太田述正コラム#5305(2012.2.17)
<皆さんとディスカッション(続x1466)>
<太田>(ツイッターより)
 未公開コラムでたまたまナイジェリアを取り上げたら、同国での約200名の囚人脱獄事件が目に入り、
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-17059895
更に、先月からアップされていたナイジェリア早わかり図にも気が付いた。
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-16510922
 関心がないと、気が付かないんだね。
「中国一の「黄金比」を備えた美女がネットで人気…」
http://j.people.com.cn/94638/94659/7730983.html
それでも、全方位美女というわけじゃないね。
 完璧な美女ってこの世の中に存在するんだろうか。
 国連総会でのシリア非難決議に反対した12か国は、ボリビア、ベラルス、キュ-バ、中共、エクアドル、イラン、ニカラグア、北朝鮮、ロシア、シリア、ベネズエラ、ジンバブエ。
http://www.washingtonpost.com/blogs/blogpost/post/un-syrian-resolution-which-countries-voted-no/2012/02/16/gIQA3VbSIR_blog.html
 当事者のシリアはともかくとして、これら諸国のトップ達の蛮勇に敬意を!
<deltayiri>(同上)
 ブッシュ・ドクトリン=武力、内政干渉を伴った強硬な民主主義拡大に反対する国々と言えなくもない。
<AT>(Facebookより)
 お誕生日おめでとうございます。
<太田>
 どうも。
 でも、そんなことより、太田コラムに関するまともな投稿を!
<太田>
 昨日記した戦前の日本と米国の自由主義度の比較に引き続き、民主主義度の比較にも触れておこう。
 <米国もアングロサクソンの片割れではあるので、もともと反民主主義的だったってことは前にも言ったよな。↓>
 ・・・The American Federalists made it clear they were establishing a republic, not a democracy, and designed myriad means to constrain the popular will. But as in any religion, faith would prove stronger than rules. ・・・
 <その米国は、(三権のほぼ完全な分立という非民主主義的政体を採用しただけでなく、)有権者を、財産のある男→男→人→$、へと変遷させてきたっちゅうのは笑っちゃうけど、最後の「$」はともかく、「人」になってからも、黒人は(少なくとも南部においては)有権者に(は事実上法的に)なれなかった。↓>
 ・・・the Nobel-winning economist A. Michael Spence has put it, America has gone from “one propertied man, one vote; to one man, one vote; to one person, one vote; trending to one dollar, one vote.”・・・
 <黒人が無条件に有権者になったのは、市民権法が成立した1965年のこと。↓>
 In the history of human governance, spanning thousands of years, there have been two major experiments in democracy. The first was Athens, which lasted a century and a half; the second is the modern West. If one defines democracy as one citizen one vote, American democracy is only 92 years old. In practice it is only 47 years old, if one begins counting after the Voting Rights Act of 1965 — far more ephemeral than all but a handful of China’s dynasties. ・・・
 <他方、戦前の日本じゃ女は有権者ではなかった。一体戦前の日本と米国ではどっちが民主主義度が高かったか微妙だが、量より質に注目すれば、ボクは日本に軍配をあげたいねえ。↑
 いずれにせよ、このコラムの執筆者の下掲の結論は誤り。
 民主主義はそれ自体が善で追求されるべきものだ、なんて米国の伝統的考え方にはないからだ。本家のイギリスの場合、よりはっきりしてるが、彼らにとって、民主主義は必要悪に過ぎない。↓>
 ・・・whereas America sees democratic government as an end in itself, China sees its current form of government, or any political system for that matter, merely as a means to achieving larger national ends. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/02/16/opinion/why-chinas-political-model-is-superior.html?ref=opinion&pagewanted=print
 それでは、記事の紹介です。
 宗主国サマと我が属国日本の関係がよーく分かるぞ。↓
 「下院軍事委員会の公聴会で、在沖縄海兵隊のグアムへの移転規模が縮小されることに関連して、・・・パネッタ米国防長官は・・・公聴会で、負担金を見直すかについて問われて、日本政府と「協議していることの一つ」と説明。そのうえで日本側の姿勢について「非常に寛大なことに彼らは、いかなる計画の変更があっても支援すると言ってくれている」と述べた。さらに「減額はないということか」との確認に「ない」と答えた。」
http://www.asahi.com/politics/update/0216/TKY201202160562.html
 下の記事中、「もちろん、随意契約だ」はいただけない。
 入札の場合でも参加企業が1社だけだったら随意契約に変更される場合があるが、そんな場合であれ、およそ随意契約に「落札率」が登場する余地などないからだ。
 この点を除けば、元ネタは共産党議員の調査のようだけど、いい記事だ。↓
 「・・・防衛省は06年11月から今年1月までに9社34件の環境アセスメント業務の発注をした。受注業者のうち5社は防衛省の天下り先。その受注額は全体の93.5%に達した。しかも、落札率を見ると、34件中26件が90%以上。もちろん、随意契約だ。さらに、全体の発注額は総額86億1400万円に達した。・・・
 東京工業大学の原科幸彦教授<は、>・・・「重要な調査の項目を絞れば、1桁少ない数億円で済むでしょう。時間も費用もかからない簡易アセスでまず調べて、問題がある項目はより詳しいアセスで調べる二段階で行うべきです。日本では、簡易アセスを行わず、一段階で進めているために無駄が出ている。あまり重要ではない項目に莫大な費用をかけたり、チェックするべき項目が抜けることもある。今回の辺野古のアセスでは、騒音が問題になるとみられているオスプレイの運用に関する項目や埋め立て用の土砂採取に関する環境評価が抜け落ちていた。日本のアセスは、住民などの声に応えず、工事を進めたい発注者の意向に沿った“アワセメント”となることがままあるのが問題です」<と語る。>・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6287622/
 上の二つの記事↑からも見えてくるのは、戦後日本の防衛費はこのような無意味なカネを垂れ流すために計上されてきたし、日本が沖縄ともども「独立」するまでは、こういったことがずっと続く、ということだ。
 TVの報道によれば、ウッドフォードは監査法人の責任にも言及しているはずだが、なんで産経はその部分カットするのかねえ。↓
 「<ウッドフォード氏は、>「問題の会社買収は誰が主導したのか。主力取引銀行の三井住友銀行が買収資金を出したのなら、審査は適正だったのか。『飛ばし』の詳細がもっと明らかにされるべきだ」とも指摘。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120217/crm12021708140004-n1.htm
 讀賣はエライ。ちゃんと社説で監査法人の責任に言及している。↓
 「・・・決算に「適正意見」を出していた監査法人の責任も重い。なぜ粉飾を見抜けなかったのか。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120216-OYT1T01204.htm
 オリンパス問題を更に続けるが、一体、どっちの「専門家」が言ってることが正しいのやら。↓
 「・・・粉飾の方法を指南した外部の人間を、共犯として立件できると判断したことも評価できる。
 刑事事件化する粉飾はこれまで、上場廃止や倒産に追い込まれるケースが多かった。今回は東証がいち早く上場維持を判断し、捜査機関が上場判断と別の次元で刑事責任の追及に踏み込めたことも、投資家保護の観点から良い前例になった。」
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819691E3E4E2E2E68DE3E4E2E0E0E2E3E09C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C93819695E3E4E2E6908DE3E4E2E0E0E2E3E09191E3E2E2E2
 「・・・ 捜査の焦点は今後、動機の解明に移るが、市場にどの程度悪影響を与えたかも、刑事責任追及の上では欠かせない。そこが固まらない段階での東証の上場維持の判断は時期尚早といえる。」
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819691E3E4E2E2E78DE3E4E2E0E0E2E3E09C9CEAE2E2E2;bm=96958A9C93819695E3E4E2E6908DE3E4E2E0E0E2E3E09191E3E2E2E2
 とにかく、ダーティビジネスは儲からない、ということにしないとイカンぞね。↓
 「オリンパス、粉飾指南役などに報酬100億円…」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120217-OYT1T00020.htm
 話は変わる。
 だからといって、本件で必ずしも小沢に状況が有利になったということじゃないが、取り調べを受けてる段階で「優秀な」弁護士が付いていながら、やってもいないことをやったと「自供」したちゅうことになってる今回のケースでその供述調書の採用を却下するのなら、論理的には、殺人や傷害事件で弁護士が付いていなかったようなケースでの容疑者の供述調書なんてもっと信用できないはずだよね。
 そうなっちゃうと、これまでのような検察におんぶにだっこだった刑事司法が瓦解しちゃうんじゃないのか?
 繰り返しになるが、一刻も早く司法取引等の新たな武器を検察に与えるべきだろう。↓
 「・・・小沢被告に虚偽記載を報告し、了承されたとした石川知裕衆院議員(38)の捜査段階の供述調書について、大善文男裁判長は「検事による違法、不当な取り調べによるもので、許容できない」として証拠採用を却下した。・・・
 指定弁護士が証拠請求していた供述調書42通のうち29通が、全文または一部却下された。同様に小沢元代表への「報告・了承」を認めた池田光智元私設秘書(34)の調書は、一部が証拠採用された。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6287749/
 週刊ポストにしちゃ出色の記事だねえ。
 民主党某有力参院議員の言、「<国会>議員にも生活がある」、なーんて地方議員は口が裂けても言っちゃあダメなんだぞ。
 議員以外に生活がある人だけが地方議員になるべきなのさ。↓
 「・・・人口220万人の名古屋市の議員定数は75人。同規模のアメリカ・ヒューストン市はたった14人で、5分の1以下しかいない。人口380万人のロサンゼルス市でも15人だけだ。河村たかし市長が38人に減らすことを提案して拒否されたが、それでも甘すぎるといっていい。
 日本の地方議員は報酬面も恵まれすぎている。世界の常識でいえば、無給でも十分なのだ。
 アメリカでは報酬を得ているのは大都市の専門職議員だけ。通常規模の都市ではせいぜい交通費が実費で支払われる程度だ。
 フランスでは基礎自治体はコミューンと呼ばれる。コミューンは平均1600人程度の住民で構成され、そこで選ばれるコミューン議会議員は自治体の財政に負担をかけないように無報酬が原則。人口10万人以上のコミューン(全コミューンの約0.1%)に限って必要経費を支払う制度をとっている。
 ドイツでも地方議員は地方自治法によって「名誉職」と規定され、少額の報酬と手当しか支払われない。イギリスでも同様だ。」
http://news.livedoor.com/article/detail/6287306/
 チャップリンは心情左派に過ぎなかったけど、共産主義に強いシンパシーを感じていたのは間違いない。
 だけどボクは、日本人でキリスト教等の一神教の信者に自らなる人や、かつて共産党員ないしそのシンパになった人の気持ちがどうしても理解できない。↓
 ・・Chaplin has given funds to communist front organisations … He has been involved in paternity and abortion cases, an MI5 liaison officer in Washington warned in October 1952.・・・
 ・・・a decade earlier Chaplin had told the Los Angeles branch of the National Council of American Soviet Friendship: “There is a great deal of good in communism. We can use the good and segregate the bad.”・・・
 ・・・shortly before his death in 1950, George Orwell handed a female friend・・・a list of 35 names of people, including Chaplin, whom he considered “crypto-communists and fellow-travellers”.・・・
http://www.guardian.co.uk/uk/2012/feb/17/mi5-spied-on-charlie-chaplin
 アブラハム系一神教は、いずれも、本来、カネを貸した時に利子を取ることを禁じている。
 考えて見れば、ユダヤ人というと金貸し業者というイメージがかつてあったのは不思議だが、何でそうなったか、巧まずして説明されている。↓
 ・・・Until the mid-1550s, Henry VIII’s parliament outlawed usury, or interest-based money lending, and Islam prohibits what’s called “riba” in Arabic.
 Though Judaism had a blanket prohibition on usury in its modern sense—what we’d now call predatory lending—the prohibition against collecting interest was limited to interactions with fellow Jews. That’s because reasonable rates of return aren’t immoral according to Jewish law, just out of place when it comes to family—and in Jewish tradition, fellow Jews are considered family.
 But to facilitate commerce in the modern era and provide Jews with much-needed business capital, the rabbis instituted the “heter iska,” a legal instrument that effectively restructures a loan so that it becomes an investment. The structure dates back more than 1,500 years to the Talmudic era, but its modern implementation is generally associated with a 16th-century rabbi, Mendel Avigdors. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204792404577227063335643188.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
 欧米の奇抜なファッションの歴史についての記事だ。
 絵や写真を見てるだけでも何となく楽しい。↓
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-16870841
—————————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#5306(2012.2.17)
<大英帝国再論(その4)>
→非公開