太田述正コラム#4813(2011.6.17)
<皆さんとディスカッション(続x1236)>
<太田>(ツイッターより)
 縄文人、あるいは広く東アジア人は、ネアンデルタール人的なものと混血していない純粋なホモ・サピエンスであるっていう可能性もあるね。
 とにかく、日本の学者がサボってることもあって、日本って世界で一番解明されていない主要文明だと思うなあ。
<キム・ジュングン>
 村上春樹のイタリアでのスピーチはどう思いましたか?
 エルサレムのスピーチ同様の違和感を覚えました。。。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20110611k0000m040017000c.html
<太田>
 村上、大江両ノーベル文学賞受賞者の原発発言については、バカバカしくてコメントをする気にもならないので、ウォール・ストリート・ジャーナルに載った関係記事だけを紹介しておこう。
 ・・・“The accident at the Fukushima Daiichi nuclear power plant is the second major nuclear detriment that the Japanese people have experienced,” Mr. Murakami said・・・. “However, this time it was not a bomb being dropped upon us, but a mistake committed by our very own hands.”
 He donated the €80,000 ($117,000) prize accompanying the award to Tohoku relief efforts.
 Mr. Murakami said Japan, having experienced the trauma of radiation, should have turned away from nuclear power.
“Yet, those who questioned nuclear power were marginalized as being ‘unrealistic dreamers’,” he said・・・.・・・
 In the week after the disasters, the country’s last Nobel Literature Prize Winner, Kenzaburo Oe, said the country must not “betray the memory of the victims of Hiroshima.” In an interview with France’s Le Monde, he said Japan must face the consequences of using nuclear technology: “The people of Japan, who have been burned by the nuclear fire, must not think of nuclear energy in terms of industrial productivity, they must not try to devise a ‘recipe’ for economic growth from the tragic experience of Hiroshima.”・・・
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/06/10/murakami-slams-japan%E2%80%99s-nuclear-choice/?mod=WSJBlog&mod=WSJ_Japan_JapanRealTime
 なお、ガーディアンは、大江への言及抜きの、ほぼ上記と同じ記事を掲げたが、読者からの投稿が30も掲げられているので、興味ある方はどうぞ。↓
http://www.guardian.co.uk/books/2011/jun/13/murakami-japan-nuclear-policy
<εχχε>(「たった一人の反乱」より)
≫日本の女性の(男性を慮った)人間主義の病理的側面…≪(コラム#4811。太田)
・・・とのことですが、<コラム#3867>で太田さん自身が「同性の他人の目を気にするためとか」とコメントしていますので、男性を慮った、ではなく、同姓の目を気にした、ですね。
 つまり、「同姓の目を気に」して「必要以上」に痩せようとする日本女性の病理、ではないでしょうか。
 これは、日本女性の上澄みの人々が、「上澄み」であることに安住し、上澄みが本来やるべきことをやらない(日本の女性差別構造を解消しようとする意思も気力も無く、当然行動もしない)、という病理と通じませんか?
 つまり、上澄みはやるべきことをやらず、普通の人々は(日本以外の国々の人々にとっては)どうでもいいことに血道を上げる、という、本質的なことから目を逸らすという点で、根が同じ問題であり、結局は属国病が(男性以上に?)女性を蝕ばみ、人間主義の病理的側面が大きくなっていると。
 どうでもいいけど、ちゃんと探せば、太田さんに間違いを認めさせる突っ込みを入れることはできるんだなw。
<ΨΨΕΕ>(同上)
 なんだかさらっと言ってるけど、何気なく太田さんの(日本人)女性観もアップグレードしてね?
 今までに無い切り口の論じ方だぜ。
<太田>
 キミ達、日本の女性はどんどんスリムになっているのに、日本以外の先進諸国の女性はどんどんデブって行っている、というのが事実であるとすれば、・・確かめたか?・・それがどうしてなのかを解明したいって思わないのかねえ。
 まず、事実かどうかは、これ↓の本文を見れば事実だと言わざるをえないし、現状がどうなっているのかは、その中のグラフから一目瞭然だ。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2205.html
 ただし、この事実は、より広い文脈の中でとらえなければならない。
 過度でさえなければ、男性は、一般にスリムな女性の方がデブな女性より好みだよね。
 その上でだ、一人の日本人男性の印象論に過ぎないと言われればそれまでだけど、現在の日本の女性は、世界の男性にとっての理想的な女性像に近いといわんばかりのこの男性の見解↓・・ぜひ読んでくれたまえ・・に、私はもろ手を挙げて賛成だ。(注1)
http://yutakioka.jugem.jp/?eid=29
 (注1)このことが決してたった一人の印象論ではない証拠に、もう一人の日本人男性が熱く語る、現代日本人女性の乳房論をとりあげよう。
 「写真家の伴田良輔氏は、これまでさまざまな300人超の女性のおっぱいを撮影してきたが、大和撫子のおっぱいの美しさは、世界一だと力強く宣言する。・・・
 こうした高品質のおっぱいを育んだのは、ワコールのような優秀なブラジャーメーカーの創意工夫が大きいとしている。そして、大きいおっぱいを是としてきた欧米人が、日本女性のおっぱいの魅力に最近、気がつき始めているというのだ。
 「JAPPAI(ジャッパイ。”ジャパニーズおっぱい”の略)は世界ブランドになりつつあります。おっぱいW杯が開催されれば、日本は優勝間違いありません」」
http://www.cyzo.com/2010/06/post_4792.html
 「”自然さ”という点と、”肌のキメ細かさ”で日本の女性のおっぱいは世界に誇れるんじゃないですか。外国人も撮ったことはあるんですけど、うぶ毛やそばかすが目立ったりして、撮影前のケアが日本人より大変だと思いました。」
http://www.cyzo.com/2011/04/post_7086.html
 一点異論があるのは、欧米人だって、私の見るところ、現代日本人女性的な小乳を理想視してきたと言えそうだという点だ。(コラム#3265、3273)
 
 つまりだな、私に言わせれば、日本人の人間主義は、日本人の女性の(日本人の)男性好みの女性になってあげたいという思いやりの成就という形でも発現している、ということなのさ。(注2)
 (注2)そんな日本人女性達は、世界の女性達の中で最も長寿だ。つまり、世界の男性達の中で最も長寿にはなりきれておらず、かつまた、寿命が同じ集団に属する女性よりも短いと相場が決まっているところの、日本人の男性達は、そんな彼女達によって介護されてその生涯を終えることができている幸せ者でもあるわけだ。(データについては典拠省略)
 しかし、こんなに素晴らしい日本人の女性達に対して、日本人の男性達(と、彼らの共犯たる日本人のエリート女性達)は何というむごい仕打ちをしていることだろうか。
 日本の女性の家事分担率は、先進諸国中ダントツの1位だ。
 つまり、家庭において、男性達はパートナーたる女性達に家事を押し付けて恥じない専制君主としてふるまっている。
http://blogs.yahoo.co.jp/bwnxp189/2915412.html
 そして、彼女達は、職場においても、先進諸国中ダントツなひどい男女差別の対象になっている。(典拠省略)
 私の言葉で言うと、この点では日本社会は、縄文モード化が徹底してしておらず、男女平等化しきれていないままで推移しているのだ。
 ところが、他方で、縄文モード化に伴う、社会の中性化、セックスレス化は徹底しており、男性達は彼女達を性的に満たしてあげることすらない。
 この最後の点に注目して、幕内秀夫は、満たされない女性が欧米流の偏食へと走り、その結果、彼女達のスリム化がとどまるところなく進行している、と考えているようだ。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2205.html 上掲
http://booklog.jp/asin/4062155389
 私見はいささかそれとは異なる。
 私の考えは、男女平等化しきれていないことこそ根本的な問題であり、これが解消すれば、日本の女性達の性的飢餓感なんてのだってまたおおむね解消するだろう、というものだ。
 日本が男女平等化しきれていないことの社会的コストは、日本人の半分もの知的資源が十分活用できていないことに加えて、女性の社会参画が不十分であることから女性の社会に対してステークスホルダーとしての意識が希薄で、社会適応障害的言動に走りがちであり、男性の足を引っ張っているきらいがあることだ、と私は思っている。
<ΨΕΨΕ>(「たった一人の反乱」より)
http://www.youtube.com/watch?v=UIIvLCCNa1E
 こういう話↑を聞くとアレだけ世間から叩かれてる菅を何故太田さんが擁護してきたのかが解かるよね。
 音が小さいんでヘッドホンorイヤホンを使わないと聞き取れないかも知れませんけど・・・。
 どうしても聞き取れない人は書き起こしたサイトがあったんでこちらで。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-460.html
<ΨΕΕΨ>(同上)
 ようは今までボンクラだった管が
 何かの間違いで一時的に良い事を始めようとしているので、今だけは管に協力しとけって話?
<ΨΕΨΕ>(同上)
 基本ボンクラだけど利権に絡んでないって1点のみは評価出来るって話じゃね?
<太田>
 下掲↓もついでに読ませてもらったが、こっちの方も必読じゃないか。
 何てたって、菅本人の言葉だからね。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-464.html#more
 さてと、何度でも繰り返すけど、「基本ボンクラ」じゃないようなまともな人間は、今の日本で政治家なんかになりゃしないんだからね。
 首相にだって「基本ボンクラ」じゃない人間が就くワケがないっての。
 木によって魚を求めるようなことを性懲りもなく言わないで欲しいな。
 次に、ΨΕΨΕクンご推奨の典拠だけど、「増税財務省ラインと原子力経産ライン。そしてその間をつなぐのが東電ゾンビスキムで東電を生かさず殺さずで国民の電気料金を垂れ流しながら今の独占体制を維持しようという完全に経産省と財務省の傀儡で動く大連立が今動いているわけですよ」とあるけど、「増税ライン」は正論過ぎるくらいの正論
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4753248.html
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011061701000396.html
であって、単にそれを大震災復興の財源問題とストレートに結びつけちゃダメだってだけの話だから、「増税財務省ライン」の話をここで持ち出したのは余計だったね。
 また、「原子力<政策維持>ライン」(ないし「電力政策維持ライン」)を「経産ライン」と表現してるのは問題の矮小化だな。
 ΨΕΨΕクンが示唆しているように、官僚の天下りシステムや構造的利権政治システムを下位システムとして持つ、「政官業の三位一体的癒着体制維持ライン」の一環として「原子力政策維持ライン」(ないし「電力政策維持ライン」)がある、という認識を我々は持つべきだろう。
 こういう認識を持てば、自民党、公明党、小沢グループが菅首相を引きずりおろそうとしているのが何のためかが、よりはっきり見えてくるはずだ。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 シリアのアサド体制を支える従兄弟の有力実業家が引退表明に追い込まれた。↓
 Syria’s most powerful businessman, a confidant and cousin of President Bashar al-Assad, announced on Thursday that he was quitting business and moving to charity work, Syrian television said. The move, if true, would suggest that Mr. Assad was so concerned about the continuing protests that he would sacrifice a relative to public anger.・・・
http://www.nytimes.com/2011/06/17/world/middleeast/17syria.html?_r=1&hp
 女性にとって危険な国のナンバーワンからナンバーフィブまで:アフガニスタン、コンゴ、パキスタン、インド、ソマリア。さすがに日本はその中には入っていないが・・。↓
http://www.trust.org/trustlaw/womens-rights/dangerpoll/
 世界で、プロテスタント諸派中、米国の諸派のウェートは大きい。
 ここでは引用しなかったが、米国のソフトやハードのシェアが大きかったことと同じ理由だという。そして、やはり、このところ国際競争力を失いつつあるとも。↓
 ・・・ Of the world’s 35 largest protestant denominations, 24 are headquartered in the United States, making the U.S. the world’s largest single exporter of Protestant Christianity. The most significant of these if Pentecostalism, a movement that originated in the United States in the early 1900s and involves a literal reading of the bible as well as “ecstatic” worship practices, such as speaking in tongues. Today, Pentecostalism has 600 million adherents worldwide today, accounting for 26 percent of all Christians. ・・・
http://blog.foreignpolicy.com/posts/2011/06/15/america_may_not_be_the_world_s_top_religion_exporter_forever
 シンガポール攻防戦で戦犯として処刑された高級軍人がいたんだね。
 「罪状」が何だったか、具体的に知りたいもんだ。↓
 「先の戦争で戦犯として死刑を執行された日本軍関係者は920人を超える。・・・
 最後の死刑囚は、近衛師団長としてシンガポール攻略などの指揮を執った西村琢磨中将。朝鮮戦争が始まり約1年が過ぎた1951年6月、ニューギニア島北方のマヌス島で処刑された。・・・
 西村は捕虜虐殺を命じたとの罪を問われた。
 浅井の記録によると、死刑判決の根拠となった豪兵の目撃証言はあいまいで矛盾に満ちていた。日本軍関係者の供述調書は西村に罪をなすりつけるものが多かったが、反対尋問は一切なかった。それでも西村は弁明せず、「すべては私が背負って死んでゆく。他の被告の刑が軽くなればそれでいい」と浅井に語った。
 豪ジャーナリストは裁判記録をもとに96年に本を出版。「マレーの虎と称された山下奉文大将を米国がフィリピンで処刑したので、国民感情を納得させるためにもう一匹の虎として西村中将が狙われた。政治的な処刑で誤審だった」と主張していた。・・・」
http://book.asahi.com/clip/TKY201106160292.html
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太田述正コラム#4814(2011.6.17)
<映画評論25:わが命つきるとも(その3)>
→非公開