太田述正コラム#7323(2014.11.25)
<皆さんとディスカッション(続x2457)>
<太田>(ツイッターより)
「…中国が改革開放に舵を切り杜丘冬人<(高倉健)>と真由美<(中野良子)>が目に飛び込んできたとき、人々は押し寄せる変化の波に抵抗できるはずもなく、改革開放という中国の環境の変化が「君よ憤怒の河を渉れ」の人気を生み出したと言える。
90年代末に至るまで日本は依然アジアにおいて…文化と資本主義…<の>二つの市場を押さえていたが、日本の作品は次第に勢いを落としていく。…
高倉健が張芸謀…監督の映画「単騎、千里を走る。」に登場すると、2005年に中国市場で再び日本ブームを巻き起こしたが、その後で日本の文芸作品が注目されることはぱったりとなくなった。…
<中国や韓国が文化と資本主義の面で日本のレベルに近づいたからだ。>…
現任の木寺大使が北京に赴任するなり、「蒼井そらを民間交流大使にする考えはあるか」と中国メディアに真剣に問われたのだ<が、>…蒼井そらが中国で爆発的人気を集めていることは日本の文芸界の恥なのだ。…
省みるべきは日本の視聴者自身にある。
俳優高倉健を作り上げたのは、当時の勤勉で責任感のある、我慢強い日本人であったが、今日<で>…は、その多くが社会と関わることを拒み、恋することにすら興味をもたず、化粧品の特売に夢中になる「草食系男子」<だ>…。
日中間の歴史認識の違いについて話し合う場においても、彼らは「歴史は私と無関係」という回避的態度をとることが常である。
彼らは身の回りで起きる社会問題と向き合うことも怠り、責任回避の立場をとっているに他ならない。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2014/1124/c94473-8813305.html
韜晦はあれど、日本を叱咤激励する真情に感動だ。
<太田>
関連記事だ。
「この記事に中国のネットユーザーは素早く反応。・・・
「中国政府は色情作品一掃運動をやっているのに、人民日報は臆面もなく蒼井そらの名前を載せるんだ!?矛盾してるだろ」・・・
蒼井そら:日本の女優でタレント。主に成人向け作品に出演している。中国では2010年ごろに爆発的人気となり、2011年には中国語のCDを初リリース。中国ファンからは「蒼老師(=蒼先生)」と呼ばれている。 」
http://news.livedoor.com/article/detail/9502175/
「・・・実は、中国の「改革・開放」政策は、この・・・「君よ憤怒の河を渡れ」<という>・・・1本の日本映画から始まったといっても過言ではない。最高実力者だった鄧小平は35年前に国民に向かって「4つの近代化を実現せよ」と呼びかけた。4つの近代化とは、「農業、工業、科学技術、国防」の近代化である。
だが、それをきちんと理解できた国民は少なかった。具体的に何をもって近代化と言うのか、まったく不明であった。・・・
もし、この映画がイギリスかフランスの映画だったら、それほど大きな衝撃はなかったのかもしれない。しかし、日本の映画だったため、中国社会に大 きな衝撃を与えた。なぜなら、それまで中国人が持っていた日本人の印象は、抗日戦争の映画のなかで銃を携えて侵略に来る軍人ばかりだったからだ。実際の日 本はどういう国なのか誰も知らなかった。
そこに、高倉健が出演する刑事物語が上映されたのである。その映画には、新宿の明るくてきれいな地下街のシーンもあれば、セスナ機を保有する北海道の牧場主も登場していた。当時の一般的な中国人は、せいぜい国産の自転車しか持っていなかった。
この映画を見て、中国人は大いに刺激を受けた。日本人にできるならば、同じ黄色人種の自分たちにもできるはずだと思ったのだ。
印象的なシーンがある。冤罪を着せられた検事(高倉健)を逮捕しに来る刑事(原田芳雄)が、北海道の山のなかで熊に襲われ大けがをした。検事はそ の場で彼の手当をして刑事を助けた。しかし、目を覚ました刑事は突然拳銃を取り出し、「たとえお前が俺を助けたとしても、お前を逮捕する」と言った。これ こそ模範的な共産党幹部であると、当時はみんな思ったものである(実際は、共産党幹部ならその検事を逃したに違いない)。
要するに、この映画を見た中国人は、経済と社会の「近代化」について具体的なイメージを持つことができたのである。日本のような社会こそが、中国が目指す4つの近代化のゴールだった。この映画以降、中国人は侵略された歴史をいったん封じて日本のことを受け入れた。・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42267
<r1JEk49g>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
Amazonのお急ぎ便無料体験は今月中に解約しないと来月から料金が掛かりますよ。
勿論知っているとはおもいますが。ねねね。
<太田>
調べようと思ってたんだけど、本日、楽譜が届いたら、何とか解約しとこう。
<i.AqWoVA>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
小倉紀蔵氏がソウル大で講演 日本内の「嫌韓」を分析
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/11/24/0400000000AJP20141124002900882.HTML
これでは、2ちゃんの住人に馬鹿にされて当然だろうな。
<太田>
「当然だろうな」だけじゃ、ちと舌足らずでは?
<oHoAzfUE>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
≫下掲の日本語コラムでも、キミ、読んだのかい?≪(コラム#7321。太田)
ネタ元は興味本位で借りてきた解説書ッス。
皿の上に生首とか、ベツレヘムの男児を皆殺しとか、良い感じに狂ってて面白かったのにな。
実際どんなもんか検索してみたら、タマルを神殿娼婦としているサイトがそれなりにあるみたい。
その中でも「ものみの塔」という書物を発行している、割と有名な宗派では神殿娼婦としているんだけど宗派によって扱いが異なるのかな?
http://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E8%81%96%E6%9B%B8/nwt/%E5%90%84%E6%9B%B8/%E5%89%B5%E4%B8%96%E8%A8%98/38/
http://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/2004047
<太田>
「エホバの証人による<聖書の>新世界訳を正当に聖書と呼ぶことができるかについては異論があり、この訳がさまざまな箇所に変更を加え、自らの教理との矛盾を避けて訳されたことなどが、しばしば問題となる」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA
というわけだが、なんで、「神殿娼婦」と訳す必要があったのかねえ。
そもそも、「神殿」ってどこの何という神殿のつもりなんだろ。
ユダの目指した地や、タマルに出会った地を手掛かりに昨日、ちょっとネットにあたってみたが、分からなかった。
それでは、その他の記事の紹介です。
私が再び車を買う時があるとすれば、それは燃料電池車のような予感が・・。↓
「日本が水素革命をリードする3つの理由・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO80011120R21C14A1000000/?dg=1
人間主義者であった漱石(「漱石<は>経済的に苦しい立場にあるかつての教え子たちに金銭面での援助<をしたが、その>・・・金は相当の額が貸し倒れになっていたという」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E7%9B%AE%E9%8F%A1%E5%AD%90 )
が、しかも、イギリス大嫌い人間になって帰国した漱石
https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/447/7/Honbun-05_chapter01.pdf
が、イギリス文明の基幹であるところの、個人主義、を称揚するワケがないさ。
(一度、漱石論をちゃんと論じる必要があるかもね。)↓
「・・・漱石は講演で、一つのエピソードを披露する。朝日新聞の文芸欄を担当していた頃、批評記事に立腹した文人の取り巻きから取り消しを迫られたが、漱石は門下生に助力を求めなかったという。
〈私は意見の相違はいかに親しい間柄でもどうする事もできないと思っていましたから……向(むこ)う(門下生)の気が進まないのに……けっして助力は頼めないのです。そこが個人主義の淋しさです〉・・・
本当の個人主義は利己主義とは正反対で、他者の人権を保障することだと考えた・・・漱石・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASGCN554YGCNUCVL00P.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCN554YGCNUCVL00P
こん中に出てくる、日本の文章での「名詞の単数形・複数形や人称の選択<の>あいまい」さ、とりわけ、前者は私も大変気になっており、書評等を翻訳する際、日本語としては不自然なほど、単複にこだわっているのはそのためだ。↓
「・・・村上文学が世界で共感を得ていることについては、「人間の普遍的な孤独を書いているからではないか」と指摘。「日常生活にひそむミステリーを伝える能力に加え、それを支える日常生活の細部にわたった描写が的確。鉛筆削りやハンバーグステーキなど、見慣れた日常品について読者をひきつける描写ができるからこそ、読者は彼の神秘性を信じる」と語った。
英語から強い影響を受けている村上の文体について「英語的な味わいが既にそこにあるので、英訳しやすいのはある程度本当」としながらも、「他の日本文学と同じように名詞の単数形・複数形や人称の選択はあいまいで苦労します」と明かした。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASGCB6FJPGCBUCVL01W.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGCB6FJPGCBUCVL01W
ヘーゲル米国防長官の辞任の背景はいささか込み入っている。↓
<アサド政権をそのままにしておくことに異議、Isisの脅威を誇張(コラム#7321)、対Isis戦への米地上部隊投入を提言、と「タカ」的言動でNSAと衝突。↓>
・・・Hagel was out of step with the administration on Isis, having urged the White House to clarify its stance on ushering the Syrian dictator, Bashar al-Assad, out of power and bizarrely inflating the threat Isis posed, calling it “an imminent threat to every interest we have” in an August press conference. While the administration has publicly ruled out using US ground forces in combat in Iraq, Hagel and particularly the chairman of the Joint Chiefs of Staff, General Martin Dempsey, floated precisely that as an option in testimony earlier this month.・・・
<しかし、そもそも、彼の長官任命は、その「ハト」性を買われたもの。ベトナム戦争の勇士(軍曹)であった共和党上院議員として、対軍部、対共和党に、中東からの米軍の撤退と国防予算削減を受け容れさせることを期待された。↓>
Hagel, a Vietnam combat veteran and a noncommissioned army officer, was not expected to be a wartime defense secretary, instead brought in to manage the downsizing of US ground forces and shore up the administration’s at-times uneasy relationship with the military. ・・・
http://www.theguardian.com/us-news/2014/nov/24/chuck-hagel-step-down-us-defence-secretary
<ところが、今や、オバマ政権(NSA)は対Isis戦争拡大の方向に舵を切ったので、ヘーゲルはお荷物になってしまった。↓>
Hagel was forced out because his job of winding down US military engagement in the Middle East was rapidly becoming one of winding it back up again.・・・
http://www.theguardian.com/us-news/2014/nov/24/chuck-hagel-ouster-obama-widening-military-ambitions
ハーヴァード大は、アジア系への入学差別を堅持しているとさ。
(米国社会の相も変らぬ人種主義性の象徴みたいな話だよな。
今更ながら、オバマの苦労が察せられる。(太田))↓
・・・In 2008, over half of all applicants to Harvard with exceptionally high SAT scores were Asian, yet they made up only 17 percent of the entering class (now 20 percent). Asians are the fastest-growing racial group in America, but their proportion of Harvard undergraduates has been flat for two decades.・・・
The real problem is that, in a meritocratic system, whites would be a minority — and Harvard just isn’t comfortable with that.・・・
http://www.nytimes.com/2014/11/25/opinion/is-harvard-unfair-to-asian-americans.html?ref=opinion
プーチンのロシアは野垂れ死にへ?↓
「・・・石油に牽引された<ロシア>経済は、エネルギー価格の上昇局面で急成長を遂げた。しかし、2014年前 半には1バレル当たり平均110ドルに達しかけていた原油価格が80ドルを切るまでに急落した今、ロシア経済は不振にあえいでいる。同国の輸出のうち実に 3分の2以上がエネルギーに由来する。
通貨ルーブルはここ3カ月で23%も下落した。西側の経済制裁も、プーチン大統領の取り巻きだけでなく、ロシア実業界のさらに広い範囲に銀行が制約を課す事態を招き、これも痛手になっている。・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42269
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太田述正コラム#7324(2014.11.25)
<新イギリス史(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2457)
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