太田述正コラム#5291(2012.2.10)
<皆さんとディスカッション(続x1459)>
<太田>(ツイッターより)
ナポレオンがロシアに侵攻して9月中旬にモスクワに到達した時、40万の兵力は、脱走、戦病死等によって既に10万にまで減っていたが、故郷に帰れたのはわずか2万。
その原因は、兵站輸送用の馬のためのスパイク付の冬季用蹄鉄を持参しなかったためだとさ。
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-16929522
「中国、日本、韓国の女性スターの学生服姿・・・」
http://j.people.com.cn/94638/94659/7724502.html
最初のだけが日本? 韓国のはどれだ?
ケネディの情事の相手の動画インタビューをどうぞ。
美しく老いたものだ。
http://www.washingtonpost.com/blogs/reliable-source/post/jfk-mistress-mimi-alford-secret-trips-ted-kennedy-cuban-missile-crisis–and-why-she-did-it/2012/02/08/gIQAi3fuzQ_blog.html
<ΒΒαα>(「たった一人の反乱」より)
コラム#5277の石破元防衛相のインチキ説(動的防衛力と芦田修正)のうち、芦田修正の解説でました。
動的防衛力のほうは何がインチキなんですか?
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120209/plc12020903080004-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120209/plc12020903090005-n1.htm
<太田>
石破は「中国の国防力に日米の『力の均衡』を維持する。それが『動的防衛力』だ」と言ったわけだけど、防衛省、つまりは政府の公式見解では、「新防衛大綱においては、東西冷戦時代のような敵味方の対峙構造を前提とし、わが国に対する軍事的脅威に直接対抗する、いわゆる「脅威対抗」の考え方(わが国に対し侵略を行うことのできる軍事能力のみに着目し、これをもって脅威とみなし、このような軍事的脅威に対応できる防衛力を整備する考え方)には立っていません。」
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2011/2011/html/nc220000.html
と、あたかも石破の言とは真逆のようなことを言っとるぞ。
まあ、この政府見解も私に言わせれば、基盤的防衛力に関するかつての公式見解を覆したインチキもんであり、こんな出来の悪い形而上学ちゅうか禅問答ちゅうかを、田中防衛相はもとより、石破元防衛相が理解できなくて当たり前かもなあ。
ちょっとだけ補足しとこう。
自衛隊の制服サイドのホンネを代弁すれば、戦後、一貫して脱脅威論というウソを掲げつつ、基盤的防衛力の時代には、東アジア大陸/西太平洋で正規軍と戦うための軍事力を整備しようとしたのに対し、動的防衛力の時代には、第三世界で非正規武装勢力と戦うための軍事力を整備しようとしているのさ。
<ΑΑββ>(「たった一人の反乱」より)
「「日本のようにはならない」 少子化対処で移民受け入れ継続 シンガポール・・・
「日本は移民を望んでおらず、日本人が集まる均質社会だ」」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120209/asi12020908460001-n1.htm
耳が痛いねぇ~。
戦後日本は移民拒否社会で金太郎飴だって太田コラムの主張を、ズバリ指摘されたって感じ。
<「太陽」を見たばかり>
<コラム#3742(2010.1.1)「映画『太陽』について」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/51459121.html#comments
ドキュメンタリー的フィクションは娯楽作品に徹していなければならないということですが、「娯楽作品」ということで何を意味しておられるのでしょうか。
ハリウッドらしい勧善懲悪ですか。日本映画の起承転結、最後にほろっと泣かせる人情ものですか。
そういうものに当てはまらない、たとえばキアロスタミ監督やゴダール監督などの作品群は、私にとっては娯楽作品ですが、同じ意味でソクーロフ監督の作品もまた大変おもしろくユーモアもあり娯楽として楽しめました。
アート系の作品とでもいうのでしょうか。
あるロシア人(ソクーロフ監督)の願望を投影した娯楽作品ですよね。
「天皇があのときこうであったら面白いのに」とソクーロフ監督が考えているということですよね。
天皇が英語でペラペラ話して、直接マッカーサーにアメリカは「beast」だとか言っていたら面白いのに。
人種的差別撤廃提案の否決とか排日移民法の成立を根に持ってたら面白いのに。
などなど。
しかもタイトルが「太陽」なんですよ。天皇は太陽だっていっているんでしょう。ロシア人が。
歴史を調べなかったのではなくて、知ってて無視したドキュメンタリー的フィクションですから、ロシア人がそういうことを考えるのかと、私としてはすごく面白かったです。
あと、計算されつくした映像も美しかったと思います。
<太田>
ドキュメンタリー的フィクションの例として私が思い浮かべるのは司馬遼太郎の『風神の門』やその原本である『真田三代記』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E5%8D%81%E5%8B%87%E5%A3%AB
ですが、対応するフィクション的ドキュメンタリーとして、池波正太郎の『真田太平記』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E8%A8%98
をあげることができます。
それぞれの定義は、同コラムにおいて記したところです。
娯楽として楽しめるドキュメンタリー的フィクションであるかどうかは、主観の問題でしょうね。
いずれにせよ、ご意見、ありがとうございました。
それでは、その他の記事の紹介です。
初等教育での能力別クラス編成はよくない、という結論が出た。↓
・・・countries that divided pupils into ability groups at an early age tended to have higher numbers of school drop-outs and lower levels of achievement.・・・
・・・most experienced and capable teachers often taught pupils in the highest sets.
Streaming by ability “exacerbates inequities” because immigrants and pupils from low-income families are more likely to be placed in low-ability groups・・・
<英米が、最も能力別クラス編成をやってる国だってさ。↓>
The UK and the US had the joint highest proportion of pupils in schools that divide according to ability at 99% each. Countries, such as Finland, that are well-known for their high-performing education systems, had a far lower proportion – 58%.
Dividing pupils into ability groups was commonplace in the UK in the 1940s and early 1950s. By the early 1990s it had virtually disappeared because studies had shown it had no effect on overall attainment. It is gradually being re-introduced into UK schools.・・・
http://www.guardian.co.uk/education/2012/feb/09/dividing-pupils-ability-entrench-disadvantage
アサド一家を絵入りで分かりやすく解説した記事だ。↓
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/foreigners/2012/02/bashar_al_assad_syria_s_autocratic_ophthalmologist.html
レバノンのベイルートの「ナイトクラブ」の独特の売春システムを詳述した記事だ。↓
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/02/09/sex_for_sale_beirut
その「ナイトクラブ」の一連の写真だ。↓
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/02/09/beirut_boom_boom_rooms
中共を嚆矢とする国家資本主義が世界を席巻しつつある、という主張に対してニール・ファーガソンが反論を加えている。↓
・・・In his book The End of the Free Market, the Eurasia Group’s Ian Bremmer argues that authoritarian governments all over the world have “invented something new: state capitalism”:
In this system, governments use various kinds of state-owned companies to manage the exploitation of resources that they consider the state’s crown jewels and to create and maintain large numbers of jobs. They use select privately owned companies to dominate certain economic sectors. They use so-called sovereign wealth funds to invest their extra cash in ways that maximize the state’s profits. In all three cases, the state is using markets to create wealth that can be directed as political officials see fit. And in all three cases, the ultimate motive is not economic (maximizing growth) but political (maximizing the state’s power and the leadership’s chances of survival). This is a form of capitalism but one in which the state acts as the dominant economic player and uses markets primarily for political gain.
For Bremmer, state capitalism poses a grave “threat” not only to the free market model, but also to democracy in the developing world. ・・・
<今や、全ての国が国家資本主義国だと言ってよいという反論は、一応その通りだ。
しかし、様々な指標で国家の経済におけるウェートの大きさを示し、だから全ての国が国家資本主義になったいうファーガソンの反論では、固定資本形成の指標を除き、国家のウェートが小さかった日本の日本型政治経済体制が抜け落ちてしまう。
前にも述べたことがあるが、むしろ、改革開放下の中共は日本型政治経済体制に倣ったものであると言うべきだろう。↓>
We are all state capitalists now — and we have been for over a century, ever since the modern state began its steady growth in the late 19th century, when Adolph Wagner first formulated his law of rising state expenditures. But there are myriad forms of state capitalism, from the enlightened autocracy of Singapore to the dysfunctional tyranny of Zimbabwe, from the egalitarian nanny state of Denmark to the individualist’s paradise that is Ron Paul’s Texas.・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/02/09/we_re_all_state_capitalists_now?page=full
太平天国の乱についての新著の書評(コラム#5285)がまた出てた。
当時の英国経済が支那市場に大きく依存していたので、当局側に立ってこの乱に英国は介入せざるをえなかったとさ。↓
・・・Britain’s economy depended so heavily on the China market at the time (especially after the loss of the United States market to the American Civil War in 1861) that it simply could not bear the risk of what might come from a rebel victory. With American encouragement, the British supplied arms, gunships and military officers to the Manchu government and ultimately helped tip the balance of the war in its favor. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/02/12/opinion/sunday/is-china-ripe-for-a-revolution.html?_r=1&ref=opinion
チャン・イーモウ監督転向論(体制批判者→体制の犬)をシュピーゲル誌がぶち上げた。
同監督の最新作を含め、今まで取り上げたもの以外の作品を鑑賞する必要がますます出てきた。↓
・・・The charge that he’s transformed from dissident to propagandist offends the・・・Chinese director Zhang Yimou・・・
<However, a> clear concept of who the enemy is, no great fear of cliches, plenty of pathos and a bit of sex, Zhang’s film shares these components with many war films produced in the West. “The Flowers of War” marks his permanent renunciation of art films for niche audiences.・・・
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,814007,00.html
ギリシャじゃ、経済苦境下、ヒステリックなドイツ非難が行われているようだ。↓
<EUは第四帝国だとよ。↓>
・・・Seeing the EU as the “Fourth German Reich” is hardly a novelty in the country・・・
<デモ隊は、ドイツ国旗を燃やし、鍵十字を掲げているんだと。↓>
Already, the burning of German flags, and the display of swastikas, has become de rigueur at anti-austerity demonstrations in Greece.・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,814344,00.html
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太田述正コラム#5292(2012.2.10)
<ロジャー・ウィリアムズ(その3)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1459)
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