太田述正コラム#6426(2013.9.2)
<皆さんとディスカッション(続x2009)>
<太田>(ツイッターより)
「シリア化学兵器は「サリン」 ケリー米国務長官明かす…」http://www.asahi.com/international/update/0901/TKY201309010249.html …、「 シリア化学兵器疑惑「分析に最長3週間」 国連調査団…」http://www.asahi.com/international/update/0901/TKY201309010072.html … オバマは強い意志でもって国連無視を続けている。
<太田>
8月29日付(米国東海岸時間)の記事だが、国連憲章2条1項の主権条項は、加盟国の枢要な国益が国際法や国際組織よりも優先することを保証しているだって。
これが、米国政府(オバマ)の対シリア武力行使の法的根拠論(コラム#6425(未公開))の根幹的「根拠」だな。↓
・・・Article 2 (1) of the Charter stipulates that the organization is “based on the principle of the sovereign equality of all its Members.”
This amounts to a guarantee that the vital national interests of member states take precedence over international law and organization・・・
<また、国連憲章51条は、自衛のための武力の行使をはっきりと認める・・加盟国の枢要な安全保障上の利益を守るための諸措置と認める・・ことによって、安保理の権限を制約している、だと。↓>
The limitations on the power of Security Council are only emphasized by Article 51, which explicitly authorizes the use of force in self-defense, which under existing international legal doctrine includes measures taken to protect the vital security interests of member states. ・・・
http://www.csmonitor.com/Commentary/Opinion/2013/0829/US-must-take-substantial-military-action-in-Syria-now
<はま>
<コラム#6410で>質問にお返事くださってありがとうございます。
けれども「霊的だけれど宗教的ではない」現象があると、#6361<(未公開)>のコラムに引用された記事にありますから、「spiritualな人は各種宗教本をあれこれやたら読むreligiousな人であるのに対し、fundamentalisticな人は宗教 の本は基本的に聖書しか読まないreligiousな人だ」というお答えでは矛盾してしまいます。
<太田>
コラム#6361(における引用)をきちんと読んでおられないようですね。
「保守的なキリスト教信者は、「こんなものは宗教ではないと考えるかもしれない」<が、>・・・宗教というものは、信じがたいほど様々な形態をとって立ち現われるもの」」である、とご理解ください。
このセンテンスのココロは、「霊的だけれど宗教的ではない」ものも実は「リベラル的宗教(liberal religion)」(同じコラムでその少し前に引用されています)なんだよ、ということです。
あなたは、そんな見解は受け入れられない、とおっしゃっているわけですが、それを私に対して言われても困ります。
なお、私とやりとりをされる場合は、もう少し、タイミングを失せずにやっていただいた方が、第三者たる読者がフォローし易いと思いますよ。
それでは、その他の記事の紹介です。
案の定・・。↓
「フランス:野党、シリア攻撃参加に反発・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20130902k0000m030072000c.html
武力行使が先延ばしになり、より詳細な事実が明らかになりつつあることを踏まえ、英国で再議決を考慮すべきだとする声が出てきているんだと。↓
President Obama’s decision to seek congressional approval for a military strike on Syria could open the door to another vote by the British Parliament, which rejected such intervention, senior officials here suggested Sunday.・・・
http://www.latimes.com/world/worldnow/la-fg-wn-britain-could-vote-again-on-syria-20130901,0,2731590,print.story
アラブ連盟がシリア政府に対する国際的行動を促した。↓
The Arab League on Sunday urged international action against the Syrian government to deter what it called the “ugly crime” of using chemical weapons. It was a major step toward supporting Western military strikes but short of the explicit endorsement that the United States and some Persian Gulf allies had hoped for. ・・・
<エジプトは、外交に委ねるべきだとしたが、モルシ追放後、エジプト政府に経済援助をしているサウディアラビアと湾岸諸国が上記玉虫色のアラブ連盟宣言で押し切ったって・↓>
After Egypt signed on to the final resolution, many analysts pointed to the growing regional influence of Saudi Arabia and the Gulf states, which have extended Egypt billions of dollars in critical financial support since Mr. Morsi’s ouster, giving them the upper hand in the behind-the-scenes talks that crafted the resolution. But the Egyptians may have felt they could support the resolution because it made no reference to military force.
http://www.nytimes.com/2013/09/02/world/middleeast/saudi-arabia-syria-military-action.html?hp&_r=0&pagewanted=all
先般の下院での議決を受け、興味深い史実が紹介されている。
なお、(かねてからの私の指摘通り、)英国には憲法がないってことがはっきりしたねえ。↓
「・・・第二次世界大戦以降も英国は各地に軍を展開。同大戦以降、英軍が戦闘で人を殺さなかった年は1968年だけとされる。・・・
1956年の第2次中東戦争(スエズ動乱)では野党が政府の参戦計画を拒否したが、首相が辞任し最終的には軍を派遣。ノッティンガム大学のカウリー教授(政治学)によると、国会が政府の軍事計画を実際に止めたことは過去150年以上なかったという。
英国には憲法がなく積み重ねられた先例が慣習法として憲法の役割を果たす。ダラム大学のフィリップソン教授(法学)は「今回、国会が政府の軍事計画を止めたことで、議会承認なしの軍事行動は不可能になった。政府から議会へ、憲法改正にも匹敵するほどの権力移譲(パワーシフト)が起こった」と分析している。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20130831k0000m030093000c.html
キチガイの金正恩の面目躍如だな。↓
「・・・北京の外交筋によると、・・・昨年11月の第18回党大会で習氏が党総書記に就任後、中国指導部は外交ルートを通じて、金氏に自ら訪中して習氏の最高指導者就任を祝うよう要請した。しかし、金氏は中国側が北朝鮮の核開発に反対していることを理由に拒否。祝電さえ打たず、3月の全国人民代表大会で習氏が国家主席に選出された際も同様に無視した。
中国との関係を「鮮血で固めた友誼」と形容する北朝鮮のトップが、10年に1度の中国最高指導者の交代を無視するのは極めて異例で、「外交上でも最大級の非礼」と同筋は指摘する。ちなみに、中国と関係が険悪化している安倍晋三首相でさえ、国家主席就任への祝電を送っている。・・・」
http://news.infoseek.co.jp/article/postseven_205378
こんな国であるベトナムがTPP加盟交渉国
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E7%95%A5%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E9%80%A3%E6%90%BA%E5%8D%94%E5%AE%9A
になっている不思議さよ。また、なんで、日本の主要メディアの電子版のホームページは本件を報じていないのかね。↓
<ベトナム政府は、インターネット上でニュース共有禁止令を発した。↓>
A controversial law banning Vietnamese online users from discussing current affairs has come into effect.
The decree, known as Decree 72, says blogs and social websites should not be used to share news articles, but only personal information.
<また、外国のインターネット企業は、サーバーをベトナム国内に置かなければならないものとした。↓>
The law also requires foreign internet companies to keep their local servers inside Vietnam. ・・・
<更に、ベトナム政府に「反対」したり、「国家安全保障を害する」ものをアップすることも禁じた。↓>
It also prohibits the online publication of material that “opposes” the Vietnamese government or “harms national security”. ・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-23920541
中共当局は、汚職撲滅キャンペーンの一環として、石油業界の大物
http://en.wikipedia.org/wiki/Jiang_Jiemin
を勾留した。↓
China has ratcheted up its anti-corruption campaign with the detention of the chief regulator of state-owned companies, the highest-ranking official to be placed under investigation by the country’s new leaders.
・・・Jiang Jiemin(蒋●(さんずい篇に吉)敏) head of the State-owned Assets Supervision and Administration Commission, was suspected of “severe disciplinary violations”.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/50c5bd5c-12ce-11e3-a05e-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz2dgy9sAmz
—————————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#6427(2013.9.2)
<日支戦争をどう見るか(その40)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2009)
- 公開日: