太田述正コラム#5905(2012.12.15)
<皆さんとディスカッション(続x1750)>
<太田>(ツイッターより)
 「日本人が交通ルールをしっかり守ることは、周知の事実だ。これは、科学的で整備された交通法規と素養教育のなせる業であると同時に、公的な場での日本人の相互信頼関係によるところが大きい。…」
http://j.people.com.cn/94475/8054844.html
 二番煎じ記事だが、ヨイショが過ぎてこそばゆいなあ。
 18名の子供を含む27人が死亡した銃乱射事件を受け、先進国で最も銃規制の弱い米国と強い日本が比較されている。
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/12/14/the-japan-lesson-can-americans-learn-from-the-country-that-has-almost-zero-gun-deaths/
 筆者が示唆しているようにどっちも行き過ぎだ。
 前者は宗主国の銃規制をはねかえした独立国、後者は宗主国の銃規制に従った属国ってこと。
<太田>
 関連データの各国比較データをどうぞ。↓
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/12/14/chart-the-u-s-has-far-more-gun-related-killings-than-any-other-developed-country/
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/12/14/schoo-shooting-how-do-u-s-gun-homicides-compare-with-the-rest-of-the-world/
<grA4nAwK0>(「たった一人の反乱」より)
 もうやめてもいいですが、あえて書きます。
 もっと簡単に書きましょう。
 「「壊滅」してもらっちゃ困るから民主に入れてもいいよ」と思っている人が、「「壊滅」して もらっちゃ困るから民主に入れる」と言っている人に対して、「民主に入れるのは私情」と断言し、続けて民主の「壊滅」についてのフォローも一切なく、すべきこととして挙げるのが第三極に入れること「だけ」なのは、論理的にオカシイでしょ、と言ってるんです。
 再度言いますが、これは事実確認をしているだけです。
 民主党の「純化」について思ったことを。
 小沢派議員を離党させ、権力に固執する議員を離党させ、考えの異なる議員を離党させたことで、つまり選挙戦スタートの段階で「純化」の作業は終わっています。
 民主党現職で選挙に臨む議員は主体的に「残った」のであり、新しい候補は劣勢であることを百も承知で民主党から立候補することを「選択」しています。
 「純化」の作業が終わっている以上、それ以降は仲間の議員が増えてほしいに決まっています。
 だから選挙で議員を減らすことが「純化」だと思っているのなら、それは見当違いです。
<Nlb9TLzh0>(同上)
 逆風民主、結束を優先 純化路線封印、守りの戦い 衆院選
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121205-00000068-san-pol
 純化作業終わってるってのはさすがに無いわー。
>続けて民主の「壊滅」についてのフォローも一切なく
 一々フォローして貰わんとダメ?
 たかじんの番組出てた当時以前から一貫して「行間を読め」ってスタイルの人じゃん。
 それで志方俊之が「私は<太田さんの編纂した>防衛白書の行間を読む能力がなかった」つって将兵を率いて北海道行っちゃった<(=北部方面総監として、北の守りにマジでついていた)>って話してたし。
http://www.ohtan.net/video/takajin20071104.html
<dnc6KRpN0>(同上)
 たかじんの番組出てた当時以前から一貫して「行間を読め」ってスタイルの人じゃん。
 いやいや、まさしく、
民主に投票するなというメッセージを行間から読んだ<grA4nAwK0クン>
 VS
そんなメッセージを行間に書いたつもりは無い太田さん
の行間読み対決なんだよw
<fj/hOlqq0>(同上)
 行間読まなくても一連の流れを普通に読めば民主に入れずに維新の会に入れろって読み取っちゃうよ。
 ただ、確かに太田さんは「維新の会に投票しましょう」とは言っても「民主党に投票してはいけません」とは一度も言って無いんだよな。
 この辺りがミソなんかねえ?
<ANMLe7+s0>(同上)
 行間を読んだぞ!
 自民に投票したぞ!!
<WugSiViu0>(同上)
 吉田ドクトリン信奉者がアホだってのは再確認出来たよ
<太田>
 最初に、民主党で「選挙戦スタートの段階で「純化」の作業は終わってい」たかどうかについて一言。
 選挙について少しでも知識があれば、「純化」・・私の言う野田党化・・が終わってるワキャないことが分かるハズだ。
 民主党に関しては、一年生議員の大部分やその他の議員の多くは、風で当選しただけで、ジバンもカンバンもカネも乏しい。
 しかし、民主党そのものには、カネ(政党助成金)とジバン(労組票等)がふんだんにある。
 彼らが、民主党から出て新党に移れば、この二つを失っちまう。
 他方、ひょっとして新党には若干なりと風が吹くかもしれない。
 というわけで、野田に人間として私淑するか、あるいは野田のとってきた政策に賛同するかどうかはそっちのけで、民主党に残るか新党に移るか・・場合によっては旧党(例えば自民党に移るか!)・・という究極の選択を行った結果、ダメ元で民主党に残った議員、つまりは「不純な」議員がたくさんいるに違いないってことさ。
 こんな「不純」な議員は、当然、有権者に見透かされて、今回の選挙で落選することになり、その時点で、ようやく民主党の「純化」はほぼ達成されることだろう。
 さて、これからが本題だ。
 野田首相の外交・安保戦略のホンネの解明に引き続き、遅ればせながら、中共当局の対日政策のホンネを解明できたように思う。
 要するに、ボクが開陳した野田の外交・安保戦略のホンネなんて、このところ外国の風にあたってないために、外交・安全保障感覚が若干風化してるボクなんかより、中共当局の方がよほど前から的確に見抜いていたに相違ない。
 つまり、野田が、対米配慮もしつつ(注)脱吉田ドクトリンに向けて着々と布石を打って来たことに、中共当局は、危機意識を募らせ、だからこそ、尖閣購入に野田が動き出した時に、これを石原の動きを奇貨とした実効支配強化策だと深読みして、過剰なまでの反応をした、と考えられるんだな。
(注)例えば「ミサイル:日米が九州にXバンドレーダー配備へ 2006年の青森に続き・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/15/2012121500429.html
 そして、それを契機として、中共当局が、尖閣で次々に攻勢に出ているのも、そして北朝鮮のミサイル発射に微温的態度をとっているのも、日本の有権者を刺激することで、「タカ」派の(ただし実際にはいまだに「ハト」派の)自民党に政権を奪取させるためだ、と考えれば、平仄が合う、と見るわけだ。
 他方、消費税を通したことで民主党敗北を予見していた野田は、中共当局のこんな意図を読み切っており、自民党が政権復帰した場合に、自分がやってきた脱吉田ドクトリン路線が後戻りするようなことがないよう、あえて吉田ドクトリン的な民主党マニフェト等を打ち出し、自民党や維新との違いを際立たせることで、この両党の尻を叩いて脱吉田ドクトリンにコミットさせ、逃げられないようにした、とボクは考える。
 この関連で、昨日の記事だが、朝鮮日報に参考になる話が載っている。(吉田ドクトリン云々ズバリじゃないけどね・・。)
 中共当局も野田も、自民党と維新をこんな風に見てるって思った方がいい。↓
 「・・・自民党<が>・・・政権獲得後、尖閣諸島(中国名:釣魚島)に公務員を常駐させたり、「竹島(独島の日本名)の日」を政府主催の行事に格上げしたりすることで、韓国や中国との関係が極度に悪化し、経済にも悪影響を与えかねない・・・。日本は今年、貿易赤字が予想されるなど、景気が悪化の一途をたどっているが、ここで中国との争いが深刻化した場合、経済に悪影響を与える可能性が高い。
 東京大の木宮正史教授は「安倍総裁はかつての首相在任中に靖国神社を参拝せず、中国や韓国を訪問するなど現実的な外交を繰り広げただけに、今度も公約通りには行動しないのではないか」との見方を示した。だが、公約を実行しなければ、極右の石原慎太郎・前東京都知事が率いる日本維新の会はもとより、自民党の右派からも攻撃を受けかねない。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/14/2012121400490.html
関連でもう一つ。
 タイム誌は、自民党と維新を合わせても支持率が3分の1に達していない、つまりは両党のアジェンダが有権者の広範な支持を受けていない以上、自民党が政権を回復したところで、何ほどのことができようか、と切り捨てる記事を載せている。↓
 ・・・the LDP・・・isn’t limning the popular mood, with little more than 20% support. ・・・
 The JRP’s popularity ratings barely break 10%・・・
 Sadly, the polls on Dec. 16 won’t bring much change on either front. Japan will muddle on.
http://world.time.com/2012/12/14/a-nervous-japan-swings-right-ahead-of-dec-16-polls-but-dont-expect-real-change/
 これも、同趣旨の記事だな。(前の方で述べたことともからんでる。)↓
 <今の日本では、大衆と(政治)エリートとの間に断絶がある。↓>
 ・・・there is a profound disconnect between elite alarmism and public quietude.
 <ただし、石原のおかげで、自民党と大衆はちょっとは右傾化した。↓>
 Ishihara’s antics have succeeded in one respect, however: pushing the LDP and public discourse to the right on foreign policy.・・・
 <また、タカ派が首相になった時に後退しちまうのを石原と橋下が懸命に止めようとするだろう。↓>
 Ishihara・・・<and> Toru Hashimoto,・・・two nationalist firebrands will work hard to keep the LDP honest and prevent the moderate backsliding that usually occurs when a hard-line candidate becomes national leader.
 <しかし、米国同様、選挙の帰趨を決めるのは外交(・安保)じゃない。安倍はせいぜい米軍との協力度を高めることに限定した集団的自衛権解釈変更でお茶を濁すだろう。↓>
 But,・・・Like in the United States, foreign policy doesn’t decide Japanese elections. ・・・Abe will probably secure a reinterpretation of the constitution to stretch the envelope of what is deemed constitutional, without tabling legislation or revision, allowing for expanded security cooperation with the United States.
 <そもそも、安倍は見かけほどタカかどうか疑わしい。前回彼が首相になった時もすぐ中共訪問をして関係修復を図った。今回も似たようなことになる可能性がある。↓>
 Nor is it clear that Abe will be as hawkish as his rhetoric suggests. Last time he was premier, he quickly moved to thaw ties with China by visiting Beijing. There are hopes that he will again try to hit the reset button on bilateral ties and reach out to China’s new leadership. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/12/14/tokyo_hawks?page=full
 いずれにせよ、こんな記事は完全なピンボケだな。↓
 「・・・中国機による日本の領空の侵犯は過去に例がない。このタイミングで従来より一歩踏み込んだ挑発を行った背景については、「衆院選で日本側に『政治空白』が生まれている隙をついた」(首相周辺)との見方が出ている。」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121214-OYT1T00491.htm?from=ylist
 ようやく、E-767のお出ましだ。
 森本防衛相、空自出身だというのに、領空侵犯されちゃってからあわてて弥縫策を講じるなんて、チトひど過ぎるんじゃないの。
 もう先が短いから、誰も辞任を要求してないが・・。↓
 
 「政府は・・・高度な航空機の識別能力を持つ空中警戒管制機(AWACS)やE2C早期警戒機の飛行を増やして監視の“穴”を防ぐ方針だ。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012121401002099.html
 「米、尖閣領空侵犯で「懸念」 中国に直接伝達・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012121501001131.html
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 残りの記事は明日以降回しにします。
また、一人題名のない音楽会は、一回お休みです。(太田)
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太田述正コラム#5906(2012.12.15)
<日本の対米開戦はスターリンの陰謀?(その5)>
→非公開