太田述正コラム#4863(2011.7.12)
<皆さんとディスカッション(続x1261)>
<太田>(ツイッターより)
(コラム#4861に関し)誤解が生じるといけないので一言。不倫等は愉楽だから、罪の意識はもとより、恥の意識もそれを押しとどめることはできない。
だけど、目先の愉楽ではなく真の愉楽(幸せな家庭生活等)に思いを致すこと(=プライドを持つこと)で、不倫等を思いとどまることができる、ということだからね。
所得格差が増えるとストレスが増えて平均寿命の伸びが鈍る。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-14070090
じゃ、どうして男女間所得格差がひどい日本の女性の平均寿命が世界一なのさ?
私の仮説:日本では、男性が「犠牲」になって「弱者」たる女性によるストレス発散を受け止め、受忍しているから。
<αζζα>(「たった一人の反乱」より)
≫こういう話には全然驚かないね。≪(コラム#4861。太田)
人口6,335人の玄海町で(wikipedia)、兄弟で癒着しても、最近まで報道されなかった、ってのが驚いたなー。
兄弟(親族)スキームじゃばれやすいから、ばれにくくて捕まらないスキームを捻り出すのに四苦八苦するものじゃないの?
全国紙が報道するなら、毎日か朝日と思ったけど、読売とは意外だったなあ。後に続くといいなあ。
「玄海町長実弟企業が九電工事、15年で56億円」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110711-OYT1T00471.htm
<Chase>
≫お忙しいようですが、「学徒」ないし「研究」者らしく、太田コラムに関する質問やコメントを寄せていただければありがたい。≪(コラム#4861。太田)
太田さん、申し訳ありません。失礼いたしました。
一点、お尋ねします。
–「九電やらせメール」と沖縄戦集団自決の類似性–
「・・・・上層部が何らかの「意向」を示すと、部下がその意向を推しはかって行動する、というステップが何段階か繰り返されるうちに、あたかも具体的な指示や命令が存在したかのように行為が実行されてしまうというメカニズム・・・・」
http://www.janjanblog.com/archives/45352
という記事を本日読み、思い出したのは、以前下記コラムにて取り上げて頂いた<私が呼称するところの>「天皇システム」(太田さんは日本型システム(「エージェンシー関係の重層構造」システム)の一類型とご判断?)のことです。
コラム#3336(2009.6.15)
http://blog.ohtan.net/archives/51377873.html
コラム#3338(2009.6.16)
http://blog.ohtan.net/archives/51378198.html
本件について、太田さんは発生論的説明として、目的関数(objective function)とリスク選好(risk preference)のばらつきが、日本人の間では、他国の人々の間ほどはないと述べられています。
この説明は、卑近な言葉では、いわゆる”金太郎飴”的behaviorと云い換えられる?かもしれませんが、さらに発生論的説明を求める時に、<レベルが高い?日本における>人間主義の負の側面的な(ものであるという)見方はできないものでしょうか?
また、果たして上記のようなメカニズム(あるいは似たような態度)は、アングロサクソン、欧州では一切見られないことでしょうか?
<太田>
そもそも、引用されたブログ(記事?)の筆者(記者?)の事実認識は正しいとは言えません。
まず、沖縄戦集団自決には、軍の関与がなかったのではないか、というのが私の認識です。日本軍側において、指示も上官の意のあるところの忖度もなかった、という中で、住民の一部が自発的に集団自決を行ったのではないか、ということです。
「「集団自決の背景に多かれ少なかれ軍の「関与」があったということ自体を否定する議論は、これまでもない」と<は、>・・・私は個人的にはそうは言い切れない気がしている」(コラム#2460)
他方、私は、今回の「事件」については、九電の役員から明確な指示が部下に対してあった、と認識すべきではないかと思っています。
その根拠は、下掲のとおりです。
「これまでも原発周辺の住民向け説明会を開催する際などには、社員や関連会社の従業員らに呼びかけて、「住民」として出席するよう求めるなどしていた」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110708k0000e040089000c.html
「当時の副社長と、原子力発電本部長だった取締役の2人が、部下の部長(執行役員)に対し、説明会開催について原子力部門の社員らへの周知を求めた。その際「よろしく頼む」「番組を支援、協力してやれ」などと語った」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110709k0000m040080000c.html
つまり、
「九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」問題で、九電が近く国に提出する報告書の概要が・・・分かった。国主催の説明番組を周知するよう最初に指示した・・・上層部の責任を明記する一方で、番組に賛成意見を寄せるよう求めるなどの具体的な手法は、部下の課長級社員の判断だったと結論付ける模様」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110712k0000m040138000c.html
は、形式的にはともかく、実質的にはウソである可能性が高い、ということです。
さて、私は、ご指摘のコラム(#3336、3338)等において、日本人は、目的関数や効用関数やリスク選好度が、世界の他の諸国民に比べて、より近似していると記してきたところです。
(「目的関数」という言葉については、私は、数理計画(最適化)における目的関数
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E9%81%A9%E5%8C%96%E5%95%8F%E9%A1%8C
ではなく、個人が抱く人生における目的関数
http://commutative.world.coocan.jp/blog3/2011/04/post-93.html
的な意味で用いています。効用関数、リスク選好度については、字義通りの意味で使っています。)
しかし、これ、かなり前から気になっていたところなのであって、持ち出されてアウッチと申し上げるべきか、よくぞ持ち出してくれた、と感謝申し上げるべきか。
実は、その後、(具体的なデータを持ち合わせているわけではない以上、)このような言い方をすべきではなかったと反省し、私は、日本人は(というか、人間は、)エージェンシー関係を取り結んでいる相手の目的関数や効用関数やリスク選好度をよく承知しているものである、と言うだけにとどめておくべきだった、と考えるに至っています。
換言すれば、日本人が金太郎飴である、と考える必要はないし、考えるべきでもない、ということです。
たたみかけるようで恐縮ですが、日本が人間主義社会である、ということは、日本が、互いの目的関数や効用関数やリスク選好度を理解し合おうとする社会であるということであって、だからこそ、日本はエージェンシー関係が遍在する社会になった、と考えれば十分である、ということです。
(この趣旨のことは、既に記したこともあると思うのですが、コラム#がすぐには出てきません。)
そこで、九電の話ですが、九電の役員が一言二言指示をするだけで、部下がただちにその役員の意のあるところの全体を的確に理解した上で、それを詳細かつ具体的な指示へと膨らませた上で、関係各方面に伝達した、ということが可能であった、すなわち、九電がコミュニケーション・コストを節約できたのは、役員と部下が、互いに相手の目的関数や効用関数やリスク選好度をよく承知していたからだ、ということにあいなるわけです。
なお、以上でもって、「アングロサクソン、欧州では」?、というご質問にもお答えしたことになるのではないかと思うのですが、いかが。
<ζαζα>(「たった一人の反乱」より)
地震兵器の存在って軍事的に常識なんすか?
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14988997 13:00~
<太田>
少しは自分で調べてから人にものを尋ねようね。
それでは、その他の記事の紹介です。
オバマ大統領の亡き父親についての本の書評が出ていた。
無茶苦茶な男の子供があんなにまっとうな人間になるとはねえ。↓
・・・ the senior Obama was an unmitigated(極め付きの) jerk(世間知らず): a coxcombish(ばかなしゃれ者的) souse(大酒飲み) who forced friends to cover his abundant bar tabs(勘定書き) and repeatedly broke his legs in boozy(飲酒による) car crashes; an uncooperative contrarian(天邪鬼) who was promptly fired from, or sidelined at, every job he ever had; a compulsive philanderer(女誑し) who ditched his first wife, Kezia Nyandega, when he moved to America, abandoned the president’s mother, Ann Dunham, when he left Hawaii for Harvard, and lured his third wife, Ruth Baker, to Kenya only to beat, berate, and cheat on her.
And yet, if Obama Sr. were only a jerk, there wouldn’t be any reason to read about him, regardless of who his son turned out to be. But there is. Like the president, Obama Sr. was also a brilliant, ambitious idealist who overcame the limited circumstances of his background to attend the best schools in the world, then set out to participate in a moment of vast political promise. That he failed so spectacularly, and that his son succeeded, says a lot about the qualities of character that can distinguish a leader from a lout.
The elder Obama’s biggest problem was his desperate need to dominate everyone he encountered—the result・・・ of “a great, enormous insecurity.”・・・
http://www.newsweek.com/2011/07/10/who-was-barack-obama-s-father.print.html
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太田述正コラム#4864(2011.7.12)
<米国の戦後における市場原理主義について(その3)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1261)
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