太田述正コラム#6650(2013.12.23)
<皆さんとディスカッション(続x2121)>
<太田>(ツイッターより)
「韓国人の日本に対する好感度、北朝鮮と同程度に…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122300656.htm、
「自衛隊と印海軍、インド洋で初の共同訓練…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122300901.html。
狂ってる自国について、朝鮮日報、まだまだ危機意識が足らな過ぎるである。
<TT>
≫で、その話でもって吉田ドクトリン墨守をどう説明するのですか?≪(コラム#6648。太田)
OrDF0Nc.氏の太田さんに対する質問の意図を、私なりに「政官業癒着構造が人間主義の発露の一面であるのではないか」と勝手に考えてみたのです。
吉田ドクトリン墨守が戦後日本の外交姿勢として人間主義的であるということはないでしょうけど、日本文明としての人間主義の現れ方が狭い(日本国内に閉じこもった)状態、と考えられませんか?
人間主義とはそんな矮小なものではないといえばそうですが、日本社会は縄文(人間主義)文化を基調として縄文モードと弥生モードが交互に前面に出てくる文明であることと、矛盾はしないように思います。
つまり内向的な縄文モードでは人間主義が狭く濃厚に現出し、外向的な弥生モードでは人間主義が広く薄く現出する、と単純に考えると、縄文モードに おける人間主義の狭さが「吉田ドクトリン墨守」という外交の放棄と、濃厚さが「政官業癒着」という国内経済の腐敗と、対応しているのではないでしょうか。
人間主義というのは普遍性のある文明だとは思いますが、狭い範囲にとどまっているがゆえに表れる負の側面もあるだろうということです。
<太田>
対外政策に関しては、第一次縄文モードの平安時代も第二次縄文モードの江戸時代も、鎖国傾向にはあったものの、第三次縄文モードの現在のように、他国の属国になるという病理現象とは無縁でした。
他方、日本型経済体制に関しては、昔、ガイジンにcollusive(談合性)だがcorrosive(腐食的)ではない、とゴロ合わせ的に説明したことがありますが、そのココロは「癒着的」だけど「腐敗的」ではないってことです。
ですから、「政官業癒着」それ自体は、人間主義に基づく日本型経済体制の生理であって病理ではありません。
ところが、天下りシステムを伴った「政官業癒着」となると、それは日本型経済体制の病理現象であると言わざるをえません。
たまたまこの二つの病理現象とも戦後の産物であって、どちらもその背後に鎖国に伴う軍事の軽視がある・・前者については、軍事は軽視しても朝鮮半島防衛を誰かにやってもらわなければならなかった結果米国にやってもらうことにした、後者については、軍事の軽視の結果、軍人恩給制度、ひいては全般的な恩給制度の必要性が低下した・・ことは否定できないわけですが、前者の直接の原因は吉田ドクトリンであり、後者の直接の原因は恩給制度の廃止であるところ、それぞれ、実施されたことについて、必然性はありませんでした。
ま、TTさん、なかなか目の付け所のよいご意見ではありましたね。
<名無しさん@安全保障>
矛盾点について、お答えありがとうございます。
ようやく分かってきた気がします。(多分)
恐縮ながら#6638に基づいて再質問させてください。
≫韓比の場合は、(太平洋地域・・ハワイ等・・に限定されてはいるものの)米国を守る(defend)というサービスを提供してくれるから米国も韓比それぞれを守るというサービスを提供しますよ、ということが分かるタイトルになっているのです。ところが、日本の場合、一切米国は守らない・・日本の領域内に所在する米軍等は、日本の領域内に所在するあらゆる他の外国人同様、本来、日本が守るべきものです・・ことから、米国も日本は守るというサービスは提供しませんよ、ということが分かるように、「協力」とか「安全保障」という、曖昧な言葉(サービ ス内容)を使ったタイトルになっているのです。 それでも、米国が日本に対し、曖昧ながらもサービスらしきものを提供する≪(コラム#6638。太田)
≫「もうひとつ質問させて下さい」の前では、「日本が提供するサービス」=「在日米軍の防衛」で、それが「米国が提供するサービス」と「釣り合っている」と言いながら、 「もうひとつ質問させて下さい」の後では、「日本が提供するサービス」=「在日米軍基地提供」に変わってしまっているのが矛盾なんですよ。≪(コラム#6648。太田)
以上を総合すると
日本が提供するサービス…在日米軍の防衛、在日米軍基地提供
米国が提供するサービス…「協力」や「安全保障」といった曖昧なもの
ということでよろしいでしょうか?
→違います。
日米安保条約に基づいて日本が米国に提供するサービスは、「在日米軍」に係る「協力」や「安全保障」といった曖昧なもの、ですよ。
ただし、これに関しては、日本側に日本の領域防衛義務(後出)と安保条約に基づく米軍基地提供義務がある以上、全く意味のない、修辞に過ぎません。(太田)
依然、なぜ米国が提供するサービスに日本の施政下における領域の防衛が入っていないのかが分かりません…新日米安保条約第五条により、日本は在日米軍を防衛する義務(サービス)を負っているのなら、たとえ条約名に「相互防衛」の言葉がなくとも米国もまた日本の施政下における領域を防衛する義務を負わないのでしょうか?
→日本の領域内で在日米軍については、(在日米軍が合法的に日本の領域内に所在する場合は、)他の外国人や我々日本人についてと同様、安保条約があろうとなかろうと、日本に防衛義務があるからです。
なお、この後のやりとりも、併せ、参照してください。(太田)
<名無しさん@安全保障>
また、
≫日本の領域内に所在する米軍等は、日本の領域内に所在するあらゆる他の外国人同様、本来、日本が守るべきものです≪(コラム#6638。太田)
について、もし典拠があればお教え頂ければ幸いです。
<太田>
典拠も何も、在日米軍基地(訓練空海域を含む)だって、そこでの日本の主権行使は制限されてはいるものの、あくまでも日本の領域内であって日本の主権下にあるのですから、その領域及びその領域内に所在する米軍人、軍属、及び日本人従業員、日本人訪問者等を日本が・・米軍も守るわけですが日本も・・守らなければならないのは当然じゃないですか。
これは、日本の領域内ではあるけれど、在日米軍基地の外に訓練、業務等で出ている米軍人・軍属だって(その一次裁判権は日本にはないけれど)日本が守らなければならないし、日本の領域内に所在する各国の外交官や大使館だって(外交特権があるので逮捕・捜索・訴追等はできないけれど)日本が守らなければならないのと基本的に同じことです。
常識を働かせましょう!
以上で、本件については、全部理解された、ということでよろしいですね。
祝着至極でござんす。
<名無しさん@安全保障>
≫ところで、あなたは、あなたは、コラム#6632で福岡オフ会に出席希望がある旨を述べ、コラム#6602でChaseさんがそれを謝意表明とともにコン ファームしたところ、あなたは更にコラム#6600で、出席するまでに読んでおくべきコラムをお尋ねになったというのに、「遠方のため」ご「欠席」とは、 まことに残念ですねえ。≪(コラム#6648。太田)
一体何のことかとびっくりしました。が、謎はすぐ解けました。
「コラム#6632で福岡オフ会に出席希望がある旨を述べ」た方と私は別人です!
私もその方も、名前欄に何も入力しなかったため掲示板(www.ohtan.net/board/test/read.cgi/bbs/1374487562/)においてデフォルトで設定してある「名無しさん@安全保障」というニックネームとなっています。(私の方は途中から60と入力 していますが)その方はレス番号52,58の方で、私は60~63,65,66ですね。
<太田>
ウーン、自分でこの掲示板の設定をしていないので、ちーとも知りませんでした。
(だけど、そんならどうして、IDだけが表示されたり、「名無しさん@安全保障」とIDの両方が表示されたりするんでしょうね。)
大変失礼しました。
それにしても、2ちゃんそっくりの太田掲示板ではあるけれど、2ちゃんの方と区別する意味でも、皆さん、ちゃんと本名ないしハンドルネームを書いて投稿するようにしていただきたいものです。
<UbUak6Hc>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
日本式のクリスマスを是非どーぞ。↓
The priest of the buddhist in Japan have observed Christmas
http://www.youtube.com/watch?v=A0CGOFqRM3U&feature=youtube_gdata_player
<太田>
珍しいもんをサンキュー。
音楽ついでだけど、フィギュアスケートの村上佳菜子が今回の全日本等で使った曲
http://www.youtube.com/watch?v=zLAWPGBptYQ
である川井郁子の「バイオリン ミューズ」は、バッハの『シャコンヌ(chaconne)』とヴィターリ(Vitali)の『シャコンヌ』という2曲のシャコンヌを、彼女が編曲したもの(注)なんだね。
http://www.youtube.com/watch?v=FRFHFaLvRL0
(注)http://www.skating-music.com/murakami/2011/sp-2011.html
[バッハ]
庄司紗矢香のバイオリンによる、バッハの原曲(シャコンヌ(パルティータ第2番より))の演奏をどうぞ。無伴奏。(コラム#5067。なお、この庄司による演奏はコラム#6311で既出)
http://www.youtube.com/watch?v=vx4smRlFAnw
ジュリア・フィッシャーによる新しくアップされた演奏も発見。
http://www.youtube.com/watch?v=l9x0dE5Rda4
http://www.youtube.com/watch?v=hIWYFqB1IBk
参考までに、ミケランジェリのピアノによる、この曲のブゾーニ編曲(コラム#5067)もどうぞ。無伴奏。
http://www.youtube.com/watch?v=TnoSeI3APSg
[ヴィターリ]
ミルスタインのバイオリンによる、ヴィターリの原曲の演奏をどうぞ。ピアノ伴奏
http://www.youtube.com/watch?v=WhS75OIfFIg
オイストラッフ ピアノ伴奏
http://www.youtube.com/watch?v=i4B1ifcWa9o
ハイフェッツ オルガン伴奏 私はこの演奏が一番好み。
http://www.youtube.com/watch?v=97xlBipnzG8
サラ・チャン オケ伴奏
http://www.youtube.com/watch?v=Jlcca97wow4
<太田>
それでは、その他の記事の紹介です。
村上龍の『半島を出よ』(2005年)の英訳の好意的書評だ。↓
http://www.theguardian.com/books/2013/dec/22/ryu-murakami-from-fatherland-review
イスラエルの諜報相が、米NSAがイスラエルの首脳達の通信を傍受していたとして米国を非難。
(エシュロン非加盟国たる米国の主要同盟国で、政府の閣僚クラス以上が米国を非難していないのは日本ぐらいだ。日本はまことにもって優等生的属国だね。(太田))↓
・・・”This thing is not legitimate,” the Israeli intelligence minister, Yuval Steinitz, told Israel Radio. He called for both countries to enter an agreement regarding espionage.・・・
<イスラエルのために諜報活動を米国でしていたポラードは1987年に終身刑で投獄されたままだが、かねてよりイスラエルは彼の釈放を求めて来たところ、今回の問題で、一層その声が高まりつつあるんだって。↓>
Espionage is a sensitive subject between Israel and the US because of the Pollard affair. Pollard, a former civilian intelligence analyst, was sentenced to life in prison in 1987 for passing classified material to Israel. Israeli leaders frequently call for his release and say his nearly three decades in prison are punishment enough. But opposition from the US military and intelligence community has deterred Barack Obama and his predecessors from releasing him.
<ポラードの件があってから、イスラエルは米国を対象とする諜報活動をやってこなかっただけに、イスラエルの怒りは大きいんだと。↓>
Since Pollard’s conviction, Israel has promised not to spy on the US. Israeli ministers said on Sunday that Israel does not spy on the US president or defence secretary. ・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/dec/22/israel-condemns-us-spying-nsa-edward-snowden
シュミット元ドイツ首相、英国を痛罵。↓
<彼の付き合った英国の指導者中、欧州ファンはヒース元首相のみで、後はEU加盟の目的は発言権獲得だけが目的だと思ってる、と。↓>
・・・Ted Heath・・・was the only British leader who believed in Europe. The others only paid lip service. Neither Harold Wilson nor Margaret Thatcher wanted the EC to be a success; they only wanted a thumb in the pie.”・・・
<英国は、大英帝国は既に存在しないのに、まだ存在していると思い込んでいる、と。↓>
”Winston Churchill was a great European but he was quite clear that Britain was not joining because it had the empire. But it’s gone, even though you think it still exists.”・・・
http://www.theguardian.com/world/2013/dec/22/helmut-schmidt-europe-crisis-interview
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連休なので、臨時一人題名のない音楽会です。
テレサテンの第5回目です。
東京夜景 いいねー。これを含めた以下4曲は、私の第三の故郷東京の歌です。
http://www.youtube.com/watch?v=MXTh-GI_iSc
ララバイ東京 いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=eeth9L0_4CU
赤坂たそがれ いいねー。かつての防衛庁の街。(同庁は、地下鉄の千代田線の赤坂駅と日比谷線の六本木駅が最寄り駅だった。)
http://www.youtube.com/watch?v=EZJAfQ_d8j4
六本木ララバイ。同じく、かつての防衛庁の街。
http://www.youtube.com/watch?v=xIDGJRWmeRI
望郷 いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=rBtI1n1689g
愛は砂のように いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=9-MGyzRmWgw
スキャンダル
http://www.youtube.com/watch?v=2gjHKK5wb6c
I Love You
http://www.youtube.com/watch?v=3E6SU-5iyug
寝物語を聴かせて
http://www.youtube.com/watch?v=Wox0vUhylEA
乱されて
http://www.youtube.com/watch?v=oeHJLMiGmNw
星影のワルツ(コラム#3989)
http://www.youtube.com/watch?v=fLagu9UKrt4
グッドナイト・コール
http://www.youtube.com/watch?v=YLXNe2m6Uv8
黒いショール いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=ibNlCTeIaBM
別れの予感 いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=Av00lVzhIu4
今でも
http://www.youtube.com/watch?v=WcHcpc0A-qA
おやすみなさい
http://www.youtube.com/watch?v=sO0cAjGAewA
冬の駅(コラム#3420) いいねー。
http://www.youtube.com/watch?v=1-8WugiO9n0
水の星座
http://www.youtube.com/watch?v=eZXHwfHi4F4
(続く)
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太田述正コラム#6651(2013.12.23)
<『チャイナ・ナイン』を読む(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2121)
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