太田述正コラム#6521(2013.10.19)
<2013.10.19東京オフ会次第>(2014.2.3公開)
1 始めに、
 総勢10名の出席者中、初出席者は1名。
 東京幹事団4人中、2人が出席できない中では、まあまあ盛況だったと言えるでしょう。
 2次会出席者は8名でした。
 (出席できなかった幹事1人が、仕事で滞在中の八丈島から、二次会の最中に電話をかけてきました。) 
2 オフ会次第
 私の「講演」は、「講演原稿」に部分的に拠りつつ、かなり自由に行いました。
 質疑応答等(含二次会)の一部は次の通りです。(oは私です。)
 (なお、出席者の中に、最近、南インドを旅行してきた人と、1年半の駐在していたタイから6月に帰国した人がいたので、ひとしきり、インドやタイについての意見交換がなされました。
 また、前者の人から、山窩
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%AB_(%E6%B0%91%E4%BF%97%E5%AD%A6)
についての話題提起がされました。)
a:『八重の桜』について苦言を呈したい、と「講演原稿」に書かれていたが、その趣旨は?
o:私は、大河ドラマは、ずっと見てきているが、(後半部分だけとはいえ、)特定の宗教の布教活動を描いたものはこれまでなかったはずだ。
 私は、日本の憲法には規範性がないと主張している以上、公共放送が特定の宗教の宣伝活動まがいのことをするのは憲法違反だなどという野暮なことは言わない。
 しかし、初めて取り上げるのが、日本人の信徒が極めて少ないキリスト教だというのはいかがなものか。
 仏教徒(日蓮宗信徒)の宮沢賢治あたりを取り上げるのなら分かるのだが・・。
 ついでに、「講演原稿」に書かれていたもう一つのことについてだ。
 
 「森下くるみ<(注)いわく、>・・・「<自分がAV女優をやっていた>当時は・・・みんな隠れて<AVに>出てた。トップのひと握りはプロ意識はあったけど、ほとんどやるんであってもバレないようにですよね。今のようなAVをしながら芸能活動をするとか“明るい野心”なんてなかったですよ。たった10年くらいでこうなるんですから。まあ、AV女優が変わったんじゃなくて、社会全体が変わった結果だとは思いますけどね」・・・」
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/55000/ (2012.11.16)
 (注)「AV全盛期に10年に渡ってカリスマ的人気を誇った。08年に事実上の引退後、現在は短編小説やエッセーなどの執筆活動を中心に活動している。著書「すべては『裸になる』から始まって」は今年2月に元AKB48の成田梨紗主演で映画化され、話題になった。」(同上)
 こういった証言から、この数年で、(日本人の性意識は、実態としては戦前戦後を通じて余り変わっていないけれど、戦後、売買春が禁止されたことに伴い、タテマエ上の性意識は大きく変化していたところ、)日本人のタテマエ上の性意識が本格的に戦前に回帰し始めたと見てよいのではないか。
 売買春の禁止は、同じく占領軍が押し付けたところの、軍隊保持の禁止と並ぶ、日本の伝統の否定であり、占領下においても主権回復後において、実態として、日本人が守ってこなかった点でも共通している。
 ところが、軍隊保持の禁止については、今や、中央政治家や主要マスコミが、タテマエ上においても解禁の是非を巡って活発な議論を行っているというのに、売買春の禁止の方については、中央政治家や主要マスコミが、(事柄の性格上取り上げにくいということもあるが、)タテマエ上における解禁の是非を巡る議論を全く行っていないのは問題だと思う。
b:ソ連軍が満州に侵攻してきた時、日本軍はどうして現地の日本人を置き去りにして後退したのか。
o:どのレベルでどんな議論をして、誰の命令でそうしたのか等、本件について調べたことがないので一般論で答えるが、当時の在満日本軍は、装備、兵員を南方に転用され、著しく弱体化していて、しかも国境沿いに広く展開していたので、戦略的後退をした上で、集結させ、相対的に、より意味のある防勢作戦ができる態勢にして、ソ連軍を迎え撃とうとしたと考えられるところ、これは軍事合理性の観点からは決しておかしいとは言えない。
 問題は、その際に日本人保護を行わなかったことだ・・沖縄でも同じようなことが起こった・・が、そもそも、軍隊というものは、国民・・満州国籍になっていたかもしれないが、実態は日本国民・・を守るのが仕事ではなく、主権を守る存在だ。
 日本国民を守るのは行政の仕事であり、この場合は、日本が間接統治をしていた満州国の仕事だ。
 日本軍に責任が全くなかったとは言わないが、一義的に責めるべきは、満州国に出向してその政府を取り仕切っていた日本の行政官僚だろう。
 この関連で言っておきたいが、日本政府が、原爆投下で降伏せず、ソ連参戦で降伏したのは、専制国家ソ連に日本を占領されたら、明治憲法下でも日本は民主主義国家となり、事実上、国民に主権があったところ、この国民主権を否定されてしまうので、民主主義国家の米国ならば、降伏してもに国民主権そのものを否定することはなかろうと、米国に降伏する決断をした、と考えるべきなのだ。