太田述正コラム#4803(2011.6.12)
<皆さんとディスカッション(続x1232)>
<太田>(ツイッターより)
(コラム#4801に関し)私はゲルマン人をアングロサクソン文明の祖と考えているわけだが、様々な想像力を掻き立てる点にこそ、『ゲルマニア』の偉大さがあるのだろう。
ちなみに、イギリス人自身は同じタキトゥスの『アグリコラ』に登場する、ローマ支配下のブリトン人についての記述に自分達の祖を見出す(同典拠)。
英国防大学時代の同僚ご推奨のイギリスを理解するのに資する映画中、ムツカシイ『わが命つきるとも』は後回しにして、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』と『眺めのいい部屋』を無理やり一括りにして評論することにした。(『Mrs Brown』(日本未公開)は残念ながら入手困難。)
公開時にドーゾ。
<太田>
誰か、私に成り代わったつもりで、あるいは独断と偏見の下、同じくこの↑2本の映画を一括りにして評論したコラムを書いて見ないかい?
オフ会幹事団によって出来がよいと認められたら、半年間、名誉有料読者にしまっせ。
<ΧεΧε>(「たった一人の反乱」より)
カネの話はあんまりやりたくないが、太田さんの年金が月12万円<(コラム#4801)>って少なすぎじゃね?
50歳で役所を飛び出したからって、「中将」クラスの年金としちゃ、あんまりだろ。
<太田>
文官はまだいいが、制服組に命を張って仕事をしてもらおうというのなら、恩給制度を復活させる以外にないってこと分かって欲しいね。
<ΦΕΦΕ>(「たった一人の反乱」より)
≫再聴取に臨んだ石川被告が、その時点で小沢への報告と了承に係る前の供述を翻さなかった方がおかしいよね。≪(コラム#4791。太田)
????
「再捜査で再び特捜部から聴取を受けた石川議員が、”供述調書と異なる内容を語る”」
供述調書と異なる内容を語るってえことは”前の供述を翻す”てえことですぜ?
→裁判の時に翻したんじゃないの?
それとも、再聴取を何回も受けてるうちに翻したんだっけ。
いずれにせよ、二回目の聴取の時(録音した時)には翻してないんだよね。(太田)
≫こんな重大なことを小沢への報告と了承なしに自分の一存でできるわけがないと誰でも思うはずだ、≪(同上)
重大なことって4億円の支払いを記入するってことですけど、小沢側は”ミス”だってずっと言ってるんですが。
もちろん記入ミスは大変かもしれませんが、刑事事件にするほどじゃぁないですよねえ。
ただ検察側はミスではなく”わざと”だといってて、太田さんは一方的に検察側の見解のみを述べておられるのですが。
≫前にも言ったけど、無罪有罪に係る事実認定については、政治参加の一環としての一般市民の平均的な社会常識的判断がプロの裁判官の判断より尊重されるべきだし信頼性も高い、というのが英米法系における大陪審や陪審制度の考え方の根っこにあるのであり≪(同上)
その代わり、英米では一般市民の判断が”マスコミ”などに影響されないよう、刑事被告人に関する報道は差し控えられたり(イギリス)、検察側からの一方的なマスコミへの情報提供は禁止されています。(違反したら検察はクビ アメリカ)
本来、日本でも検察からマスコミへの情報提供は公務員の守秘義務の違反なのですが、全く守られていないのが日本の現状です。
こういったマスコミへの規制をきちんと設けないまま設けられ、マスコミ情報に影響されまくる検察審査会の判断など信じられませんよ。
それにこういう論拠が。↓
http://blog.livedoor.jp/ksato123/archives/51626615.html
真逆!「検察審査会制度」の特異性、本家米国では冤罪防止機関だった。
どうも、今話題の「検察審査会制度」の元となった本家アメリカの「大陪審制度」は、日本とは真逆で検察官の起訴状をスクリーニングして不当な起訴が行われないようにする冤罪防止のためのシステムであるようだ。
→確かに形の上では、プレゼントメントに相当するを行う日本の検察審査会と違って、米国の「大陪審は、検察官の提出した証拠を審査した上でインダイトメント (indictment) と呼ばれる正式起訴状を発付する場合と、自ら犯罪を捜査してプレゼントメント (presentment) と呼ばれる正式起訴状を発付する場合がある。もっとも、現在はプレゼントメントは利用されていない。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%99%AA%E5%AF%A9
だが、米国では、検察官が、いわゆる精密司法であるところの日本のように100%近く有罪判決が得られるという心証が得られていないものであっても大陪審にかけるし、大陪審もまた、同様の考え方で起訴する(典拠省略)から、事実上、日本の検察審査会と似た機能も大陪審が果たしていると言えるのさ。(太田)
≫手のひらを返すように官僚(検察)信仰≪(同上)
んなこと言ったっけ?
<εεΧΧ>(「たった一人の反乱」より)
・・・
>んなこと言ったっけ?
明記してないよ。
でも、論理的にそう解釈せざるをえない、ってこと。
(↑これ、ゼロから解説する必要あるのかなあ? <コラム#4793でΦεΦεクンの書いてること>を読んで、よーく考えてみて!)
<ΦΕΦΕ>(同上)
≫なんとなくテレビを見ていると、評論家と称する正体不明の連中が勝手気侭な事を(略)根拠も論理も無い「言論」とやらが世間に蔓延している。実家から稀に送られて来る、いわゆる文芸誌なんて代物にも、大学教授とか政治家とか御大層な肩書きの面々が投稿していますが、根拠不明なのはどれも同じですね。 要するに、日本の大学を卒業したインテリゲンツィヤの水準が実は一般的にその程度でしかないという話だと、自戒を込めて思います。≪(コラム#4797。KY)
日本人は”ムラ”をつくるんですよ。
その”ムラ”の中で生活するために論理を犠牲にするのです。
その結果、小林よしのりなんて漫画家にすら言い負かされる始末。
<εΧΧε>(同上)
・・・いい加減、感覚的書き込みはやめようぜ。な?
<χχΕΕ>(同上)
震災から三ヶ月、被災地の復興スピードが海外メディアに注目されている。
下記URLの比較写真は見るだけでも面白いでっせ。
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2001984/Japan-tsunami-earthquake-Pictures-recovery-3-months-later.html
既に以前、太田さんが言ってたけど、末端が脊髄反射的に活動する日本型政治経済体制って奴か。
<太田>
表現はともかく、そのとおり。
それでは、その他の記事の紹介です。
彼の説明は具体的だ。
東電/経産省/自民党政権の責任は重大。↓
「国際原子力機関(IAEA)元事務次長でスイスの原子力工学専門家、ブルーノ・ペロード氏<は、>・・・「私は事故後の対応について日本政府や東電を批判するつもりはないが、両者が事故前に対策を取らなかったことは深刻だ。特に、東電の不作為はほとんど犯罪的だ」<と語った。>・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110611/erp11061120230007-n1.htm
菅首相の側近が次々に反旗?↓
「民主党の前原誠司前外相は11日夜、菅首相の退陣時期について、「特例公債法案成立など財源の道筋を示す意思がないなら、一日も早く辞めてもらいたい。政治空白が生まれる」と述べた。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110611-OYT1T00822.htm
「仙谷由人官房副長官は11日午前、BS朝日の番組で、菅直人首相の退陣時期について・・・2011年度予算の執行に必要な赤字国債発行法案の成立と引き換えに、退くことが望ましいとの考えを示した。・・・
藤井裕久首相補佐官もTBSの番組収録で、東日本大震災からの復興に向けた今年度第2次補正予算案について「これは今の首相じゃないのかもしれない」と述べ、首相退陣はその編成前になるとの見方を示した。」
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E3E3E2E2E78DE3E3E2E4E0E2E3E39F9FE2E2E2E2;bm=96958A9C93819481E3E3E2E39A8DE3E3E2E4E0E2E3E38297EAE2E2E2
菅首相の横綱相撲がいつまで続く?↓
「菅首相は11日、岩手県釜石市で開かれた東日本大震災に関する意見交換会に出席し、7月中の提出を目指している2011年度第2次補正予算案について、「現場の話を聞くだけでなく、聞いた中身を次の2次補正を含む政府の対策にしっかりと盛り込みたい」と述べ、補正予算案の編成と自らの続投に改めて意欲を示した。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110611-OYT1T00736.htm
リビアの反体制派は東部ではブレガに接近中、中央ではミスラタを起点にズリティンに接近中、また、西部ではブレガに接近中。(首都トリポリはズリティンとブレガの間にある。)
カダフィは風前の灯か。↓
・・・rebel forces are now fighting Col. Gadhafi’s military on a number of fronts—in the enclave around rebel-held Misrata, to the west in the Nafusa mountains, against the main opposition forces in Brega in the east, and Zawiyah in the west. If the rebels managed to take Zawiyah, it would advance their aim of encircling the capital and cut off its supply lines.・・・
some・・・Misrata’s・・・rebels saying they wanted to advance further west and capture Zlitin・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304778304576379743879272926.html?mod=WSJ_World_MIDDLENews
米下院議員のセックススキャンダル・・下着姿の写真をEメールで女性達にばらまいていた・・が米国で大騒ぎになってから相当経っているが、一度はとりあげておこう。↓
・・・Representative Anthony D. Weiner, under pressure to resign after he first denied and then admitted “sexting” lewd messages and pictures of himself in his underwear via Twitter to college students and a porn star, among other young women.・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/12/weekinreview/12pols.html?hp=&pagewanted=print
<彼、「治療」を受けるために、休暇届を下院に提出した。↓>
・・・Representative Anthony D. Weiner of New York said on Saturday that he was entering a psychological treatment center and seeking a leave of absence from the House to deal with a pattern of reckless online behavior with women.・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/12/nyregion/pelosi-calls-on-weiner-to-resign.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
どうして、女性の政治家はセックススキャンダルを起こさないのかが説明されている。↓
・・・Female politicians rarely get caught up in sex scandals.・・・
The shorthand of it is that women run for office to do something, and men run for office to be somebody,・・・
<男性政治家に比べて真面目に政治に取り組んでいるからだと。↓>
Once elected, women feel pressure to work harder・・・.・・・studies of the House show women introduce more bills, participate more vigorously in key legislative debates and give more of the one-minute speeches that open each daily session. In 2005 and 2006, women averaged 14.9 one-minute speeches; men averaged 6.5.・・・
<バレないようにやっている面もあるとさ。↓>
・・・at least under the age of 40, women are equally as likely to engage in it as men. She theorizes that perhaps women are simply more clever about not getting caught. ・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/12/weekinreview/12women.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
中共じゃ、金持ちになればなるほど、海外に逃げ出してるとさ。↓
・・・Nearly 60% of people interviewed・・・Chinese who have more than 10 million Yuan ($1.53 million) worth of individual assets・・・claim they are either considering emigration through investment overseas, or have already completed the process・・・
And among those who possess more than 100 million yuan, 27 % have already emigrated while 47% are considering leaving. ・・・
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2077139,00.html
1933年から38年まで駐ドイツ米大使を勤めた人物及び彼の娘を描いた本の書評。↓
William E. Dodd was an academic historian, living a quiet life in Chicago, when Franklin D. Roosevelt appointed him United States ambassador to Germany. It was 1933, Hitler had recently been appointed chancellor, the world was about to change.・・・
Dodd took his family to Berlin, including his young, beautiful and sexually adventurous daughter, Martha・・・
<ナチスのユダヤ人迫害に見て見ぬふりを続けた米国政府。↓>
・・・the general view at home. Public opinion was isolationist; the country would scarcely open its doors to German-Jewish refugees; the State Department was filled with anti-Semites, inclined to let Hitler have his way. American Jewish leaders were themselves divided on the best response to the crisis. ・・・
At first, Dodd was optimistic that Hitler’s regime would change. But as the months passed, it became clear to him that a disaster was in process, that Hitler was bound for a war to dominate Europe. Dodd became a Cassandra: “What mistakes and blunders,” he wrote, “and no democratic peoples do anything!”
<大使の娘はソ連のスパイになってしまう。これも、米国政府が赤露に大甘だったからこそだろう。↓>
In her love affairs, Martha was ecumenical and prodigal: Rudolph Diels, for one, chief of the Gestapo; the writer Thomas Wolfe, when he came to town; a French diplomat; a German flying ace; and most important, Boris Winogradov, who was attached to the Soviet Embassy, and with whom she fell in love. Martha, now disillusioned with the Nazis, was recruited by the Soviet secret police.
After almost five years in Germany, Dodd came home exhausted and ill. He continued to warn of the great danger ahead, but, as he wrote to Roosevelt in 1939, after Hitler’s invasion of Poland, “Now it is too late.” A few months later, he was dead.
Winogradov disappeared in Stalin’s purges, but Martha continued her connection with Soviet intelligence.・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/12/books/review/book-review-in-the-garden-of-beasts-by-erik-larson.html?ref=world&pagewanted=print
例の4歳の少女の絵画作品(コラム#4791、4793)について、芸術的で美しい、とそれなりに高く評価するコラムが出ていた。↓
・・・ The suite of works, in other words, is utterly inoffensive and unerringly “artistic” — not unlike what we have become accustomed to seeing in hotels, corporate lobbies and living rooms the world over. Many would probably agree that they are quite beautiful.・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/12/opinion/12horowitz.html?ref=opinion&pagewanted=print
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太田述正コラム#4804(2011.6.12)
<映画評論23:ヴィクトリア女王 世紀の愛/眺めのいい部屋(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1232)
- 公開日: