太田述正コラム#5635(2012.8.2)
<皆さんとディスカッション(続x1621)>
<太田>(ツイッターより)
インド人女性が初めて米プレイボーイ誌の表紙を飾るんだって。
http://edition.cnn.com/video/?hpt=hp_c4#/video/world/2012/07/31/nr-intv-first-indian-woman-to-appear-in-playboy.cnn
パキスタン人女性ほどではないにしても、いまだにキスシーンさえ登場しないインド映画の女優としては勇気ある行動だよね。
まずは彼女の写真をご覧あれ。
シリアの反体制派が体制派を白昼公然と銃を乱射して公開処刑する映像だ。
http://www.washingtonpost.com/blogs/blogpost/post/rebels-execute-members-of-pro-syria-regime-clan-video/2012/08/01/gJQAJPzsPX_blog.html
<J9sLrqzJ0>(「たった一人の反乱」より)
≫そもそも、青嵐会の話がなんでここに出て来るのさ≪(コラム#5633。太田)
<件の人民日報の記事に、>青嵐会と云う単位で佐藤内閣に協力した、と読み取れるよう書いてあるからです。
http://www.j.people.com.cn/94474/7891234.html
<の>第六段落<に、「>中日間に領土問題は無いと言い出したのは、当時中日国交正常化の妨害に躍起になっていた佐藤栄作内閣だ。石原慎太郎は当時すでに右翼の反中派議員組織「青嵐会」を立ち上げ、釣魚島問題をめぐり佐藤内閣に協力していた。<」とあります。>
青嵐会の設立年度はウィキに書いてありますよ。
またこのサイトにも石原慎太郎の名は出て来ません↓。但し、この資料も尖閣諸島が日本領土とは見ていません。
http://www.senkakujapan.nobody.jp/page032.html
・・・<なお、>↑を見ると
一、尖閣諸島は間違いなく清国領土であったことは明治政府すら認め国際的にも認められてた。19世紀末までは。
二、日清戦争により台湾割譲を受けた。地理的に尖閣諸島が日本領土であるのは当然との認識に変わる。
三、尖閣を利用をしていたが、日本政府は明確に地理を調べたり緯度を確定したり、所謂(先占)に当たる行為を怠ってきた。つまり国際法的に無主地である。
四、サンフランシスコ条約にも明確に尖閣諸島迄が日本領と定められてはいない。
米国も日本に対しこの問題は突き放した態度。
つまり、歴史的に中国、地理的に台湾、法的に日本にそれぞれ権利を主張する理由がある、と。しかしいずれも決定打に欠ける。
まぁ国際司法裁判所で判定してもらうしかないですね。
<ねこ魔人>
本当に、癒着構造が生じるのは、ある政党が長期にわたって政権を握り続ける場合なのでしょうか?
当然、アメリカでは、政権交代が頻繁に生じて政権が交代しています。共和党と民主党が政権を交互になってきました。したがって、癒着構造発生の原因が政権の長期化であるならば、アメリカでは政官業癒着構造が生じることはないと思います。
にも関わらず、アメリカではある分野において、政官業の3者が癒着している状態が存在しています。その分野とは、アメリカの軍産複合体を挙げることができると思います。これは、議会、軍部及び軍需産業が相互に結託している連合体を指します。アイゼンハワー大統領は、退任演説において、軍産複合体の存在を指摘し、それが国家・社会に過剰な影響力を行使する可能性、議会・政府の政治的・経済的・軍事的な決定に影響を与える可能性を告発しました。
典拠:(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E7%94%A3%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93#.E6.A6.82.E5.BF.B5.E3.81.AE.E8.B5.B7.E6.BA.90)
以上より、たとえ長期政権が成立せずとも、政官業癒着構造が成立しうるといえるのではないでしょうか?
<太田>
引用された日本語ウィキペディアの記述は不正確な箇所が多々あります。
軍需を巡る「「政」官業癒着構造」が米国に存在したことはいまだかつてありません。
アイゼンハワーが退任演説で使った言葉は「軍産複合体(Military–industrial complex)」であり、それは、大きな戦争(第二次世界大戦/朝鮮戦争)が終わっても米国で完全な動員解除が行われなくなった背後に軍部と軍需産業の既得権益意識があることを示唆したものでした。
これは、米国の全球的軍事帝国化への懸念の間接的表明であった、と解することもできるでしょう。
アイゼンハワーと同じような問題意識から、チャルマーズ・ジョンソンが米国の軍国主義(militarism)を批判したことは記憶に新しいところです。
いずれにせよ、「軍産複合体」という言葉は現在の米国では廃語に近いと言ってよいでしょう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Military%E2%80%93industrial_complex
<m7hIophDO>(「たった一人の反乱」より)
イギリス通のおーたん、ロンドン五輪の開会式になぜかの養蜂業者が出なかったのか教えてくれ。
<太田>
「かの養蜂業者」って何のことさ?
それでは、その他の記事の紹介です。
日本のキャバ嬢とAV女優は、どちらもバーチャルなセックスを顧客に売る生業に従事しているわけだけど、(前者は全球的評価を得られていないのに対して後者は得られているところ、)そのメンタリティーは、現在では、「カタギ」の生業に従事している男女と全く変わらない、と見てよさそうだね。↓
「・・・キャバ嬢たちの30%以上は昼間に会社員として働いており、・・・しかもキャバ嬢の内うち4人に1人は「実家暮らし」・・・
・・・働いて良かったことの第1位は「給与が高い」という誰もが想像しうる結果。
しかし、第2位以降の理由としては
「コミュニケーション能力を磨くため」
「美意識が高くなった」
「人脈が広がった」
など、人間としての成長を感じさせる内容となった。
さらにキャバ嬢を経験をして「学んだこと」については
「聞き上手になった」
「話し上手になった」
「新聞・ニュースをみるようになった」
という結果となった。」
http://news.livedoor.com/article/detail/6813821/
「・・・<AV>業界の低迷で、出演料は3万円以下というケースもありながら、応募倍率は25倍。完全なデフレ状態にもかかわらず、かつては考えられなかったようなクオリティの美女たちがAV女優として活躍している。・・・
かつてのように育ちや経歴がよくても、話を聞けばアウトサイダーに対する憧れとか、何かに対する反発といった理由があった。今は普通の女の子たちが、普通の仕事としてAV女優を選んでいる。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6813445/
ロムニーのイスラエルでの発言を契機に米国で「文化」論議が起こっている。↓
<ロムニーは文化を重視するランデスに拠っていると主張しているが、実際のところ、ロムニーは発言の中で文化とともに制度も重視してるではないか、との指摘がなされている。↓>
・・・Romney・・・confuses “culture” with institutions. By culture, social scientists mean people’s values and beliefs. Romney refers to Americans’ “work ethic,” which is cultural, but he also claims that political and economic freedoms are the real keys to economic success. ・・・
Romney did cite Harvard University historian David Landes, who did indeed argue that values and beliefs are crucial for economic development, as providing the intellectual origins of his views — but his focus on institutions is much more in line with our book Why Nations Fail than with Landes. ・・・
<いずれにせよ、同じ文化の北朝鮮と韓国の経済状況を見れば、制度の違いが決定的だと分かるとさ。↓>
If Romney truly wants to understand the irrelevance of cultural factors to countries’ success or failure, it’s not Jerusalem he should’ve visited — it’s the Demilitarized Zone.
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/08/01/uncultured?page=full
<文化を重視したはしりはマックス・ヴェーバーだというのは正しいが、この論者が、日本と支那を文化によって経済停滞しているとヴェーバーが主張したというのは間違い。ヴェーバーは欧州と日本が経済発展したのはどちらも封建制を経ているからであることを示唆していた。この点に関してはヴェーバーも部分的に制度論的アプローチをしていたわけだ。↓>
・・・ He could have cited Max Weber, the great German scholar who first made this claim 100 years ago in his book “The Protestant Ethic and the Spirit of Capitalism,” which argued that Protestant values were the most important fuel for economic progress.
The problem is that Weber singled out two cultures as being particularly prone to poverty and stagnation, those of China and Japan. But these have been the world’s fastest-growing large economies over the past five decades.・・・
<中共は経済政策を変えたとたん高度経済成長を始めた、とこの論者は指摘する。↓>
China was stagnant for centuries and then suddenly and seemingly miraculously, in the 1980s, began to industrialize three times faster than the West. What changed was not China’s culture, which presumably was the same in the 1970s as it was in the 1980s. What changed, starting in 1979, were China’s economic policies.
<日本やインドの場合もそうだが、要するに資本主義という制度を採択すれば、どこでも経済は発展する、というわけ。↓>
The same is true for Japan and India. Had Romney spent more time reading Milton Friedman, he would have realized that historically the key driver for economic growth has been the adoption of capitalism and its related institutions and policies across diverse cultures.・・・
<そもそも、文化は変わりうるともこの論者は指摘する。戦前と戦後とで、ドイツひいては欧州と米国の文化は丸で変わってしまったというのだが、そいつは無理な指摘でっせ。↓>
Culture is important. It is the shared historical experience of people that is reflected in institutions and practices. But culture changes. German culture in 1935 was different from 1955. Europe was once a hotbed of violent nationalism; today it is postmodern and almost pacifist. The United States was once an isolationist, agrarian republic with a deep suspicion of a standing army. Today it has half of the world’s military power.
<モイニハンは、政治より文化が重要というのが保守的真実だとすれば、政治は文化を変え得るというのがリベラル的真実だと喝破したとよ。いずれにせよ、これは面白い論議ではあるね。↓>
Daniel Patrick Moynihan once observed: “The central conservative truth is that it is culture, not politics, that determines the success of a society. The central liberal truth is that politics can change culture and save it from itself.”・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/fareed-zakaria-capitalism-not-culture-drives-economies/2012/08/01/gJQAKtH9PX_print.html
米国では、金持ちは金持ち同士で、貧乏人は貧乏人同士で、集まって住む度合いがどんどん多くなってきているんだって。↓
・・・the percentage of upper-income households situated in affluent neighborhoods doubled between 1980 and 2010, rising to 18 percent. In the same time frame, the share of lower-income households located in mostly poorer neighborhoods rose from 23 percent to 28 percent. The percentage of neighborhoods that are predominantly middle class or home to a wider mix of income levels shrank.・・・
http://www.washingtonpost.com/local/rich-and-poor-grow-more-isolated-from-each-other-study-finds/2012/08/01/gJQABC5QPX_print.html
オリンピックで行われるスポーツの多くのみならず、オリンピック精神そのものもイギリスの寄宿舎学校や大学由来だと。↓
・・・For many sports — rowing, fencing, equestrian, sailing, tennis, and soccer, to name a handful — the London Olympics mark a return to their roots. But more deeply, the core Olympic ideals of fair play, moral character, and sport’s capacity to make better men were first cultivated in the English boarding schools and universities of the 19th century.・・・
<クーベルタンはイギリスのラグビー校を訪問してオリンピックを構想し始めたと。↓>
It was a visit to England’s Rugby School, where physical education was seen as an integral part of students’ moral and intellectual growth, that led a young de Coubertin to the conviction that “organized sport can create moral and social strength.”・・・
<ただし、かつてのオリンピックを毒していたアマチュアリズムもまたイギリス由来だったって。↓>
Yet Britain is home, too, of some of the anachronisms of the Olympic movement, critics add. It was the British notion of “amateurism” — defined specifically to exclude the working class — that defined the Olympics for more than 80 years, before it dissolved amid its own contradictions.・・・
http://www.csmonitor.com/layout/set/print/content/view/print/552876
オリンピックで女子バトミントンの4組が失格となったのは、意図的に敗けようとしてはならない、というスポーツの鉄則を踏みにじったから当然だってさ。
(意図的に引き分けに持ち込んだなでしこは咎めるべきじゃない、ってことになるわね。)↓
Why booting the badminton teams was the right call・・・
・・・the golden rule of sport・・・is that it is never, ever, under any circumstances acceptable to play intentionally to lose a game. ・・・
http://www.csmonitor.com/World/Olympics/2012/0801/Olympics-Why-booting-the-badminton-teams-was-the-right-call
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太田述正コラム#5636(2012.8.2)
<エアシー・バトルについて>
→非公開
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