太田述正コラム#6069(2013.3.7)
<皆さんとディスカッション(続x1831)>
<太田>(ツイッターより)
米国では1670万人の子供達が充分な食糧にありつけない状況にあるんだってさ。
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21636723
<昨>日完結した「米国の経済風土」シリーズ(未公開)に言う、原理主義的資本主義の経済風土を根底的に改めて普通の国にならない限り、米国に未来はないな。
<やまもと>
<前回の>オフ会で太田さん死んだ時の対処<について、>はなしあったそうですが <太田ブログの>現管理人の立場から言うと、ohtan.net このドメイン所有権だれが持つのか これをはっきりさせないとHPブログ全部死ぬ。
所有者が決まったとして・・・HPブログ管理できる知識がないときつい。
この問題を解決したとしてやることは、著作権管理はCCで原著作者のクレジットを表示のみ。
http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/
ブログはWordpress賢威で運営(そのままLivedoorでもいいかな)。
<太田>
一番最後の一文はよく意味が分かりません。
「所有者が決まったとして」以下の一文は、今現在、「HPブログ管理できる知識がない」私が太田ブログを「所有」してるんですから、私の死後も引き続き現IT支援グループ員全員ないしその一部が関与を続けてさえいただければ、問題はないのでは?
それより前のご指摘については、おっしゃる通りだと思います。
<やまもと>
山本七平さんの本で奴隷制度を世界で初めて禁止させたのが日本人だとの指摘があった。
→彼のどの本に書いてあります?(太田)
南蛮貿易の伴天連追放令
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E8%9B%AE%E8%B2%BF%E6%98%93
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%B4%E5%A4%A9%E9%80%A3%E8%BF%BD%E6%94%BE%E4%BB%A4
日本でキリスト教が流行らない理由のひとつがこれかなと。
にもかかわらず奴隷制廃止となるといつもリンカーンばかり賛美するしょぼい日本人。
http://agora-web.jp/archives/1510752.html
<太田>
「奴隷制度を世界で初めて禁止させたのが日本人」と言えるかどうかはかなりビミョーですね。↓
「バテレン追放令(・・・伴天連追放令)は、1587年7月24日(天正15年6月19日)に筑前箱崎(現・福岡県福岡市東区)において豊臣秀吉が発令したキリスト教宣教と南蛮貿易に関する禁制文書。バテレンとは、ポルトガル語で「神父」の意味のpadreから由来。・・・通常、「バテレン追放令」と呼ばれる文書はこの『松浦家文書』に収められた6月19日付の五か条の文書(以下便宜的に「追放令」と記す)を指すが、1933年・・・に伊勢神宮の神宮文庫から発見された『御朱印師職古格』の中の6月18日付の11か条の覚書(以下便宜的に「覚書」と記す)のことも含めることがある・・・
11か条の「覚書」に、日本人を南蛮に売り渡す事を禁止する一文がある一方、翌日の「追放令」にはそのような文言は見当たらない。秀吉は1587年の九州征伐の際、九州を中心として奴隷貿易が行なわれていたことについて当時のイエズス会の布教責任者であったコエリョを呼び詰問するとほぼ同時期にバテレン追放令を発布している。ただし、イエズス会は日本人を奴隷として売買することを禁止するようにポルトガルに呼びかけていたことについて秀吉が知っていたかどうかについては不明・・・
徳富蘇峰の『近世日本国民史』の初版には、「秀吉の朝鮮出兵従軍記者の見聞録や天正遣欧使節の報告書にはヨーロッパ人がアジア人を奴隷貿易していた事が書かれている」と記されているが、これは出典が不明な上、朝鮮出兵の時代の日本になぜか「記者」がいたり、当時は外国人が入ることを許されなかった朝鮮においてヨーロッパ人がアジア人を使役していたりなど、事実と異なる記述がある。このため信憑性を疑問視する説もある。
・・・その他の条文で「商人は出入り自由」としている事、後の朝鮮出兵において朝鮮人捕虜を日本に連れてきて労働力としていることなどから、これは主要な目的ではなく、明征服にあたって少しでも人口を減らしたくなかったために盛り込まれた条項と推測する説もある。 山本博文「天下人の一級史料」より」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%B4%E5%A4%A9%E9%80%A3%E8%BF%BD%E6%94%BE%E4%BB%A4 前出
いずれにせよ、安土桃山時代において、日本人は人種主義的ではなく、欧州人は人種主義的であったことは、以下のエピソードが物語ってますね。↓
「「黒人」は人種のひとつであるが、人種差別的な見方からすれば蔑称として使用されることがあった。たとえば、イエズス会宣教師のフランシスコ・カブラルは、日本人を黒人とみなし<た>。・・・<他方同じイエズス会宣教師のアレッサンドロ・>ヴァリニャーノは日本人を白人とみなした。・・・日本人を白人と設定することにより、本国からの布教の支援を受けようとしていた(白人とすると本国から金銭と人的支援が得られたのである)。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89
「黒人は宣教師の・・・<奴隷>・・・として日本に連れられてきた・・・<ヤスケ>・・・が最初とされるが、日本では当時の最高権力者織田信長の従者になるという破格の好待遇を受ける」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%82%B9%E3%82%B1
日本人や米国人の一般的リンカーンの評価が誤りで、リンカーンも人種主義者であったことは、先日も指摘した(コラム#6057)ところです。
それでは、その他の記事の紹介です。
日本の都市を住民虐殺を最大の目的として焼夷弾爆撃の対象としたところの、カーチス・ルメイ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4
をサイバー攻撃大好き国の中共に準えるとはねえ。いつの間にルメイ、米国で悪党になったんだろ。いいザマだけど・・。
(そんなルメイに、戦後の属国日本の政府は、よりにもよって、勲一等旭日大綬章叙勲をたてまつっている。(ウィキペディア上掲))↓
・・・China has become the “Curtis LeMay” of the post-Cold War era: “It is not abiding by the rules of statecraft anymore, and that must change.”
<冷戦時代のソ連だって、中共のようなひどいことはしなかったとよ。↓>
”The Cold War enforced norms, and the Soviets and the U.S. didn’t go outside a set of boundaries. But China is going outside those boundaries now. Homeostasis is being upset,” ・・・
<そこで、手の内を明かすことにはなるけれども、やむなく、国家安全保障庁(NSA)が米民間企業群を支援することになったんだと。↓>
In essence, the NSA will give American companies the ability to fight back. The idea is two-fold. One: Behavior modification by exposing Chinese tactics, which, in theory, would embarrass the Chinese. Two: This will force China will develop new hacking avenues, but this will take time, giving U.S. companies the chance to catch up. ・・・
<NSAは、今までは国防関係企業に対してだけ支援を行ってきた。↓>
The recently declassified Comprehensive National Cyberspace Initiative describes the government’s plan, informally known as Einstein 3, to address the threats to government data that run through private computer networks — an admission that the NSA will have to perform deep packet inspection on private networks at some point. But, currently, the NSA only does this for a select group of companies that work with the Department of Defense. It is legally prohibited from setting up filters around all of the traffic entry points.
<また、NSAは、(直接担当した国防省を除き、)政府機関に対しては、国土安全保障省を通じて支援を行ってきた。↓>
Government agencies, however, are a different matter. To protect the feds, the NSA provides the Department of Homeland Security with the equipment and personnel to do to the packet inspection. DHS (using NSA personnel) analyzes the patterns, sanitizes the data, and sends the information back to Fort Meade, where the NSA can figure out how to respond to threats discovered. DHS’s jurisdiction does not include the military and U.S. intelligence agencies. That’s the NSA’s province. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/03/06/inside_the_black_box?page=full
米国がイラク占領で失敗した理由が分析されている。↓
<自由民主主義的制度作りばかりを行い、シーア派、スンニ派、クルド人の間で権力をどう分配するかは無視した。↓>
・・・The first, he says, was a focus on the minutiae of building democratic institutions (like a constitution and a parliament) at the expense of the bigger job of redesigning the fundamental political settlement in the country — in other words, how power would actually be divided up among Shiites, Sunnis, and Kurds. ・・・
<お気に入りの勢力をエコヒイキした。↓>
A second problem was what Carothers calls the American “tendency to choose favorites and anoint them.”・・・
<サダム・フセインさえ倒せば、ずっと米国の影響力をイラクで維持できると思い込んでいた。↓>
Finally, the third failing was Washington’s assumption that removing Saddam would assure the Americans of continued political influence for years to come.・・・
<日独の占領で両国に自由民主主義を定着させることができたのは周到な準備をしたからこそだというんだが、ボクに言わせりゃ、そんな誤った認識をもっているからイラクでも失敗したのさ。
日本はもともと自由民主主義的国家だったし、ドイツは疑似自由民主主義の経験があったし、強力な自由民主主義勢力も存在したし非自由民主主義勢力は大戦での徹底的敗北とホロコーストの暴露で弱体化したからにすぎない。↓>
A common view holds that you can’t “install democracy at gunpoint.” The Iraq War’s defenders contend that the West succeeded in doing just that that in occupied Germany and Japan in the wake of World War II. What this argument usually overlooks is that post-1945 efforts were meticulously planned, took place under good security conditions, and marshaled the expertise of an entire generation of administrators and social scientists — factors that certainly didn’t apply to the U.S. state-building exercise in Iraq after 2003. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/03/05/the_democracy_boondoggle_in_iraq?page=full
ナタリー・ポートマン主演の映画『ブラック・スワン』を思い起こさせる、ボリショイ・バレエにおける硫酸事件
http://www.guardian.co.uk/world/2013/mar/06/bolshoi-acid-attack-confessions-rivalries
の黒幕の男性↓
Pavel Dmitrichenko
http://www.youtube.com/watch?v=sw3Jy__oRgY
とその愛人の女性↓のバレエ映像をどうぞ。(ボクも野次馬だねー。)
Angelina Vorontsova
http://www.youtube.com/watch?v=zNzVb6JLOQQ
おお、忘れるところだった。硫酸をぶっかけられた総監督のかつての雄姿↓もどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=3PZ8WqKyHdQ
亡くなったヴェネズエラ大統領のウゴ・チャベスの愛読書は『レ・ミゼラブル』だったっちゅうオハナシ。↓
・・・In a New Yorker obituary, Jon Lee Anderson, who met him several times, recalls enquiring about his political evolution. “I asked him why, so late in the day, he had decided to adopt socialism,” Anderson writes. “He acknowledged that he had come to it late, long after most of the world had abandoned it, but said that it had clicked for him after he had read Victor Hugo’s epic novel Les Miserables. That, and listening to Fidel [Castro].”・・・
<チャベスに言わせれば、19世紀前半のフランスは、ヴェネズエラ、ひいては中南米/アフリカの現在とそっくりだからだって。
そりゃ言えてるかもね。↓>
Back then, Chavez would argue, France was very similar to today’s Venezuela—and even to Latin America as a whole. ・・・
<だけど、チャベスは、ユーゴーがナポレオン3世の専制政府に反対して亡命していた時にこの本を書いたことをどう思ってるのかってさ。
いや、ユーゴーはナポレオン1世の専制政府は大好きだったからねえ。だから、チャベス≒ユーゴー、と言っていいんちゃう?↓>
As far as Hugo’s work is concerned, Chavez may have missed the fact that the French author wrote Les Miserables in part during his political exile, when he was protesting against Napoleon III’s autocratic leadership. Some of his other works, like the book of satirical poems Les Chatiments, are highly critical of authoritarian governments. As far I can tell, Chavez never read those poems.
http://www.slate.com/blogs/browbeat/2013/03/06/hugo_ch_vez_loved_les_mis_rables_why.html
成人の脳を若者の可塑性(plasticity)に富んだ脳へと若返らせる方法が発見された。
脳に損傷を追ったりPTSDにかかったりした人の治療を行うのが眼目だが・・。↓
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-youthful-brain-20130306,0,1627045.story
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<太田>
太田HPの「資料・論文」(正確には、その中の「論文」)の頁、その後、IT支援グループによって「発見」され、再アップされています。
http://www.ohtan.net/report/publication.html
お騒がせしました。
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太田述正コラム#6070(2013.3.7)
<愛について(その4)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1831)
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