太田述正コラム#6412(2013.8.26)
<皆さんとディスカッション(続x2002)>
<太田>(ツイッターより)
アサド政権が、化学兵器使用サイトへの国連要員立ち入りを認めた。
http://edition.cnn.com/2013/08/25/world/meast/syria-civil-war/index.html?hpt=hp_t1
政権側と反体制側が互いに相手側が使用したと言っているが、サリンだとすると、オウム真理教だって作れたもんね。
ところで、この記事のシリア惨状写真集は一見の価値がある。
戦争は絶対やってはいけないということがテーマらしい「はだしのゲン」とか、同じことを言ってるらしい「ももクロ」にはそれを、実際に戦争をやってるシリア人達に向かって言ってみろって言いたいね。
そして、こういう悲劇を防止したり解決したりするためにも、そしてサリンなんてものを使わせないためにだって、時には戦争をしなきゃならないってことを理解して欲しいね。
「日本の信用システム 信用重視の文化が基盤に…」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/8377059.html
今度はこれだよ。
よくもまあ、こんなに人間主義ネタを探し出して日本ヨイショを続けられるもんだ。
ギネス登録に値するなあ。
彗星が太陽に激突する映像が見られるよ。
太陽でさえ・・・。
http://science.time.com/2013/08/23/watch-comet-crashes-into-sun-and-exoplodes/
<vohaC8IM>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
気が付けば「皆さんとディスカッション」が2000回を突破してた。
公開・非公開のコラム<を>、ほぼ毎日あれだけの量を更新し続けられるその精神力はやっぱり並の人間じゃないと再認識させられる。
<太田>
そういうつもりで書いてくれてんじゃないだろうが、続けるだけなら並の人間どころかサルでもできるわさ。
それでは、その他の記事の紹介です。
これは、むしろ、憲法改正がいかに容易じゃないかを示すもの、と受け止めるべきだろうな。↓
「・・・憲法の解釈を変えて、集団的自衛権を使えるようにすることについて、賛成は27&で、反対の59%が大きく上回った。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308250232.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201308250232
彼にも人民網の精読を奨めて、人間主義について勉強してもらった方がよさそうだ。
いずれにせよ、彼の事務総長就任に賛成した当時の日本政府の人間主義的対応は、当面実を結ばなかったねえ。↓
「国連事務総長が日本に異例の注文 「歴史顧みること必要」 韓国訪問し・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130826/erp13082612580001-n1.htm
昼のニュースバラエティでこの文章を読んだが、感動したねえ。↓
「宇多田ヒカル 公式HPで胸中吐露「母の娘であること誇りに思う」・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/7984190/
英外相は、化学兵器で攻撃したのはアサド政権である、と断言。↓
・・・The foreign secretary, William Hague, said it was “clear it was the Assad regime” that had carried out the attack.・・・
<サリンを運んだと考えられるロケットの残骸が多数回収されている。↓>
Activists and residents in the three areas targeted by the attack have gathered the remnants of numerous distinctively shaped rockets which are believed to have contained the neurotoxins.
<サリンを放出してから着弾するしくみ。↓>
Many of the rockets are relatively intact, though their noses were buried deep in soil or bitumen, suggesting that they dispersed the chemicals above ground and did not explode on impact.・・・
<(使われたサリンの分量が巨大であること、かつ、)用いられた戦術から、アサド政権がやったことは明白だって。↓>
Hamish de Bretton-Gordon, a former commanding officer at the UK’s Joint Chemical, Biological, Radiological and Nuclear Regiment・・・said the large amount of nerve gas dropped and the tactics used pointed to Bashar al-Assad’s regime being responsible.・・・
<まず、通常の爆撃をやってドアや窓を全て壊してサリンが室内によく流れ込むようにして、その上で上記ロケットを約20基打ち込み、反体制派及び一般住民を殺害し、次いで陸軍を侵攻させている。↓>
”This appears to have been a very well-planned operation, from the conventional bombardment before to break all the doors and windows to allow the gas to move freely, to the use of 20 or so rockets [to deliver the gas] and then the army following up. It is a textbook operation.”・・・
<これに対する国際的軍事介入は、人道的理由ないしは化学兵器に係る国際法に基づき、可能だとさ。↓>
Intervention could be justified legally on humanitarian grounds or under international law relating to chemical weapons.・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/25/syria-united-nations-west-chemical-weapons-inspectors
<NATO加盟国は国連による委任がなくても(こんな場合には)シリアに軍事介入できる、とも。↓>
Nato members could act against Syria without UN mandate・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/25/syria-un-mandate-nato-military-action
<軍事介入を行うことが決定されれば、トルコ国境付近の防空施設への攻撃から始まり、次第にシリア全土の防空施設への攻撃へとエスカレートさせて行くことになろう、全てが完了するのに7日間あれば大丈夫だろう、って。↓>
・・・If strikes were ordered, they would not be against chemical facilities as they are too mobile and present a risk of widespread contamination. Air defences would be hit first, perhaps initially those close to the Turkish border, as a warning shot. Long-range weapons would be used to avoid western casualties.
“If that doesn’t work they will start hammering away at the wider Syrian air defences,” said Heyman. “That won’t be as easy as Libya, but Nato aircraft would be able to take them out in seven days, I believe.”・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/25/syria-west-military-options-generals-jordan
さて、日本政府は下掲のような憲法解釈をとっている。↓
「・・・政府は、海賊対処は「警察権の行使」にとどまり、多国籍部隊に参加しても集団的自衛権の行使には結び付かないとの立場をとっている。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013082501001771.html
英米の上述の法理論が、シリアへの軍事介入を警察権の行使ととらえているのか、それとも一般住民(ないし反体制派)のための集団的自衛権の行使ととらえているのか、判然としないが、軍事施設への攻撃であることから、前者ととらえるのは困難と考えられ、やはり後者ととらえるべきだろう。
さて、自衛隊が実際に使われる場面としては、基本的に、シリアへの軍事介入のケース的な場合、つまり、人道的介入的な場合、だけしか想定できない。
(朝鮮半島で何か起こっても米韓で対処できるし、米(日)中間じゃ何か起こるはずがないからだ。)
だから、日本での集団的自衛権に関する政府憲法解釈変更は、米国+αの「密接な関係のある国」に対象を限定しちゃいけないんだよ。
日本とシリアの一般住民(ないし反体制派)との間に「密接な関係」はどうこじつけたってないし、第一、彼らは「国」ですらないことは言うまでもない。
ところで、イラン・イラク戦争の最中、米国は、イラク(フセイン政権)が化学兵器で攻撃するであろうことを知っていて、イランがバスラに大攻勢をかけようとしていた時に、イランの部隊終結状況がどうなっているかをイラクに教えてやったんだって。
この米国からの情報のおかげで、イラクはイラン軍に化学兵器攻撃をかけることができ、イランにこの大攻勢の発動を諦めさせ、最終的に戦争を引き分けに持ち込んだ。
(このように、化学兵器の使用に対する対応一つとっても強国は偽善的だ。だからと言って、化学兵器の使用に対していつも、誰も何もしないんじゃ、化学兵器に係る国際法だけじゃなく、あらゆる国際法は絵に画いた餅になってしまう。)↓
・・・In 1988, during the waning days of Iraq’s war with Iran, the United States learned through satellite imagery that Iran was about to gain a major strategic advantage by exploiting a hole in Iraqi defenses. U.S. intelligence officials conveyed the location of the Iranian troops to Iraq, fully aware that Hussein’s military would attack with chemical weapons, including sarin, a lethal nerve agent. ・・・
In contrast to today’s wrenching debate over whether the United States should intervene to stop alleged chemical weapons attacks by the Syrian government, the United States applied a cold calculus three decades ago to Hussein’s widespread use of chemical weapons against his enemies and his own people. The Reagan administration decided that it was better to let the attacks continue if they might turn the tide of the war. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/08/25/secret_cia_files_prove_america_helped_saddam_as_he_gassed_iran?page=full
ポロの選手の腕は長く、女子体操選手の体は小さく、テニス選手の前腕は長く、水泳選手の胴体は長く、ボクサーの腕は長く脚は短く、へと次第に変化してきてるって。↓
・・・polo players’ arms are getting bigger, elite female gymnasts have shrunk・・・, tennis players’ forearms are growing, swimmers’ torsos are extending and the top boxers’ arms are getting longer while their legs get shorter.・・・
http://www.theguardian.com/books/2013/aug/22/sports-gene-david-epstein-review
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太田述正コラム#6413(2013.8.26)
<日支戦争をどう見るか(その35)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2002)
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