太田述正コラム#4712(2011.4.28)
<皆さんとディスカッション(続x1186)>
<太田>(ツイッターより)
 連休中、一人題名のない音楽会は4回「開催」予定。ま、聴きたくない人は聴かなきゃいいだけだから許されよ。
 映画評論の方はまだ当分先になりそう。
 そうそう、来月の講演会(オフ会)、
http://www.ohtan.net/meeting/ 
から、いらはいいらはい。
 (コラム#4538に関し)第一次大戦中及び直後の英海軍の日本観、堀江貴文への高評価、国産原発防災ロボット不存在理由の説明、の3者に共通しているのは、己の歪み(人種差別意識・日本型経済体制への無知・吉田ドクトリン当然視)に気づいていないことだ。
<太田>
 「堀江貴文への高評価」をしている最近のコラム2篇は次のとおり。
http://news.livedoor.com/article/detail/5522469/・・一
http://news.livedoor.com/article/detail/5520396/・・二
 日本型政治経済体制の下では、大企業は、社員の生活共同体であって、本来、売買の対象ではない。
 しかし、全球的に英米流資本主義がスタンダードになっている以上、そんなことは言っていられない以上、売買の対象として特にふさわしくない大企業を、少なくとも敵対的買収がなされないよう、保護する法制を整備しなければならないけれど、これが一筋縄ではいかないんだなあ。
 例えば、堀江によるニッポン放送株TOB「事件」(下出)の後、「いつの間にか日本のマスコミのために、認定放送持株会社という制度が作られた。この持株会社になると、株主は3分の1以上の株式は保有できなくなる。フジテレビとTBSが認定放送持株会社に移行した。すべての株主が3分の1以上保有できないので、経営者にとっては完全な買収防衛策である。」(一)というわけなのだが、件のフジサンケイグループに属するフジテレビのほかはTBSだけしかこの新スキームを採用していないようだからね。
 だから、大企業も自由な売買の対象であって、TOBを仕掛けた堀江は咎められるどころか、高く評価されなければならない、なーんて簡単に言って欲しくないんだな。
 次に、百歩譲ってTOBを仕掛けることは高く評価されるとしてもだ、それは、ア:適正な手続きで行われなければならないし、イ:買収するための元手を合法的に確保しなくっちゃダメだ。
 アについてだが、「2005年・・・2月8日午前8時すぎのわずか30分の間に、堀江貴文率いるライブドアの子会社「ライブドア・パートナーズ」が700億円を投じ、東京証券取引所の時間外取引で発行済み株式の29.5%を追加取得、ライブドアは取得済みの株式を加えて35%を占める事実上の筆頭株主となった。」(二)なんちゅうやり方はよろしくない。
 また、イについてだが、「ライブドアが所有するファンドがライブドア株の売却でたまたま得た利益を売上に計上したことが、粉飾決算とされた。東京地検特捜部の主張は、これは資本取引であって、売上に計上して損益計算書をよく見せるのは粉飾決算だというのだ。・・・筆者の感想は、量刑がむちゃくちゃである、ということである。」(一)なんて意見はナンセンスだ。
 法定刑の範囲内で裁判所が実刑を下すことができるのは言うまでもないからだ。
 なお、「欧米の先進国の多くでは、言論の多様性やメディアの相互チェックを確保するため、新聞社が放送局を系列化する「クロスオーナーシップ」を制限・禁止する制度や法律が設けられてるのであるが、日本では放置されているのだ。
 その結果、読売新聞と日本テレビとラジオ関東、産経新聞とフジテレビとニッポン放送といったメディアの系列化が固定され、テレビが新聞の再販問題や押し紙問題を一切報じないことなどに見られるようにメディア相互のチェック機能がまったく働かず、新聞もテレビもラジオも互いの問題点を隠し合うという弊害が生じている。
 この醜い現状をドンキホーテのように風穴をあけようとしたのが堀江氏であったのだ。」(二)という見解もちゃんちゃらおかしい。
 「クロスオーナーシップ」があろうとなかろうと、メディアないしメディア系列間の報道の質の面等での競争が阻害されているという根本的問題を解消しなければならないからだ。
 民主党政権発足に伴う、記者クラブ制の廃止によって、その最も大きな阻害要因が取り除かれた、と言っていいだろう。
 インターネット報道の充実や英米の主要メディアの(インターネット翻訳機能の充実に伴う)参入等によって、日本のメディアないしメディア系列の淘汰が今後進んで行くことだろう。
 ところで、「現状の堀江被告の大きな収入となっているとみられるのが、週1回発行している有料メルマガだ。月840円の購読料を支払っている読者数は1万人を超えている。年間の購読料は1億円規模で、発行会社の手数料40%を差し引いても年間6000万円以上の収入になっている計算だ。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110428/crm11042806320001-n1.htm
だそうだけど、日本には奇特な人が多いんだねえ。
 次に、「国産原発防災ロボット不存在理由の説明」してるコラムは次の2篇だ。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110426/191442/・・三
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110426/219655/?top_updt・・四
 だけど、三のは、「(1)施設のメンテナンス作業を目的としており、特定の作業しかできない専用機だった、(2)要素技術の開発に留まり、実用化までは至らなかった、(3)実用化を想定していたものの、プロジェクトが維持されなかった」と説明にも何にもなってやしない。
 他方、四のは、「電力会社や政府の原子力関係者は「原発防災ロボットが必要になる事態は日本では想定できない。むしろ不安を煽ることにつながる」と判断し、数々の成果をお蔵入りさせてしまった。・・・軍事ロボットを手掛けない日本は、米国やフランスなどに比べて大きなハンディキャップを負っている。」とかなりイイ線を行っていて、後一声で、吉田ドクトリンに行き着くところだったね。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110426/219655/?top_updt
<ΕΕξξ>(「たった一人の反乱」より)
 原発とロシアのガセネタ投稿のついで?なんだけど(今度はマブネタ)。
 「ロシア外務省は7日、東京電力が福島第一原子力発電所から低濃度の放射性物質を含む汚染水を放出したことについて、「日本がすべての関係国に対し全面的に情報提供し、さらなる汚染水の海中放出を避ける措置を取るよう望む」とする声明を発表した。日本政府の情報伝達態勢に不満を表明するとともに、これ以降は放出を行わないよう求めたものだ」
 ↑
 勿論、日本の放射能汚染水の海中放出は(やむおえずとはいえ)世界中から非難されて当然なんだろーが、ロシアに言われるのは心外というか、ウラジオストック(日本に近いぞ)に原潜を(金欠で)廃棄したまま放置していた無責任ロシアが、日本に処理してもらったのを忘れたんか?ロシアよ。 
 少なくとも、お前には言われる筋合いではないだろ(笑)。
http://www.vladivostok.ru.emb-japan.go.jp/jap/bilaterial-relations/5.html
 しかも、日本が出資した資金のうち、約1800万円を解体工場の元所長が着服していたのが発覚しただろ(笑)。さぞかしウオッカ美味かったろー。
http://news24.jp/articles/2011/03/11/10177635.html
 ついでに放射能物質ではないが、とんでもないゴミ海洋投棄国家…韓国!(中華、お前もだが)下水汚泥の70%が海へ。
http://damasareruna.blog65.fc2.com/blog-entry-160.html
http://www.youtube.com/watch?v=YqVC1ObIFd0
<ΕξξΕ>(同上)
 「【原発】「子供の許容被ばく線量高すぎる」と疑問(04/27 11:51)
ノーベル賞も受賞した国際的な医師の団体がワシントンで会見し、文部科学省が子供の1年間の許容被ばく線量の目安を「20ミリシーベルト」に設定したことに疑問を呈しました。」
http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210427018.html
 やはり日本政府は福島の子供たちの命の優先順位を下げてるわけですね。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 まず、大震災関係の残りの記事です。
 最初の段落については、初耳であり、典拠が欲しいところだ。↓
 「旧自民党政権は、東電をはじめとする電力会社を景気対策の道具に使ってきた。たとえば、景気対策であと2000億円必要だとなると、予算を組まずに東電や関電などを呼びつけ、2000億円分の設備投資を要求する。電力会社はそれに従い、不要不急のハコものを造る。そういうことを繰り返してきたのである。 
 そして景気対策に協力する見返りとして、電力会社に対する政府の監督の目は甘くなった。世界標準の2倍くらいの電気料金を認め、原発の安全審査を厳しくする代わりに、住民対策ができていれば認可しよう、という倒錯した発想が咎められることもなかった。・・・
  しかも、東電の場合はGEとの蜜月関係が崩れた影響で2002年、圧力容器にヒビ割れがあることを隠しているというGEの下請けのエンジニアによる内部告発を受けた。この「原発トラブル隠し」が大問題となって当時の会長と社長が辞任に追い込まれ、福島第一原発所長を20年経験した常務をはじめとする原子力畑の人間はことごとく粛清された。 
 その後の東電は、供給力の35%を原子力に依存していながら原子力エンジニアを忌み嫌う会社になり、経営陣の大半を人事や総務、経理など事務系の人間が占めるようになった。」
http://news.livedoor.com/article/detail/5521409/
 今頃、主要メディアがとりあげてるぜ。↓
 「原発安全、ウソだったんだぜ 反原発曲、ネットで話題に・・・
http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY201104270182.html
 コラム#4709(未公開)で久しぶりに自殺問題を取り上げたが、それと関連する記事が、大震災がらみで出てた。↓
 ・・・Japan’s view of taking one’s own life does not carry the connotations of sin or mental illness that it does in the West. For centuries, the country has maintained a romanticized notion of the noble suicide・・・
 Japan now confronts a suicide toll that soared after the 1997 Asian financial crisis and has reached 30,000 a year for 13 consecutive years.
 Every 15 minutes, someone takes his or her own life in the island nation of 127 million, establishing suicide as the leading cause of death among Japanese men ages 20 to 44 and women ages 15 to 34.・・・
 ”More than half the suicides each year are due to financial reasons, to win back collateral that friends and family had put on the line. It’s become a macabre way to pay your debts.”
 Last month’s disaster struck in northeastern Japan, a region that has traditionally grappled with higher suicide rates. A decade ago, the prefectures on the northern tip of Honshu, Japan’s main island, faced suicide rates that were double the national average, a trend experts linked to the region’s stoicism, inclement weather and preponderance of elderly shut-ins(寝たきり).・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-japan-suicides-20110424,0,6090373,print.story
 それ以外の記事は1つだけ。
 米国における人種主義の強い痕跡をこんなところに見出すことができる。↓
 「・・・南部ミシシッピ州共和党員の約46%が異人種間結婚は違法にすべきだと思っているという。今まで通り合法とするべしという回答は40%、14%はわからないとしている。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/5520307/