太田述正コラム#5831(2012.11.8)
<皆さんとディスカッション(続x1716)>
<太田>(ツイッターより)
 香港の6歳の少年のピアノ演奏だ。
 スゲエ。
 真ん中あたりから。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=6dLkyJJ4x3s
<od9YnDbO0>(「たった一人の反乱」より)
≫何百万人もの人々が数日から数週間も、電力、水道、暖房なしの生活を余儀なくされ、病院入院患者は避難生活を送らされようとしている。・・・
 米国は、そのインフラをまともなものにするには、2050年までの間の毎年、投資額を現行の6割増しにしなければならない。≪(コラム#5827。太田)
 ↑TVのNEWSで、ハリケーン(日本の台風)が来そうなので、食糧を買いだめしようとするアメリカ人の様子を見て不可解に思ったものだが、納得した。
 要するに、インフラのレベルが低いということなんだな。でも、不思議な気もするなあ、アメリカの家はデカくて、頑丈そうに見えるのだが・・・。
<太田>
 全米どこでもインフラがガタガタだというのはその通りだが、(典拠抜きでスマンが、)NY以北の米東海岸は、(大陸漂流の前はくっついてた)「母国」の英国同様、地震もなければ台風(ハリケーン)もない・・竜巻もない・・はずのところに、台風が、(しかもこんな時期に)襲った、ということは忘れちゃならないだろうね。
 そもそも、この一帯に防波堤なんて全然ないみたいだよ。
 ちなみに、英国でも1987年にめずらしく大風が吹いたら、巨木がもろくも軒並み倒れて大騒ぎになったということがあった。
 なお、(英国のこの大風はともかく、)今回のサンディは、地球温暖化のせいだ、という認識を多くの米国人が抱くようになったことも、オバマの勝利にとって「神風」となったおもむきがある。
<HE4GHw7h0>(「たった一人の反乱」より)
 「中国人「日本では首相がコロコロ入れ替わるのになんで混乱しないの?・・・
 日本には上に天皇がいて、下には公務員集団がいる。
 首相は民衆の不満のはけどころとしての見世物にすぎない」という意見もあった。・・・」
http://kugelschreiber.ldblog.jp/archives/19176516.html
 ↑
 天皇が権威を担って官僚が権力を担うという大田説と同じような見方をしている人が中国の一般人にもいるようです。
<4EXPPKgS0>(同上)
>天皇が権威を担って官僚が権力を担うという大田説
 太田さんが「官僚が権力を担うという説」を具体的に唱えたことってあったっけ?
 権威は天皇だったが、権力の根っこはあくまで議会が握っていた=戦前から日本は民主主義的国家だったというのが太田さんの主要な主張の一つじゃないかな?
 細かいことは「防衛庁再生宣言」を読むか、コラム#47「先の大戦中の日本の民主主義」、#48「先の大戦中の日本の民主主義(続き)」
http://blog.ohtan.net/archives/50955788.html
http://blog.ohtan.net/archives/50955787.html
あたりを読んでもらうとして、太田さんの日本民主主義論の主要な論点を以下に簡単に書き出してみます。
 「だが、憲法において議会に予算議定権および立法権が認められている以上、現実には政府が議会の多数党を無視して政権運営にあたることは困難であった。
 そのため、政権を安定させるには、政府は議会第一党および多数の議席を保有する政党との連携が必要であった。」
 政党内閣
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BF%E5%85%9A%E5%86%85%E9%96%A3#.E6.88.A6.E5.89.8D
 上記(ここで言う憲法は明治憲法)に加えて統帥権の独立の問題に関しては下記のとおりで、これらの制度は戦中においても基本的に維持されていた。
 「太田:そもそも帝国憲法について、いわゆる統帥権の独立以外の解釈の余地がなかったのか個人的には疑問に思っている。仮に統帥権が独立していたとしても、政府には軍部に対する予算統制権(行政府及び議会)、立法権(行政府及び議会)や人事権(行政府)があったことを忘れてはならない。」(コラム#35<北京でのやりとり>)
http://blog.ohtan.net/archives/50955800.html
  以上に加えて、
・大正デモクラシー以降、普通選挙(25歳以上の男子限定)が実現された。
・国家公認の憲法学説であった天皇機関説が、昭和10年の事件で、天皇が統治権
の主体であるとする説が採用されたが、昭和天皇は一貫して天皇機関説信奉者で
あり続けたために、天皇主権説は、ついに天皇機関説に取って代わることは
なかった。(コラム#2059<退行する米国(続)>)
http://blog.ohtan.net/archives/51030226.html
 以上、太田さんの日本民主主義論がこんな感じで間違っていないとしたら、 「官僚が権力を担うという説」とは相容れないんじゃないかな。
 よかったら、太田さんが、官僚が権力を担うという意味のことを発言した箇所を具体的に挙げてみてくれると嬉しいんだけど。
<HE4GHw7h0>(同上)
 太田さんが戦前や戦中の日本に関して、「太田コラムの読者だったら、戦前や戦中の日本が民主主義的国家で あるということくらいは常識にしてくだしゃんせ。」(コラム#4119)という趣旨を述べていることは自分も承知してますが、戦後に関しては、「戦後日本で「政治家が主導しない」のは、私に言わせれば、安全保障と外交の基本を宗主国米国にぶんなげている状況下においては、中央政治が存在せず、従って中央政治家がやるべき仕事が基本的にないため、「政治家が主導」する必要が基本的にないからです」(コラム#4141)という趣旨も太田さんは繰り返し述べていますし、<先ほど紹介した>中国人の発言はあくまでも最近の日本に対する意見でしょうから、日本の政治家はお飾りにすぎないとする中国人の意見と そう違わないのではないでしょうか。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 惜しい! 弥生・縄文モード論まで後2歩って感じだね。↓
 「・・・中世から現代まで、日本の歴史は中国化と再江戸時代化の両極のあいだを揺れ動いてきたと・・・與那覇潤・・・はいう。・・・」
http://book.asahi.com/reviews/column/2012110600001.html
 関係者は振り回されて大変だったろうが、面白かったなあ。↓
 「3大学新設、田中文科相が「認可」・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/1107/TKY201211070750.html
 米国の右派の多くは、ロムニーが勝利するであろうことを最後まで信じて疑わなかったようだね。
 (Foxニュース等の)右派のメディアが、勝利予測を直前まで流し続けたからだってんだけど・・。↓
 ・・・The big media story emerging from President Obama’s reelection is the fact that so many on the right were so stunned by the results.・・・
 Increasingly, the public consumes media that reinforce personal views rather than give actual information about the world・・・
http://www.csmonitor.com/layout/set/print/USA/Elections/Vox-News/2012/1107/Surprise-at-Obama-s-victory-illustrates-growing-partisan-divide-in-US-media
 米国で、何で大統領選でも上院選(3分の1改選)でも民主党が勝利したのに、下院選では民主党が敗北したのか。
 そのかなりの原因は、共和党によるゲリマンダーのせいだって。
 この記事に載ってる地図を見ると、各選挙区の形がどんなに異常かが分かるよ。↓
http://www.slate.com/blogs/weigel/2012/11/07/how_ridiculous_gerrymanders_saved_the_house_republican_majority.html
 
 19世紀初めの米国の家庭では、家の中のものの20%が支那製であるところが少なからずあったんだとさ。
 今まさに、当時の姿に戻りつつあるってわけ。↓
 ・・・Over time, the imports would eventually make up as much as 20 percent of the items in some American homes.・・・
  The 20 percent figure, referring to many of the homes in Boston and Salem, Mass., is from the early 1800s. Back then, fantastic Chinese paintings, wallpaper, and dinnerware made up a major chunk of the personal property of Americans who could afford them.・・・
 <同じ書評中の別の本についての部分だが、鉄道が米国をつくったとよ。↓>
 Christian Wolmar, a British railway scholar, argues・・・that “America was made by the railroads.” He thinks they united the country, turned it into an industrial sensation and provided the spark for world dominance.・・・
http://www.csmonitor.com/layout/set/print/Books/Book-Reviews/2012/1105/When-America-First-Met-China-and-The-Great-Railroad-Revolution
 矢じり(「高度」な石器)の登場が、これまでは4~5万年前と考えられていたところ、約20万年前に遡るらしいことが分かったって。↓
 ・・・mental abilities associated with modern humans emerged when anatomically modern humans did, about 200,000 years ago, rather than resulting from a genetic mutation cropping up between 40,000 and 50,000 years ago, as others have posited.・・・
http://www.csmonitor.com/Science/2012/1107/When-did-humans-get-smart-Maybe-a-lot-earlier-than-some-thought.
 やっぱそうだったか。↓
 「「褒められると伸びる」は本当―。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012110801000841.html