太田述正コラム#6494(2013.10.6)
<皆さんとディスカッション(続x2043)>
<太田>(ツイッターより)
「…軍縮を迫られる米国、日本に中国けん制の役割を「アウトソーシング」…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/05/2013100500955.html
米国政府の意図を伝えたこの米駐在朝鮮日報記者には敬意を表するが、中共もまた日本の「独立」を画策しているという僕の視点も勉強することを勧めるぜ。
レオナルドダヴィンチ作と新たに断定された絵が拝めるよ。
ひょっとしてモナリザを上回る傑作?
少なくとも、モナリザのモデルよりかこっちのモデルの方が(侯爵夫人だっちゅうから)より「高貴」ではある。
http://www.theguardian.com/artanddesign/2013/oct/04/leonardo-da-vinci-lost-portrait-isabella-deste
<TA>
質問なのですが、↓の記事
集団的自衛権:半島有事、自衛隊介入の可能性はゼロ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/04/2013100401281.html
で、「自衛隊が、在韓米軍支援を理由として韓国の領域に入るためには、韓国の同意
を得なければならない」と述べられていますが、これは正しいのでしょうか。という
のも、有事の際の「戦時作戦統制権」とやらが米軍にあるのであれば、「韓国の同
意」は、政治的にはともかく、法的には必要ないのではないかと想像するのです。↓
「朝鮮半島は世界で唯一の国連軍の監視下にある地域である。韓国においては、有
事の際は米韓連合司令部が戦時作戦統制権を行使して作戦を遂行する。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%9F%93%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%9B%BD%E
8%BB%8D
<太田>
いい質問です。
領海は国連海洋法条約によって12海里までと定められましたが、それまでは、つまり、朝鮮戦争当時は、「19世紀には沿岸から3海里までを自国の領海とする国が多くなったものの、4海里、6海里、12海里、沿岸から発射したキャノン砲の着弾距離など、各国の主張は食い違った」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E6%B5%B7
状態でした。
他方、朝鮮戦争当時に、占領軍の命令により、朝鮮半島周辺海域に1950年10月10日に派遣された日本の掃海部隊は、現地で、ただちに、「米掃海艇4隻は掃海を行いつつ永興湾内に侵入し、奥にある元山港前面の泊地掃海を行う。日本掃海隊は処分艇となってこれに続行せよ」という命令に基づいて行動した
http://blogs.yahoo.co.jp/naomoe3/57789973.html
というのですから、「The Clearance of Wonsan」や「別図第1」をご覧になれば、この時点で、早くもこの掃海部隊が、朝鮮半島から4海里以内の海面でも作戦行動をとったことは明らかです。
つまり、当時、この掃海部隊は、韓国・・現在では元山は北朝鮮だが、韓国は朝鮮半島全体に主権があると称しているし、朝鮮戦争中には国連軍の元山上陸作戦によって、しばらくの間、韓国の実効支配下に置かれた・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E5%B1%B1%E5%B8%82
の領海内に入ったことになるわけです。
それに対し、当時、韓国政府から抗議があったなどという話など聞いたことがありません。
(もとより、韓国政府がこの事実を停戦成立時点まで知らされていなかったという可能性も皆無ではありませんが、この事実が公開されてからも、本件に関する韓国政府の反応は現在に至るまで全くありません。)
1950年6月に国連軍ができてからいつの時点で韓国軍の作戦指揮権が国連軍司令官に移管されたのか
http://kotobank.jp/word/%E6%88%A6%E6%99%82%E4%BD%9C%E6%88%A6%E7%B5%B1%E5%88%B6%E6%A8%A9%E7%A7%BB%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%B1%B3%E9%9F%93%E5%90%88%E6%84%8F
を私は詳らかにしませんが、「10月1日、韓国軍は「祖国統一の好機」と踏んだ李承晩大統領の命を受け、<米>第8軍の承認を受け<ただけで>単独で38度線を突破した・・・<ところ、その一方で、>国連安保理では、国連軍による38度線突破の提案はソ連の拒否権により葬られ<、>10月7日、<米国>の提案により国連総会で議決し<、>これにより10月9日に<米>軍を中心とした国連軍も<ようやく>38度線を越えて進撃し<た>」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E6%88%A6%E4%BA%89
といったことからすると、韓国軍は相当自由に作戦行動をとっていた、つまりは、韓国政府に相当裁量権があったようである、にもかかわらずです。
いや、そもそも、抗議などあるはずがありません。
国家危急存亡の秋に、第三国からの軍事支援を断るなどという贅沢が許されるわけがないからです。
それが民主主義国家であればなおさらです。
(例えば、韓国政府が、日本の軍事介入を断ったために、北朝鮮軍の進撃を初期に食い止めることができず、休戦ラインが現在よりも更に南に再設定されてしまった、なんて場合には、韓国民からぶったたかれて、政府が瓦解するだけじゃなく、指導者達は殺されかねないだろってことです。)
<TA>
ところで、
「第二次冷戦時代は、・・・日本の国民の全くあずかり知らないところで日本の自衛隊が対旧ソ連の抑止力の一環として重要な機能を担わされた、とんでもない時代でもあった。」(コラム#0030。太田)
「本来の共同作戦計画の枠をはみ出すような記述が同計画に盛り込まれていた・・・。」(コラム#3331。太田)
といったことを思い出すに、朝鮮半島有事などにおいて、アメリカとの間で「国民の全くあずかり知らない」ことが決められているのでは、という妄想が拭えません。
考え過ぎでしょうか。
集団的自衛権に関する政府憲法解釈の変更との絡みで同じような疑念を抱く者は、一定数存在しそうですが・・。↓
集団的自衛権に関<して否定的な>社説・論説集
http://tamutamu2011.kuronowish.com/syuudanntekijieikennsyasetu.htm
<太田>
若干誤解があるようです。
第二次冷戦時代当時、日本の「自衛隊が対旧ソ連の抑止力の一環として重要な機能を担わされた」と言っても、日本が当時の(というか現在の)憲法解釈の枠を超えた自衛隊の運用を行うことを米国だって想定していなかったこと・・私はあえてそこまで書かなかったけれど・・が第一点ですし、「対旧ソ連抑止力の一環として重要な機能を担」ったっことには大きな意義があったというのが第二点です。
私が問題にしたのは、そういったことが一切国民には知らされていなかった上、政府与党の中央の政治家の大部分にも知らされていなかった、というかそういう目で物事を見る政治家がいなかった、ことなのです。
この第一点については現在も変わっていませんし、第二点については、中央政治家の少なくとも一部は物事をそういう目で見るようになっていると思います、いや、期待しています。
私が「独立」を訴えている大きな一つの理由は、「独立」すれば、中央政治家の安全保障意識が向上させられ、そういう目で物事を詮索せざるをえなくなるから、なのです。
それでは、その他の記事の紹介です。
私の危惧通り、米国に対する属国度を深めるだけの憲法解釈変更がなされようとしているでー。↓
「自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行は・・・憲法解釈の変更で集団的自衛権行使を容認した場合、行使に制約がかかるとの認識を示した。「極めて限定された形であれば(行使容認の)解釈の余地が残っている。米国がブラジル辺りで敵国にやられようとした時、地球の裏側まで助けに行くのは絶対にできない」と述べた。
同時に「フルサイズの集団的自衛権を認めるには憲法改正をきちんとしなければならない」と指摘した。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131005/stt13100521370005-n1.htm
韓国の対日関係改善は着々と進んどるね。↓
「日本統治を一部評価する教科書、韓国の検定通過・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131005-OYT1T00787.htm?from=top
米軍が、同じ日にソマリアとリビアでのイスラム過激派捕縛・殺害作戦を行ったが、やはり、国際法を無視して決行したみたいね。(日本も他人事じゃないよ。)↓
<リビア政府・・著しく弱体・・は、米国から事前通報がなかったと言明。↓>
・・・A senior American official said the Libyan government was involved in the operation, but it was unclear in what capacity. An assistant to the prime minister of the Libyan transitional government said the government was unaware of any operation or Abu Anas’s abduction. Asked if American forces ever conduct raids inside Libya or collaborate with Libyan forces, Mehmoud Abu Bahia, assistant to defense minister, replied, “Absolutely not.”
Disclosure of the raid is likely to inflame anxieties among many Libyans about their national sovereignty, putting a new strain on the transitional government’s fragile authority. ・・・
<ソマリア「政府」・・政府はあってなきがごとし・・は、事前通報があったと言ってるけど、一般的事前通報だろ。個別に事前通報したら、漏れちゃうもんね。↓>
A senior Somali government official who spoke on the condition of anonymity confirmed the raid, saying, “The attack was carried out by the American forces and the Somali government was pre-informed about the attack.” ・・・
http://www.nytimes.com/2013/10/06/world/africa/Al-Qaeda-Suspect-Wanted-in-US-Said-to-Be-Taken-in-Libya.html?hp&_r=0&pagewanted=all
前にも同様の指摘を紹介したが、米国の金持ちは貧者に比べて人間主義度で劣るって。そもそも、彼らは、人間主義発揮の前提となる貧者への関心が希薄なんだって。↓
・・・the poor, compared with the wealthy, have keenly attuned interpersonal attention in all directions, in general, those with the most power in society seem to pay particularly little attention to those with the least power. ・・・
<食品割引切符(food stamp)やオバマケアへの米下院共和党議員達の否定的態度の背景にはこのことがあるとさ。↓>
In politics, readily dismissing inconvenient people can easily extend to dismissing inconvenient truths about them. The insistence by some House Republicans in Congress on cutting financing for food stamps and impeding the implementation of Obamacare, which would allow patients, including those with pre-existing health conditions, to obtain and pay for insurance coverage, may stem in part from the empathy gap.
<そもそも、多くの共和党議員は、選挙区再区割りやゲリマンダーによって当選してきた連中なので、自分達と異なった考えの選挙民と接する機会が少ない、と。↓>
As political scientists have noted, redistricting and gerrymandering have led to the creation of more and more safe districts, in which elected officials don’t even have to encounter many voters from the rival party, much less empathize with them.・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/10/05/rich-people-just-care-less/?ref=opinion
『ワイルド・スワン』の著者であり、Mao: The Unknown Storyの共著者の一人であるチャン(Jung Chang)が書いた西太后の伝記の書評から。↓
<実は西太后は支那を近代化したって。↓>
・・・ Instead of casting the empress as a grasping, power-mad tyrant, as she is commonly perceived, the book hails Cixi as a figure who helped usher China into the 20th century.・・・
<纏足を禁じた。↓>
Empress Dowager Cixi who outlawed foot binding in 1902.・・・
<要するに女性を解放した。職能別選挙制に立脚する2院制の議会制度を導入しようとしていた、とも。↓>
She really launched women’s liberation [in China]. And the last project she embarked on, which was unfortunately cut short by her untimely death, was to introduce China into a constitutional monarchy, which means an open parliament with an upper house and lower house, and to give the vote to the Chinese people on the basis of the franchise—comparable to the franchise in the West.・・・
http://blogs.wsj.com/scene/2013/10/03/jung-chang-rewrites-an-empress/
セックスに関する新著が出た。
ほんとかいなってなハナシも書かれているようだ。↓
・・・Women can get pregnant five to eight days after having sex・・・
<女性は、ハイヒールを履いたり、長時間椅子に座ってたりすると(後者はセックスしたくはなるけど)オーガスムを起きにくくさせる。↓>
Wearing high heels can negatively affect a woman’s orgasm・・・
Sitting in chairs can arouse women・・・…But it can also dampen their orgasms・・・
<女性は子宮頚部でも「感じる」のね。↓>
Women have three erogenous zones・・・The clitoris, the G Spot, AND the opening of the cervix. Some argue nipples belong on that list too.・・・
<オーガスムは、子宮に精液をかき集める役割を果たしている。(今までの通説と違うじゃん。)↓>
The pulsations a woman feels during orgasm are actually her uterus trying to gather sperm・・・
All woman can achieve orgasm・・・
http://healthland.time.com/2013/10/04/lets-talk-12-surprising-facts-about-sex-and-women/
目と目を合わせて話をするのは、相手を説得しようとする場合は逆効果なんだって。↓
・・・Forcing eye contact when trying to change someone’s mind may actually cause listeners to become more stubborn・・・
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/making-eye-contact-can-hurt-your-argument-study-finds/2013/10/05/079b67ec-2d42-11e3-8ade-a1f23cda135e_story.html?hpid=z4
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太田述正コラム#6495(2013.10.6)
<日本の「宗教」(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2043)
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