太田述正コラム#7250(2014.10.19)
<2014.10.18東京オフ会次第(続)>(2015.2.3公開)
3 ディスカッション
 「講演」中、「講演」後、夕食会中、その後、におけるディスカッションの一部を順不同でご紹介します。
 (Oは私です。後は、適当にアルファベットを割り当てました。同じアルファベットだからといって、必ずしも同じ人とは限りません。)
O:本日の「講演」は、世界の大部分の地域の全ての歴史をカバーするものだったので、話が長くなったことにご理解をたまわりたい。
A:かくも幅広く、しかも、深い探求を、太田さん、よくもまあやったものだと思う。
O:「講演」の中でもちょっと話をしたが、私は趣味で、こういった文明的探究を行ってきたわけではなく、防衛官僚として、「どうして日本は戦前と戦後で180度変わってしまった(ように見える)のか」、「どうしてソ連や中共や北朝鮮が日本の潜在敵国で米国が与国なのか」、「どうして在日米軍はかくも(日本の防衛官僚等に対して)傲慢なのか」、といった深刻な疑問を解決する必要に迫られたから。
 その結果、日本文明論、アングロサクソン文明・欧州文明論、米「文明」論を自ら構築する羽目になってしまったということだ。
A:それにしても、米歴代著名大統領の言動のスライドを見て、彼らの余りの醜悪さに呆れるばかりだ。
 私自身、完全に反米になった。
O:ご多分にもれず、始めが物事を規定するのであり、英国の鼻つまみ的な連中が英領北米植民地にやってきて、最低の男が頭目となって独立戦争を戦い、初代大統領になったのだから、その後、どんなにまともな、或いは上等な連中が米国に移民してこようと、米国は醜悪さを払拭することができないまま現在に至っている、ということだ。
B:米国にまともな大統領はいなかったのか。
O:フーヴァーくらいなものだろう。
B:日米開戦時点での大川周明
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B7%9D%E5%91%A8%E6%98%8E >
の書いたものを読んだが、太田さんと同じようなことを言っていた。
O:だが、対赤露というよりは、欧米植民地解放の視点なのではないか。
B:そう言われてみればそうだ。なお、大川はイスラム教研究者でもあった。
O:そうだ。日本人のイスラム世界理解が結構的確なのは、戦前からのイスラム研究の蓄積があるからだろう。
B:太田さんの言うように、本当に、人民網や新華社は日本ヨイショのオンパレードだ。
O:何度も言っていることだが、どうして、そのことに誰も注目しないのか、私には全く理解できない。
B:トウ小平以来、中共が日本化戦略をとっている、ということを指摘しているのは太田さんだけだ。
O:トウ小平の親分の毛沢東自身が日本大好き人間として出発しており、共産主義者になったのも、日本に留学して共産主義を知った李大釗から学んだからだ。
 彼が、中共を訪問した日本人に対して、感謝の意を表明したのは、政権奪取・・日本が蒋介石政権と戦って同政権を弱体化してくれた・・についての皮肉をきかせた謝意と言うより、日本大好き人間たる彼の真情の吐露だった、と私は考えている。
 ところで、トウ小平に対して、社会党系の人々は、日本が支那に悪いことをしたと謝り、日本が支那で犯した罪についての記念館建設を資金援助するからと促した。
 それで、トウは、この話に乗って、記念館建設を自前でもやり、更には反日教育も始めた。
 対日戦略上、これは使える、とふんだわけだ。
 結局、日本人は全く意識していないが、客観的には、中共は、あらゆる意味で、日本の付けてやった知恵で動いてきており、別の言い方をすれば、日本の掌の上で転がされてきたとさえ言えるのだ。
B:話は変わるが、在英の日本人女性人ブロガーも欧米なんて国はない、と書いていた。
O:イギリスと欧州(ないし米国)は全く違う、というのは、ホンネでは欧米人の常識なのだが、日本人でそういうことを言う人は殆んどいない。
B:日本人と言えば、戦後日本では、日本の「右」も「左」も同じようなものだと思う。
O:その通りであり、違いを強いてあげれば、「右」は頭が悪く、「左」は頭が良いといったところか。
B:チャーチル、ローズベルトが同じ時に居合わせなかったらどうなっていたと思うか。
O:日米戦争は起こらなかっただろう。
 ローズベルト単独じゃ、当時の反戦ムード一色の米世論に逆らって日本を対米英戦へと追いつめることなど、到底できなかっただろう。
 チャーチルが、ローズベルトの尻を叩き、かつ、米国内での諜報活動までやってのけて反戦ムードの切り崩しを行ったのが大きかった。
A:日本にイスラム教徒が16万人もいる、と太田コラムで読んで愕然とした。
O:パキスタンのキリスト教徒は、迫害を受けており、入るべき墓さえなくなりつつある。
 イスラム教徒の墓の近くにキリスト教徒の墓はつくっちゃいけない、等々の言い掛かりをつけられているのだそうだ。
 <→ In expansive Pakistan, Christians struggle to find space for cemeteries・・・
 Allama Tahir Ashrafi, who chairs Pakistan’s Ulema Council of Islamic scholars, said Islamic teachings mandate Muslims be buried away from non-Muslims because Koranic verses cannot be located near other religious verses that may appear on a tombstone, some of which may refer to the Christian Crusades.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-expansive-pakistan-christians-cannot-find-space-to-bury-their-dead/2014/10/17/1de012e2-547d-11e4-892e-602188e70e9c_story.html >
 とにかく、イスラム教徒には、現代においては、真正化へという強いベクトルが働いており、彼らは全くもって困った存在だ。
C:太田さんは、イスラム教徒を根絶やし論を展開した未公開コラムを公開するのか。
O:する。
 ところで、Isisによる首切りについて喧しいが、日本でも江戸時代まで斬首刑をやっていたし、フランスにはギロチンがあった。
 また、現在の日本の絞首刑だって、首がちぎれることもあるし、米国の薬殺方式だって、時々長時間かかったりする。
 だから、首切りが残酷などとは言えない。
 そもそも、家畜は長らく、首切りで屠殺してきたものだしね。
(続く)