太田述正コラム#6809(2014.3.12)
<市民講座をめぐって(その1)>(2014.6.27公開)
1 始めに
今年の6月から11月にかけて、都合5回、京都府八幡市
http://www.city.yawata.kyoto.jp/
の市民講座の講師を務めることになりました。
八幡市は、石清水八幡宮
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B8%85%E6%B0%B4%E5%85%AB%E5%B9%A1%E5%AE%AE
の所在地ですが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E5%B9%A1%E5%B8%82
市長の堀口さんが、長年太田コラムの読者であったご縁で、お誘いがあったものです。
そこで、以下のような内容でお話をすることにしました。
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–日本の世界史的使命–
1 6月
始めに(歴史観)
我らの日本
2 7月
イギリスとヨーロッパの違い
3 8月
アメリカって何だろう
4 10月
隣国のロシア、そして中国
5 11月
イスラム世界等
終わりに(日本の世界史的使命)
日本について、歴史的かつ比較文明的観点から考察を加え、日本文明の卓越性と普遍性を確認する。
その上で、日本には、アメリカの庇護を離れ、自立した上で、アメリカを始めとする西側諸国との緊密な連携を維持しつつ、 世界の国々、とりわけ中国を始めとする発展途上国、を文明的に善導するという世界史的使命があること、そして、中国当局 もまた、そのように考え、日本に強く期待していること、を明らかにする。<(注1)>
(注1)「中国」、「アメリカ」という「一般用語」をあえて使用した。
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これに更に肉付けをしていかなければならないわけですが、私が素案を提示し、TAさんやChaseさんらと議論をしながら、最終案をまとめていくことになりました。
その上で、何度かパワーポイント資料を作成してもらってきたUSさん・・彼が議論に参加する場合も当然ありえます・・に、今回も、私が話をする際の資料作成をお願いする、という手筈です。
今後、適宜、このお三方等とのやりとりの一部等を皆さんに紹介していきたいと思います。
なお、その他の読者の方も、ご意見があれば、遠慮なく、メール等で私にお寄せ下さい。
(そもそも、太田FAQで皆さんお馴染みのべじたんさんにもお声掛けしたのですが、そのメールを含め、どういうわけか、彼宛てにメールが届かなくなってしまいました。
彼は、同じメルアドで有料読者メーリングリストに入っているところ、コラム配信に関しては、支障なく続いています。
どうしてこんな不思議な状態になっているのか、首をひねっています。)
2 やりとり(その1)
太田:・・・USさんには、既に、講義の1回目の「始めに」のパワーポイント資料として、<(私の依頼を受けて)>べじたんさん<が>作成<した>先の大戦以降の米国による直接的間接的死者数の表2葉
http://seesaawiki.jp/w/veg_tan/d/%ca%c6%b9%f1%a4%ac%c2%c0%ca%bf%cd%ce%c0%ef%c1%e8%b0%ca%b9%df%a4%cb%a5%a2%a5%b8%a5%a2%a4%cb%a4%e2%a4%bf%a4%e9%a4%b7%a4%bf%bb%e0
を提示してあります。・・・
この二つの表自体については、コメントのしようもないでしょうが、講義の冒頭で、私の核心的な動機・・米国からの「独立」・・・を紹介するとともに、事実(典拠)と見解の関係についても併せ理解してもらおうということで、これらの表を具体的なネタとして使用しようと思った次第です。
引き続く「日本」については、講義全体の序でもあるとともに、具体論でもあるようなものを目指しています。
今のところ、一、外国人の日本論、二、縄文モード/弥生モード論、三、北条時頼と横井小楠、について語ろうと思っています。
一、については、・・・連載<が終わったばかりの「江戸時代における外国人の日本論」>シリーズ、「『東京に暮す』を読む」シリーズ、「渡辺京二「逝きし世の面影」を読んで」シリーズ、あたりから、適当な材料を選びたいと考えていますが、これがいいと思われるものをあげていただけないでしょうか。・・・
もちろん、一~三を取り上げること自体についてもご意見があればどうぞ。
TA :「外国人の日本論」についてですが、百年二百年前の、会ったこともないガイジンの「日本論」を聞いても、ピンと来ない人のほうが多いように想像します。
それよりも、現代の話、例えば、東日本大震災時、日本人の振る舞いに海外から賞賛の声が上がった等々の方が、より理解しやすいように思います。
(正直、賞賛されるほどのことなのか、海外を知らない私は全くピンと来ませんが・・。あるいはピンと来ない日本人が多数派?)
あと、日本論にしろ、縄文・弥生モードにしろ、要は人間主義について説明しないといけないのですよね?
というか人間主義がこれらの核心部分なのですよね?
人間主義とその普遍性(自然科学的裏付けのある話)という点をまずきちんと説明しないと、そこいらの日本マンセーのネトウヨの類といったレッテルを貼られると思います。
「日本の世界史的使命」といった題から、普通の人は、マルクス主義史観のネトウヨ版、といった連想をしかねません。
あと、「北条時頼」という名前を聞いた100人中99人は「誰それ?」と答えるでしょうし、そんな聞いたこともない名前で説明されても、「ふーん・・」で終わりです。
北条時頼による「日本における人間主義的統治の典型的範例」(コラム#6582)云々とは少しずれますが、『水戸黄門』(コラム#3954、6716)だの『暴れん坊将軍』だの『大岡越前』だのといった例の方がまだわかりやすいです。
時代劇の話を出したついでに、現代においても時代劇という形で江戸時代が頻繁に描かれるのは、江戸時代が現代性を持つからだと思っています。
日本文明の原風景、本来の形、不変性、どう表現してもいいのですが、最近のコラムシリーズ「江戸時代における外国人の日本論」において江戸時代以外の外国人も取り上げているにもかかわらずこのタイトルをつけたのは、太田さんもそういった認識なのだろうと推測しています(あるいは太田さん、そういう発言を過去にしましたか?)。
ですから、日本文明の不変性(一貫性、普遍性)を説明するには江戸時代の話が欠かせず、江戸時代を論じたコラム(コラム#省略)が参考になるのではないでしょうか。
なんにせよ、太田さん自身
>日本について、歴史的かつ比較文明的観点から考察を加え、 日本文明の卓越性と普遍性を確認する。 その上で、日本には、アメリカの庇護を離れ、自立した上で、アメリカを始めとする西側諸国との緊密な連携を維持しつつ、 世界の国々、とりわけ中国を始めとする発展途上国、を文明的に善導するという世界史的使命があること、 そして、中国当局 もまた、そのように考え、日本に強く期待していること、を明らかにする。
とおっしゃる通り、まず人間主義をきちんと説明しなければならないでしょう。
<太田>
一、外国人の日本論、二、縄文モード/弥生モード論、三、北条時頼と横井小楠 は、すべて、人間主義を中核とする日本文明について具体的イメージを聴衆に持ってもらうのが目的です。
仏教とか瞑想とか、人間主義がらみの脳科学的知見の紹介とかから話を始めるよりも、まずは、具体的な、普通の人にとって分かり易い事例を取り上げて説明しようとした、ということです。
一については説明を要しないでしょうが、二、についても、誰しも日本史の概略は知っているはずですからね。
ただ、ご意見あらば、どしどしどうぞ。
え!北条時頼や横井小楠なんてどこが分かり易いんだ、と言われればその通りなのだけど、これはちょっと狙いが異なります。
聴衆の皆さんに、身に付けておいて決して無駄にならないところの、目新しい知識を提供する、という役割も「講座」にはある、という気持ちなのです。
大岡越前<等>の話は、第二次縄文モードである江戸時代を描写する際に使おうと思います。
<第一次縄文モードの>平安時代は何がいいですかね。
これまでのコラムにはない?
(適宜、続く)
市民講座をめぐって(その1)
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