太田述正コラム#5463(2012.5.6)
<皆さんとディスカッション(続x1542)>
<太田>(ツイッターより)
 ピアニストのデイム内田光子に、ブラームス、ストラヴィンスキー、ドミンゴ、バレンボイムらに授与されてきた名誉ある賞(Royal Philharmonic Society (RPS) Gold Medal)が英国で授与された。
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-17952386
 おめでとう!
 北京の有力紙の一つで良心的記事で有名だったが昨年当局直轄となった新京報(Beijing News)が陳光誠問題で陳と米政府を批判した論説を掲載したことへの自己批判としか読めない、道化師が沈鬱な表情で煙草を吸う写真付きの「陳謝」コラムを掲載。
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/chinese-newspaper-apologizes-for-anti-chen-anti-us-editorial/2012/05/05/gIQAXkNu2T_story.html?tid=pm_world_pop
<太田>(ツイッターより)
 当局直轄となった経緯等については下掲↓参照。
http://cmp.hku.hk/2011/09/15/15432/
 新京報=Beijing News、であることを確認したのは下掲↓による。
http://www.afpbb.com/article/politics/2817452/7590097
<さいへん>
 –ステルス独立–
 太田さんの分析(コラム#5439)とは一致しないかもしれませんが、中国網も日本がステルスで独立への道を歩んでいると見ているようですね。↓
 「今回の移転計画は、日本に比較的大きなメリットがある。日本は国内の在日米軍に対する意見と圧力を緩和する一方、米軍の前線部隊が後方に移転するため、米国が今後アジア太平洋問題を処理する際に同盟国を頼みとする機会が増える。しかも同盟国の中でも日本は極めて重要だ。日本を利用してアジア太平洋問題に介入するため、米国は日本の政治・軍事・外交上の縄を解かざるを得ない。それが現実となれば、日本は自らの長期的な戦略目標を実現する道、つまり「正常な大国になる」道からどんどん離れていく。
 新計画が発表される前の日本の一連の言動をわれわれはすでに確認した。例えば、北マリアナ諸島に日米が共同使用する訓練場を建設すれば、日本は戦後初めて正当な軍事基地を海外に建設することになる。日本は周辺国との対立を処理する際、強い態度に出るだろう。こうした変化は在日米軍の配備調整と密接に関わっている。調整が進むにともない、日本のこうした行動が増えるだろう。」
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2012-05/05/content_25304571.htm
<太田>
 「大部分の在日米軍を米国の本土であるグアムやハワイに、残りの一部をオーストラリアに移転することで、米国の経済的圧力は緩和される。」
は、恐らく、筆者の理解不足からくる誤りで、「米国の経済的圧力は緩和される」は、「日本から受け取る思いやりが減るので、米国の経済的圧力は増大するが、それを上回る戦略的利益を米国は得ることができる」の誤りでしょう。
 また、
 「日本を利用してアジア太平洋問題に介入するため、米国は日本の政治・軍事・外交上の縄を解かざるを得ない。それが現実となれば、日本は自らの長期的な戦略目標を実現する道、つまり「正常な大国になる」道からどんどん離れていく。」
 は、恐らく、漢語から邦訳する際のミスで、恐らく「からどんどん離れていく」→「へどんどん近づいていく」の誤りでしょうね。
<εεεεΕ>(「たった一人の反乱」より)
 関西電力の役員とかが、イスラエルに行って、「イランを空爆してくれれば、これだけ払う」とか、交渉してたりして。
 ホルムズ海峡が封鎖されて、原油が来ないとなれば、原発再起動決定ですからね。
<εΕΕΕΕ>(同上)
 そこまで行くと、諜報機関の人みたい w。
<ΕεΕΕΕ>(同上)
 <εεεεΕクンは>原発再稼働に反対の立場なの?
 原発やめるときついよ~。
 「原発ゼロ続けば日本は衰退」 産業空洞化の懸念
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120504/trd12050423590022-n1.htm
<ΕΕεΕΕ>(同上)
 原発動かすのはいいけど、免震事務棟にフィルター付きベント施設は完備していないと未完であることは間違いない。
<εεεεΕ>(同上)
 「タジキスタン国境要塞」というDVDが最近出たロシア映画よかったです。
 特殊部隊の兵隊の、マルチタスクが如何に役に立つかがよく判りました。
<太田>
 登録しときます。
 これからは特殊部隊の時代であることは確かです。↓
 ・・・The White House has proposed increasing the 2013 Pentagon budget in only two areas: putting more forces in the western Pacific to counterChina’s growing clout, and expanding special operations.・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-special-forces-20120505,0,182932,print.story
 
 それでは、その他の記事の紹介です。
 この先が無料じゃ読めないんだけど、ホントかね。誰か説明してー。↓
 「・・・御厨貴さんは、今年3月、先端科学技術研究センター(先端研)から放送大学に移ったきっかけの一つをそう話す。「学問、夢のある研究をするためには、無駄や余裕が必要。かつての東大はそういうものを大切にしていたのに、今はあくせくしていて、まったくなくなった」という。
 「輝き」を失わせた要因は、近年の「大学改革」と御厨さんはみる。・・・」
http://www.asahi.com/national/intro/TKY201205010434.html?ref=comtop_fbox
 英国でも富/所得分配の不平等度が高まっているが、その原因が株式会社の実質的支配者が株主から経営者に移った・・これは米国で大昔にバーナードが言い出したことだっけ・・こと、その経営者を金融機関が支えていること、そして経営者達が政治も支配していること、を指摘しているコラムだ。↓
 ・・・What interests Mount is the way that this business class has managed to seize control of companies and extract such vast rents from them, almost irrespective of the wishes of their owners. The answer, he suggests, is to be found in a basic flaw of shareholder capitalism. The inevitable dispersal of ownership that occurs in widely-held listed companies leads ineluctably to the entrenchment of management power.・・・
 <各政党の党員数がどんどん減っている。↓>
 Just as shareholders have lost their grip on companies, the voters have become disconnected from politicians. The decline of interest in party politics is everywhere evident. Mass membership of political parties has collapsed. In the 1950s, Britain’s two main parties had more than 7m members between them. Now it is perhaps 400,000. Turnout in elections has slumped.・・・
 ・・・the problem is more that power has become “separated from the electoral process”. It operates at such a remote level — through the European Union, “sofa government” and a parliament utterly dominated by the executive・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/b5e01e1e-8fba-11e1-beaa-00144feab49a.html#axzz1u3IhgXJJ
 ↑むしろ、英国の場合、更に一歩を進めて、株式会社の実質的支配者を授業員全体にするとともに、政党の存在を無意味化することによって、日本型政治経済体制化を図らなきゃいけないのかもしれないね。
 自由主義経済の今後の全球的標準をどのように構想するか、悩ましいところだねえ。
 それにしても、マルクスがかつての英国について述べたことは正しかった、ということだなあ。↓
 ・・・You are horrified at our intending to do away with private property. But in your existing society, private property is already done away with for nine-tenths of the population・・・
http://www.csmonitor.com/Books/2012/0504/Karl-Marx-10-great-quotes-on-his-birthday/On-the-99-percent
 おもしろーい。↓
 「・・・例えば人間のミラーニューロンは、犬がエサを食べる姿には反応するが、ほえる姿には反応しないそうだ。食べる姿は我が事として感じられるが、ほえる姿は自分と重ねにくいらしい。・・・」
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A9C93819499E0EBE2E3E58DE0EBE2E6E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;dg=1;p=9694E0E0E2E6E0E2E3E2EBEBE0E5
 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)という言葉を覚えたぞ。
 アルツハイマーとはまた違った認知症だというんだが、ちらほら、友人や読者の中にも認知症的症状を呈する人が現れつつあるな。
 キミは大丈夫?↓
 ・・・frontotemporal dementia — a little-known, poorly understood and frequently misdiagnosed group of brain diseases that eat away at personality and language. Although it was first recognized more than 100 years ago, there is still no cure or treatment, and patients survive an average of only eight years after the diagnosis. ・・・
 This disease is different from Alzheimer’s, the most common form of dementia. But it is perhaps even more devastating, because it strikes younger people, progresses faster and, unlike Alzheimer’s, does not attack memory at first but begins with silence, apathy or bizarre personality changes. It is thought to afflict at least 50,000 to 60,000 people in the United States. ・・・
http://www.nytimes.com/2012/05/06/health/a-rare-form-of-dementia-tests-a-vow-of-for-better-for-worse.html?_r=1&hpw
 オンラインでのパートナー探しは、伝統的なオフラインでのパートナー探しに比べて、さしてメリットはないってさ。↓
 ・・・even though as many as 25 million people per month seek matches through online dating services, these individuals are no more likely to find their soul mates than people who hook up with partners through conventional methods–singles bars, blind dates, friends of friends.・・・
http://moneyland.time.com/2012/05/01/are-online-dating-services-a-waste-of-money/
 『ボヴァリー夫人』を英訳したのは、自身が不倫愛真っ最中だった女性、マルクスの三女、なんだと。
 奇しくも、不倫相手の奥さんが死んでからしばらくして、22歳の女性と彼がこっそり再婚したもんだから、この三女は、ボヴァリー夫人同様、青酸カリで自殺したんだって。↓
 ・・・Madame Bovary was finally published in England almost 30 years later・・・. The novel’s translator was Eleanor Marx, the youngest daughter of Karl Marx, and I learnt that her life, too, had curious affinities with that of Emma Bovary. ・・・
 In 1885, a year after becoming <married> Aveling’s common-law wife, Eleanor was commissioned by publisher Henry Vizetelly to translate Madame Bovary.・・・
 Aveling’s wife died in 1890. He and Eleanor continued to live together but in June 1897 he secretly married an aspiring actress of 22. Eleanor, then 42, discovered his treachery that August.・・・
 Rather than take the path of Ibsen’s Nora, who abandons her home in order to save herself, Eleanor had submitted to the fate of Emma Bovary, a woman consumed by her own desires. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/24d99c36-92dc-11e1-b6e2-00144feab49a.html#axzz1u3IhgXJJ
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太田述正コラム#5464(2012.5.6)
<利己主義・利他主義・人間主義(その6)>
→非公開