太田述正コラム#6199(2013.5.11)
<皆さんとディスカッション(続x1896)>
<太田>(ツイッターより)
「【社説】世界で韓国に恥をかかせた報道官のセクハラ更迭…」http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100515.html … むしろ、韓国内で大問題になってるね。彼、朴新大統領のお気に入りだったようだが、彼女、ホント、人を見る目がなさそうだ。
<太田>
 上記記事以外にも、こんなにたくさんの記事を電子版に載せている。↓
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100515.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100519.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100521.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100530.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100542.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100543.html
<ivbXbQCM>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 互恵的利他行動↓に準じて、日・英・米の人間主義にも統制システムがあると思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%92%E6%81%B5%E7%9A%84%E5%88%A9%E4%BB%96%E4%B8%BB%E7%BE%A9
 問題とされている地域で支配的な米国マークIIの統制システムに「戦前の日本=非人間」と「英米の植民地支配=アングロサクソンの薫陶」が採用されているとします。
 すると中共・韓国の反日は統制システム上の不正にはならないけれど、インド・フィリピンの反英・反米は不正ということになりますよね。
 つまり、4か国の側に違いを求めるのではなくて、統制システム内に違いを求めた方がいいんじゃないでしょうか?
<BpNHV4QA>(同上)
 率直に言って、あなたの言っていることの意味がよく分かりません。
 それと、太田さんも勘違いしていますが、私は、植民地としてのインドと朝鮮半島を対比させ、戦場となった国としてはフィリピンと中国を対比させたつもりだったのです。フィリピンは国内が戦場となり、大量の死者をだしています。賠償は済んでいて中国のような日本への執拗な謝罪要求はしてきません。
 アジア太平洋戦争におけるアジア諸地域の戦争被害
http://www.max.hi-ho.ne.jp/nvcc/TR7.HTM#4
 「戦前の日本=非人間」の非人間は非人間主義と解釈してよいのでしょうか?だとすれば間違いでは?
 戦前から日本は人間主義では?
 それにしても、議論がかみ合わないですね~。
<ivbXbQCM>(同上)
 統制システムなんて自分でもよくわかっていない言葉を使ったがよくなかったかもしれません。
 使ってみたかっただけです。
 えーと、インド・フィリピン・韓国・中共が非人間の度合いにおいて全く同じだと仮定してください。
 さらに反英・反米はルールで禁止されているかルールの運用上やりにくい、反日は禁止されていないくてやりやすいと仮定すれば、非人間の度合いが同じであっても、反日は起こるが反英・反米は起こらないという現象が生じてもおかしくないでしょ?
 で、そんなむちゃくちゃなルール本当にあるの?、あるとすれば誰が決めて運用しているの?、
 日本はそのルールを変えうる存在になれるの?とかいう方向で考えた方がいいのではないかということです。
 それから「戦前の日本=非人間(主義)」というのは米国のルール(統制システム)上は、現在もそうなっているということです。
<BI2C4C6E>(同上)
 4カ国の非人間の度合いにおいて全く同じであることはあり得ないですし、太田さんの言うように度合の違いは意味がありません。反英・反米・反日はやりたければ、やれるはずですのでルールで禁止されていることはないはずです。
 もっと単純に考えるべきでは?
 4カ国とも非人間主義の国ではあるが、かつての旧宗主国、旧敵国に対して現在も激しい負のオーラを放っているのは、中共と韓国だけである。この2国は人間主義の本能が壊れているという仮説がある。
 では、中共と韓国はなぜこうも人間主義の本能が壊れているように感じられるほど、日本に対して負のオーラを放つのか?
 日本が2カ国を変えることが出来るのかどうかに関しては、私は部分的には可能ではあるが、まず無理であると考えています。私は醒めている人間なのでしょう。
<FciaDQ76>(同上)
 どいつもこいつも典拠を示さない問題。
 太田述正コラム#6195 で、「典拠ってのは別にムツカシー話ではなく……事例/見解を俎上に載せて、具体的に議論するってことだよ。」って優しく諭して下さってるのに。
<BI2C4C6E>(同上)
 
 批判にお応えして自分の見解を述べたいと思います。
 まず、自分が中韓に対して醒めた見方をしている根拠ですが、この2国が日本に対して激しい負のオーラを放つ(人間主義の本能が壊れていると言い換えてもよいでしょう)原因を自分なりに考えた結果であるとしか言いようがありません。
 そこでその原因を3つに分けて話したいと思います。
 但し、時間もかかるので常識だと思われることに関しては典拠は省略させていただきます。
一、 中韓共通の事情
二、 中国の事情
三、 韓国の歴史的背景 中国文化との葛藤の中で
 野暮用ができましたので、あとで3つの原因を投稿します。あしからず。
<太田>
 議論の最中だけど、もともと、BpNHV4QAクンの私への質問から始まった議論なので、このあたりで、少しくちばしを入れさせてもらうね。
 インドにおける英国の統治は、フランスや日本の植民地統治とは違って、積極的な近代化を行おうとせず、(軍民双方にわたる)近代的官僚制、法(=コモンロー)、共通言語(=英語)、等の枠組み的なものを与えるにとどまったところ、これらはプラスの遺産として独立インドに受け継がれていることから、(数百万人の餓死者を何度も出すというひどい統治を経験したというのに、)インド人の旧宗主国に対する感情は余り悪くないってわけ。
 韓国(とやや違うが北朝鮮)は、プライドが高いのに、日本の植民地統治によって(自らは行う能力がなかった)近代化を押し付けられたという経験をしたことが、その反日感情の根幹にある、という話をこれまで何度もしてきたところだ。
 中共についても、現在連載中の「中共の資本主義化の軌跡」シリーズが公開されたら読んで欲しいが、やはりプライドが高いのに、その近代化の端緒を与えたのが日本・・日本人によってつくられた近代用語の輸入と日本への留学と日本人による支援・・であった上に、トウ小平がようやく軌道に乗せた近代化の手本は日本(の経済体制)だった、ということが、その反日感情の根幹にある、とボクは考えるに至っている。
 つまり、韓国と中共の反日感情のよってきたるゆえんは極めて似通っているってことだ。
 (台湾の場合は、日本による統治が始まる以前の台湾原住民はプライドが高くなかったという点が根本的に異なる。
 なお、韓国と中共の場合、国内政治上の要請からナショナリズムの喚起が必要で、そのダシに日本が使われているという点でも共通しており、これが両国における反日感情をより先鋭化させている。)
 フィリピンの場合は、旧宗主国たる米国に対する反米感情がないわけじゃないが、プライドがそれほど高くなかった(=台湾以上にして中韓未満)上に、いまだにこの国は近代化が軌道に乗っていないほど米国の統治が拙劣だったということもあり、反米感情がそれほど強くないってことだと思うね。それでも、米軍は叩きだしたわけだが・・。
 フィリピンに反日感情がないのは当然だろ。
 国内が戦場にならなかった韓国でも反日感情は強いんだから、そもそも、国内が日本がらみの戦場になったかどうかと、反日感情とが結びつく必然性など全くないってことさ。
 いずれにせよ、以上のような話とそれぞれの国の住民の人間主義度とは直接関係はないと言ってよかろう。
<宮里>
 ブログを拝読し、蒙を啓かれております。
 ありがとうございます。・・・
 ・・・最近、沖縄をめぐって、「主権回復の日は屈辱の日だ」といった報道や、人民日報に「琉球の領土権は未画定」という論文が載ったということで、物議を醸しておりますが、昨年ぐらいから、沖縄で従来にない動きがあると、元外交官の佐藤優などがさまざ
まなメディアでしきりに語っております。
 つまり、従来の沖縄では、「基地全廃」の理想論を革新が唱え、それによって保守が政府から金を引き出し分配するという構造だったのが、普天間移設の辺野古への回帰、オスプレイの「強行」配備を受けて機能しなくなってきている、「オール沖縄」の基地反対運動が起きている、ということです。
 佐藤優は、保守の現那覇市長の翁長雄志の「オール沖縄」の動きを指して、それを語っているようです。
 が、この動きは、実は次の知事選の有力候補である翁長氏が革新陣営を取り込むための作戦と現地では見られています。
 そして、この作戦は成功するかどうか不明瞭で、今年2月にあった、那覇市の隣の浦添市の市長選に、翁長氏は自分が支援する候補を強引に押したて、逆に反発を受けて無党派の若い候補に敗れています。
 とはいえ、現在の東アジア情勢が19世紀末の情勢と重なるような展開を見せているとすれば、ひょっとしたら、沖縄の従来的なあり方もドラスティックに変化する可能性もあるのでは、と自分なども最近、思いだしています。
 もちろん、1、2年のことではなく、もう少し長い単位でのことであり、しかもそれがどう変化するのか解らないのですが。・・・
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 なかなかうまくやってるじゃん。↓
 「菅義偉官房長官は10日の記者会見で、アジア諸国に対する「植民地支配と侵略」について反省とおわびを表明した村山談話について「安倍内閣として侵略の事実を否定したことは今まで一度もない。(談話)全体を歴代内閣と同じように引き継ぐ」と述べた。
 ただ、菅氏は同日の衆院内閣委員会で「談話にある『侵略』『植民地支配』という言葉も受け継いでいるのか」と問われても「歴代内閣の立場を引き継ぐ」と述べるにとどめ、侵略や植民地支配への認識について踏み込んだ発言を避けた。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/0510/TKY201305100478.html
 「・・・ 菅氏は、これまでの内閣の発言について「安倍内閣としては歴代内閣の立場を引き継ぐと言ってきた。(談話は)長いから、一言一句言うわけにはいかない」と説明。内閣として「未来志向」の新たな談話を出す方針もあらためて強調した。」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013051102000136.html
 日本がいまだに米国の属国(vassal state)であり続けていることが東アジアの諸問題の元凶とするコラムだ。↓
 ・・・A great economic power, with huge economic interests in China, Japan was still a vassal state of the U.S. in matters of security. The inadequacy of this arrangement is increasingly felt, and not just among the old nationalist right wing. A continuing source of tension in Japanese foreign policy is the need to act like a major power while still being deferential to American interests. This dilemma has a huge impact on Japan’s relations with China.・・・
 <今や米国の国益も損ねているとさ。↓>
 Pax Americana containing China, with Japan as Washington’s loyal vassal. This might seem a stable, even comfortable, position from the U.S. point of view. In fact, it isn’t. ・・・
 <米国の庇護下にあるからこそ、日本の政治家は中共等に言いたいことが言い放題になるってよ。(ちょっとどうかと思う表現だが。)↓>
 Japan’s role as a kind of cat’s paw of American dominance, with Japanese nationalists compensating for their subservience by indulging in bellicose talk, will be the source of ever greater tensions, which are bad for everyone, including the U.S.
 <とにかく、米軍を東アジアから徐々に撤退させて行くべきだ。オバマのアジア重視はおかしいとさ。↓>
 Eventually, a balance of power will have to be found between China and Japan, but that will mean a gradual withdrawal of U.S. might, which is precisely the opposite of what President Barack Obama’s “pivot to Asia” is aiming to achieve.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324326504578465032155562000.html?mod=WSJASIA_hpp_MIDDLETopNews
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 一人題名のない音楽会です。
 ディミトリー・ホロストフスキーの特集の10回目です。
 今回はラフマニノフ特集です。
Let me not hear your sing, my beauty ラフマニノフ作曲 プーシキン作詞
http://www.youtube.com/watch?v=-xtFGvE2Bpc (注)
(注)英訳歌詞
Do not sing to me, fair maiden, those sad songs from Georgia: they recall to me another life and a far-off land. Alas, your passionate singing brings back memories of the steppe at night–and of moonlight on the face of a distant, beloved girl.
 Anna NETREBKO ←ソプラノ歌手による歌唱も3つお聴きあれ。いずれも甲乙丙を付け難い。
http://www.youtube.com/watch?v=SmbriHyn2x4
 Vishnevskaya
http://www.youtube.com/watch?v=EKmcGbUMWVo
 Marina Rebeka
http://www.youtube.com/watch?v=tyGAPBP0zNg
The Harvest Of Sorrow Romances
http://www.youtube.com/watch?v=kFkYLIm0YRs
1) V molchanji nochi tainoj, Op. 4 n. 3
2) Ne ver mne, drug, Op. 14 n. 7
http://www.youtube.com/watch?v=RBpFOBkk_js
Oh no, I beg you, do not leave!
http://www.youtube.com/watch?v=Tf0Na8z2-CA
In the Silence of the Night
http://www.youtube.com/watch?v=TBWlarcbtk4
I’m Alone Again
http://www.youtube.com/watch?v=UTVvzr0O3rw
Cease thy singing maiden
http://www.youtube.com/watch?v=LgL4TlhdJ_Q
She’s as fair as the moon(noon)
http://www.youtube.com/watch?v=v6knELZzplo
Do you remember the evening?
http://www.youtube.com/watch?v=YgKZ3kO-Zk0
I Wait for You!
http://www.youtube.com/watch?v=DAPugpBWVF4
Spring Waters
http://www.youtube.com/watch?v=ekQrQEp29Bc
It is time !
http://www.youtube.com/watch?v=ySsgv9bM6To
The Dream(注)
http://www.youtube.com/watch?v=qjL0VzAvT_E&list=PL0100F2B370F5F0EE
(注)英訳歌詞
And I had a native land: how beautiful it is! There, a fir tree swayed above me. . . But it was only a dream. . . The family of friends was living then,
words of love surrounded me.. . But it was only a dream!
http://www.youtube.com/watch?v=eToOoJ20FlI
 Renee Fleming ←女性の歌唱でもどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=GKmKs8ENg5s
She is as fair as day
http://www.youtube.com/watch?v=FWgsxPC8rYA&list=PL0100F2B370F5F0EE
Yesterday we met
http://www.youtube.com/watch?v=QkScE5H8A6g&list=PL0100F2B370F5F0EE
Christ is risen”
http://www.youtube.com/watch?v=OmdYi-F7gLU&list=PL0100F2B370F5F0EE
Fragment from A. Musset
http://www.youtube.com/watch?v=FKxJhqMQVc8&list=PL0100F2B370F5F0EE
Cavatina of Aleko
http://www.youtube.com/watch?v=YllYRHc1AV8
He has taken everything from
http://www.youtube.com/watch?v=24MsYJJmI20&list=PL0100F2B370F5F0EE
(続く)
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太田述正コラム#6200(2013.5.11)
<中共の資本主義化の軌跡(その5)>
→非公開