太田述正コラム#7069(2014.7.21)
<皆さんとディスカッション(続x2330)>
<太田>(ツイッターより)
「…各授業の前に読まなければならない教科書や資料の量が半端でなはなく、いくら時間があっても足りないという状況でした。あまり睡眠をとらずに学校に行くと、今度は授業中に眠くなったりして、これまた大変。そんな毎日でした。…」
http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/mba_holder/article.aspx?id=MMAC0w000011072014
誰がどこの授業のことを言っているのかは記事にあたって欲しいが、全く理解できない。
むしろ政治学科の方が準備が大変だったし、そもそも、2学科並行して取れる程度の話だった。
中身的にも日本の学部・・というか教養課程・・程度だったしね。
この類の話は、米留日本人の都市伝説だと思えばいいのさ。
昨日の八幡市でのセミナー(大盛況)と本日の神戸市の三宮での関西オフ会(私を除く出席者は八幡市民1人を含む6人)を終え、品川へ向かう途中だが、のぞみが、横浜・東京間の大雨のため静岡駅手前で停まっちゃった。(それにしても、前回も、そして連休初日の今回も、八幡市での聴衆の多いことよ。)<(2014.7.20 20:00前現在)>
<TA>
講演会、お疲れ様です。そして、お疲れのところ恐縮ですが、質問です。
コラム#7065「ロシア亜文明について(その1)」(未公開。未完)の記述とも関係すると思いますが、冷戦後の欧米の対ロシア政策について、NATOの東方拡大策がまずかった、という意見がかなりあるようです。↓
「・・・欧米の指導者たちはNATOの東方拡大策にロシアが神経質に反応することはないと考えた。ヨーロッパの指導者たちは、「NATOの東方拡大策は穏やかな意図に導かれている」という自らの主張に幻惑され、モスクワも同じような見方をしていると信じ込んでしまった。」
(フォーリン・アフェアーズ2014 No.6 81頁。マイケル・ブラウン)
「ドイツ統一後、欧米の指導者たちはミハイル・ゴルバチョフに対して<NATO>を東方に拡大しないと約束していた。だがこの約束を忘れたのか、アメリカとその同盟諸国は、冷戦期にはソビエトの抵抗によって実現できなかったこの構想に着手した。
彼らはNATOを東方へと拡大し、旧ソビエト諸国を含む12カ国をメンバーに迎え入れた。」
(フォーリン・アフェアーズ 2014 No.7 7,8頁。アレクサンドル・ルーキン)
「最近におけるロシアの行動については大きくわけて二つの解釈が示されている。
一つは「ロシアを世界秩序に統合するようにもっと熱心に試みていれば、<NATO>の東方拡大策をとっていなければ、そしてもっと多くの援助を与えていれば、われわれの前にいるのは現在とは違うロシアだったかもしれない」という見方だ。
もうひとつの解釈は、ロシアを変化させられると考えたのが、そもそも間違っていたという解釈だ。ロシアを西洋の一部とみなすのは無理があった。ロシアは自国を特有の存在とみなし、欧米に対抗していくことを国家アイデンティティとみなしているかもしれない。つまり、ウクライナ危機は欧米との必然的な衝突であり、プーチンのことを欧米への対抗路線を具現する指導者とみなす解釈だ。」
(フォーリン・アフェアーズ 2014 No.7 14頁。ファリード・ザカリア)
「ロシア政府は「東ドイツよりも東側にはNATOを拡大しない」という欧米からのコミットメントを得ていたと考えている。この合意を示す文書を私は見たことがないが、ロシア政府は「NATOを旧東ドイツよりも東には拡大しないという欧米のコミットメントを得ている」と今も信じている。」
(同上 16頁。ロバート・ゲーツ)
このNATOの東方拡大策の反省的な主張は、アメリカがこれからNATOを(地理的意味か質的意味かはさておき、)縮小させる前フリ、といった感じなのでしょうか。
それと、「東ドイツよりも東側にはNATOを拡大しない」という「約束」があったのかなかったのか、何かご存知でしたらお教えください。
<太田>
この中で、元米国防長官のゲーツと評論家のザカリアは、(会ったことはないけれど、)私もどんな人物か知っていますが、ゲーツがそんな約束などない、と言っている以上、それで決まりでしょう。
なお、ザカリアについては、前にコラムに書いたことがあるのではないかと思いますが、彼が日本について書いたものを読んだところ、明らかに全然分かっていなくて書いていることがミエミエだったことから、爾後、一切彼の書くものは読まないことにしています。
ちなみに、その後、彼、一度、別のコラムに関して盗作疑惑が出て、自身、遺憾の意を表したことがありますが、うやむやに終わったまま、「復活」を遂げ、現在に至っていると承知しています。
こういった具合に、典拠・・この場合はコラム・・については、誰が書いたものであるかも、その信頼性を裏付ける重要な根拠の一つなんですよ。
なお、米国政府がNATOを「縮小」させようとしている、或いは米国内にそのような動きがある、なんて話は聞いたことがありません。
<K.k>
太田さん、お久しぶりです。・・・
仕事<等の>ことがあり、太田さんのバックアップ設定に関して、モラトリアムしてしまいました。
申し訳ありません。
AcronisTrueImage2014でのバックアップ設定を送付(添付ファイル)させていただきます。
以下の点に注意してください。
1.システムバックアップに関しては、自動で行われますので、設定が終わった後、太田さんが特にしなければならない作業はありません。
2.データバックアップの対象はドキュメントフォルダになっていますので、重要なファイルはドキュメントフォルダに保存するようにしてください。
3.データバックアップの保存先はFドライブになっています。
4.データバックアップに関して、一日のうちで初めてパソコンが起動したとき(多くの場合朝一になると思います)にバックアップが行われる設定にしました。ですから、重要なファイル更新時は、従来通り太田さんが手動で行っていたバックアップも行ってください。この際、手動でのバックアップ先をGドライブにしてください。
4に関して、従来のバックアップ(恐らくマウス操作で行っていると思いますが)を下記のソフトウェア(無償ソフト)を使ってボタン操作で行うようにすることも可能です。こちらの方の設定方法も必要な場合はおっしゃってください。
「Backup」
http://freesoft-100.com/review/backup.php
<添付ファイル:省略(太田)>
<太田>
ありがとうございました。
それでは、その他の記事の紹介です。
まず、一昨日分です。
オバマ大統領が、叛乱側の地域から発射されたミサイルでマレーシア機が撃墜されたと声明。↓
・・・Mr Obama said: “Evidence indicates that the plane was shot down by a surface-to-air missile that was launched from an area that is controlled by Russian-backed separatists inside of Ukraine.・・・
http://www.bbc.com/news/world-europe-28378388
本事件前の世論調査だが、ロシアでのプーチンの人気は過去最高になったってさ。↓
・・・Eighty-three percent of Russians approve of the job Russia’s president is doing. This ties his top rating in 2008 and marks a 29 percent increase from Putin’s rating in 2013.・・・
<他方、対米、対EU感情は最悪に。対中共感情だけは急上昇。↓>
While Russians are satisfied with their own government, the poll showed they are increasingly turning away from Western countries. Both U.S. and European Union leadership had single digit approval ratings. One country Russians do approve of is China. The poll showed Russians’ approval for China soared this year to a record 42%.・・・
http://time.com/3005439/putin-approval-ratings/
Bukミサイルは近接したら(衝突することなく)爆発し、機体は蜂の巣状態になり、急激な減圧で乗員・乗客は、即死しただろうってさ。↓
・・・Did the passengers know what happened, and did they suffer?
It’s highly unlikely, says missile expert Richardson. The Buk missile detonates just before hitting its target, releasing shrapnel in a pattern designed to cut through multiple aircraft components at the same time. “The decompression would have been quick, and the passengers would have been knocked out before they knew what was happening.”
http://time.com/3005430/malaysia-airlines-ukraine-crash-passengers-suffer/
1983年の大韓航空機撃墜はソ連崩壊をもたらしたと言ってもよい・・その時のソ連のトップは、プーチンと同じくKGB出身のアンドロポフ!・・が、今回のマレーシア機撃墜はロシアならぬプーチンの崩壊をもたらすかも、とさ。↓
・・・In retrospect, the KAL-007 downing< in 1983> was the beginning of the end for the Soviet Union. Coming after the Soviet invasion of Afghanistan in 1979 and tightening Western sanctions in the wake of the December 1981 declaration of martial law in Poland, this senseless atrocity highlighted the moral bankruptcy of the Soviet system and deepened Moscow’s international isolation. It was largely to overcome this isolation, lessen the dangers of accidental war, and recover his country’s prestige on the global stage that Mikhail Gorbachev set out to change the underlying principles of Soviet foreign policy, leading to broad rapprochement with the United States, withdrawal from Europe, and the end of Soviet Communism itself.
The shoot-down of the Malaysia Airlines plane puts Vladimir Putin in a situation comparable to that of his role model, Andropov. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/07/18/korean_air_007_andropov_mh17_ukraine_putin
スコットランド人は、EU及び社会主義/社会福祉が大好きだから、イギリスと袂を分かつことになるだろうって。(私が注意喚起しているように、スコットランドは欧州に属するってこと。(太田))↓
・・・British elections must no longer trample the will of the Scottish people: The Scots are solidly anti-Tory, returning just one Conservative M.P. to Westminster in the last three general elections, yet they are outweighed by southern English voters and regularly have to endure Conservative governments. Scotland should also be allowed to become a full member of the European Union, not a bolt-on to English interests.
Add social welfare to those motives. In Britain, it’s not only Conservative-led governments but “New Labour” ones as well that now seem committed to Thatcherite economics, to the steady privatization of health, education and welfare. Most Scots hate this.・・・
http://www.nytimes.com/2014/07/20/opinion/sunday/The-Independence-Referendum-Is-a-Test-of-Scotlands-Confidence.html?ref=opinion&_r=0
次に昨日分です。
ロシアが提供したBukミサイルで叛乱側がマレーシア機を撃墜したことがほぼ確定。↓
Russia supplied missile launchers to separatists, U.S. official says・・・
<事件後、Bukミサイル全部を急遽、ロシアに撤収した。↓>
Vitaly Nayda, counterintelligence chief of Ukraine’s security service, offered photographs and said Ukraine has evidence of the movement of three Buk M-1 antiaircraft missile systems from rebel-held territory into Russian territory early Friday, less than
12 hours after the plane was downed. Ukrainian officials have said that a missile from a Buk M-1 launcher was used to shoot down the aircraft.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/europe/ukranian-officials-accuse-rebel-militias-of-moving-bodies-tampering-with-evidence/2014/07/19/bef07204-0f1c-11e4-b8e5-d0de80767fc2_story.html
叛乱側とは言っても、長期にわたり専門的訓練を受けてない者では、Bukミサイルの操作はできないってさ。↓
・・・Taking down Malaysia Airlines Flight 17, traveling about 600 mph at an altitude of 33,000 feet, required vastly more expertise than, say, firing a shoulder-braced rocket-propelled grenade at a slow-moving helicopter. A crew of at least four would have been needed to accurately fire the truck-mounted Russian-made SA-11 missile, also known as a Buk missile system.・・・
“If it wasn’t Russians or Russian advisors, it had to be former Russian air-defense personnel. Someone had to be formally trained in order to use it.’’
http://www.latimes.com/world/europe/la-fg-ukraine-malaysia-jet-training-20140719-story.html
首相になりそこねた人物を真正面から擁護した、論説を載せた朝鮮日報。
こうこなくっちゃ。↓
「・・・抗日運動家で歴史学者でもあった丹斎・申采浩(シン・チェホ)が、『大韓毎日申報』の主筆だった1910年に書いた論説「20世紀の新国民」の中に、次のようなくだりがある。「韓国には昔から遊び暮らす人が非常に多く、書生・宦(かん)族・土豪など…一族全てが遊び暮らしてばかりいて、何ら力を持たない農・工・商家の利益を奪い、国民をむしばむ者が多数いる」。丹斎は、この論説の中で「勤勉性の不足」「進取の力の不足」など、当時の朝鮮人の資質を批判した。さらには「韓国の同胞は、屈強で勇敢なところが最も欠けている国民」「公共心がほとんどない国民」「韓国は昔から利己心が凝り固まり、他人を排除する性格が強い国」と毒舌をまき散らした。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/07/19/2014071900903.html
慰安婦問題では、学者に、裁判を提起されてるあの学者を、部分的に擁護させている・
朝鮮日報も芸が細かいというか、臆病というか、ズルイというか。↓
「・・・慰安婦問題では朝鮮人も責任を避けられない、という指摘は認めざるを得ない。
娘や妹を安値で売り渡した父や兄、貧しく純真な女性をだまして遠い異国の戦線に連れていった業者、業者の違法行為をそそのかした里長・面長・郡守、そして何よりも、無気力で無能な男性の責任は、いつか必ず問われるべきだ。それでこそ、同じ不幸の繰り返しを防げる。しかし今は、問題を提起すべき時期ではないだろう。納得できる謝罪と賠償を1次的責任を負う日本が拒否している状況で、韓国側が先に反省したら、日本に責任回避の名目を与えかねないからだ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/07/19/2014071900902.html
最後に、本日分です。
奪っただの、ロシアへ向かう情報だのは、全く英米の主要メディアには出てこんーぞ。
日本のマスコミ特有のガセかどうか誰か確かめてー。↓
「・・・マレーシア航空機撃墜事件で、ウクライナ当局の救助隊は20日までに墜落現場から犠牲者196人の遺体を収容した。親ロシア派武装集団がこの遺体すべてを奪い、保冷装置付きの貨車に運んだ。親露派は「国際調査団が来るまで保管している」と主張しているが、貨車がロシアとの国境方面へ向かうとの情報もある。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20140721k0000m030063000c.html
この話、人民網サマが取り上げたぞ。↓
欧州麻雀選手権で日本人が優勝 中国惨敗にネット上で不満の声・・・
http://j.people.com.cn/n/2014/0717/c94659-8756979.html
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太田述正コラム#7070(2014.7.21)
<2014.7.20関西オフ会次第(続)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2330)
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