太田述正コラム#4959(2011.8.29)
<皆さんとディスカッション(続x1308)>
<太田>(ツイッターより)
要するに、イギリス(狭義)のエリート層が、大英帝国崩壊後、非人間主義的となり、それが非エリート層にも次第に及び、サッチャリズムによってこの傾向が募った。
他方、スコットランドのほか、カナダ、オーストラリア等における、イギリス由来の人間主義は維持されたってわけ。
じゃ、それはどうして?
<μμζζ>(「たった一人の反乱」より)
官僚から歓迎されるってほめられた話なのか。。。
しかも悪いニュースばかり出てくる省の官僚から。
「経産省幹部は、海江田首相誕生への期待を隠さない。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110828/stt11082819350015-n1.htm
やっぱ神輿は軽くて(以下省略)。
<μζμζ>(同上)
産経は海江田押しか。
<太田>
さすがに、そんなことはなさそうだったぜ。↓
「「これでは海江田万里じゃなくて『かいらい万里』だ…」・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110829/stt11082901540002-n1.htm
<太田>(ツイッターより)
海江田と野田で決選投票。
前原を捨てるとは民主党議員達を見直したな。
次回の選挙じゃ民主党減るだろうが、海江田に入れた議員を中心に落そうね。
定評ある野田の演説を初めて聞かせてもらったが、時々噛んでたのは相当疲れてたんだろね。
中身だが、聴いてる間は感動するけど後に何も残らない。合格点。
野田当選おめでとう。
彼には、政(=自民系)官業の三位一体的癒着構造を壊滅させるためにも、次の総選挙でもう一回民主党を勝利に導いて欲しい。
並行して消費税増税への道のりを確定しなきゃならないから大変だけどね。
これらを成し遂げることができたら拍手喝采。
当然その先にも期待しちゃうが・・。
<椛澤>
→野口桂=椛澤だそうですから(後出)、今後あなたから投稿があり、転載させていただく場合は、すべて「椛澤」から、ということにいたしましょう。(太田)
原爆投下は人体実験だった、という言説は鳥居民氏の「原爆を投下するまで日本 を降服させるな」ぐらいなものでしょうかね?
他に知りませんか? 追求に値する「仮説」だと思うのに。
→私は、日本の論壇は基本的にフォローしてません。英米に関しては、聞いたことがありません。原爆投下は対ソ抑止のためだったって説は、もちろんあるけどね・・。(太田)
「防衛庁再生宣言」を入手し、読みました。マクマリーに触発されたようですが 「平和はいかに失われたか」は私にとっても導きの書です。
→私に注文していただければ、1,000円プラス宅配代金、でお譲りしたのに・・。(太田)
これやR・タウンゼント、その他を読むと近代日本とアジアの「文明の落差」を 感じさせられました。
あらためて福沢が述べたという「脱亜入欧」を考えさせられる。
→「R・タウンゼント、その他」がどういうことを言っているのか書いておられないので、何がおっしゃりたいのか分かりません。(太田)
ずっと以前から渡部昇一氏、黄文雄氏、呉善花女史などの著作を読み、アジアナ ショナリズムの「欺瞞と暴虐」に気付かされてきたが、マクマリーにはそれとともに欧米知識人の良質な部分の、リアリズム、公平な見方を教えられた。探してみると日本に対する好意的な見方は彼やタウンゼント以外にも色々でてくる。
アマゾンの書評でもそういったものに 評判が集まっている様子がうかがえます。
→前に当コラムで言っているのですが、渡部昇一、黄文雄のものはお読みにならない方がよろしい。(太田)
1「(対ファシズム戦争)の嘘」 2.「社会主義革命の嘘」 3.「アジアナショナリズムの嘘」この3つの嘘が戦後日本を覆っていた。
原爆投下は人体実験だった・・・というのは1.に対応するものです。
最近見たアレック・ボールドウィン主演の「ニュールンベルグ裁判」dvdではナチの戦犯と裁く側がクリスマスイブには、別々にではあるけれど、いずれも聖歌をコーラスしている場面があってこれは意図してやったキツイ皮肉なのか、と思わせるものがあった。
2.については柄谷行人「世界史の構造」のアマゾンの書評欄で野口佳名義でかなり突っ込んで書きました。
→読めってのはいかがなものでしょうか。「社会主義革命の嘘」ってどういうことかくらいは書いてください。(太田)
3.についてはアジアだけではなく、アフリカ、中東その他の地域にどこでもみられる普遍的な「政治悪」を考えざるをえない。
独立後のアフリカ人アラブ人達は、独立前よりひどい?殺し合いをやり続けてきた。そうでなくとも自国民に対する苛斂誅求はひどい。
そもそも徴税制度や警察、裁判は腐敗していないか?
日本や欧米などの方が特殊であってそれ以外が普遍かもしれないのだが。
→文化論にすぐ逃げずに、日本の旧植民地じゃそんなことは基本的に起こらなかったことから、日本以外の列強の植民地統治に問題があったんじゃないかってことぐらいは、あなた、考えてみなくっちゃ。(太田)
<太田>
それでは、その他の記事の紹介です。
我々の遺伝子は、基本的に狩猟採集時代の時のままだ、という話を何度もしてきているところだが、その系のような話だ。↓
<「敵」たる猛獣や寄生虫やバクテリアから「解放」されたことで、糖尿病、自閉症、アレルギー、不安障害、自己免疫疾患(注1)、子癇(注2)、歯・顎・目の不全、心疾患、がもたらされたとさ。↓>
・・・In The Wild Life of Our Bodies, Rob Dunn extends that perspective beyond the farmyard to a host of other critters. It is not only our familiar furry friends whose company we have evolved to need, he argues, but even parasitic worms and bacteria. In this respect, our success in eliminating such organisms over the past century is not the unalloyed blessing it might seem.・・・
As evidence he points to the diseases of modernity: “diabetes; autism; allergies; many anxiety disorders; autoimmune diseases; preeclampsia; tooth, jaw, and vision problems; and even heart disease”. The anxiety disorders he puts down to the removal of the original objects of our angst: big scary predators. Many of the other problems he believes are the result of an immune system which is out of kilter as it has evolved to live with a menagerie of now absent invaders.・・・
(注1)「異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を来す疾患の総称。・・・女性に多い。・・・全身にわたり影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器だけが影響を受ける臓器特異的疾患の2種類に分けることができる。・・・膠原病は、全身性自己免疫疾患である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%96%BE%E6%82%A3
(注2)しかん。「周産期に妊婦または褥婦が異常な高血圧と共に痙攣または意識喪失、視野障害を起こした状態である。分娩前にも分娩中にも産褥期にも起こりうる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E7%99%87
<自然に接しなくなったことが、身体的・心理的健康を阻害しているとも。↓>
Richard Louv, author of The Nature Principle: Human Restoration and the End of Nature-Deficit Disorder ・・・draws on research showing that even small-scale exposure to nature — a view of trees, a walk in the park — can make a difference to our physical and psychological well-being. ・・・
・・・digital nature is better than nothing but not as good as the real thing.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/47e19728-cd99-11e0-bb4f-00144feabdc0.html#axzz1WNNYHC1B
後者の方は、人間主義的に生きることで克服できそうだが、前者の方はどうしたらよかんべ。
前者中の、自閉症と不安障害については、「患者」に人間主義的に接してあげることは、問題の顕在化を妨げ、早期治療の機会を逸することにもつながりかねないから、日本人は心しなくっちゃね。
砂糖(サトウキビ)は、17~18世紀においては、現在の石油に匹敵する戦略商品だった。↓
The emergence of sugar as the world’s most coveted commodity during the 17th and 18th centuries — equivalent to oil in our times・・・
<砂糖生産の中心は西インド諸島の英領バルバドス島等であり、その生産は、黒人奴隷の使用と切っても切り離せない関係にあった。↓>
Sugar also meant slavery on a scale unprecedented in human history. Two thirds of all the enslaved Africans in the Americas worked on plantations in the West Indies. Despite their diminutive size, islands like Barbados were at times as valuable to England as all of its North American colonies combined. Barely larger than Martha’s Vineyard, Barbados would become the most densely populated and productive place in the English-speaking world, and by the late 1600s fully 80 percent of the island was planted in cane.
Such an ambitious and exploitative business plan required cheap labor, and blacks soon outnumbered whites by three to one on Barbados and by more than 10 to 1 on Jamaica. With its West Indian sugar industry waning, Britain would free its 800,000 slaves in 1834.・・・
<この瘴癘地で生き延び、成金となった農園主のイギリス人の少なからざる部分が本国に戻り、議員等になって砂糖ロビーとして暗躍したことが、そんなことをやろうとしてもできなかった英領北米植民地人の嫉妬心をかきたて、この砂糖ロビーのためのものだと目された砂糖法が1764年に導入された時に、彼らの反発を呼び、13州の独立をもたらした。↓>
According to one observer in the 1730s, of the slaves who survived the passage from Africa (more than 10 percent did not), 40 percent died within the first three years in Jamaica. The whites who were lucky enough to make their money and live often returned to England for good, leaving their estates in the often dubious care of overseers and lawyers.
Many of the returnees, flush with cash, stood for Parliament, and would constitute what became known as the Sugar Lobby. North Americans, who tended to stay put, would come to resent the fact that their countrymen to the south, unlike themselves, had representation and influence in London. The 1764 Sugar Act was one example of what the Thirteen Colonies viewed as favoritism toward their saccharine cousins.
<独立戦争が始まってからでさえ、英本国は、フィラデルフィアの町にいた英軍を西インド諸島中のセント・ルシア島の征服のために振り向けたほどだ。↓>
In fact,・・・ such was official British devotion to the West Indies that London gave the region priority over efforts to pacify the rebellious American colonies: “Following the declaration of war by the French, the British had given up Philadelphia, then the largest city in the United States and the capital of the Revolution, primarily to free up 5,000 troops for the conquest of St. Lucia.”・・・
http://www.csmonitor.com/Books/Book-Reviews/2011/0823/The-Sugar-Barons-Family-Corruption-Empire-and-War-in-the-West-Indies
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太田述正コラム#4960(2011.8.29)
<戦間期日英関係の軌跡(その5)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1308)
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