太田述正コラム#5997(2013.1.30)
<皆さんとディスカッション(続x1795)>
<太田>(ツイッターより)
 テレサ・テン生誕60周年記念行事が台湾や中共で行われるようだが、日本では?
http://j.people.com.cn/206603/8113077.html
http://j.people.com.cn/206603/8112701.html
 とまれ、記事で彼女の日本での活躍や中共民主化運動家としての側面に触れてないのはいただけないねえ。
 在庫一掃:「外国のカメラマンが撮影した古い上海の美人…」
http://j.people.com.cn/94638/205938/8091913.html
 「中華民国時代の女性の水着姿…」
http://j.people.com.cn/94638/94659/8083012.html
 「男性に最も人気なスタイルを持つモデル…」
http://j.people.com.cn/94638/205938/8078462.html
 「2013年世界で最もセクシーな女性スタートップ10…」
http://j.people.com.cn/94638/94657/8091405.html
 「2013年ミス日本に22歳の大学生…」
http://j.people.com.cn/94475/8112387.html
 今年も人民網に期待しよう。
<S3+IuEX60>(「たった一人の反乱」より)
 韓中通貨スワップで初の人民元建て貸し出し
http://japanese.joins.com/article/453/167453.html?servcode=A00&sectcode=A30
 順調に李氏朝鮮時代に回帰してるな。
 それにしても対中包囲網のハズが気づいたら日本が包囲されてるような・・・。
<太田>
 「李氏朝鮮時代に回帰」、ボクの言う通りだと思うだろ。
 最後の点については、日本とASEAN諸国とインド、そして宗主国サマ米国の対中包囲網には太刀打ちできんさ。
<JkzSHNpo0> (「たった一人の反乱」より)
 『過剰防衛と刑事責任』 (ニュージーランド オークランド大学ロースクール ジョージ・ムスラーキス教授)
http://www.waseda.jp/hiken/jp/public/review/pdf/39/03/ronbun/A04408055-00-039030221.pdf
 「正当化を根拠とする抗弁は,犯罪の遂行を妨げるため,自己または他人に対する不法な攻撃を防ぐため,適法な逮捕を遂行するため,あるいは自己または他人の財産を守るために被告人が行為した場合に出される。
 イギリス法では,1967年刑法(Criminal Law Act1967)が,以前にはコモン・ローによって規律されていたこれらの抗弁を規定している」
 「コモン・ローでは,自己防衛は,自己の防衛のみならず,他人の防衛をもカバーする正当化として伝統的に扱われていた」
→アングロサクソン法上の(正当)防衛(権)については、ボクの理解で間違いなさそうだね。(太田)
 『憲法第 9 条と集団的自衛権』 (国会図書館政治議会課憲法室 鈴木尊紘。コラム#5991 に既出)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/pdf/073002.pdf
 「集団的自衛権は、自国と密接な関係にある他国に対する攻撃を、自国に対する攻撃とみなし、自国の実体的権利が侵されたとして、
 他国を守るために防衛行動をとる権利であるとする考え方」は、「原則として他人に対する防衛を正当防衛とは認めず、緊密な関係にある者に対する防衛のみを正当防衛と認める英米法的な考え方に由来するとされる。
 こうした指摘に関しては、畠 同上 , p.44. を参照」
畠基晃『憲法9条 研究と議論の最前線』
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/3922465.html
→妄論を唱える日本人法学者はたくさんいるみたいだね。(太田)
 『自衛権の概念』 (滋賀大学教育学部 土屋茂樹)
http://libdspace.biwako.shiga-u.ac.jp/dspace/bitstream/10441/2817/2/SJ02_0041_273A.pdf
 「ケルゼンは, 第51条の下では, 事前に条約による援助が約束されていない場合でも, 被攻撃国の自衛行為を他国が援助することは禁止されていないと主張する。
 ボウエットは, 武力攻撃によって被害を受けたいくつかの国が, 共同で反撃を行う場合を集団的自衛と呼ぶべきであり, 直接被害を受けていない国が反撃を行い得るのは, 第53条によって安全保障理事会の勧告や許可に基く場合に限るという」
 第51条、第53条とは国連憲章のこと。
→ボウエットの説についての私の最初の直観、「国連憲章によって創設された「集団的安全保障」のことを指しているのでしょうか」(コラム#5991)、はどうやら正しかったようだな。(太田)
 西川論文中に記された D. W. Bowettt の、英語版 Wikipedia における記事
“Professor Sir Derek William Bowett (20 April 1927-23 May 2009) was an international lawyer, appointed Whewell Professor of International Law in 1981 and was President of Queens’ College, Cambridge 1970 – 1982.
Bowett was awarded a CBE 1983 and was Knighted in 1998. ”
http://en.wikipedia.org/wiki/Derek_Bowett
<太田>
 情報提供していただいたことは多とするけど、コメントなり感想なりをつけてもよかったのでは?
<べじたん>
≫結局、ラウターパクトを「自国と密接な関係にある国」論者とみなすことには、やはり、大いに疑問符を付けざるをえません。≪(コラム#5993。太田)
 Lauterpachtの校訂を受けたOppenheimの教科書が典拠のようです。
「3 他国にかかわる死活的な利益の防衛論
 これは、自己防衛論に基づきつつ、集団的自衛権の特徴を主張する議論であり、現在国際法学者の間の通説ともいえる。それによると、集団的自衛権は、他国が攻撃を受けた時に、その国の安全と独立が自国のそれにとって死活的(vital)であると認められる場合に限り、自衛の行為をとることができる権利とされる(79)。すなわち、A国がB国を攻撃した時に、B国の安全と独立がC国のそれと同一視されるほどにBC両国が密接な関係にあれば、C国は自国を守るための行動をとることができる。ここでも、武力攻撃が現実にC国に加えられていることは必要ではない。現実に存在しているのはB国に対する武力攻撃のみである。しかし、B国と密接な関係を有するC国にとって、この武力攻撃は自国に対する武力攻撃と等しく危険であるため、C国は自国の安全と独立を守ることを目的として行動することができると解される。・・・
(79) H. Lauterpacht ed.,International Law,a treatise,by L.Oppenheim,vol. I Peace,Seventh Edition,London:Longmans,1952,p.155 ;
高野雄一参考人意見『憲法調査会第32回総会議事録』1959年7月15日,特にpp.40-43;田畑 前掲注 ,pp.363-364.」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200901_696/069604.pdf
(14) 当時の国際法につき、ローターパクトの校訂を受けたオッペンハイムの教科書によれば、「国際法は、人道の要求から生ずる限界を除いて、戦勝者の裁量に限界を設けていない」とされている。L.
Oppenheim, International Law;A Treatise, Vol. II, p. 603 (7th ed. by H. Lauterpacht, 1952).」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/00-5/kihara.htm
→どうやら、ラウターパクト自身はそんなことは言っていない、という理解でよさそうですね。
 オッペンハイム(Lassa Francis Lawrence Oppenheim。1858~1919年)については
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B5%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A0
参照。
 ’The work is still considered a standard text of International Law.’となると、捨ててはおけませんが、彼が本当に集団的自衛権に件の限定を付しているのかどうか、どなたか、調べていただけるとありがたいですね。(太田)
≫また、西川君が集団的自衛権についての三つの説を紹介したのは、恐らくは、外務省による紹介(コラム#5991)を踏襲したのだと思われますが、≪(コラム#5993。太田)
 国立国会図書館調査及び立法考査局のレファレンスなので、外務省とは関係ないのではないですか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%9B%BD%E4%BC%9A%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%8F%8A%E3%81%B3%E7%AB%8B%E6%B3%95%E8%80%83%E6%9F%BB%E5%B1%80
→あーこれは私のうっかりミスでしたね。
 ただ、私の記憶では、確か、「集団的自衛権」という言葉が歴史上、国際公文書上に初めて登場したのは国連憲章上でしたが、国立国会図書館の公文書に登場した集団的自衛権の解釈の紹介については、(国連憲章も条約であるところ、)条約の日本における解釈権を一義的に有する外務省(条約局→国際法局)の見解を踏襲したものである、と解してよいのではないかと思います。(太田) 
 日本では(ⅱ)のLauterpacht説を通説としているけど、国際司法裁判所は条件付きで(ⅲ)のKelsen説を採った、というところがミソなんじゃないかと思うのですよね。
 「(9)こうした指摘に関しては、畠 同上,
p.43.を参照。しかし、③の他国防衛説の立場を採る者も存在する。例えば、山本草二『国際法(新版)』有斐閣 , 1994, p.736.
 この考え方は、他人に対する正当防衛も認めるドイツ法系の正当防衛権の考え方に由来するとされる。ただし、この考え方に立つと集団的自衛権があまりに広がりすぎ、濫用の危険が大きくなるとの批判もある(例えば、安田寛ほか『自衛権再考』知識社, 1987, p.56.)。
 このような背景から個別的自衛権合理的拡大説が多数説であると言える。例えば、松田竹男・大阪市立大学教授は、集団的自衛権の概念内容は、
(ⅰ)個別的自衛権の共同行使とする説、
(ⅱ)他国(被攻撃国)に関わる自国の死活的利益を防衛する権利と解する説、
(ⅲ)他国(被攻撃国)の自衛行動を支援する権利と解する説
があるが、学界では(ⅱ)が多数説となっていると述べている(松田竹男「武力不行使原則と集団的自衛権―ニカラグァ事件(本案)」山本草二ほか『国際法判例百選』(別冊ジュリスト)有斐閣,2001, pp.206-207.)。しかし、国際司法裁判所はいわゆる「ニカラグァ事件」判決で(ⅲ)説を採ったとされる。この点に関する詳しい論述としては、小寺彰ほか編『講義国際法』有斐閣, 2004, pp.454-455. がある。」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/pdf/073002.pdf
 「国際司法裁判所が、1986年のニカラグア事件判決において、集団的自衛権を行使するためには、攻撃を受けた国による攻撃事実の宣言及び他国に対する援助要請が必要であると判断したことは注目される。」
 「集団的自衛権は国連憲章に規定された、すべての加盟国が有する国際法上の権利であるが、その法的性質や実際の行使をめぐっては国際法上も議論がある。確かに日本における議論がこの国際法上の議論とは乖離していることは否めない。」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200901_696/069604.pdf
→おっしゃる通りではないかと想像されます。
 ここまで調べ上げていただき、感謝します。
 読者の皆さんは、集団的自衛権の解釈一つとってもこんなありさまである以上、私が日本の論壇/人文社会科学の動向をフォローしなくなったのはむべなきかな、と改めて納得されたのではないでしょうか。(太田)
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 再び言うけど、日本帝国の一部であった期間が短すぎて、人間主義が身に付かなかったのはお気の毒だねえ。↓
 「・・・韓国の透明社会運動本部が2012年12月、ソウルと仁川市の小中高校生6000人を対象に倫理意識調査を行った。「10億ウォンが手に入るなら、1年間、刑務所に入ることになってもかまわない」という質問に、高校の44%、中学生の28%、小学生の12%が「YES」と答えた。透明社会運動本部が15~30歳の1031人を対象に実施した別の調査では、「成功するチャンスの多い人はどっち?」という質問に対し、51.9%が「うそをついたり違法なことをする人」を選んだ。「正直で清廉な人」を選んだのは48.1%だった。 ・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20130128/242916/?mlt&rt=nocnt
 北京のスモッグがまたひどくなってる。↓
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2013/01/30/2003553810
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jan/29/china-air-pollution-danger
 殺害状況の一部が明らかになった。↓
 「統制不能恐れ射殺か=「邦人人質、大声出し動く」―現地労働者証言・アルジェリア・・・」
http://news.infoseek.co.jp/article/130130jijiX138
 <アルジェリアでは危険な状態が続いている。今度の実行団体はまた違うようだが・・。↓> 
 アルジェリア北部で天然ガスパイプラインのガードマンがテロリストに襲われ、2人が殺され7人が負傷した。↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-21235628
 シリアのアレッポの川を流れる、被虐殺死体群の写真だ。↓
http://lightbox.time.com/2013/01/29/behind-the-picture-aleppos-river-of-death/#1
 2月になったら、アクセスしてみよっと。↓
 「国会図書館の蔵書を電子化、無料配信実験へ・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130130-OYT8T00309.htm?from=yoltop
 フェイスブックを通じて、秘密裏に「友達」にセックスの申し込みができるようになった、ってんで大いに盛り上がってるよ。↓
http://www.thedailybeast.com/articles/2013/01/29/bang-with-friends-facebook-sex-app-creators-talk-controversial-product.html
 ご希望の方は、このサイトからどうぞ。↓
http://www.bangwithfriends.com/
 未成熟期間が長くなることが人類の繁栄(=他の霊長目の没落)に決定的役割を果たしたとさ。↓
 ・・・Over the course of the past 1.5 million years, the forces of evolution inserted an extra six years between infancy and pre-adolescence–a childhood–into the life of our species. And that changed everything.・・・
http://www.slate.com/articles/health_and_science/science/2013/01/evolution_of_childhood_prolonged_development_helped_homo_sapiens_succeed.single.html
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iPhone5弥次喜多道中の続きだ。
 フリーアプリを探してたが、何ちゅうことはない、ストップウォッチやタイマー機能がデフォルトで利用できることが分かった。
 昨日付のAUからのメール連絡を受け、指定された電話番号にスマホから電話をかけて、ローミング情報の更新を行った。
 CamCard Lite(名刺認識管理 日本語中国語韓国語)
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.intsig.BCRLite&feature=also_installed#?t=W251bGwsMSwxLDEwNCwiY29tLmludHNpZy5CQ1JMaXRlIl0.
をインストールした。
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太田述正コラム#5998(2013.1.30)
<米国前史(その4)>
→非公開