太田述正コラム#7107(2014.8.9)
<皆さんとディスカッション(続x2349)>
<太田>(ツイッターより)
 「絶景! ジブリの舞台になった場所…」、
http://j.people.com.cn/n/2014/0808/c204149-8767339.html
「…言葉より早く国境を越えた将棋-AKB48作曲家…」
http://j.people.com.cn/n/2014/0806/c94473-8766081.html
待ってました! 人民網の、久方ぶりの、しかも上質の日本ヨイショ記事2連打だー。
 訂正。
 3連打だったわ。
 「… 優秀な日本の学者は目標達成のために共同で知恵を絞り様々な方法を検討し、努力をやめることがないということだ。
 例え成功しなくても、手段を選ばず何でもやることは決してしない。
 問題が起こったら勇気を持って責任を取る。
 日本では、利益を得るために成功を焦り、手段を選ばず、責任を負わないような人は、学術分野のトップに立つことはできないし、ある分野をリードするような人物にもなることはできない。…」
http://j.people.com.cn/n/2014/0808/c95952-8767145.html
 それにしても笹井氏、死によって、外国人の間でもファンが1人増えたようで、もって瞑すべきか。
 米国のイラク北部での空爆開始やらガザでの戦闘再開やら、ニュースは多いのだが、全部想定の範囲内だった。
 前者は人道的介入の典型例であり、僕が何度も言ってるように、日本が集団的自衛権を行使するとすれば、こういう場合しか現実的には考えられない。
 後者だが、イスラエルの望み通りになったねえ。
<QjnI8..k>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 自殺の動機の分析等はさすが太田さんというべきだと思うけど、どこが「考え抜かれた」自殺なのか、この文章を素直に読むと良くわからない。
 ここで笹井氏が自殺したところで、政府が新設を目指す「特定国立研究開発法人(仮称)」に関する法案が国会を通りやすくなるわけでもないし、理研の信頼が回復されるわけでもないでしょう。
 結局は,笹井氏はこの法案が国会を通らないことを含めて、自分の犯した罪の重さに苛まれ、贖罪から逃れるために自殺したというほかないと思う。
 単純に理研をやめればよかったんだと思うけどねー。
⇒「政府が新設を目指す「特定国立研究開発法人(仮称)」に関する法案が国会を通りやすくなるわけでもないし、理研の信頼が回復されるわけでもない」ことを承知しつつ、「笹井氏はこの法案が国会を通らないことを含めて自分の犯した罪の重さに苛まれ、贖罪」の「ために自殺したというほかない」って、君自身もほぼ認めてるんじゃん。
 それに加えて、(ほっときゃ自殺なんてするワケがない彼女が、さすがに自分の自殺でもってショックを受けて自殺するようなことがないよう、)小保方嬢自殺防止を目的とした、彼女宛ての遺書を残したんだぜ。
 この2点は、まことにもって人間主義的だと思わないか?
 キミ、そこまでの責任感を何事に対しても感じていないのかな、それとも単に死ぬのが怖いのかな、そんでまた、守るべき人もいないのかね?
<xQvKb2UU>(同上)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/08/06/kiji/K20140806008696710.html
 辞めたいと何度言っても辞めさせてくれない(なぜなら笹井さんはCDBの予算担当だった)、死ねば辞められる、という単純な話だろう。
 「あなたのせいではない」は文字通り、自分のために死んだということでしょう。
≫彼の心中は、「自分の名声欲のために、STAP細胞の存在を安易に信じ込み、無資格に等しかった小保方嬢を強引に理研に採用し、彼女による実験内容を碌に吟味もせず、ネイチャー論文2篇をでっち上げ、その結果、理研に深刻なダメージを与えたのみならず、単なるおバカ女子であった小保方嬢の人生をも台無しにしてしまった」からには、責任を取って自殺するほかない、といったものであったと推測されるのです。≪(コラム#7105。太田)
 オボちゃん採用を主導したのも、何度もリジェクトされたSTAP論文を笹井さんに執筆依頼をしたのも、竹市センター長ね。
http://www3.riken.jp/stap/j/c13document14.pdf
 笹井さんも大変な業績を残したそうだけど、ノーベル賞に近いという意味では竹市さんのほうが格上。センター長は実質名誉職なんだろう。
 組織マネージメントできる人であったなら、笹井氏は死なずに済んだだろうに、と思う。
http://ja.wikipedia.org/wiki/トムソン・ロイター引用栄誉賞
http://ggsoku.com/tech/requiescat-in-pace-yoshiki-sasai/
⇒「死ねば辞められる、という単純な話だろう」なんてこと、ありえんよ。
 自殺することを考えているような人間だぜ。
 本当に辞めるつもりだったら、辞めてるさ。
 辞めるだけじゃあ責任の取り方として不十分だ、と思い留まったってことだろ。
 また、「「あなたのせいではない」は文字通り、自分のために死んだということでしょう」についてだが、そんならどうして小保方嬢だけにそう言ったのよ。
 なんでキミはそんなに「単純」じゃないムツカシイ解釈ばかりするだ?
 なお、「無資格に等しかった小保方嬢を強引に理研に採用し、」については、理研CDBの西川伸一グループディレクターだったよう
http://www3.riken.jp/stap/j/c13document14.pdf
なので、不適切だった、と訂正しとくよ。(太田)
</PKR/2fI>(同上)
 これ以上死者に鞭打ってもしゃーないがな。
 それで得るモノがある訳でもなし。
http://j.people.com.cn/n/2014/0808/c94474-8767038.html
<OlOdd7Ko>(同上)
 『ハゲワシと少女』で有名な写真家ケビン・カーター
http://wpedia.mobile.goo.ne.jp/wiki/%83P%83r%83%93%81E%83J%81[%83^%81[/?guid=ON&vl_sesid=388_763273
なんかの遺書も「鬱と金に悩んでいた」、「取材で見聞きした悲惨な光景に苦しんでいたこと」など個人的又は社会に対する問題提起が書かれている。
 笹井氏の遺書についても単純に個人的動機だけならもっと早く遺書も残さず行動してもよかったし、現に不祥事起こして遺書も残さず下記のケースもあるし。↓
 「シューマッハー氏のカルテ盗んだ男が首をつって死亡」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140807-00000508-sanspo-moto
<xQvKb2UU>(同上)
 「随分前のことですが、京大で若手教授が自ら命を絶ったことがあって、その時に近隣ラボの研究者・大学院生に声をかけて追悼集会を主催したのが笹井さんでした。「こんなことがあってはいけない」ようなことを仰っていたのに…残念でなりません。ご冥福をお祈りします。」
http://matome.naver.jp/odai/2140724943162470401
 「なぜ自らの命を断つという選択をしたのか。このようなことが起きた背景について分析し、問題を取り除く努力を続ける必要があると思います。生命科学の商業化・産業化、過当競争、教育の質保証、問題は多岐にわたり交絡しています。犯人探しや責任のなすりあいをするのではなく、どうすればこのような悲劇を防げるのか、科学者コミュニティーの構成員が自分の問題として現実に目を向ける必要があります。」
http://nosumi.exblog.jp/20984215/
 ↑日本分子生物学会理事長の仰る通りでしょう。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 今度はロサンゼルスタイムスが村上春樹の新刊英訳小説の書評を載せた。
 かなり褒めてる。↓
http://www.latimes.com/books/jacketcopy/la-ca-jc-haruki-murakami-20140810-story.html
 ロサンゼルスのモダン懐石料理人の日本人女性を紹介した長文記事だ。↓
http://online.wsj.com/articles/meet-niki-nakayama-one-of-the-worlds-only-female-kaiseki-chefs-1407509705
 中共の「戦犯」シリーズの続き。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140807-00000508-sanspo-moto
 オバマによるイラク北部での人道的支援目的の空爆が、プーチンによるウクライナ東部への軍事介入の口実を与えるとするコラムだ。↓
 Iraq Strikes Seen as Giving Putin Pretext in Ukraine・・・
http://www.nytimes.com/2014/08/09/world/europe/iraq-strikes-seen-as-giving-putin-pretext-in-ukraine.html?ref=world&_r=0
 黒人の収監率等の数字を掲げて米国の人種差別を糾弾するのは逆効果であることが分かったとする記事だ。↓
 ・・・ stats-first approach to issues of race and incarceration isn’t effective—in fact, it’s potentially counterproductive.・・・
http://www.slate.com/articles/health_and_science/science/2014/08/racial_bias_in_criminal_justice_whites_don_t_want_to_reform_laws_that_harm.html
——————————————————————————-
<太田>
 昨日午前中にK.Kさん情報を踏まえて購入した新しいルーター(NEC製)が届き、さっそく、メインのEpsonパソコンとサブのDellパソコンで有線接続をしたが、不思議なことに、モデムに直結していた時よりもインターネットが快適に使えるようになった。
 今朝は、上記2台を含めた5台で無線LAN接続をした。(全部一挙に自動でやろうとしたが、親機の操作の所で早くも躓いてしまい、結局一台ずつ、暗号鍵を打ち込む方式で接続を行った。)
 プリンター2台との無線LAN接続は、(Canonのサポートは本日からお盆休みに入ってしまっていたけれど、)やり方をCanonのサイトで確認できたので、明日あたりやる予定。
 昨夜、iPhoneについて、WiFi設定を新ルーターの出す波で行った後、パソコンにつないで、バックアップ内容をリストアしたが、13個のアプリが灰色表示で示され使えない状態であることに気付いた。
 そこで、本日午前中、アップルのサポートに電話し、断続的に約1時間かかったが、上記障害を解消した。
 今にして思えば、プリンター2台中、1台の旧ルーターの暗号鍵が勝手に書き換わってしまったのは、私の旧ルーターの調子が悪い時に、かねてから電波干渉を起こしていた近所の人が、新しいルーターを買って、無線LANの自動接続をやった際に、生じたのではないか、また、iPhoneのSiriが使えなくなったのも、似たような理由からではないか、という気がする。
 とにもかくにも、新しいルーターに買い替えてよかった、という次第。 
——————————————————————————-
 一人題名のない音楽会です。
 ステファン・グラッペリの2回目です。
三、Oscar Peterson(注)
(注)1925~2007年。「カナダ、ケベック州モントリオール出身の<黒人>ジャズ・ピアニストで作曲家。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3
MAKIN’ WHOOPEE(注) 
https://www.youtube.com/watch?v=Sxupbc08Hl8
(注)1928年の米ミュージカル『Whoopee!』の中の1曲。Whoopee!は性的関係の婉曲表現。結婚の罠を男性達に警告する歌詞。
http://en.wikipedia.org/wiki/Makin’_Whoopee
That’s All(注) 
https://www.youtube.com/watch?v=Sa6-fK1PT0U
(注)米国のジェネシス(Genesis)の歌であり、曲はメンバーの合作で歌詞はそのリードシンガー兼ドラマーによる。1983年のアルバムに登場。
http://en.wikipedia.org/wiki/That’s_All_(Genesis_song)
Skol Blues(注)
https://www.youtube.com/watch?v=ALi4f0W19sk
(注)1979年のピーターソンが自ら作曲した曲のアルバム中の6番目の曲。
http://en.wikipedia.org/wiki/Skol_(album)
Someone to watch Over Me (注)
https://www.youtube.com/watch?v=jVIIGtCVWMo
 平原綾香
https://www.youtube.com/watch?v=EXyf0cmQm3I
(注)「アイラ・ガーシュイン作詞、ジョージ・ガーシュイン作曲のガーシュイン兄弟による1926年の作品・・・。・・・ミュージカル、『オー・ケー』に挿入され<た。>・・・レーガン元大統領が俳優だった頃主演した『恋の乱戦』など、映画音楽としても何度か使われてい<る>。」
http://www.geocities.jp/jazzinn5/someonewatch.html
How About You(注)
https://www.youtube.com/watch?v=Muw7MO-VDA8
(注)バートン・レーン(Burton Lane)作曲、ラルフ・フリード(Ralph Freed)歌詞で、1941年米映画で使われたポップス。
http://en.wikipedia.org/wiki/How_About_You%3F
If I Had You(注)
https://www.youtube.com/watch?v=2OVQW-UcNWA
(注)2010年に米国で発売された歌。歌手は、この歌等でデビューした、アダム・ラムバート( Adam Lambert)。
http://en.wikipedia.org/wiki/If_I_Had_You_(Adam_Lambert_song)
My one and only love(注)
https://www.youtube.com/watch?v=dQio2Er700I
(注)1952年作詞作曲の米ポップス。1953年にフランク・シナトラが初めてレコーディング。
http://en.wikipedia.org/wiki/My_One_and_Only_Love
NUAGES(注) +Joe Pass
https://www.youtube.com/watch?v=JtjoQm4ncoc
(注)フランスのギタリストにして作曲家のジャンゴ・ライナート(Django Reinhardt。1910~53年)が作曲して1940年にレコーディングしたジブシー・スイングのジャズ・スタンダード。後に、英語とフランス語の歌詞がつけられた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Nuages
http://en.wikipedia.org/wiki/Django_Reinhardt
Autumn Leaves(前出) +et al
https://www.youtube.com/watch?v=NZ5EtEt1mxE
(続く)
——————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#7108(2014.8.9)
<中東イスラム世界の成り立ち(続)(その2)>
→非公開