太田述正コラム#6406(2013.8.23)
<皆さんとディスカッション(続x1999)>
<太田>(ツイッターより)
 藤圭子が自殺した。
 好きとまでは行かなかったが強烈な印象を与える歌手だった。
 7年前のTVインタビューでひどい下痢等に悩まされていると語っている。
 鬱病だった可能性が強い。
http://www.mental-navi.net/utsu/rikai/shojo2.html
 2人の元夫や現同居者の対応は適切だったのだろうか。
 ご冥福を祈ろう。
 「「湿気」が生み出した独特の日本文化…」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/8373912.html
 これも谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」(コラム#6399(未公開))の焼き直しではあるがうならせる記事だ。
 結果として天皇制まで褒め称えちゃってる。
 朝鮮日報の記者諸君、人民網日本語版を愛読しなさい。
 「【社説】日本国民の意識変化が心配だ…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/22/2013082201461.html
 人民網の人間主義礼賛記事を読まないからこんな社説を書いちゃうんだよ。
 春秋の筆法で韓国民の日本観を窘めているのではなく、本心、そう記者達は思ってるとしか考えられない。
 いいかい、日本人が変わったんじゃなく、彼らの中で、誤解や曲解を生んだだけだとこれまでの韓国向けの人間主義的配慮がバカバカしくなっちゃって、そんな配慮を止める者が急速に増えつつあるだけなんだぜ。
 反省すべきは韓国民側なのであって、それを指摘するのが一流紙の役割だろが。
 とにかく、人民網日本語版を毎日読みなさい!
<iVQxgWYM0>(「たった一人の反乱」より)
≫いずれにせよ、「直接外洋に流出していたとすれば、より深刻な事態だが、既に海水に混ざって<放射線量の>確認は困難」という程度のハナシだろが。≪(コラム#6404。太田)
 汚染水を直接、海に捨てるよりも施設内に撒いた方が深刻な状況に陥る。
 今回、汚染水が漏れ出たタンク周辺は100ミリシーベルト(東電発表)を超えてて30分で被ばく年間上限を超える。
 1日タンクの周辺で作業しただけで死ねる。
 (規制では1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトが限度。)
 汚染水は地下に染み込むけど濾過と同じ仕組みで地表付近に汚染物質がたまり汚染水が漏れ出るほど地表付近の線量はあがる。
 タンクに近づくことができなくなれば他のタンクも漏れ出るのを待つしかない。
 同様に原発施設まで近づくこともできなくなれば建屋の復旧維持もできなくなり、使用済み核燃料棒を保管するプールが崩壊するのを待つだけになる。
 使用済み核燃料棒が保管されている4号機が崩壊するとそれだけで北半球<全体>が汚染される。
 汚染が酷い地域の原発施設も近づけなくなり管理できない原発が連鎖的に溶ける。
 海に流出のセシウムなど 計30兆ベクレルと試算
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130822/k10013941661000.html
 ドイツのシミュレーションでは福島の汚染水で太平洋は終り
http://kaleido11.blog.fc2.com/?no=2309
 原発推進派だから愚か者なのか、愚か者だから原発推進派なのか。
 原発推進派には猛省ですら生ぬるい。
<太田>
 そもそもだなあ、過去の太田コラムを読んでりゃ、ボクが原発推進派でも原発廃止派でもないことくらい分かりそうなもんだ。
 (ボカァ、核武装能力保持派ではあるけどね。)
 キミのようなのを、(言葉遣いのしつけを受けていないところの、)ものぐさ、ないし粗忽者と言う。 
 ボカァ、まずは原発ゼロ政策を推進して、原発推進派をとことん追い詰め、隠蔽体質やコスト至上主義等を払拭させるべきである、という立場だ。(自民党は甘すぎる。)
 もとより、原発推進派の、データのつまみ食いや歪曲や誇張も窘められるべきだが・・。
 福島原発の年間排出基準の60倍の放射能量が海に流れ出ているというのが東電の発表内容だが、それが今後上方修正される可能性があるということはさておき、その汚染水が、早晩、太平洋全体に拡散する(希釈される)のは当たり前。
 キミの掲げた資料だけじゃ、太平洋の食物連鎖等の観点からそれがどの程度危険なのか、「終わり」なのかが具体的に論じられていないので、コメントしようがないな。
 (東京新聞が、「レベル3相当 新しい事故に等しい」って社説
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082202000152.html
を掲げたね。
 ついでだけど、ロサンゼルスタイムスは本件に関する記事を北京(?!)駐在の記者に書かせている。
http://www.latimes.com/world/worldnow/la-fg-wn-japan-nuclear-plant-radioactive-water-leak-20130820,0,2987707.story )
なお、原発の天然ガス発電所と比較してのライフサイクル炭酸ガス排出量は3.4%である
http://en.wikipedia.org/wiki/Life-cycle_greenhouse-gas_emissions_of_energy_sources
ことを考えると、(供給電力量調整の観点から化石燃料の発電所全廃はできず、かつ、送電効率の悪い遠隔地に原発を立地せざるをえないこと、等は確か
http://www.ne.jp/asahi/ma/ru/energy/co2.html
だが、今後電気自動車の普及等により、エネルギー源としての電力の比重が高まって行くであろうこと等を総合的に勘案すれば、)地球温暖化防止の観点からも原発は捨てがたいと言えそうだね。
 この問題に詳しい読者の意見も聞きたいところだ。
<西澤安澄>
 太田述正様、はじめまして、ピアニスト西澤安澄です。
 ブログでスペイン音楽、ファリャ特集<(コラム#4660)>にて<私の>演奏を取り上げていただきまして、誠にありがとうございました。
 その後もスペインの音楽について研鑽を続けておりまして、昨年はファリャのピアノ編曲全集のCDも発表させていただきました。
 日本でも有り難い賞や身に余るお言葉をいただきましたがまだまだ理想は遠く、日々音楽修行に突き進んでおります。
 さて、もうすぐ帰国をしまして、9月1日(日)にヤマハ銀座店にてイベント
http://www.yamahamusic.jp/shop/ginza/event/detail/3947
、10月5日(土)には代々木上原にあるけやきホールにて「世紀末パリ~はるかなるアンダルシア」と題してアルベニスのイベリアの第一巻、二巻とファリャの作品によりピアノリサイタルをいたします。
 (ご参考にhttp://blog.azuminishizawa.com/)。
 また、ちょっと遠いですが9月14日には濱田滋郎先生監修の清里スペイン音楽祭にも出演いたします。
http://www.azuminishizawa.com/common/20130729_2.pdf
 ヤマハ銀座でもファリャを中心にスペインの音楽を、お話を交えてご紹介してまいります。
 ブログで取り上げていらっしゃいました、スペイン舞曲一番も演奏する予定です(因に私もタリアフェッロの演奏は大好きで、友人が彼女のお弟子だったのでいろいろ噂を聞いたりしました。)ので、ご都合がよろしければ是非足をお運びいただきたく存じまして、メールをいたしました。
 いつかお目にかかって、音楽についてご一緒にお話を交わすことができたらとても嬉しく存じます。
 まだまだ暑い日本とうかがいましたので、どうぞお体をくれぐれもお大事になさってこの夏を乗り切ってください。益々のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げます。
 ・・・
 <(昨日の)朝方にさし上げました、フェイスブックでの友達>申請承認いただきまして、ありがとうございました。突然メールを書いてしまい失礼いたしました。どうぞこちらでも宜しくお願い申し上げます!
<太田>
 外国を根拠地として演奏家人生を歩まれているようですが、ご苦労も多々あると思います。
 皮肉でも何でもなく、あなたのマーケティング努力に心から敬意を表します。
 ご健闘を! 
 それでは、その他の記事の紹介です。
 エジプトは、イスラム同朋団の独裁主義と軍部の専制主義の選択に直面しているところ、米国は後者を支持すべきだ、と説くコラムだ。↓
 <これは、米国が、冷戦中、共産主義の独裁主義と通常は軍部によるものであったところの専制主義との間で、後者を選択してきたことと同じじゃないかってさ。(当時、そんな選択に直面する羽目に陥ったのは、日本帝国を崩壊させたからだぞ。)↓>
 ・・・Through a half-century of cold war, we repeatedly faced precisely the same dilemma: choosing the lesser evil between totalitarian (in that case, communist) and authoritarian (usually military) rule.
 We generally supported the various militaries in suppressing the communists. ・・・
 <例えば、米国は、韓国、台湾、フィリピン、チリ、ブラジルについてそうしたし、実に、ファシズムのスペインとポルトガルについてさえそうしたが、これら諸国は、後に全部民主主義化したとよ。↓>
 The authoritarian regimes we supported — in South Korea, Taiwan, the Philippines, Chile, Brazil, even Spain and Portugal (ruled by fascists until the mid-1970s!) — in time yielded democratic outcomes. Gen. Augusto Pinochet, after 16 years of iron rule, yielded to U.S. pressure and allowed a free election — which he lost, ushering in Chile’s current era of democratic flourishing. How many times have communists or Islamists allowed that to happen?
 <エジプトじゃイスラム同朋団を支持しても展望はゼロ、軍部を支持しても展望は殆んどない。だけど、「殆んどない」は「ゼロ」よりマシだとさ。↓>
 Regarding Egypt, rather than emoting, we should be thinking: what’s best for Egypt, for us and for the possibility of some eventual democratic future.
 Under the Brotherhood, such a possibility is zero. Under the generals, slim.
 Slim trumps zero.
http://www.washingtonpost.com/opinions/charles-krauthammer-the-choice-in-egypt/2013/08/22/eb9350da-0b5b-11e3-8974-f97ab3b3c677_print.html
 フランスでは、サルコジ政権末期からの軍事介入主義を現オランド政権も維持しているけど、他方で軍縮してることの矛盾を指摘したコラムだ。↓
 <現在、約6,000人もの兵士が、マリ等、外国に展開中。↓>
 The new, more aggressive foreign policy posture that the French government adopted in the later months of Nicolas Sarkozy’s presidency seems to be permanent. Following on the 2011 peacekeeping operation in the Ivory Coast and Sarkozy’s championing of the international intervention in Libya later that year, Francois Hollande’s government launched a military intervention in Mali–which involved 4,000 troops at its peak. Even before the operation Mali, France had almost 5,000 troops stationed abroad at posting including Afghanistan, Chad, Lebanon, and Ivory Coast. At least 1,000 troops will remain in Mali.
 <その上、シリアへの軍事介入を一番声高く叫んでいるとさ。↓>
 The French government has also emerged as the most forceful voice pushing for intervention in Syria.・・・
 What’s interesting about French foreign policy is that at the same time its posture is becoming more hawkish, it’s scaling back on its military capabilities.・・・
 <他方で、6年間で文官を含む国防省要員を324,000人から242,000人に減らすことにしてるし、3年間国防費は据え置かれる予定。↓>
  A six-year budget adopted this month reduces the total military and defense staff from 324,000 to 242,000. That will include a cut of 10,000 operational troops. Spending will be held at current levels for the next three years.・・・
http://www.slate.com/blogs/the_world_/2013/08/22/france_suggests_intervention_in_syria_can_it_still_afford_its_hawkish_foreign.html
 インド経済の低迷が論じられている。↓
 <成長率は5%を切り、株式市場も低迷する一方で、インフレ率は6%前後。↓>
 ・・・ In the last quarter, the Indian economy grew at a mere 4.5 percent (anemic by BRIC standards), and even the most optimistic of analysts do not believe that it will fare much better in the next. More recently, the Indian stock market plunged by 4 percent, falling to an 11-month low last week. Other economic indicators also offer cold comfort. Inflation is now hovering around 6 percent and is unlikely to abate. ・・・
 <1991年の金融危機の最中に、経済改革を断行したのを契機に高度成長が続いた。↓>
 ・・・in the midst of an unprecedented financial crisis in 1991, India undertook a spate of economic reforms. These reforms quickly spurred growth, making India’s the second-fastest growing economy in the world after China’s.
 <しかし、官僚と政治家の意識はついに改革志向にならないまま現在に至っている。↓>
 Despite this spurt, significant segments of India’s slothful bureaucratic apparatus, as well as an entire generation of politicians, remained either hostile or unconvinced of the utility and significance of the reforms.
 <より開放的となった市場を監視する新しい諸制度群が出来ていない。↓>
 Furthermore, even as India liberalized its economy, it did not move with dispatch to create new institutions that could adequately monitor and set transparent rules for a more open market. ・・・
 <財政赤字がGDPの5%近くに達している。政治家達による、集票のための垂れ流しが続いているからだ。(以前から指摘してるところの、非民主主義的中共に対して、インドが構造的に抱える問題だ。)↓>
 ・・・the fiscal deficit already stands at nearly 5 percent of the country’s gross domestic product. The exigencies of winning elections are now making populism run amok with disastrous economic consequences. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/08/22/subcontinental_drift_india?page=full
 <インドの通貨のルピーはドルに対して、5月以来16%も下落した。↓>
 ・・・ the Indian rupee has fallen 16 percent against the US dollar since May,・・・
 <政治家や官僚の腐敗事件が続発し、改革的諸政策を打ち出せない状態に陥っている。↓>
 The current government, led by economist Manmohan Singh, has been characterized by a “policy paralysis” since 2010, thanks largely to one corruption scandal after another.
 “I think the turning point was the 2G scam,” says political commentator Ajoy Bose, referring to one of India’s largest financial corruption cases, which, he says, put the government on the defense. “The political crises have left the government with little space to maneuver and it is afraid to take economic decisions that might politically backfire.”・・・
 <2006~07年頃から、政府は農民から買い上げる穀物への価格補助を3年間で35%も引き上げた。これがインフレをもたらしている。↓>
 “Around 2006-07, the government started raising the administered minimum support price for procuring food-grains from farmers. This was raised 35 percent in three years. This is why India’s inflation continues to be high even though global inflationary pressure declined after 2009,” Bhalla says.
 <そこへ、ルピーが下落しているので、燃料輸入額が跳ね上がらざるをえず、インフレは悪化すると見込まれる。↓>
 Economists say the falling rupee is expected to affect India’s large fuel import bill negatively and lead to further inflation. ・・・
http://www.csmonitor.com/World/Asia-South-Central/2013/0822/What-happened-to-India-s-economic-miracle
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太田述正コラム#6407(2013.8.23)
<日支戦争をどう見るか(その32)>
→非公開