太田述正コラム#5679(2012.8.24)
<皆さんとディスカッション(続x1643)>
<太田>(ツイッターより)
米での強姦妊娠論議の関連で、強姦されて妊娠した女性の30%が出産していること、米国の31州が強姦した男が子供への面接権等を行使することを禁じていないことを、強姦されて出産してからロースクールを出て弁護士になった女性が訴えている。
http://edition.cnn.com/2012/08/22/opinion/prewitt-rapist-visitation-rights/index.html?hpt=hp_mid
日本では?
<190M9XH/0>(「たった一人の反乱」より)
大統領の天皇発言「悪意ない」=日本の反発に「驚き」―韓国高官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120823-00000153-jij-int
これ本当に韓国側の本音だろうな。
2ch内でも「親韓の民主どうしたんだ?」って反応が結構あって面白い。
http://mainichi.jp/opinion/news/20120822ddm003070152000c.html
スワップ破棄はさすがに無いだろうけど、資金支援枠700億ドルに大幅に拡大って言ってたのを延長せずに130億ドルのままにするって事くらいはやりそうな勢いだね。
<太田>(「たった一人の反乱」より)
2ちゃんの引用が欲しかったね。
<lqZcof8Q0>(「たった一人の反乱」より)
ドイツの電力事情
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120811-00000306-agora-sci
やっぱり太陽電池は幻想だった。
補助金を出してもQセルズ社は中国との競争に負けて倒産。
日本でも無理なのは分かりきっている。
<いしゐのぞむ>
石泉山房文集の産經7/17記事「尖閣は琉球」<(コラム#5610)>につき<(コラム#5633で)>議論して頂き光榮です。
史料の解説文は、八月三日から七日まで八重山日報に全文掲載して頂きました。
紙版だけでなくインターネット版(無料)もあります。
< (http://www.yaeyama-nippo.com/2012/08/03/%E5%B0%96%E9%96%A3%E5%89%8D%E5%8F%B2-%E7%84%A1%E4%B8%BB%E5%9C%B0%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A7%92%E3%81%AB%E9%A0%98%E6%9C%89%E5%8F%B2%E6%96%99%E6%9C%89%E3%82%8A-%E2%91%A0-%E9%95%B7%E5%B4%8E%E7%B4%94%E5%BF%83%E5%A4%A7%E5%87%86%E6%95%99%E6%8E%88-%E7%9F%B3%E4%BA%95%E6%9C%9B/ 以下)>
「尖閣前史、無主地の一角に領有史料有り」と題してをります。ご笑覽下されば幸ひです。
ついでながら「渉」字には、人民網の劉江永大先生の言ふやうな「向かって進むが未だ至らない」といふ字義は存在しません。
<吉武広正>
<コラム#5468>「ナチスドイツ降伏直後の欧州(その2)」<を読み>ました。
私はドイツ人が米英ソの決定およびソ連の直接的暴力でポーランドやチェコから追放され、その過程でポーランドやチェコの人々から凄惨な暴力を受けたのは当然の報いだと思います。
トンネル会社(メフォ)を作って確信犯で借金しまくって踏み倒して戦争するというバカな指導者を熱狂的に支持したバカな国民の末路。
→メフォ(Mefo)は軍需産業からナチスドイツ政府が軍需品を買った時に渡された、ヤミ政府保証約束手形みたいなもんです
http://en.wikipedia.org/wiki/Mefo_bills
http://en.wikipedia.org/wiki/MEFO
が、これを踏み倒したという話は聞いたことがありません。典拠あります?(太田)
個別の被害事例については、それはそれはお気の毒にと思いますが、それはやられても仕方のないことであり、また「ドイツ人追放」ということ自体全く正しい措置だったと確信しています。
→ナチスドイツを支持しなかったドイツ人もいたわけだし、戦後迫害の対象となった人々うちの旧ドイツ領外に居住していたドイツ系人は、戦争前のドイツの最後の総選挙の時に選挙権すら持っていなかったわけであり、これらのことだけでも、そして、何よりも、人倫に照らし、戦後、ドイツ人(ドイツ系人を含む。そして子供を含む。)が暴力的迫害の対象になったことは糾弾されるべきでしょう。(太田)
つまりドイツは日本ではないということ。単純にドイツ=日本、ポーランド・チェコ=韓国などというバカバカしい単純比較がネット上に溢れていますが、衆愚とはどういうものかをつくづく感じます。
二点目、ポーランドからユダヤ人が戦後に大量移住していったのは、戦中のホロコーストで殺されていたと思われていたユダヤ人の家が戦後に政府の決定で公有化し、間に合わせの公営住宅として市民に提供されていたことが原因。もっと言えば、ドイツ人がポーランド市民の住宅を破壊しつくしたこと。
殺されていなかったユダヤ人たちが帰ってみるとなぜか住人がいる。住人の言い分は国から支給されたものだから占有は正当なものだ、と。ところが現にここに旧オーナーが帰ってきている。当然あちこちで揉め事が起き、暴力事件に発展する。キェルツェ市では暴動になりユダヤ系と非ユダヤ系双方で数十人が亡くなる事件に発展する(ユダヤ系の人々は自分たちユダヤ系の被害のみ強調し、これを反ユダヤ主義の典型的事件だとする直情的傾向がある。この事件<は>むしろ当時の国の行政上の不手際による不動産トラブルが原因ではないか)。
→ありそうな話ではあるけれど、ぜひ典拠をお示しいただきたいものです。(太田)
ユダヤ系の人々はもはやポーランドの政府を信用しない。だったらいっそのこと不動産なんかもういいからアメリカやイスラエルなどへ移住してしまおう。そうして外国へ移民していったのです。
連投でも申し訳ありませんが、
スターリン主義とナチズムをある次元で等値とすることは、ノルテのオリジナルではなく、カーター大統領の安全保障担当補佐官をやっていた「ポーランド人」ズビグニュー・ブレジンスキーが若い頃(1956年)に書いた論文Totalitarian Dictatorship and Autocracy(カール・フリードリッヒと共著)が初出です。ブレジンスキーは「全体主義」という用語でまとめています。
→そりゃ違いますよ。
「等値」と発言した最初の人物は クルト・シューマッハー(Kurt Schumacher)(1930)だし、最初にそう書いたのは、両者を「全体主義」で括ったことも含め、ハンナ・アーレントであり、彼女のThe Origins of Totalitarianism (1951)でしょう。
http://en.wikipedia.org/wiki/Comparison_of_Nazism_and_Stalinism (太田)
しかし、同じく「ポーランド人」の著名な経済学者ミハウ・カレツキ<(Michal Kalecki)>は、Political Aspects of Full Employment(1943)のなかで、ナチス・ドイツのような類の政体やイデオロギーが、社会主義のとは異なり民主主義によって形成されることを指摘、その過程を説明しています。これはPolitical Economyの分野では、おそらく世界で最も有名な論文のひとつでしょう。
→カレツキについてのウィキペディア
http://en.wikipedia.org/wiki/Micha%C5%82_Kalecki
にも上出著作についてのかなり詳細な解説
http://bilbo.economicoutlook.net/blog/?p=11127
にも、あなたの言われているような話は出てきませんねえ。
なお、私自身は、マルクスレーニン主義/スターリニズムもナチズムも、「民主主義独裁」の範疇で括っているところです。
「民主主義」であるゆえんは、ナチスは総選挙で第一党になったことを手掛かりに全権掌握をしています(コラム#省略)し、共産党は、10月革命後に実施された最初の自由な普通選挙による総選挙で、共産党シンパを加えれば、第一党であった可能性が強く、ひょっとすると多数党であった可能性すらあり、このことがその直後の「円滑」な全権掌握をもたらしているからです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Russian_Constituent_Assembly
「独裁」であるゆえんは、どちらも、全権掌握後は、自由な普通選挙を体制崩壊までやらなかったからです。(太田)
それでは、その他の記事の紹介です。
竹島親書をめぐるドタバタ劇以外にもこういう話もあるね。↓
「・・・日韓両国は、昨年10月の首脳会談で、通貨スワップの枠を、従来の130億ドルから700億ドルまで拡充することで合意した。このときの経緯について、韓国メディアは最近、韓国政府高官の話として「日本側が要請したもの」と伝えた。
しかし、日本の財務省幹部によると、韓国政府と同中央銀行の高官が、昨年10月に財務省を訪れ、拡充を要請したという。このため、財務省幹部が、韓国の財務当局である企画財政部に「事実と異なる」と抗議した・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208230440.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201208230440
やっと朝鮮日報が藤本発言を報道したな。↓
「・・・藤本氏が「日本人拉致被害者が解放されることを願う」と述べた・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/08/24/2012082400669.html
ブックメーカーは、村上春樹が今年のノーベル文学賞を受賞する可能性が一番高いと見ているらしいよ。↓
http://www.guardian.co.uk/books/2012/aug/23/haruki-murakami-nobel-prize-literature
赤露(ロシア)は、支那に対してと同じように仏領インドシナにもホーチミンらの手先を送り込み、彼が創設したインドシナ共産党は、中国共産党よりもあくどいテロ手法でもって勢力を拡張した。
(東アジアで赤露に対する防波堤となっていた日本帝国を叩きのめそうとして太平洋戦争を引き起こした米国(と英国)は過早な大英帝国瓦解をもたらすとともに、東アジア全域を赤露に席巻させた。
その結果、支那で国共内戦、インド亜大陸で印パ戦争、朝鮮半島で朝鮮戦争、インドシナでベトナム戦争と、それぞれ百万人~数百万人の犠牲者を出したところの、(日本帝国が維持されておれば)起こるはずのなかった大戦争がもたらされた。)↓
・・・ By early 1921, he had been recruited in France into the Communist Party. He left for Moscow in 1923, where he enlisted in the Comintern (devoted to supporting the international communist movement) and was trained at the “Stalin School” in revolutionary techniques. In the 1930s he was dispatched as a Comintern agent to organize the Indochinese Communist Party. Working out of China, he would flit back and forth across the Vietnam border and even into Thailand, recruiting and organizing party adherents while evading French security.・・・
<非共産党のベトナムの政治家達を暗殺、北ベトナムで小地主を数千人殺害。↓>
・・・communist “death squads,” soon after, went about assassinating non-communist political leaders in Vietnam. Likewise, he devotes too little attention to the Mao-style “land reform” launched after the Geneva Accords to consolidate the Party’s control over the North, during which thousands of small landowners were murdered.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444226904577559531715193166.html?mod=WSJ_Opinion_MIDDLESecondBucket
経済危機下の英国/欧州で、王室経費がやり玉に挙げられているとさ。↓
・・・As the problems with public finances have intensified, so, too, have the questions about the monarchies and their spending・・・
http://www.washingtonpost.com/business/economy/king-size-costs-european-crisis-puts-new-spotlight-on-monarchies-spending/2012/08/23/073cdb78-e0cc-11e1-a19c-fcfa365396c8_print.html
皆さんとディスカッション(続x1643)
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はじめまして。私は外国人です。西洋人ですがポーランド人ではありません。私は日本語が読めますが、まだ正しい日本語の文章を書くのは苦手です。すみません。太田さんのドイツ・ポーランド関係の認識には誤りがあります。吉武さんのほうがより正しいです。カレツキについて、吉武さんの言うとおりです。直接全文を読んだほうがいいです。ウェブにあります。あとのことも何故誤りかを知りたければ、The EconomistのWeb版のEastern Approachesというブログに来ませんか?そこのコメント欄で英語で議論したほうがいいです。太田さんはきっと英語が上手と思います。そこのコメンターの人たちは質が高いです。ポーランドやその他の国の人々から太田さんの間違いの指摘が相次ぐでしょう。必要な典拠も示してくれると思います。面倒ならいいです。気にしないでください。
言葉が足りませんでしたが、全体主義という括りではアーレントの著書「The Origins of Totalitarianism」の内容は、言わばジャコバン主義という解釈からの「主張」です。構造に着目した実証的なアプローチではありません。Wikipedeiaなんか鵜呑みにせずに、太田さんもぜひ元の資料を読んでみてください。シューマッハの主張についても元の資料は読んでいませんが、実証研究ではないと思います。そもそもこの手の主張であれば、当時の人々は多少なりとも共通して持っていたのではないでしょうか?それを踏まえて、検証に耐えるような実証的な社会科学研究としては、あくまでブレジンスキーの「The Permanent Purge: Politics in Soviet Totalitarianism」をオリジナルとします。そこを出発点としないと売り言葉に買い言葉となり、レトリックの迷路に迷い込みますから。
カレツキについては、社会科学の記述ではちっともアテにならないWikipediaなぞに頼らず原文を直接読まれた方がいいのでは?
http://www.cfeps.org/ss2006/readings/Courvisanos_c.pdf
こちらのほうがHTMLファイルで読みやすいです
http://mrzine.monthlyreview.org/2010/kalecki220510.html
内容を簡単にまとめると、民主主義国で深刻な不景気が続くと完全雇用実現への市民の声(’Something must be done in the slump’)を汲むために往々にして軍事経済が発生し、最終的に戦争となるわけです。そして軍事経済は目標経済の一形態です。この目標経済の目標とは量的目標の意味でしょう。
長文となり、連投いたしますが、おつきあいください。
また、スターリニズムに至る過程の端緒が民主主義だという太田さんの主張は相関関係については特に異論はありませんが、因果関係の点では十分な説得力がありません。一方、カレツキは完全雇用への国民の声をファシズム形成の鍵にしています。そしてスターリニズムへの過程ではこの声が介在しません。類似点というパースペクティヴであれば太田さんの基準はあまり説得力がなく、よく知られたブレジンスキーの研究のほうが適切です。このときノーラン・チャートを参照するのも良いかもしれない。
ユダヤ人の戦後移民については少し時間をください。私は以前に読んだ本(英文)で経緯を知り、それ以来この認識ですが、出典の題名を失念して思い出せません。調べる時間がなかなか取れませんので資料が見つかるまで待ってください。デイヴィスの「God’s Playground: A History of Poland」かもしれませんが、いま手元にありません。私は実はこの話にも少々懐疑的で、戦後ドイツ人がユダヤ人に対して反ポーランド主義的プロパガンダを行った結果アメリカのユダヤ人がミスリードされたのだ、という疑いを持っています。理由のひとつは、ユダヤ人の大半が戦後に東方の地域から直接アメリカやイスラエルなどに渡っていること、二つ目は戦後ドイツ人による表現や統計の誇張が著しいことです。どちらも先に挙げた「God’s Playground: A History of Poland」で指摘されています。ドイツ人はまるで中韓人のようですね。
なお、こういった、政治的な分野でかつ解釈が絡む部分に関しては特にWikipediaは出典としては胡散臭すぎます。もし議論の相手に出典を要求するならば、同様にきちんとした出典を示すべきではないでしょうか。そしてそういった資料を踏まえたうえで太田さんの主張を読みたいものです。
さて、いま一度私の意見ですが、ドイツと日本、ポーランドやチェコと韓国朝鮮を比較すればするほど、違いが際立ってきて、とてもじゃないがドイツと日本を同じ立場とすることはできません。日本が韓国朝鮮に対して、ドイツがポーランドにやったような凄惨な統治をしましたか(韓国朝鮮ではそう教えるそうですが)?戦争直後のポーランドの市民に対してドイツ人にも無実の人がいるのだから復讐するなと言うのは、おかしな話です。加害者を犯罪者として個別に粛々と処罰するならともかく、後になって人倫なぞという迂遠なことを持ち出して「ポーランド人」全体を対象として糾弾するなど、すべきでないと思います。そもそもあれはあれで仕方のないことであり、起きないほうがおかしい。
さらに言えば、追放されたドイツ人のうち多数がポーランドの市民からの被害を受けたという主張や研究はちょっと眉唾です。なぜなら、そもそもドイツ人が西へ追放されるとき、論理的に考えてその経路にポーランド人がそんなに居たはずがありません。ポーランド国民が押し込まれていた旧総督府がその地域より東にあったという地理的状況がそのevidenceです。また旧総督府にドイツ人の民間人はまず居ませんでした。(たとえばシレジアでのサロモン・モレルの犯罪は有名ですが、あれはもともとNKVDがドイツ人を捕まえて強制収容所にブチ込み、管理業務をポーランド側に移したことが背景にあります。)
ドイツの誇張については、旧西側では冷戦時代終結までにその点に着目した研究者は少なくとも私はディヴィスを除いては知りません。以前にドイツが占領していた旧シュレジェン、旧ヴァルテラント、旧ポンメルン、旧プロイセンなど、第一ポーランド軍団のようなポーランド人の部隊はそんなところに留まっていませんでしたし、たいした武器もないポーランド市民がドイツ人を100万も200万も殺したというならば、ポーランド市民は南京で30万人を虐殺した(と中国が言っている)日本軍を超える、世界最強の戦闘民族ということですな(ネット上でそんな言い回しが流行していますね)。私は実際の加害者の筆頭としてソ連軍を疑っていますが。
“Obstinate ignorance is usually a manifestation of underlying political motives.” –ミハウ・カレツキ
以上です。