太田述正コラム#5851(2012.11.18)
<皆さんとディスカッション(続x1726)>
<太田>(ツイッターより)
 現地時間の昨日エジプトの首相が訪問したガザ首相府を、本日イスラエルが空爆し、その跡を今度はチュニジアの外相が激励のために訪問。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-20374282
 このほか、集中的にミサイル施設・集積所が空爆されてるからガザ側は発射せざるを得ず、結果はイスラエル地上侵攻必至?
 「…(記者は)…礼儀正しく秩序を守り、他人に配慮する日本人と、石原氏の妄言を容認する日本社会との乖離(かいり)に絶望を感じる。…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/11/18/2012111800037.html
 ちゃう。赤穂浪士による「復讐」と石原の「妄言」に喝采が送られるのは、潜在意識下の反米意識のなせるわざだわさ。
<Zg2rmRGE0>(「たった一人の反乱」より)
 石原が支持されてる理由って反米意識じゃなくて反中、反韓意識じゃね?
<太田>
 チミ、よー読まなあかん。
 「顕在意識上」ではそうかもしれんが、「潜在意識下」では反米意識だと言うとるんやねん。
 吉田ドクトリンの下、反米意識を持つことは強く抑圧されとるもんやから、数百万人をなぶり殺しにされた米国じゃなく、強姦しまくり捕虜虐殺をしまくった支那、植民地支配をした朝鮮半島に日本人の閉塞感が代償的にぶちまけられてるってことや。
 慎太郎爺は文士あがりやから、この潜在、顕在両意識を感性でキャッチし、巧まずしてその両意識の橋渡しを「妄言」の形でやっとるんよ。
 なお、赤穂浪士の話は、コラム#29を見りゃれ。
 反米意識については、サイデンステッカーに触れたコラム#250もな。
 ところでと、この朝鮮日報の記事、「最近の世論調査で「比例代表選挙の際、どの党に投票するか」という質問に「石原新党」は9%の支持を獲得、執権政党の民主党(10%)とほとんど差がなかった。特に東京エリアでは、石原新党が18%と民主党(5%)を圧倒的に上回った。」としているが、一体どこの世論調査かしらん。
 読売の世論調査じゃ、かなり違った結果が出てるが・・。↓
 「・・・日本維新の会と太陽の党に対する世論の視線は厳しい。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/20121118-OYT1T00230.htm?from=top
<s1iQqsRH0>(「たった一人の反乱」より)
 現代政治において大同団結という言葉は、戦時でもない限り、意味としてはネガティブ以外の何ものでもない。
 何のための政党政治なのか。
 それぞれが追求すべき政策・理念を自ら棚上げして政治権力を追求し、目先の政策実現に固執することで、長期的には国を蝕んでいることを皆が半ば知りつつ、それでも勝ち馬に乗るのがやめられない。
 そんな戦後日本の堕落した政治からの脱却を、自ら傷を負ってでも成し遂げようとしているのが野田首相ではないのか。
 小泉元首相の自民党をぶっ壊すという、かけ声は、知ってのとおり自民党を何らぶっ壊さなかった。
 しかし野田首相は、かけ声ばかりで誰も実行に移すことができなかったことを、馬鹿正直に貫いて、利害でも打算でもなく、理念により民主党をぶっ壊したのだ。
 この国で政界再編が叫ばれて、もうどれだけの時が経っただろうか。
 事ここに及んでも時計の針を戻そうとする者達、変わらない自民党、我々はこのような連中に政権を託そうとしているのだ。
 社説:「第三極」の結集 違いは、ささいでない
http://mainichi.jp/opinion/news/20121114k0000m070137000c.html
 第三極結集は「大異小同」=高村自民副総裁
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_547772
(↑どの口で言うのか)
 集団的自衛権行使の政府憲法解釈の変更についても、彼らに実現できるとは思えない。
 なぜなら、それを実現しようとすれば、根強い国民の反発を招くことは避けられないからである。
 すなわち、集団的自衛権行使の実現のための必要条件の第一は、国民の支持を失い権力を失うことを恐れないこと、つまり、覚悟を持った政治家であるか否かであるからである。
 しかし、希望はある。
 来年7月の参院選までに、自民党と第三極による連立政権が、政策・理念がバラバラであることもこれあり、政権運営が利害関係と打算の果てに混迷し、支持率が大幅に下がることは十分考えられる。
 そのような背景のもとで7月の参院選で民主党を中心とした非連立勢力が勝利し、非改選議席と合わせて参議院で過半数を取ることができれば、即ち、ねじれ国会となる。
言うまでも無く、その時点で民主党の勢力が大きければ大きいほど、解散総選挙に(早く)持ち込むことができるのだ。
 ちなみに、民主党が少数与党に転落した2010年7月の第22回参議院議員通常選挙における民主党の得票率は、比例代表が31.56%、選挙区が38.97%、自民党は、比例代表が24.07%、選挙区が33.38%である。
 第22回参議院議員通常選挙
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC22%E5%9B%9E%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%80%9A%E5%B8%B8%E9%81%B8%E6%8C%99#.E6.8A.95.E7.A5.A8.E7.8E.87
 以上により、今回の総選挙において投票するべきは民主党であり、他の選択肢は論外であると結論する。
<太田>
 もちろん、自公・第三極連立政権なんて、暫定的なもんであり、その間、集団的自衛権の解禁(と防衛費増額)だけをやってもらって、その次には、民主・第三極連立政権を樹立しなきゃならない。
 (来年の参院選では、第三極が衆参両院でキャスティングボートを握れる結果になることを期待している。)
 さもないと、癒着政治に戻っちゃうのは必至だからだ。
 誰かが心配してたように、第三極だって自民の癒着文化に汚染されないとは限らないしね。
 だから、民主党が壊滅「的」敗北をするのはかまわないが、ホントに「壊滅」してもらっちゃ困る。
 なお、みんなの党にだって、票を投じるなとは言ってないからね。
 共産党程度には票を入れろと言ってるんだよ。
 癒着に対する、永久野党の監視役が極左の共産党だけじゃ心もとないので極右のみんなの党もいてもらわなきゃ困る。
 (ボク自身、赤旗には随分お世話になったし、みんなの党にも、大成して欲しい立候補予定者が複数いるしね。)
 ただし、一部繰り返しになるが、みんなの党の政策は、よく言えば冗談、悪く言えば統合失調症としか思えない。
 真の政治主導を実現すると称しつつ、見返りなしの天下り禁止だの、公務員数の削減だの、到底実行不可能なことを言ってるし、自衛隊のことを思っていると称しつつ、領域防衛に徹するなどと最も反自衛隊的な言辞を弄してるんだからねえ。
 (何度も言ってるように、自衛隊なんか存在しなくても、日本の領域は日米安保だけで防衛可能だからだ。)
 混乱しちゃうかもしれんが、ついでに言っとこう。
 自民党が「タカ」「ハト」の猿芝居を止め、その上で癒着を脱した暁には、(公抜きの)自民・第三極・民主の大政翼賛会の復活の方向に自然になるはずだよ。
 これも何度も言ってるように、二大政党制が「機能」する社会なんて不幸な社会であり、日本は世界の自由民主主義的国家の中で、最初に(既に戦前に)そのような社会を克服することができたんだからね。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 なかなかエエやないか。↓
 「日本維新の会は17日、太陽の党との合流に際し8項目の基本政策で合意した。「強くてしたたかな日本をつくる」と題し、衆院選公約の柱となる。中央集権体制の打破を目指し、橋下徹大阪市長が主張した消費税の地方税化と「税率11%目安」、地方交付税の廃止を明記した。脱原発依存の主張は大幅に後退した。
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加と農業の競争力強化策を掲げた。エネルギー政策では、原発の廃止時期は明示せず、安全基準などのルール構築と、電力市場の自由化を盛り込んだ。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121117/stt12111723180025-n1.htm
 かつての右翼の皇室命的言動は国民からは完全に浮き上がったものであり、要は、日本は世界中で最も君主制が機能している国なのさ。
 その理由は、歴代天皇(君主)がおおむね職務に徹してきたからだ。
 それよか、中共でさえ、「天皇」という言葉を使ってるのに、朝鮮日報まで、いつまで「日王」なんて言葉を使い続けるつもりなのさ。↓
 「謝罪や反論の自由がない<とされている>日王・・・日本は英国やオランダのような立憲君主制国家だが、日本と英国・オランダなどの間には厳然たる違いがある。英国では、君主制が必要かどうかを問う世論調査で「王室は必要ない」という回答が過半数を占めたという結果が報じられた。しかし日本では、皇室の存在について是非を問うこと自体、タブー視されている。日本はまだ近代国家ではなく「前近代国家=神の国」だからだ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/11/18/2012111800039.html?ent_rank_news
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 本日、所用があるので、残りは明日。
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太田述正コラム#5852(2012.11.18)
<ユダヤ人はなぜ優秀なのか(その1)>
→非公開