太田述正コラム#5431(2012.4.20)
<皆さんとディスカッション(続x1528)>
<太田>(ツイッターより)
昨年初めには日本の一部上場企業の外国人CEOは4人いたが、今は、日産のゴーン1人のみだって。
http://business.blogs.cnn.com/2012/04/19/can-foreigners-lead-in-japan-inc/?hpt=hp_mid
こんなところにも、日本のヒトの面での鎖国状況の深刻さが表れている。
例のコロンビアでの醜聞、並売春婦ならぬ高級売春婦に対し1人あたり$800で「契約」しておきながら、翌朝$30しか払わなかったのでモメて話が表沙汰になったということのようだ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-17773246
「練達」の米政府要員達、現地事情に呆れるほど無知だったということ。
<忍法帖【Lv=2,xxxP】> (「たった一人の反乱」より)
下掲は音楽業界の衰退を象徴的に示す記事&音楽業界が急速に衰退している事をデータで示した記事。
http://news.livedoor.com/article/detail/4367884/
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0330&f=column_0330_009.shtml
オリコンのチャートをみると、音楽が売れているというよりアイドルやアニメのグッズが売れているという趣があり、音楽業界の頽廃を感じている人は多いんじゃない。
そんな音楽業界を例に若い世代ほど米国礼賛的風潮が潮流として強まるかのような事を言われると反発したくなるような。ま、「親譲りのこのマインドコントロール状態から抜けられてない」には何一つ言うことありませんが・・・。
<太田>
音楽業界の衰退は、音楽の衰退、とりわけ流行歌の衰退を意味しない。
インターネット上で、無償で、そしてその多くは違法に音楽にアクセスできる状況になっているからだ。
このようなアクセスも含めたデータはないのかなあ。
そうすりゃ、音楽は衰退などしてないことがはっきりすると思うよ。
>「親譲りのこのマインドコントロール状態から抜けられてない」には何一つ言うことありません
やっぱそう思う?
<無頼>
–現在の日本の文化–
いつもメールマガジンをありがとうございます。
現在の日本の文化のあり方について考えるところがありましたので、少し書き込んでみることにします。
「いや、両親の世代の日本の流行歌は、それでもまだ米国化を免れていたけれ ど、今や、洋楽的J-POPSしか存在しない、ということ一つとって も、マインドコントロール状態は一層昂進してるんじゃないか。」とのお話でしたが、事実はむしろ逆なのではというきがします。
というのも、DVD等の売り上げのあり方が、欧米諸国とあまりに異なるからです。
たとえば、日本のDVDでは
http://www.amazon.co.jp/s/ref=sr_nr_p_n_binding_browse-b_mrr_0?rh=n%3A561958%2Cp_n_binding_browse-bin%3A644356011&bbn=561958&ie=UTF8&qid=1333340192&rnid=622811011
また日本のブルーレイでは
http://www.amazon.co.jp/gp/search/ref=sr_nr_p_n_binding_browse-b_mrr_1?rh=n%3A561958%2Cp_n_binding_browse-bin%3A622812011&bbn=561958&ie=UTF8&qid=1333340264&rnid=622811011
とまあ、こんな感じです。
しかし、米国に行くと
http://www.amazon.com/s/ref=MoviesBDBB_Format_All_Blu_ray?ie=UTF8&node=2625373011&field-format_browse-bin=2650305011&pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_s=left-1&pf_rd_r=0SAXFVB0TXEF2ZG2N5A8&pf_rd_t=101&pf_rd_p=1329940182&pf_rd_i=2901953011#/ref=sr_pg_1?rh=n%3A2625373011%2Cp_n_format_browse-bin%3A2650305011&ie=UTF8&qid=1333340356
イギリスでは
http://www.amazon.co.uk/gp/bestsellers/dvd/383380011/ref=amb_link_80870165_1?pf_rd_m=A3P5ROKL5A1OLE&pf_rd_s=center-banner&pf_rd_r=1Y9G4ER59RRE6MH8SVBY&pf_rd_t=101&pf_rd_p=255173687&pf_rd_i=293962011
フランスでは
http://www.amazon.fr/s/ref=nb_sb_noss/278-9018974-3981626?__mk_fr_FR=%C5M%C5Z%D5%D1&url=search-alias%3Ddvd&field-keywords=&x=9&y=18
ドイツでは
http://www.amazon.de/s/ref=nb_sb_noss/277-0013328-8373669?__mk_de_DE=%C5M%C5Z%D5%D1&url=search-alias%3Ddvd&field-keywords=&x=20&y=16
このように時期的に一つの国では流行しているものが微妙に違う国もあるのですが、ランキングのリストは日本のそれとは全く異なるのです。
そういわれてみれば、これは引用しませんが音楽チャートでも海外の音楽が上位を占めることが非常に少ない気がします。いまの若者は私たちが若かった頃に聞いたようなアメリカやヨーロッパの音楽は聴かなくなっているように思います。
<太田>
>音楽チャートでも海外の音楽が上位を占めることが非常に少ない気がします。
そんなことは、あなたが掲げられたデータを一瞥しただけでも明らかですよ。
よって、
><米国等の>ランキングのリストは日本のそれとは全く異なる
のは当然でしょう。
いや、こんなことは各国における流行歌(と言っていいでしょう)ランキングを調べるまでもないのです。
流行歌は、歌詞と音楽から成り立っており、歌詞の意味が分からない洋楽がそのまま日本で流行することは、基本的にありえないからです。
私が(印象論的に)申し上げたのは、昨今の日本の流行歌の音楽が洋楽っぽいということです。
どっかに典拠がないかなあ。
<無頼>
興味深いのは現在の日本の置かれた属国的状況をモチーフとするアニメも登場していることです。
たとえば、「反逆ノルルーシュ」シリーズや、最近では「境界線上のホライゾン」などを挙げることができると思います。
こんなことは20年前であれば考えられないことだったと考えるのですが、太田さんはどのようにお考えになりますか?
<太田>
>こんなことは20年前であれば考えられないこと
そうですかねえ。
主人公が「「やまと」の独立を宣言し自らの思想の表明と実現のために「やまと」を駆使する」「沈黙の艦隊」は、20年前の作品(漫画としての連載は1988~1996年)ですが、やや屈折した形ながらも、「日本の置かれた属国的状況<からの解放>をモチーフ」としてたんじゃないですか。
面白いのは以下です。
「主人公<は>・・・クラシック音楽を好み、なかでもモーツァルトの曲を流すシーンが多く出てくる。ちなみに、作中で最初に聴いていた曲は「交響曲第41番 (モーツァルト)」。(特番では、・・・同じくモーツァルトの交響曲40番)
http://www.youtube.com/watch?v=-X7ydizBdZs
ニューヨーク沖海戦時には、ストラビンスキーの「春の祭典」を流した。」
(以上、事実関係は下掲↓による。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%88%E9%BB%99%E3%81%AE%E8%89%A6%E9%9A%8A
また、「沈黙の艦隊」(アニメ版)のエンディング・ソングの「夢の渚」(来生たかお作曲)はクラシック的歌謡曲の典型です。
http://www.youtube.com/watch?v=C6SNDwNdZAs
なお、もっとずっと前の「宇宙戦艦ヤマト」(アニメ:1974~75年)も、既に、隠喩的にだけど、「日本の置かれた属国的状況<からの解放>をモチーフ」にしてたんじゃないか。
これまた、面白いのは以下です。
「BGMには映画『2001年宇宙の旅』でも使用されたリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」など3曲が使用された。・・・再放送版第2話では大日本帝国海軍戦艦大和の出撃シーンと続く戦闘シーンで「軍艦マーチ」がBGMとして使用されている。」
(以上、事実関係は下掲↓による。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%88%A6%E8%89%A6%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%88
また、「宇宙戦艦ヤマト」の序曲及びメインテーマは、クラシック的歌謡曲(宮川泰作曲)そのものですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=ZdAxUVMKbCw&feature=related
<太田>
それでは、その他の記事の紹介です。
これ、ビジネススクールのケースにぴったりのお話だね。
なお、メインの話題じゃないが、以下にコピペしたところの、裁判官や弁護士についての評価には全面的に同意。↓
「お客は神様」の日本、「契約は契約」の米国 開発失敗を巡るスルガ銀行と日本IBMの係争、「10のなぜ」・・・
司法関係者はITのことを全く知らない。裁判官も弁護士も同様。少し技術的な内容になると『自分は文系出身なので』と言い出す。システム開発とはどういうことか、開発に当たって発注者と受注者が具体的にどんな作業を、どのような責任、義務、権利を持って進めるか、といったことを理解していない。こうした状況でIT関連プロジェクトの権利関係を債権債務の法理論にそって判断してもらうのは極めて困難。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20120418/231145/?mlt&rt=nocnt
既に紹介済みの研究への言及から始まる記事だが、現在公開しつつあるカーネマンに係るシリーズのカーネマン御大も記事中に登場するね。↓
A landmark 2010 Princeton University study showed that money really can buy happiness — up to a very specific point. The researchers (including Nobelist Daniel Kahneman) found that up to about $75,000, annual income closely correlates with emotional well-being. Beyond that threshold, however, more income doesn’t translate into more happiness. ・・・
<一人5万ドルの収入があれば、人は十分幸せなんだって。日本でもそんなところじゃないかな。↓>
Well, forget $75,000. A new poll・・・suggests that as little as $50,000 brings genuine happiness. ・・・
The <mew> poll didn’t gauge whether happiness drops off after $50,000, and therefore doesn’t directly contradict the earlier finding that $75K is a magic number of sorts. But it does suggest that $50,000 is a tipping point when it comes to overall satisfaction.・・・
http://moneyland.time.com/2012/04/19/why-50000-may-be-the-new-happiness-tipping-point/
ムムム・・・。
これと関係ありそうな、その次の記事にも注目。↓
「・・・女性は歳を重ねるほど恋人への要求が多くなり、男性は逆に少なくなる傾向がある・・・」
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120419/122802/?bpnet
人類は、次第に狩猟採集時代の女系制に戻りつつあることが、電話の記録から確認されたとさ。↓
・・・men tend to choose a woman the same age as themselves – which the researchers presumed to be their girlfriend or wife – as a best friend much later in life than women do, and for a much shorter time. This occurs when they are in their early-30s, possibly during courtship, and stops after seven years or so.
<女性の最大の関心は生殖。よって、若い頃は異性たるパートナーを最大の友として扱うことに執拗にこだわるけれど、自らの生殖期が終わった途端、生殖期に入ったところの、自分の娘を最大の友扱いし始める。(自分という女性への愛から、娘たる女性への愛へ、というわけ。異性たるパートナーは、自分への愛を成就するための「手段」から「粗大ゴミ」へ、と切り替わるということ!(太田))↓>
Women, however, choose a man of a similar age to be their best friend from the age of 20. He remains for about 15 years, after which time he’s replaced by a daughter.
・・・a woman’s social world is intensely focussed on one individual and will shift as a result of reproductive interests from being the mate to children and grandchildren.・・・
・・・the data suggests that “at root the important relationships are those between women and not those between men”.・・・
Many anthropologists argue that most human societies are patriarchal on the basis that in most communities men stay where they are born whereas the wives move.
But・・・this only occurs in agriculturally based societies.
”If you look at hunter-gatherers and you look at modern humans in modern post-industrial societies, we are much more matriarchal.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-17729478
海辺が人間にとって、最も心地よい環境なんだって。↓
http://www.bbc.co.uk/news/education-17743980
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<mk2:翻訳>
コラム#5415より:
この魅力的な本は、1938年11月9日、アドルフ・ヒットラーと宣伝相ヨーゼフ・ゲッペルスの命令でドイツとオーストリア中のSA(突撃隊)が1000以上のシナゴーグを焼き払い、約7500のユダヤ人商店を破壊した悲惨な夜についての、21人のユダヤ系ドイツ人の目撃者の証言集を出版したものである。11月10日の朝、店の窓ガラスが道路に散乱している様子は、ベルリン市民をして、「ドイツ労働者の日」といったナチスの行事を皮肉的に真似る形で数時間前の出来事を、例によって痛烈なユーモアをこめて「ドイツ水晶の夜」と称せしめた。・・・
<編著者の>ハートショーンの反ナチスの信念は、米陸軍防諜部隊<(CIC)>の敵意を刺激した。<CIC>はソ連に関する情報を聞き出し、迫りくる冷戦に利用するために、ナチスの戦犯をソ連占領下のオーストリア・東欧からイタリア、そしてさらに南米へと密航させていた。この活動を知らされたハートショーンは憤慨し、そしてこの「脱出劇」の情報をモスクワに流した。彼はCICにとって迷惑千万な存在になった。1946年8月28日、ミュンヘン・エアランゲン間の高速道路上で一台のジープが彼の車を追い越し、今度は彼がそのジープを追い越さざるをえなくなるよう、突然、目の前で減速した。彼がジープを追い越す際、一発の銃弾がジープから発射され、彼の頭部を打ち抜いた。彼は二日後に亡くなった。犯人は未だに判明していない。
<太田>
訳文しか見なかったけど、おおむねよさそうですね。
18点差し上げましょう。累計でプラス12点であり、水面上に浮上しましたねえ。
頑張って!
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太田述正コラム#5432(2012.4.20)
<イスラム教の成立(その4)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1528)
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