太田述正コラム#0063(2002.10.7)
<次のコラム?>

 いくつか追求しているテーマはあるのですが、なかなか次のコラムが書けません。若干の時間的余裕をいただきたいと思います。

 現在、次のようなテーマが頭の中にあります。

1 ジャン・ジャック・ルソーの禍
 <スイスとイギリス>でちょっと触れたところの、「ルソー=全体主義の祖」論を正面から論じてみたいのですが、岩波文庫から多数出ているルソーの著作(社会契約論、エミール、告白、新エロイーズ、孤独な散歩者の夢想、等々)は、翻訳に問題があるのか、どうにも面白くありません。興味あるインターネットサイトはいくつか発見していますが、書ききるだけの材料がまだととのっていません。

2 外国による体制変革は許されるか
 イラクのフセイン政権の体制を変革すると標榜する米国。果たして米国は国際法を無視するならず者なのか、を欧米の歴史の回顧を通じて明らかにしようとしている(・・答えは基本的にノーです・・)のですが、手元にあるまともな文献は一つだけ(IISSのAdelphi Paper 350)であり、これを要約しただけでは忸怩たるものがあり、困っています。

3 対イラク戦のシナリオ
 目前に迫りつつある対イラク戦ですが、具体的な軍事シナリオは余り論じられていません。残念ながら、このテーマについても、手元にあるまともな文献が一つだけ(ガーディアン記事)なので、膨らみのある内容が書けず、弱っています。

4 民主党論
 自民党政治家の不祥事、行政官庁の堕落、経済体制の危機、安保外交政策の危うさ、とありとあらゆるマイナス材料が出そろっていながら、自民党(中心の)政権は続き、野党第一党たる民主党は低支持率にあえいでいます。このまか不可思議な現象をもたらしている責任は民主党自身にあります。書きたいのは山々なのですが、私自身と民主党が微妙な関係にあるだけに、現時点での執筆を躊躇しています。

5 外国人招聘論
 人口の減少をくい止め、日本社会の知的文化的再活性化を図るため、外国人を計画的に招聘すべきことについて書きたいのですが、データ等の収集が全く進んでいません。

6 女性のためのアファーマティブアクション
 かねてよりの私の持論なのですが、諸外国の実例の収集が全く進んでいません。

7 あるべき日本の防衛力
 これは、現役の自衛官等にインタビューしないと書ききれないだけに、雑誌等から執筆依頼があってから着手しようとしています。

 このほか、次のような未完のコラムがあります。

8 佐世保重工業
 当時の外務省の当事者の二人である田中氏(均。アジア大洋州局長。当時北米局審議官)と梅本氏(駐英公使。当時北米局安全保障課長)が、ちょうど北朝鮮問題でよかれあしかれ「脚光」を浴びており、かえって書きづらい面があります。

9 アングロサクソン論
 私の尊敬するAlan MacFarlane 教授(現在ケンブリッジ大学)の最近の本を何冊か読む必要があるのですが、高いのでまだ注文しかねています。なお、教授は、イギリスのビール会社のインターネット広告に登場されています。(イギリス人が殺菌力があって健康にも良いビールを飲んでいたおかげで、良質の労働力が継続的に供給され、おかげでイギリスで世界最初の産業革命が起こったのだそうです。)

10 日本型経済体制論
 江戸時代の勉強も、現在の日本経済が直面している構造的諸問題の勉強も不十分であり、いつ頃執筆できるか目途がたっていません。

読者の皆さんのご声援をよろしく。特に、上記テーマに関するご意見は大歓迎ですし、関連する情報・データ・資料をお持ちでしたら、お貸しいただけるとありがたいのですが。(上記テーマ以外のものでも歓迎です。)

 なお、時々、私の代わりに(当然その方の名前で)当コラムを書いていただける方はおられないでしょうか。ご応募をお待ちしています。