
それを、あなたは
>だから、はじめに<εεηηクン>が、「基準値の二倍超だから飲用控えて」って記事を引用したよな?
>んで、<ΘΘΕΕクン>がそれにたいして、半減期を基に「そんなに重大な事態じゃない」ってケチ付けたよな?
と、ここでご自分の誤解を明らかにしたように、『基準値の二倍超だから飲用控えて』という記事に対し、私が『そこ(→飲用を控える)まで重大な事態じゃない』と言ったのだと誤読し、あなたがそう思い込んだのが始まりだ。
一部分を抜き出せば、そう解釈する事もできるけど、文脈上おかしいでしょ。
それに百歩譲ったとしても、>>31で私の放射性ヨウ素についての考えを示したとき、私が今まで『飲用しても危険性は無い』などと一言も述べてはない事、私が包括的に考えて、放射性ヨウ素の危険性は他の放射性物質に比べれば低いであろうと言ったにすぎない事を示した時に、少なくとも自分が誤読している可能性に気付いても良いんじゃないの?
<θθΕΕ>(同上)
武田教授は単純にシーベルトの合計値だけで危険度を計算しているようだが、同じ量のシーベルトでも一度に浴びるのと徐々に浴びるのでは危険性が違うという説もあるようだ。↓
長崎大学の山下俊一教授と高村昇教授による放射線被曝についての講演(3/21、福島テルサFTホール)の文字起こし
http://ameblo.jp/kaiken-matome/entry-10839534940.html
山下:はい、内部被爆で少量、長期間浴びた場合に、それがあるレベルを超したら、
1回こっきり受けた量と同じかどうかという質問ですよね。これは防護上は同
じと考えて防護します。
しかし、生物学的には圧倒的に少量浴びる方が障害が出ません。
これはもう明確に疫学的に証明されていますし、動物実験でも、
私が話した細胞のレベルでもわかっています。
これ、安全防護の基準上、積算で超えたら危険だから、逆算していつもこうい
う話をしています。
ここがわかりにくいんですけれども、少量の慢性被爆の影響は非常に低いと思
ってもらって結構です。
Q13: 圧倒的に、その原子力でいま働いている方が100ミリシーベルト受けたものと、
我々が福島に1年間居て100ミリシーベルト積算して受けたものとでは、明らか
に危険度が違うと。
山下:違います。だから、我々は原発の職員を心配しています。
<ΕΕΘΘ>(同上)
オクレ教授も同じ認識のようだから、「という説もある」じゃなくて「という説が一般的」なのかもしんないな↓
「つまり、放射線に当たったらもうそれで終わりと思っている人がおられるのですが、普通の病気と同じように一旦放射線にあたっても、自分の体の抵抗力と免疫力が高ければ、元の体に戻してくれます。
(中略)
400ミリシーベルトぐらいの放射線を浴びると多くの人が白血病になりますし、100ミリシーベルトぐらいでも免疫力の弱い人は白血病になる場合があります。
しかし、この100ミリシーベルトとか、400ミリ シーベルトというのは、比較的短い時間に被曝した場合のことです。
例えば1時間に100ミリシーベルトを浴びた人はかなり危ないのですが、1ヶ月間で100ミリシーベルトを浴びても、その間に自分の体が直していきますので安全サイドになります。
でも、1ヶ月の場合、どのくらい安全になるかは極めて複雑です。」
http://takedanet.com/2011/03/13_f800.html
<θΕθΕ>(同上)
国が賠償負担納得できないし、負担額少ないよ。↓
「原発事故、国が賠償負担 被害数兆円、例外適用で全額負担も」
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110323/mca1103232241023-n1.htm
「原子力損害賠償法 「賠償措置額」(電力会社の賠償上限)は1200億円。それを超える損害が発生した場合に、国が原子力事業者に必要な援助を行う。ただし「天変地異」が発生した場合には国も直接援助する。」
http://www.fepc.or.jp/present/safety/saigai/songaibaishou/index.html
東電の危機管理、初期対応は酷い、1日対応が早ければ事故の規模もかなり縮小されて、国民への放射能汚染、金の負担軽減と世界の原発推進にもかなり影響を与えたんじゃないかな。オバマも怒ってるんじゃないの?↓
「政府は東電を救済するな 池田信夫」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51691012.html
「「空白の29時間」が取り返しのつかない大災害をもたらした」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5711?page=3
<私有自楽>
≫そういった書き方はやめれ、放射性ヨウ素の半減期は短いから、そこまで重大な事態じゃないから。≪(コラム#4639。ΘΘΕΕ)
しかし、その考え方・・・は???と感じる。
半減期の短い核物質は消滅するのは早いから管理は簡単である。
これには異議なし。
しかし人が被爆した時の影響は逆なのでは?
核分裂1回あたりの発生エネルギーは全ての物質でほぼ同じ筈。
ということは半減期の短い物質は短い時間に盛んに分裂を繰り返すから、人体に与えるダメージは逆に大きくなるのでは?
(典拠「今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅠ、Ⅱ」楽工社:バークレーの文科系向けの講義でベスト講義に選ばれています)
MSさんあたりはどう考えるのかなぁ~。
<MS>
質問の趣旨を、同じようなエネルギををもったアルファ、ベータ、ガンマ線・・・空気中にただよう放射性ヨウ素(131I)などから放出されるもの・・・とを、積算で同じ回数浴びたとき、急速に被曝した場合、ゆっくり被曝するより肉体へのダメージが大きいかどうかということと理解しました。
遺伝子の損傷(癌の原因?)という意味では、答えはイエスだという情報があります。
>核分裂1回あたりの発生エネルギーは全ての物質でほぼ同じ筈。ということは半減期の短い物質は短い時間に盛んに分裂を繰り返すから
ここの部分はちょっとわからなかったですが、たぶん何か間違われているとおもいます。
核分裂によって開放されるエネルギーは、終状態の粒子(中性子、ガンマ線、破砕核)の運動エネルギーにいきます。運動エネルギーは核分裂の起こった場所の近くにある物質との相互作用で散逸して最終的には熱になるので、原子炉の間近で中性子を直接あびるようなことをしない限り、関係ありません。
破砕核の人体にあたえる影響は、どの核種をいくつ吸い込んだかによります。人体への被害を考えたとき、結局のところその人のいる場所の線量(核種を考慮にいれたシーベルト)が問題になります。
<少数株主>
放射線は、活性炭すなわち安く手にいるのは消し炭・・でろ過するとよいはず。
・・・
尚、どの程度効果あるかは、条件もろもろあり、またこちら被害なく、試験の放射能浴びた水、測定器ないので、解からず。
うまく作れば90%以上除去できるでしょう。
詳しくは、放射線、活性炭、消し炭、ろ過などの言葉を組み合わせて、検索してください。
http://blog.goo.ne.jp/luca401/e/5571e9acc206dc8b6eb09ec3d84a8b91
http://www.patentjp.com/10/R/R100001/DA10043.html
<太田>
シロウト談義だけど、こんなのも見付けた。↓
放射能汚染された水道水と浄水器
http://okwave.jp/qa/q6603258.html
この話も、政府か学者グループがきちんと教えてくれるべきですよね。
翻訳でのglobalystさんの登場は、コラム#4281(2010.9.28)以来ですね。!↓
<globalyst:翻訳>
コラム#4636より
NYタイムスは、東電の原発に的を絞ってケチョンケチョンに批判している。↓
日本の原子力危機の中心にある福島第1原発が巨大な地震と津波によって活動不能となる丁度1ヶ月前、政府の監督機関は、その安全性に対する警鐘を無視して福島第1原発の6基の原子炉の使用期間を10年延長した。
延長を検討した規制委員会は、福島第1原発1号機のバックアップディーゼル発電機に応力亀裂があることを指摘していた。・・・
延長許可の数週間後、東電は、福島第1原発の6基の原子炉の水ポンプおよびディーゼル発電機を含む冷却システムに関連する33の機器を点検していなかったことを認めた。・・・
監督機関は「保守管理は不十分である。」また「点検の質も不十分である。」とした・・・。
原子炉の使用期間の延長決定および6基全ての原子炉の点検不備は、評者らが称するところの電力会社と電力会社を監視する日本の規制機関との間の不健全な癒着を如実に示している。今般延長を推奨したような専門委員会の委員の大部分には、官僚的な意思決定を支持し雇い主である政府機関に異議をとなえることがない学者があてられる。
原子力に対する一般市民の反対の声によって新規の原発建設が困難であるので、原子力事業者らは、これまで芳しからざる安全記録と繰り返されてきた隠蔽工作にもかかわらず、原子炉の40年の法定期限を超えてその使用期間を延長すべくロビー活動している。原子力利用を推進し輸入化石燃料への依存低減を希求する政府は、これまで殆ど(ロビー活動に)賛同してきた。かかる使用期間の延長は、幾つもの老朽プラントの使用期間の延長が許可されてきた世界的な潮流の一部でもある。
日本では、今後10年で更に13基の原子炉および福島第1原発の他の5基の原子炉が40年を迎え、巨額にのぼる交換費用の見通しが更に膨らむこととなる。
2月初旬に延長を承認するにあたって、規制機関は、2月初旬に発表の報告書に従い、圧力抑制室へ水を噴霧するために使用するスプレーヘッドの腐食、原子炉のキーボルトの腐食、原子炉内への水の流量を測定する計測器における伝導性問題など、燃料棒を保持する原子炉圧力容器への放射線による潜在的損傷を監視するよう東電に通告した。
福島第1原発1号機の点検中に収集した調査結果を検討するために6回召集された委員会は、東電が地震に対する必要な全ての防備を備えているとの結論を見出した。然しながら、検査官が1号機に費やしたのはたったの3日間であり、この3日間というのは、原子力産業の専門家に言わせれば短すぎる期間である。と言うのは、原子力プラントへの地震リスクの評価は、この世で最も複雑な工学的問題の1つであるからである。・・・
2000年、原子炉点検を請け負った別会社の内部告発者が、福島第1原発の炉心を覆うステンレス製シュラウドに亀裂があることを監督機関に密告した。然しながら、監督機関は、この別会社に対して単にこの問題を調査すべきことを通告しただけで、原子炉の運転を許可した。・・・
2003年、(原子炉点検を請け負った)会社が16年間に渡って点検記録を改竄し不具合を隠蔽してきたことを示す情報を内部告発者が福島県に提供すると、監督機関は東電に対して福島第1、第2原発の10基の原子炉および新潟県にある7基の原子炉を停止させた。最も重大な事件では、東電はシュラウドの大きな亀裂を隠蔽した。・・・
日本における原子力産業の多くの評者と同様に、<前福島県知事の>佐藤<栄作久>氏は、監視が甘いのは、原子力安全保安院からその有効性を本質的に奪い去ってしまう利害の衝突のためであるとする。番犬として行動すると考えられている保安院は、経済産業省の下部組織であり、そして経済産業省は日本の原子力産業の発展を促す一般政策を有している。
<太田>
重要な記事の長文の翻訳、まことにありがとうございました。
誤訳があったのは、第二、第三段落(切り分けたのでお分かりと思います)です。
第三段落の方は、ちょっと厳しすぎる判定かもしれませんが・・。
よって、ポイントは、42-10-10=22で22ですね。
それでは、大震災関係のその他の日本語メディアの記事の紹介です。
中共「有識者」の日本ベタボメが続いている。↓
「・・・福島第1原発を救うため、50人の決死隊が集められた。・・・まるで「忠臣蔵」の四十七士のようだ。その武士道精神の素晴らしさに世界中が尊敬の念を抱いている。・・・大地震、津波、放射能漏れと災難が続いても、日本人は悲しみを心の奥深くにしまい込み、落ち着きを保った。・・・幼いころから「人様に迷惑をかけないよう」叩き込まれているのだ。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/5436368/
厚生労働省、ちゃんと反論してごらん!↓
「フランス・パリ大学のポール・ジョバン准教授(日本社会学)は・・・厚生労働省が今回の事故対策に限り、被ばく線量の上限を250ミリシーベルトまで引き上げたことについて「この緊急措置は、作業員が死亡することになっても(東京電力が)補償請求を免れるための方便である可能性がある」と指弾した。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110324/dst11032407030010-n1.htm
(続く)
皆さんとディスカッション(続x1150)
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