太田述正コラム#5939(2013.1.1)
<皆さんとディスカッション(続x1767)>
<太田>(ツイッターより)
 「尖閣沖に中国監視船3隻が一時侵入…」
http://news.livedoor.com/article/detail/7280899/
 うれしー!
 中共当局が安倍首相を真正タカ派であると認定したぞ。
 次は領空侵犯を期待。
 それをやったら公務員の尖閣常駐で、それに対して中共も何かやらなきゃならなくなる。
 その先は、と思い描くだけでも心が踊る。
<太田>
 最近の未公開コラム(コラム#5934、5938)でも改めて取り上げているように、現在の中共は、下掲のような深刻な危機下にある。↓
 「・・・上海エリス・コンサルティングの立花聡・総代表(48)。反日デモについて、・・・「いわばデモのための反日であり、反日のためのデモではなかった。反日は大義名分となり、今後も悪用される」・・・という。・・・
 中国は政府関係者や既得権益層など20%の特権階級が国家の富の80%を握るとされる。不正蓄財での富のゆがみが大きく、中間所得層による爆発的な消費市場の拡大は望み薄とみる。
 立花氏は、「低成長時代に入ると一部の特権階級は中国でのうまみを失い、不正蓄財を含む資産を持って海外に逃げ切ろうとするだろう。そうなれば大多数を占める負け組だけが取り残され、13億人の中国は“幻の市場”に。社会動乱の要因が拡大する」という。」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121231/chn12123122070002-n1.htm
 経済を解放してしまった中共当局は、腐敗と抑圧を糾弾する国内外からの批判の声に晒され、次第にその耐性限界に近付きつつあるように見受けられる。↓
 温家宝の家族の「不法」蓄財を暴いたNYタイムスの記者がビザを更新されず、中共退去を余儀なくされ、同紙北京支局長もビザ更新が留保されている。↓
http://www.guardian.co.uk/world/2012/dec/31/china-new-york-times-journalist
ノーベル平和賞受賞者で投獄中の劉暁波(Liu Xiaobo)の奥さんの劉霞(Liu Xia)・・北京の自宅で軟禁中・・を5人の人権活動家が12月28日に強行訪問し、その時の映像をユーチューブにアップした。↓
http://www.guardian.co.uk/world/2012/dec/31/chinese-dissident-liu-xiaobo-wife
http://www.youtube.com/watch?v=VJumioueaAo
 中共当局としては、対処手段は経済成長の継続とナショナリズムの喚起しかないが、例えば尖閣で対日攻勢に出ることで短期的には国内の不満をそらすことができても、対日攻勢には軍事的にも経済的にも限界があり、そのことが不満を更に募らせてしまう、という、いわば死のスパイラルに、彼らはからめとられてしまっている。
 しかも、そう遠くない将来に経済成長も大幅鈍化することは避けられない・・どうしてかはここでは立ち入らない・・のだから、中共当局は、完全に追い詰められた心境になっていると思ってよかろう。
<太田>(ツイッターより)
 正月早々から失礼するが、経済危機下の欧州5か国(アイルランド、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、ラトヴィア)の陰鬱な写真(19枚)をどうぞ。http://lens.blogs.nytimes.com/2012/12/31/the-human-toll-of-europes-economic-statistics/ … あそうそう。今年もどうぞよろしく。
<太田>
 上記サイトで補足しておこう。↓
 <ギリシャのGDPは25%減少し全般失業率は4分の1(若者は50%)↓>
 ・・・the Greek gross domestic product has shrunk by 25 percent. The unemployment rate among young people is now at 50 percent, and over all about one fourth of Greeks are out of work.・・・
 <アイルランドの国債比率はGDPの117%・・日本より全然低いが事情が異なる(太田)・・↓>
 Ireland has a debt burden of 117 percent of its annual G.D.P.
 <スペインの失業率は25%超、ポルトガルは3年続きの景気後退になるのが必至で失業率は16%近い。↓>
 Spain’s unemployment rate is more than 25 percent, and the Portuguese government is predicting a third consecutive year of recession in 2013, with unemployment reaching nearly 16 percent.・・・
 <既に欧州の景気後退は5年目に入ろうとしている。↓>
 When the economic crisis first hit in 2008, many Europeans assumed they were facing a couple of bad years. But the crisis, now in its fifth year, seems to go on and on, using up unemployment benefits, eating through savings accounts and dashing dreams of an easy retirement. ・・・
<kunidog>
≫どうでもいいから、無条件の集団的自衛権解禁を!≪(コラム#5937。太田)
 現在の政権が無条件の集団的自衛権の解釈変更を行うなど考えにくいのでは?
 この記事
http://p143.pctrans.mobile.yahoo-net.jp/fweb/1231xgNp2tRfHbMS/0?_jig_=http%3A%2F%2Fsankei.jp.msn.com%2Fpolitics%2Fnews%2F121231%2Fplc12123102070001-n1.htm&_jig_keyword_=%88%C0%94%7B%20%8FW%92c%93I%8E%A9%89q%8C%A0&_jig_done_=http%3A%2F%2Fsearch.mobile.yahoo.co.jp%2Fp%2Fsearch%2Fonesearch%3Ffr%3Dm_top_y%26p%3D%2588%25C0%2594%257B%2B%258FW%2592c%2593I%258E%25A9%2589q%258C%25A0&_jig_source_=srch&guid=on
からも対米追従型の限定的(密接な関係な国のみの)集団的自衛権解釈変更が行われる可能性が高いと考えます。
 それでも、太田さんが無条件の集団的自衛権解釈変更が行われると仰る根拠はあるのですか?
 (もし過去コラムであげておられるのでしたら、申し訳ありません。)
<太田>
 考えにくいというのはおっしゃる通りですよ。
 ただし、安倍首相マークIIが安倍首相マークIとは違って、真正タカ派に脱皮した可能性はなきにしもあらず、とも考えている旨申し上げてきたところです。(コラム#5909)
 そこで、盛んに当コラムでけしかけているわけですよ。
 幸い、中共当局が、考えを改め、安倍首相が真正タカ派に脱皮したと判断するに至った兆候があります(上述)が、意を強くした次第です。
<TA>
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
≫既に指摘したように<(コラム#5934(未公開)、コラム#5935)>、オバマは、中共<を、その経済成長が著しく減速した危機的状況に至る>までに打倒しようと着々と布石を打っている、と私は見るに至っているわけです。≪(コラム#5938(未公開)。太田)
 ここで言う「打倒」とは、具体的にどういった史実を思い浮かべればよいのでしょうか。イラク戦争のような直接的軍事力の行使(熱戦)によるフセイン体制の「打倒」でしょうか。それとも、ソビエト連邦を崩壊せしめた冷戦と連邦を構成していた各国の独立でしょうか。
≫我々以上に世界は日中情勢の緊迫化に強い関心を抱いているってことだ。≪(コラム#5937。太田)
 フォーリン・アフェアーズに『2013年の世界― 七つの危機』(どう数えても六つなのだが・・・)なんてのがありました。↓
 「2013年の世界政治を規定する重要な懸案は何か。われわれは、グローバル経済の停滞、アメリカの財政危機、中東での権力抗争、アフガニスタンからの北大西洋条約機構(NATO)軍の撤退、東アジアにおける領有権論争、そしてインターネットの自由をめぐる対立をその主要な懸案として特定した。CFRの予防行動センターは、すでに、2013年における紛争の潜在的帰結をまとめたリポートを公開してい
る。・・・」
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201212/Lindsay.htm
<太田>
 オバマ政権は、中共を内部崩壊させようとしているところ、その手段として、(かなり無理をして)東アジア/西太平洋における米軍増強を進めるとともに日本の自立を実現しようとしている、というのが私の最新の見立てです。
 そうだとすれば、尖閣問題に世界が注目するのは当たり前でしょう。
<U07Dz3xh0>(「たった一人の反乱」より)
 ホームページがどこを指すかで齟齬がある感じ。
http://twitter.com/jpn1_rok0/status/285681468708098048
 ホームページではなく、トップページと書けば、sum・ジョンお姉さん両氏に通じたかもね。
 「>ホームページとトップページの違い?
 本に例えると、分かりやすいです。ホームページと聞いたときのイメージは、一般人とプロでは違うと思います。
(1)1冊の本
ウェブサイトの全ページ群。
・ウエブサイト、サイト
・ホームページ←(一般人が思い浮かべるイメージ)
(2)1冊の本の目次
ウェブサイトの最上位のページ。
・トップページ
・ホームページ←(プロが思い浮かべるイメージ)
 ホームページという呼び方は、人によって解釈の違いがでてくるため、誤解が生じる恐れがあります。本来は、ウエブサイト、トップページと言った方が、分かりやすいかもしれませんね。」
http://q.hatena.ne.jp/1349328227
 「ホームページ【homepage】
ウェブサイトのトップ(最上位)のページ。またはウェブページ自体の総称。本来は、ブラウザーを利用して閲覧する最初のウェブページのこと。」
http://dic.yahoo.co.jp/detail?p=%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8&stype=0&dtype=0
 (↑「またはウェブページ自体の総称」なので、sum・ジョンお姉さん両氏も間違いではないよ)
<太田>
 sumクンの最初のつぶやきに対し、ボクは、すぐに、「(言葉の本来の意味での)HP」とつぶやき返して(コラム#5937)注意を喚起してるぜ。
 sumクンはそれで納得したらしいのに、ジョンお姉さん坊やが、HPの「本来の意味」を調べようともせずに、その後、噛みついて来たというだけのことであり、要するに、ジョンお姉さん坊やは最初から最後まで「間違」ってたのさ。
 大体からして、調べるまでもなく、「ホームページ」の「本来の意味」くらい、日本語たる「ホーム」の意味・・本塁、本拠地・・
http://dictionary.nifty.com/word/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?dic=sports
からの類推で分かりそうなもんだわさ。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 そんなこと言ってるヒマがあったら、日本文化の流入規制の完全撤廃を叫べってんだ。↓
 「日本のトラックは韓国で走行可能、その逆はなぜ不可?・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/01/2013010100313.html
 米国が、民主主義の実現を、軍隊や警察の整備よりも優先したために、アフガニスタンでも事態を困難なものにしてしまい、そのことが、米英をして、新たな失敗国家への軍事介入を強く逡巡させるトラウマになっている、という指摘がなされている。↓
  If today you speak to the architects of the 2001 Afghanistan Conference in Bonn, they will tell you that instead of being fixated on elections, we should have built a state with an army and a police force first.・・・
 The south of Libya and Mali, and Niger too, are well on the way to becoming a no-man’s land. After 9/11, George W. Bush and Tony Blair made the promise that they would not tolerate failed states because they could become a haven for terrorists. And today? The number increases. Last year it was Yemen, this year it is the southern Sahara.・・・
http://www.spiegel.de/international/world/interview-with-ahmed-rashid-on-the-failures-of-the-west-in-afghanistan-a-874034.html
 まだ、『アルゴ』の映画評論が続いていることは驚きだ。
 今回は、熱烈なパーレヴィ国王擁護者からの批判的評論だ。↓
http://www.thedailybeast.com/articles/2012/12/31/what-argo-gets-wrong-about-iran.html
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太田述正コラム#5940(2013.1.1)
<日本の芸術について>
→非公開