太田述正コラム#6746(2014.2.9)
<皆さんとディスカッション(続x2169)>
<太田>(ツイッターより)
「… この記事は日本の立場から書かれたものだ。「韓国はとんでもない国だが、よく見れば理解できる部分もある」というニュアンスだ。しかし日本に批判的な韓国人の中にも、元徴用工の請求権を認める判決をめぐっては別の意見がある。「新しい基準でもって昔の約束を破るのは正当なことなのか」という疑問だ。そういうわけで「合意よりも正当性を優先する」韓国を観察する毎日新聞の視点は参考になる。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/08/2014020801005.html
朝鮮日報は分かってるけど、書けるのはここまでってことね。
道徳は国によって違いがあるからこそ条約に拘束されるべきなんだよ。
「冬季五輪のトイレに「魚釣り禁止」の看板…」
http://j.peopledaily.com.cn/208907/8530282.html
こんな「大」ニュースがどうして人民網にしか出てないの?
<太田>
それでは、その他の記事の紹介です。
まず、佐村河内事件関係から。
「2013年の『新潮45』11月号に野口剛夫の『「全聾の天才作曲家」佐村河内守は本物か』が載っているという。
その抜粋は以下の通りだ。
スゴイ慧眼だねえ。↓
「もしかすると彼は、歴史的な被爆地であるヒロシマを副題に使えば、被爆者二世である自分の存在も重なり、作品を売り出す際に大いに有利である、と作曲完成後に気付いたのではないか。ヒロシマという名前は今やある意味で神聖不可侵なものになっており、被爆地や被爆者を批判するのは難しいからである。この名前を着せて作品を天下無敵にしたいという誘惑に、作曲者もその関係者も駆られてしまったのだろうか・・・
このように佐村河内氏は、全聾のハンディキャップ、たくさんの病苦、被爆二世としての出生、被爆地の名による副題……など利用できそうなレッテルを総動員しているようだ。
音楽そのものが本当に素晴らしければ、わざわざ全聾であることや病苦を強調して人から同情を得ることに熱心である必要はないはずで、そうなると彼の場合、音楽そのものだけでは自信がないのではないか、と思えてくる・・・
「全聾の天才作曲家」とか「現代のベートーヴェン」とか、物々しい紹介のされ方に驚きつつ、その音楽を聴いてみたら「本当なのかな」といぶかしい感じを持ってしまったことは、まず正直に述べておきたい。今のところメディアの論調は礼賛一辺倒のようであるが、私のような疑問を感じる人は実はかなりいるのではないか。ただ、感じたとしても、身体障害者や被爆二世への差別と受け取られたり、ダントツのセールス記録へのやっかみであると思われるのを恐れたりで、発言しづらいということもあるのかもしれない・・・
残念ながらあまり考えたくはないが、これだけ事が大きくなったのも、おそらく「金」のなせるわざだったのかもしれない。全く儲からないクラシックの世界で、久しぶりにお金になりそうな人が現れ、関係者たち(そして本人も?)はとても張り切ってしまったのだろう」
http://ncode.syosetu.com/n8934by/1/
なお、野口は、昨今、ニュースバラエティにひっぱりだこだが、「宗教的な色合いはあるにしても、広島の惨禍っていうか、ああいう未曽有の大惨事みたいなものを表すつもりは全くなかったと。のたうち回って苦しんではいるんだけれども、4畳半の部屋の中でやっているという感じ」
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00262585.html
といった発言は、(「現代典礼」で「指示書」がつくられ、後でタイトルが「ヒロシマ」に変更されたことにも鑑み、)いいのだが、有名作曲家の曲想が散りばめられているからいけない的な発言はいかがなものかと思う。
そのどこがいけないんだってこと。
他方、僕は、きだみのる
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%81%A0%E3%81%BF%E3%81%AE%E3%82%8B
ほどもキダ・タロー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%80%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%83%BC
のことは知らなかったが、キダ・タローの語ったことは、ことごとく低劣な罵詈讒謗であり、お里が知れるってもんだ。↓
「“現代のベートーベン”と呼ばれた作曲家の佐村河内守氏(50)の作品が約18年前から別人が作曲していたことが発覚した問題で、“浪速のモーツァルト”の愛称を持つ作曲家のキダ・タロー氏(83)が関西のニュース番組で痛烈批判した・・・
「世界を股にかけたペテン師」「こんなもん、昔やったら打ち首、獄門や」と・・・
佐村河内氏が新垣氏に渡していたとされる「指示書」については「腹立つわ」と内容をみながら「こんなもん幼稚園児が書いた競馬の予想以下。ネコでも書ける。ヒントにもならんわ。こんなもんで曲書いてもらえるんやったら、私もなんぼでも書くわ」と断じた。・・・
番組のコメンテーター陣から、日本には本当にいい曲を評価する地盤がないのかと問われると「日本だけやなく、だいたいよそもそうやけど、佐村河内のせいでまた後戻りした」と音楽家として、怒りが収まらない様子だった。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/8518150/ 前掲
「指示書を見た音楽評論家・指揮者の野口剛夫氏<(上出)が>、「楽譜が書けない、楽譜が理解できない人が、なんとかして楽譜が書ける職業的な音楽家に対して、自分の思いを伝えようとした結果、細かく書いたら、こうならざるを得なかったんだろう。ここには、大まかな指示がわかると思います<(ママ)>」と語った」のは重いぜ、キダ・タロー・サン。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00262585.html
いずれにせよ、日本での「現代音楽」の現状が下掲の通りだとすれば、新垣を含め、関係者全員が狂ってる。
「・・・新垣氏は、・・・桐朋学園・・・大音楽学部作曲科を卒業。現代音楽の分野では有名人・・・
「現代音楽は、やっている人が1000人程度しかいない。一般のファンはほとんどいません。才能うんぬんの前に、一般性がなく評価はされない分野です。芸術性は高いですが、お金にならない。多くはもともと金持ちで、昔からピアノを習い作曲家を目指したタイプ。趣味の範囲でやっています。一方で、新垣氏のように名前を伏せて楽曲提供する人は少なくありません。テクニックがあれば歌謡曲や演歌もこなせますからね。ただ、閉鎖的な世界だから仲間内で潰し合うのはしばしば。名前を出して“売れる音楽”を作れば、商業主義に走ったと、現代音楽の世界に戻れなくなる。佐村河内氏が『表に出られない理由がある』と話したのも、ある意味、間違ってはいない。新垣さんもお金になる仕事としてやってたのでしょう。これからは、開き直ってやっていくしかありません」・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/8517105/
ところで、お笑い芸人が本件を笑いの種にするのは自由だが、佐村河内に「オリジナリティー」はあったのであり、また、「ゴーストに頼」って「曲」を「作」ったっていいわけで、もうちょっと頭を使えってんだ。↓
「アーティストの物まねや音楽活動で人気のお笑いタレント、マキタスポーツ(44)が・・・長髪にサングラスという姿で佐村河内さんになりきり登場し・・・「僕も佐村河内守さんみたいに楽譜は読めませんが、工夫すればオリジナリティーは出せる。ゴーストに頼らなくても曲は作れる。・・・」と話した。・・・」
http://www.asahi.com/and_M/interest/entertainment/NIK201402080141.html?iref=comtop_fbox_d2_04
でなんだけど、そもそも、どうして販売等を中止するのよ。
新垣が著作権を主張していない以上、著作権が佐村河内にあるのは明白。
佐村河内を作曲者していることの瑕疵は大きくない。(佐村河内は広義の作曲者、いや、それを超えた存在だと僕は思っている。)
そのまま販売等を続ければよろしい。
気になるのなら、お断りメモをCDや譜面に付ければいいだろ。↓
「・・・佐村河内守氏の楽譜を販売する音楽出版社「東京ハッスルコピー」が佐村河内氏に対して損害賠償の訴訟を起こすことを検討している・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/8518413/
⇒さあ、佐村河内守サン、これだけ知恵を付けてあげたんだから、全聾を装ったことについての謝り方を含め、どう話すかを慎重に考えた上で、勇気を持って記者会見に出てきなさい。
そして、どうせなぶり殺しになるほどぶったたかれるだろうが、それも織り込み、僕がこの前も言ったところの、「本物」の自伝を(奥さんと共著で?)出版したまえ。
引き受ける出版社がなければ電子自費出版で十分。
話は変わるが、私大、旧帝大以外の学生諸君、胸を張って頑張って!
音楽の世界と違って、学問の世界は業績が全てだ(と信じて)。↓
「・・・<小保方さんは、>何日も徹夜をして実験を重ね、試行錯誤の末に・・・万能性の証明に成功した。若山さんは「絶対に諦めず、徹底的に取り組む粘り強さは普通の研究者とは明らかに異なる。別次元の姿勢だった」と語る。
小保方さんはなぜそこまでできたのか。若山さんは「桁違いの勉強量による幅広い知識に奇抜な発想を加えることで、次から次へと新たな実験アイデアを出せるのだろう」と分析する。・・・
<小保方さんの>共同研究者・・・若山照彦・・・茨城大農学部卒、東京大大学院博士課程修了。米ハワイ大助教授などを経て・・・理化学研究所発生・再生科学総合研究センターチームリーダー。<現在、>山梨大生命環境学部教授。」
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140208/scn14020822050001-n1.htm
ちょっと前の記事だが、後世、オバマの最大の功績とされるのは、米自動車業界の救世主となったことじゃないかってさ。↓
President Obama has staked his reputation on Obamacare. But a generation from now he may be best remembered for saving the American auto industry.・・・
While Toyota remains the number one carmaker for now, GM is close behind. In 2012, Toyota led by a margin of 460,000 vehicles. Last year, that lead was cut nearly in half to just 270,000 vehicles.・・・
http://mag.newsweek.com/2014/01/31/general-motors-cars-gm-bailout.html
そのオバマのイラン、中共、北朝鮮に対する宗教の自由の呼びかけをとらえ、彼が、米国内では宗教の自由を尊重してないじゃないか、と揶揄するコラムだ。
(オバマが宗教の自由なんてうさんくさいと思ってるハズとの私の推測が一層もっともらしく思えてきたわいな。)↓
・・・Obama pointed out, there is a strong correlation between religious freedom and a nation’s stability: “History shows that nations that uphold the rights of their people — including the freedom of religion — are ultimately more just and more peaceful and more successful.”
<オバマ政権が、堕胎的避妊薬を医療保険でカバーすることを同薬の使用を禁じる宗派の関係者にも強制しているってワケ。↓>
Since this is so, one wonders why the Obama administration is so dedicated to forcing people to act against their own conscience. By requiring through the contraceptive mandate that some religious-affiliated groups provide health plans covering what they consider abortifacient contraceptives, isn’t the Obama administration effectively imposing its own religious rules? Thou shalt not protect unborn life.・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/kathleen-parker-obama-ignores-his-attacks-on-religious-liberty/2014/02/07/d4209ef2-903b-11e3-b46a-5a3d0d2130da_story.html
儒教とユダヤ教には共通性がある、と中共の某教授が主張してる。↓
・・・Confucian and Jewish culture have much in common. ・・・
The core of Confucianism and Judaism is ethical ・・・
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-26067154
どちらも、(私見じゃあ人間主義の回復を目指して)枢軸の時代に生まれた思想である以上、似通った部分があるのは当然。
ただし、キリスト教ほどじゃないが、両者とも、後世に与えた悪影響は良い影響をあるかに上回る、と私は思うな。
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東京オフ会 2014年 4月26日(土)14:00~22:15
場所 大田区の太田の自宅(最寄駅は西馬込。出席者に詳細開示)
会費 500円 当日徴収
一次会
14:00
机等の準備・参加受付
14:15
講演 日本文明について
15:15
自己紹介
休憩
質疑応答(ソフト飲料等付。第三のビールを@100円で希望者に提供)
・・途中で帰るのは自由
18:00
弁当購入に出発(飲むものを含め、同じ場所で各自が購入)
二次会(会費不要)
18:30 懇談
22:15 お開き・机等の後片付け
出席申し込みは下掲から。↓
http://www.ohtan.net/meeting/
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太田述正コラム#6747(2014.2.9)
<『「里山資本主義」のススメ』を読む(その11)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2169)
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