太田述正コラム#4739(2011.5.11)
<皆さんとディスカッション(続x1200)>
<太田>(ツイッターより)
オバマ大統領もウィリアム王子も女癖の悪い父親と男癖の悪い母親のもとに生まれたが、どちらも、おばあさんに見守られて堅物に育った。
親は親、子供は子供なんだろうね。
リタイア後のオバマ、王位に就いてからのウィリアムを見たいもんだ。
(コラム#4564に関し)「理想の女」と結ばれ続けたヘンリー8世がイギリスを欧州から切り離し、イギリスの(欧州にはなき)人間主義と個人主義を、一人の「理想の女」とも結ばれえなかった欧州兼イギリス人のヒュームとスミスが、それぞれ理論化した(未公開シリーズ)。
<ΕΠΠΕ>(「たった一人の反乱」より)
「2)浜岡原発を止めたのはアメリカの要請で、アメリカ軍横須賀基地を守るためだったと公に言われている。」
http://takedanet.com/2011/05/post_67d5.html
これが本当なら管首相の思いつきでリーダーシップを発動したとは言えないですね。
<ππΕΕ>(同上)
玄葉国家戦略担当大臣はネグられたって言うじゃねーか!
関係閣僚に相談せず総理官邸の独断だね。
全然民主的じゃない。独裁だ。
<ΕΠΕΠ>(同上)
<ΕΠΠΕクン、>まあそんなところだろう。
だって、福島ミズぽが浜岡止めるよう直言した時、笑って聞き流したそうだから。
少なくともアメの了解無しに止めることはねーわな。
<太田>
典拠なき議論は止めよう。
あんな典拠抜きの書き方をしてるだけで、(上の2人についてはいわでもがなだが、)takeda某、信用できんわね。
(大体からして、横須賀基地云々の真偽以前に、日本は厳然たる米国の属国なんであり、どんだけ、彼、これまで日本の「独立」のために努力してきたのか、ということにもなるだろう。)
そもそも、彼、「民主<的手続きをとっておらず>・自主<どころか、特定の勢力に操られていて>・公開<原則にも拠っていない>」と言われても仕方ないぞ。
<けいc。>
≫太田さんのいう人間主義って、英語ではなんていうのか、知ってる人いる? ≪(コラム#4737。ΕΕΠΠ)
既存の単語で新しい感じがまるでしませんが、“altruism”が一番近い気がしますがいかがでしょうか?
Altruism is the renunciation of the self, and an exclusive concern for the welfare of others.
http://en.wikipedia.org/wiki/Altruism
<太田>
ちょっと一般用語過ぎますね。
それに、人間主義者は利他的ではあっても必ずしも利他主義者じゃないのでは?
(「情けは人のためならず」ってフレーズを思い出してほしい。)
<ΕΕΠΠ>(「たった一人の反乱」より)
人間主義をあらわす造語が必要なら、intra-individualism というのもいいかなと思うけれど。
<太田>
intraだと、個人と個人の間じゃなくて、個人の中、になっちゃうのでは?
<ES>
<昨>日、ブログで話題としていた人間主義の英訳について、以前、<イギリス人の>弁護士に和辻のことを説明しようとした際、私も考えたことがありました。
Stanford Encyclopedia of philosophyでは、和辻の哲学を説明する中で、「betweenness」という用語を使っていた
http://plato.stanford.edu/entries/watsuji-tetsuro/
ので(おそらく「間柄の訳かと思います)、「ethics of betweenness」などと説明したことがありました。(和辻の哲学を十分に理解しているわけではないので、とんだ誤解があるかもしれません。)
ただ、それでは、人の部分がうまく出ていませんし、between は、interですから、<太田さんの>inter-human-ismというのは、優れた英訳だと思いました。
<πΕπΕ>(「たった一人の反乱」より))
<ボクは>コミュニタリアリズタムが一番近い<と思う。>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93%E4%B8%BB%E7%BE%A9
<ΕΕΠΠ>(同上)
ありがとう。
でも近いようで全然近くないと思う。
コミュニタリアニズムでは、個人と共同体の関係が最重要だと考える。
でも「共同体」のような概念にすぎないものと個人との関係を重要視するのでは、人間主義とは全く異なる。
人間主義では、人対人の関係が重要なのだから。
<πΕπΕ>(同上)
アプローチの仕方に差異がある、という意見には同意するけど、人と人との関係性を契機にして、その利他性を生じさせるのが人間主義、共同体を重んじる事を契機にして、人々の利他性を奨励しているのがコミュニタリアニズムだと思っている。
それに共同体は人が織り成し構成されるものであって、抽象的とは言えるけど概念的なものじゃないんじゃないかい?
コミュニタリアニズムは迂遠でややこしいと思うけど、指し示している事は人間主義に近いと思うんだな。
以下はコミュニタリアンの著書から抜粋する挿話です。こういうのも一興かな。
【幸福の町―アーシェラ・K・ル=グィンの小説―】
「その物語はオメラスという町の話である。
オメラスは幸福と祝祭の町、国王も奴隷も、広告も株式市場もないし、原子爆弾もないところだ。
しかし、オメラスの美しい公共施設のどれかの地下室に、
あるいは、ことによると広々とした民家のどれかの地下食料庫かもしれないが、一つの部屋がある。
鍵のかかったドアが一つあるだけで、窓はない。この部屋に一人の子供が座っている。
その子は知能が低く、栄養失調で、世話をする物もおらず、ずっと惨めな生活を送っている。
その子がその部屋にいることを、オメラスの人びとはみんな知っていた
・・・その子はそこにいなければならないことを、誰もが知っていた・・・
自分たちの幸福、町の美しさ、親密な友人関係、子供たちの健康・・・
さらに、豊かな収穫や穏やかな気候といったものまでが、その子のおぞましく悲惨な生活に全面的に依存していることを理解していた・・・
もしその子が不潔な地下から太陽のもとに連れ出されたら、その子の体が清められ、十分な食事が与えられ、心身ともに癒されたら、それは実に善いことに違いない。だが、もし本当にそうなったら、その瞬間にオメラスの町の繁栄、美しさ、喜びはすべて色あせ、消えてなくなる。それが子供を救う条件なのだ。」
「こうした条件は道徳的に受け入れられるだろうか。・・・それは受け入れられない。
たとえ幸福の町の存続につながるとしても。罪のない子供の人権を侵害するのは、多数の幸福のためであろうと間違っているのだ。」
(マイケル・サンデル「これからの『正義』の話をしよう」p55~57)
ここで、彼が示している正義とは利他性で、悪とは人々の利己性だわな。
こういった点で、人間主義と近いんじゃないかと思ってるんだな。
<太田>
私自身、「人間主義は和辻哲郎が日本の思想的伝統を踏まえて打ち出した考え方ですが、コミュニタリアニズムはサンデルらがイギリスの思想的伝統を踏まえて打ち出した考え方であり、その両者は極めて似通っている、というのが私の現時点での総括です。」(コラム#3626)と書いたことがあるから、人間主義の訳語はcommunitarianism(コミュニタリアニズム=共同体主義)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E5%90%8C%E4%BD%93%E4%B8%BB%E7%BE%A9
http://en.wikipedia.org/wiki/Communitarianism
で決まり、となりそうなものだ。
しかし、でも、but、
Communitarians claim values and beliefs are formed in public space, in which debate takes place. Both linguistic and non-linguistic traditions are communicated to children and form the backdrop against which individuals formulate and understand beliefs. The dependence of the individual upon community members is typically meant as descriptive. It does not mean that individuals should accept majority beliefs. Rather, if an individual rejects a majority belief, such as the historic belief that slavery is acceptable, he or she will do so for reasons that make sense within the community (for example, the Judeo-Christian conception of the imago Dei(神のイメージ), or reasons deriving from secular Enlightenment humanism) rather than simply any reason at all. In this sense, the rejection of a single majority belief relies on other majority beliefs.(英語ウィキペディア上掲)
というわけで、コミュニタリアニズムにおいては、個人の価値観は当該個人の所属する共同体の多数派が明示的または黙示的に抱いている信条によって形成される、という考え方なんだな。
このような考え方と、個人の価値観は、所属する共同体の多数派が明示的または黙示的に抱いている信条によって形成されるわけでは必ずしもなく、従って異なった共同体に所属しておればもちろんのこと、同じ共同体に所属している場合であっても、個人個人の価値観は相互に異なっているのがむしろ通常である、という考え方に立っているように思われるところの、人間主義とは、本質的な違いがあるんじゃないかな。
つまり、人間主義とは、個人個人の価値観が異なっている・・より正確に言えば、効用関数とリスク選好が異なっている・・、ことを前提にして、いや、異なっているからこそ、他人の気持ちを慮ったり、人間関係の中長期的ネットワークを形成したりすることは容易ではないけれど大きな意義がある、という考え方なんだよ。
もっとも、これは、私自身の人間主義であって、果たして和辻の人間主義がそうなのか、さらにはマクマレーの考え方が和辻の人間主義と本当にほぼ同じと言えるのか、はなお精査する必要があるけどね。
<ΕΠΕΠ>(「たった一人の反乱」より)
<πΕπΕクンの引用に出てきた>幸福の町って原発問題みたいだね。
>知能が低く、栄養失調で、世話をする物もおらず、ずっと惨めな生活を送っている。<(πΕπΕ)
これは原発の最底辺労働者。
<πΕΕπ>(同上)
「原発事故、土浦市職員逃げた? 有給取った3人処分 2011年5月10日16時46分
福島第一原発の事故発生後に有給休暇を取って県外に避難したり、震災後に有給のリフレッシュ休暇を取ったりした茨城県土浦市の職員がいたことがわかった。市は、市民生活部の課長補佐ら3人を訓告と厳重注意処分にした。」
http://www.asahi.com/national/update/0509/TKY201105090635.html
↑
こういうのが人間主義共同体の不自由なところ。
<太田>
ここでの「人間主義」は「人間主義」なのか「コミュニタリアニズム」なのか?
ウーム。
<ΕπΕπ>(「たった一人の反乱」より)
どうやら、じんかんの学としての倫理学を、Ningenの学としての倫理学と訳しているみたい
http://books.google.com/books?id=A4mbwqu5nwUC&lpg=PA355&dq=watsuji%20tetsuro%20rinrigaku&pg=PR5#v=onepage&q&f=false
http://www.jstor.org/pss/2383653
<太田>
なんちゅうこっちゃ。
誤訳・・正確には日本語での誤読をそのままアルファベット表記化・・が英語世界で定着しちゃってんだね。
日本の哲学者達、こんな致命的な誤訳を見逃してるとは、信じがたい怠慢だな。
原発事故で東電幹部や政府首脳は給料を返上するようだけど、日本の大学の哲学教師は、全員、和辻の墓前で彼に謝った上で、給料を当分の間、返上したら?
<唯我独尊>
≫音楽のたとえで言うと、彼、主旋律を作り出すのが得手じゃないところの、伴
奏付け、オーケストレーション、ないし編曲の天才なんだな。≪(コラム#4737 太田)
これほどわかりやすい「たとえ」には、おいそれと巡り会うことはできません。
旋律を作り出す(新しいものを創造する)才能は天賦限定なのでは?
・・・各宗派の・・・聖典(なかでも伝承に基づく記述)は事実(自然の摂理なども含む)を無視した記述が多いと認識しています。
歴史書<は>聖典に似ている<のではないでしょうか。>
その著述者が事実を都合良く解釈し、客観的事実とは異った記述をしていると思われるからです。
貴ホームページのコラム、そのほかの関連ホームページ、手軽な歴史書、マスメディアなどの情報から、このような考えに至りました。
<ですから、>主観的かつ典拠が明らかでない投稿は慎む<べきだと思っております。>
これからも貴コラムを心待ちにして拝読させていただきますので、よろしくお願いします。
<宮里>
最近、ある集まりで瀧井一博『伊藤博文ー知の政治家』(中公新書)の書評報告を頼まれて行いました。
瀧井氏の主張する伊藤の漸進的立憲主義や朝鮮統治観には共感を覚えましたが、同氏の説く伊藤博文の文明観には少なからざる違和感を持ちました。
<今度のオフ会の際、>改めて伊藤博文についてご質問ができれば幸いに存じます。
<太田>
とりあえず、違和感について、もう少しお聞かせいただけませんか?
http://www.ohtan.net/meeting/
<通りすがり>
≫ハメリンがどっかで、左手だけのためのピアノ曲は数多いのに・・・≪(コラム#4737。太田)
ハメリンって・・・アムランの間違いですかね。
<太田>
≫このところ、カナダ人ピアニストのアムラン(=ハムラン=ハメリン)の音楽に酔いしれている。≪(コラム#4735.太田)
彼はフランス系カナダ人。アムラン:フランス語読み、ハメリン:英語読み、ハムラン:そのごっちゃ。
ユーチューブ上で第三者がこの三様の呼び方をしてるよ。
なお、少しは前のコラム(ツイッター)を見てくれよな。
それでは、記事の紹介です。
東電、政府任せにせず、自分でこれらの批判に、できる限り、公式、非公式に反論しなくっちゃね。↓
「政府与党は、<JALの場合とは違って>国民負担を増やして東電を救済しようとしている。・・・」
http://archive.mag2.com/0000006653/index.html
「・・・日本経済団体連合会の米倉弘昌会長の口から“暴言”に等しい言葉が飛び出した。
「原子力損害賠償法には大規模な天災や内乱による事故は国が補償するとある。国が全面的に支援しなくてはいけないのは当然だ」「原発は国によって安全基準が定められ、設計・建設されている」と記者会見で述べ、国の責任を強くアピールしたのである。・・・
たしかに原賠法は「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(第三条)と、この第三条並びに第十六条で政府による「援助」を定めている。・・・
だが、もしこの理屈で企業が責任を負わないとなれば、製薬会社や航空会社、鉄道会社などが事故を起こしても、安全基準を定める国の責任ばかりが問われることになる。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/5547860/
追いつめられる小沢山賊一味。↓
「・・・中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県)から同会側への5000万円の裏金提供について証言した土木会社「日本発破技研」(大阪市)の山本潤社長(56)・・・は同日午前の審理で、水谷建設の川村尚元社長(53)が2005年4月、東京・赤坂のホテル2階のフロント前の喫茶店で陸山会元会計責任者・大久保隆規被告(49)に紙袋を渡す際に同席し、「紙袋の中身は現金だと思った」と証言。川村元社長も前回の公判で、この紙袋には、岩手県の胆沢(いさわ)ダム建設の関連工事受注の謝礼金5000万円が入っていたと述べていた。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110511-OYT1T00251.htm
「ジェロニモ」作戦の後遺症。↓
・・・Indian peoples have long played an odd role in American popular culture, seen at once as primitives who are dangerously savage but also authentic, brave and connected to nature. In U.S. military culture, this view has led to Indians being seen as the embodiment of warrior culture.・・・
The military has often used Indian names for its helicopters (Kiowa, Cheyenne, Comanche, Blackhawk and, yes, Apache). And now, there is this latest use of Geronimo.・・・
http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-jacoby-geronimo-20110510,0,7433292,print.story
英国のエドワード7世は皇太子時代、パリで、女優のサラ・ベルナール(Sarah Bernhardt。フランス人。ユダヤ人売春婦の娘で売春婦を経て大女優)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%AB
、チャーチルの母親(米国人)、チャールス現皇太子の後妻の曾祖母(イギリス人?)、等と浮名を流したとさ。
おー世界はみな兄弟なのね。↓
http://www.slate.com/id/2289282/entry/2289284/
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太田述正コラム#4740(2011.5.11)
<戦間期の日英経済関係史(その4)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1200)
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