太田述正コラム#7361(2014.12.14)
<皆さんとディスカッション(続x2476)>
 <昨夜>配信したコラム#7360<(未公開)の訂正です。
江古田駅近くの練馬車庫→桜台駅近くの練馬車庫
 西武池袋線沿線にかつて住んでいたくせに、同線の駅名がらみの間違を再び犯してしまいました。
 コラム#7339<(公開コラム)>の市田儀一郎氏の最初の自宅の最寄り駅を(中央線)中野駅としたのは単なるうっかりミスで、それを一旦、ブログ上で西武池袋線江古田駅に変え、更にそれを富士見台駅にに変えています。
 但し、これについては、何せ昔のことであり、いまだに確信が持てないでいます。
——————————————————————————-
<太田>(ツイッターより)
米映画史に残る8つのキスのスチル写真をどーぞ。
http://www.nytimes.com/2014/12/14/mag
<太田>
 記事はこれだよ。↓
http://www.nytimes.com/2014/12/14/magazine/a-brief-history-of-kissing-in-movies.html?ref=magazine&_r=0
<akage>(ツイッターより)
 <一>昨日は腹立つな~っと思ってしまったのですが、逆に、この件を大仰に報道する意味、報道していい意味をどうお考えかお聞かせいただければありがたいです。
<s7hGMzhg>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 韓国塩田奴隷労働事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E5%A1%A9%E7%94%B0%E5%A5%B4%E9%9A%B7%E5%8A%B4%E5%83%8D%E4%BA%8B%E4%BB%B6#cite_ref-murot_2-6
http://www.sankei.com/west/news/140410/wst1404100005-n1.html
 この事件を報じているのは、どうやら産経だけらしいね。自分が知ったのも2日前だけど。
 韓国国内では、トップニュースだったのだろうが、多くの日本人ジャーナリストはスルーして、朝鮮日報も外国版には報じなかったのだろう。
 中国が相手だと、中国側の規制も加わって更に報道の自粛が激しいのは有名な話。
 これも、一種の人間主義の悪い側面ではないかと思う。相手の悪い欠点から眼をそむけてしまうことがあるのだ。
 その点でも、人間主義は性善説に属するのではないかと思う。
<s7hGMzhg>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 ヘヴィ・メタル<(コラム#7351)>は音響が大きく激しいせいか、様式美が感じられる。
 そのせいで、クラシックのシンフォニーに若干、似ている。
 手軽な昂揚感が得られるので、確かに珈琲やラーメンの後に聴くのは気分がいいかもしれない。
<K.C>
 –映画評論43:君よ憤怒の河を渉れ、について–
≫特に、がっかりしたのは、(これは撮影の問題ではありませんが、)彼女の全裸シーンです。
 (このシーンは中共で公開された版では検閲で落とされていたようですが、)吹き替えにして欲しかったところです。≪(コラム#7358(未公開)。太田)
 吹き替えだったようですよ。
 「1979年、映画『君よ憤怒の河を渉れ』・『お吟さま』が中国で上映され、特に前者で演じたヒロイン「真由美」は強い支持を得て8億人以上が視聴し、中国でも人気女優になる(このときのヌードは吹き替え。当然、中国ではこのシーンはカットされた)。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E9%87%8E%E8%89%AF%E5%AD%90
<太田>
 そうだとすると、少なくともあのヌードは脚本家ないし監督にとって理想のプロポーションであったということになり、「その後の40年弱で、いかに日本人女性のプロポーションが向上したか、感慨を催しました。」(コラム#7358(同上))と書いた私はとんだ考え違いをしていたのかも、という気がしてきて、ちょっと調べてみました。
 江戸時代における典型的な女性裸体図は、例えば、鳥居清長によるもの(浮世絵)
http://www5.ocn.ne.jp/~ukiyo26/yuya14.html
ですが、そのプロポーションを見ると、上記映画の裸体画面そっくりであることに気付きます。
 その上で、鳥居がそのような裸体図を描いたのはどうしてかを考える手がかりは下掲の通りです。
 「日本人の美意識は、女性のプロポーションよりも、肌の白さや肌理など触覚的な美を重視した。春画では、贅沢な衣服や髪型の方が重要だった。近代以前、暗い家屋の中では「官能は今よりもずっと触覚によって刺激された」という指摘は興味深い。谷崎の『陰影礼讃』にも、日本女性の肉体のおぼつかなさに言及した部分がある」
http://blog.goo.ne.jp/jchz/e/7825ab51498d981c4170d252db0025c0
 「坂本龍馬の旅の足跡をさぐってみると、どうしてそんなことが可能だったのだろうと思うほど、短期間に江戸・京・大阪・長州(山口県)・熊本等々をめまぐるしく往来している。私がとりあえずは健脚・強脚というしかない彼らの脚を想い、マラソンランナーを連想したとしても、現代ならこれよりほかの人は思いつかないのだ。・・・
 エロティックな春画のなかの日本人の肉体はどのように表現されているのだろう。・・・
 裸体美はまったく問題外なのである。・・・
 幕末に日本にやってきたペリー提督の著書『日本遠征記』のなかに、ハイネが描いた絵が挿入されている。その絵に日本人の裸体像があり、それによると男女ともにみな裸体が若々しく、女は豊満で、男は筋肉隆々なのだという。ハイネはそうした日本人の裸体の美しさにいたく感動したらしのである。さらにもうひとつ資料があり、同じく幕末に来日したスイス人エメェ・アンベールの『絵で見る日本』に、クレポンという画家が「江戸の風呂屋」という挿画を描いていて、それは非常にリアルな日本人の裸体画像なのだそうだ。
 どうやら浮世絵春画に見られるのっぺりした日本人の裸体像は、西欧人のリアルリズムで描いた絵によって、印象を訂正されそうである。」
http://plaza.rakuten.co.jp/plexus/diary/200604050000/
 要するに、背の高さはともかく、昔から、日本人の武士であれ、庶民階級であれ、プロポーションは、欧米人を驚かせるほどのものであった、つまりは、極めて現代的であったというのに、かつて、日本人は、そんな自分達の現代的プロポーションを高く評価するどころか、そんなものに何の関心も持っていなかった、ということのようなのですね。
 そこで、私の暫定的結論は、上記映画の脚本家ないし監督は、江戸時代までの日本人の美意識に沿ったプロポーションの女性をあえて探し出してきて、中野良子の吹き替えをやらせた、というものです。
 ですから、恐らく・・あくまで恐らくですよ・・実際の中野良子の当時のプロポーションは、あんなものでは全くなかったのではないか、ということになるのではないでしょうか。
 ま、私はこの分野の土地勘がそうある方ではないので、詳しい方々のインプットをお待ちしています。
<TA>
≫無加水鍋(アイリスオーヤマ製)を購入し・・・ました。・・・自炊をされている方には、この鍋、お奨めです。・・・後、関心があるのは圧力釜くらいですが、こちらは若干お値段が張るし、急いで調理をする必要がある立場でもないので、当面は、買う気はありません。≪(コラム#7356(未公開)。太田)
 圧力鍋替わりに(?)こんな調理方法、というか裏ワザもありますよ。↓
 保温調理のススメ
http://www.h-greenfund.jp/eco_life/hoon_main.html
 私は大きめのダンボール箱に引出物で貰う大量のタオルを詰めて使っています。
 牛肉・豚肉・鶏肉、柔らかく味もしみて絶品になりますし、おでんも一晩で完成です。
<太田>
 収納場所が豊富であることもあり、すり切れたカシミアのカーディガンやシャツや下着類をそのまま、とっておいてあったのと、このところ、故障等で製品を製造元に送ったりする機会が何度かあったために、とっておいた段ボール類が相当たまっていることから、それらを活用する意味でも、一度、ぜひ「保温調理」、試してみましょう。
<komuro>
≫<昨日、>13:00から、年末恒例のスタンフォードの(殆んど)同期忘年会に出席。<中略>帰り際に、再び、スピーカー買うんだったら100万円以上のにするように、と念を押されました。≪(コラム#7360(未公開)。太田)
 いろんな人とオーディオの話をすると、皆が全然違うことを言うので、混乱することがあります。
 (これ以降は私の推論ですが)これはオーディオ自体が全く理論化されていないのと、人によって聞こえ方や好みがかなり違うことから来ているためだと思われます。こう考える事で、皆が違うことを言う理由が理解しやすくなりました。
 つまり味覚と同じように、音感にもかなり個人差があると思うのです。
 この考えにたどり着くのに参考になったのが、大谷大学の元教授である片岡裕氏が掲示板や雑誌AVレビューに連載した記事なんですが、残念ながら書籍化されていないようです。
・片岡裕氏について「悪口を」語っている2ch過去スレッド → ■  世界最高のAV 片岡教授  ■
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/av/1114237059
 さて話は変わって、100万円以上のスピーカーの件ですが。
 このクラスのスピーカーは工芸品に近いように感じます。見た目にかなり拘っているため高額です。
 音については演出度が高くなっていき、元の音が貧弱であっても「それらしく鳴らす」感じです。
 このため「自分の好みに合わない方向性」の音だと、とことん気に入らない事になります。
 という点をふまえて、最初はクセの少ない音を知った上で、後々自分の好みの音に合わせて機器を選ぶのが良いです。
 今お使いの USB DAC とヘッドフォンは、とてもクセが少ないので、これを基準にするのが良いと思います。
http://review.kakaku.com/review/K0000221349/#tab 「styleatdio CARAT TOPAZ signaature レビュー」
http://review.kakaku.com/review/20461010015/#tab 「AKG K501 レビュー」
ヘッドホンは後継の高級機 AKG K701,K702,Q701,K712(23000~38000円)を買えば、より繊細な音が聴こえます。
 試しにこの音を、その友人に聴いて貰うのも面白いかもしれませんね。
 たぶん「なんにも個性がなくて、つまらない音」と言われると思います。・・・
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介ですが、まず、昨日分です。
 そうしてこんなに日本人、フィギュアに強くなったんだろうね。↓
 「フィギュア、宇野がV、山本2位 日本勢の優勝は羽生以来・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014121301000963.html     
 アンジョリーナ・ジョリーの日本による米国人捕虜虐待を描いた映画に対する批判が日本で起こっていることを伝える記事だ。↓
 Angelina Jolie’s new movie “Unbroken” has not been released in Japan yet, but it has already struck a nerve in a country still wrestling over its wartime past.・・・
http://time.com/3632206/unbroken-strikes-a-nerve-in-japan-over-wwii-past/
 日本人の運命に逆らわない諦念や矛盾を直視しない姿勢を批判するコラムだ。
 (全然分かっちゃないねえ。(太田))↓
 THE Japanese have a term for hopelessness — shikata ga nai, “it can’t be helped.” Acceptance of things as they are is deeply embedded in the culture. It also explains why voters are so listless, and even despairing, in the run-up to the national election on Sunday.・・・
 Culture doesn’t explain everything, but the Japanese reluctance to acknowledge contradictions — to act as if everything were the way it should be, even when it isn’t — helps explain the stasis of recent decades. The sense of living in a world where things happen for inexplicable reasons — in which the most one can do is adapt as best one can, while giving one’s all — is pervasive.・・・
http://www.nytimes.com/2014/12/13/opinion/japans-political-sclerosis.html?ref=opinion
 まあ、こんなことを言ってる池田のような人物が日本にもいるからなあ。↓
 「・・・「空気」の構造―日本人はなぜ決められないのか・・・
  すべての政党が同じ政策に賛成するのは、不吉な兆候である。今の状況は、戦前に近衛文麿のつくった大政翼賛会に、すべての政党が合流した歴史を思い起こさせる。戦時中に行われた「翼賛選挙」では、国民は大政翼賛会を圧倒的に支持したのだ。・・・
 失われた「小さな政府」という争点・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASGDD5DYNGDDUEHF00C.html?iref=comtop_list_pol_f01
 プーチン/ロシアについての諸分析が紹介されているが、群盲象をなでるがごとしだね。↓
http://op-talk.blogs.nytimes.com/2014/12/12/does-the-u-s-need-a-new-approach-to-putin/?ref=opinion
 先の大戦末期にソ連が満州を占領した瞬間に、中国共産党の政権奪取は確定したとさ。↓
 ・・・Bernstein argues persuasively, the Soviet occupation of Manchuria — urged, ironically, by President Franklin Roosevelt and powered by Lend-Lease supplies — was “the dominant force shaping China and China’s future relations” with the United States and the Soviet Union. Immediately after Stalin’s occupation, Mao’s forces flooded Manchuria; Stalin’s Red Army handed over a treasure trove of Japanese weaponry and allowed the communists to recruit tens of thousands of soldiers as they prepared for the civil war with Chiang Kai-shek’s Nationalist Army.
 Once Stalin’s armies occupied China’s northeast, any chance that Mao would settle for a deal with the beleaguered Nationalist Party of Chiang evaporated, regardless of the herculean efforts of George Marshall, who was dispatched to China by President Harry Truman. From that point on, Mao knew he was going to prevail・・・
 <それ以降、米国がそれを阻止することは不可能になったわけだが、当時の在支の米外交官達が、米国は、蒋介石への肩入れを止め、よりマシでかつソ連からの自立志向の毛沢東に肩入れすべきだと上申し、まさに米国がそうしたのは、ソ連に満州侵攻を強く促した米国の愚行の上塗りをする愚行だったとさ。↓>
 Bernstein handles the portrayal of two U.S. diplomats, John Paton Davies and John Stewart Service, particularly well. He acknowledges their heroism. “These were brave, intelligent, honest, and admirable men, trying to puzzle out the truth,” he writes. But he argues that they were completely wrong to advocate to the State Department that the United States drop its support of Chiang and arm the communists led by Mao. Service appears to have gone to his grave believing that he had been right; Davies, who died in 1999, came around in the end, acknowledging that it had been “unrealistic” to think there was much chance of yanking the Chinese communists from the Soviet embrace.
 <スターリンと毛沢東が騙しの達人達であって、これら外交官達は、この二人にころりと騙された、と。↓>
 As Bernstein writes, “Being straightforward men of integrity themselves, Service and Davies didn’t detect the breathtaking deceit that was practiced on them by Mao and Stalin, two of the greatest masters of deception that the world has ever known.”・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/book-review-china-1945-mao-and-america-by-richard-bernstein/2014/12/12/061d0f80-4f04-11e4-aa5e-7153e466a02d_story.html
 こりゃ、植村元朝日記者個人を責めてもあんまししょうがないね。
 朝日新聞の組織としての問題だろう。
 慰安婦関係者に慰安婦記事を書かせちゃあいけませんや。↓
 「慰安婦:証言初めて報じた元朝日記者インタビュー 「脅迫は娘にまで…それでも極右に屈しない」 「日本が尊敬されるには侵略戦争の過程で起きた人権問題直視を」 講師として勤務の大学にも極右から脅迫・解雇要求 「学問の自由守れ」 知識人らが大学・植村氏を支援・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/12/13/2014121300645.html?ent_rank_news
 植村記者のプロフィール。↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E6%9D%91%E9%9A%86
 「「強制連行」をでっち上げたのは植村隆ではない・・・」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51922468.html
 次いで、本日分です。
 「例外的に西欧的価値観を受け入れ」は「例外的に先進国であり」だし、「周辺地域」は、イスラエルにとっては中東全体だし、日本にとっては、(中東も含む)アジア全体だよ。↓
 「・・・<イスラエルと日本の>両国は、アジアにありながらも例外的に西欧的価値観を受け入れ、周辺地域に対して「抑圧的存在」になってきた-というのが著者の批判的視点だ。イスラエルにとってパレスチナが「周辺地域」だったとするなら、日本にとっては韓国がそうだった。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/12/13/2014121300678.html?ent_rank_news
 ありがとさん、中共人民の羽生ファン達よ。↓
 「・・・フィギュアスケートのグランプリファイナル男子フリーで、日本の羽生結弦は今季世界最高の194.08を出し、合計288.16で優勝。2連覇を果たした。このニュースに、中国のファンが称賛の声を送っている。・・・」
http://news.nifty.com/cs/world/chinadetail/rcdc-20141214009/1.htm
 ホンダへのオマージュ・コラムがワシントンポストに載っていた。↓
http://www.washingtonpost.com/posteverything/wp/2014/12/12/when-my-son-survived-a-serious-accident-i-didnt-thank-god-i-thanked-honda/?hpid=z11
 オバマがノルウェー大使に指名した、多額政治資金寄付者・・ノルウェーに大統領がいると思っていて、北欧系米国人の総スカンを食らい、上院での承認がおりないまま1年間経過していた・・が指名を返上した。↓
http://www.latimes.com/world/europe/la-fg-norway-ambassador-nominee-withdraws-20141213-story.html
——————————————————————————————————————————————-
太田述正コラム#7362(2014.12.14)
<近代資本主義とは何か(その5)/私の現在の事情(続x47)>
→非公開