太田述正コラム#7495(2015.2.19)
<皆さんとディスカッション(続x2543)>
<太田>(ツイッターより)
予定通り、『ベイマックス』(2D)と『ANNIEアニー』を鑑賞して先ほどご帰還。
どっちも、面白かったけど、テーマが単純すぎて、コラムに仕立てられるのかってカンジだったね。
午前1時まで営業している自宅の最寄りの駅前の店で翌日の食糧の買い出しもできた。
結構、今の住環境は気に入ってる。
ギリシャ経済が、このところいかに破滅的に推移しているかが第一次世界大戦後のドイツや大恐慌後の米国と比較して一目で分かる。
http://www.slate.com/blogs/moneybox/2015/02/18/how_bad_is_greece_s_economy_these_charts_will_tell_you.html
分からないのはその原因だ。
気位だけは欧州で一番高いから、なりふり構わぬ他国への移住や出稼ぎができないからかしらん。
<NQsPOO.k>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
錦織圭とコーチ(マイケル・チャン)が受けた「人種差別」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150215-00042099-gendaibiz-soci&p=1
シンガポール陥落には、日本人には計り知れない衝撃があったんやろうな。
<太田>
「 同じ旧日本帝国にルーツを持つ者」の間違いだろ。↓
「・・・ ’72年、チャンは台湾からの移民だった両親のもと、アメリカのニュージャージー州に生まれ<た。>・・・
チャンは、自分が果たせなかった夢を託せる選手を待ち続けていたのだろう。それを示すように、錦織のオファーを受けた理由をこう語っている。
「同じアジアにルーツを持つ者として感じるものがあった」・・・」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150215-00042099-gendaibiz-soci&p=1
<WIxxTu0.>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
経済学者は役に立たない職業なのか?経済危機の予測に、ことごとく失敗してきた
http://toyokeizai.net/articles/-/59972
市場原理主義の米国にはまともな予測も対策も出来ない、著者は言い訳なんか書いてる暇あったら、文中の『何よりも1929年の株式市場の暴落に端を発した大恐慌。』を克服した高橋財政又は日本型政治経済体制に注目すべき。
<太田>
それでは、その他の記事の紹介です。
久美子危し。↓
「父娘泥沼「大塚家具」お家騒動 多数派工作、カギは「外資」・・・」
http://www.sankei.com/economy/news/150219/ecn1502190015-n1.html
ロシアと米国/英国の間に独仏が入って後者をとりなしてるって構図だな。↓
・・・the Americans (and their British mouthpiece) are fast running out of patience. Merkel and Hollande, with only imperfect solutions available, are caught in the middle as never before. They may be the only two people standing between Europe and a wider war.・・・
http://www.theguardian.com/world/2015/feb/18/after-debaltseve-victory-putin-stick-or-twist
リビアには、現在首都トリポリに拠るイスラム主義者政権とトブルクに拠る世俗派政権があって抗争中だが、そのほか、アルカーイダ系とIsis系等が入り乱れている状況。↓
<もともと、エジプト、ア首連、サウディアラビアは後者の政権を、カタールは前者の政権を支援してきた。↓>
・・・Forces aligned with Tobruk have acknowledged help from Egypt, the United Arab Emirates, and Saudi Arabia in their “war on terrorism,” but they have denied the claims that the Egyptian military is conducting airstrikes at their behest and countered that Qatar, which supplied rebel forces with weapons during the initial revolt, has been supplying arms to Libya Dawn.
<Isisにとっては、かつてのシリア同様、その勢力を増殖させる絶好の環境。↓>
Libya, in other words, is now a proxy war for the broader conflict between militarism and Islamism playing out across in the Middle East and North Africa, as vulnerable to further IS inroads as Syria was a year ago.・・・
http://foreignpolicy.com/2015/02/18/somalia-on-the-mediterranean-libya-islamic-state-egypt-terrorism/?wp_login_redirect=0
Isisはイスラムじゃないとオバマ政権が主張しているが何の効果もないとさ。↓
・・・Though the Obama administration is working hard to convince possible IS recruits that the group is un-Islamic, emerging evidence makes it clear that Baghdadi’s followers aren’t listening.
<Isisの前身のイラクのアルカーイダ創設者のザルカウィの師が、シーア派やキリスト教徒の無差別殺戮は目的達成にとって逆効果だと説得を行ってきたが、この説得すら、何の効果もなかった、と。
(効果を考えてやってんじゃなく、イスラム創世記に忠実なだけであり、その結果として、志願兵を世界から集める効果を生んでるってだけのことなんだよ。(太田))↓>
That point is driven home by the failed efforts of Abu Mohamed al-Maqdisi, a Jordanian cleric long renowned in Al Qaeda and similar circles as a theorist and supporter of what is sometimes called global jihad. Abu Musab al-Zarqawi, who led Al Qaeda in Iraq until his death in 2006, was his former student.・・・
In his opinion, the indiscriminate slaughter of Shiites and Christians was counterproductive to the shared goal of enforcing an extreme version of Islamic law on as much of the world as possible.
<ちゅうことは、Isisへの対抗言論は不可能だということか、だってさ。(だからー、イスラム教そのものを攻撃する以外にないんだよ。(太田)↓>
But that’s why this episode is interesting. If he holds no influence over IS, then who could?
http://www.csmonitor.com/World/Security-Watch/Backchannels/2015/0218/If-a-renowned-jihadi-cleric-can-t-get-through-to-Islamic-State-who-can
アルカーイダのかつてのナンバー2で現在はナンバー1のザワヒリが、米国を挑発して中東に軍事介入させ、イスラム教徒達対不信人者達という抗争図式を招来させる、という戦略を考案したとさ。↓
・・・By now there should not be too much mystery about the jihadi dialectic. It was set out in a jihadi primer, written before 9/11 but excerpted in the Arabic press shortly after it, by Ayman al- Zawahiri — al-Qaeda’s strategist then and the late Osama bin Laden’s successor as head of al-Qaeda now. If the US were adequately provoked, he reasoned, it would almost certainly respond with large-scale reprisals, and “personally wage the battle against the Muslims”, seeding the ground for a “clear-cut jihad against the infidels”.・・・
<Isis生誕の起源は、2003年の米英の対イラク戦におけるスンニ派叛乱とザルカウィ。ザルカウィはザワヒリが自分の戦略を忘れてしまっているとして袂を分かち、その戦略を強力に推進し始めた、とさ。(ちゃうよ、イスラム創世記の実践、という新たな戦略に基づく行動を取り始めたんだよ。(太田))↓>
Isis traces its origins to the Sunni insurgency ignited by the Anglo-American invasion of Iraq in 2003, and specifically to the Iraqi branch of al-Qaeda led by the sanguinary Jordanian jihadi, Abu Musab al-Zarqawi. It broke with al-Qaeda and Mr Zawahiri in part because it believes he has forgotten his own teachings. But it is playing the same game; it wants to provoke not just a reaction but an overreaction.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/de2135f6-b772-11e4-981d-00144feab7de.html#axzz3S9etoOk4
こういう具合に、まるでダメな議論が米英でももっぱら流通してるんだが、ほぼ完全に私と同じ見解を開陳してるのが下掲だ。しかし、やはり、結論は間違っている。↓
<啓示から間もない、イスラム創世記においてこそ、最も純粋なイスラム教が実践されていた、というのがIsisの考え。↓>
・・・The Islamic State’s atavistic aesthetic draws on the widespread notion that the earliest generations of Muslims practiced the purest form of Islam because they were nearer the time of revelation. Closeness to them means proximity to the divine will.・・・
<それに対抗する言論は存在しない。↓>
There are few, if any, counter-narratives or alternatives with which it has to compete among its target audience of young recruits. Now drawn in to military action against the Islamic State, the coalition has neglected the ideological power of its propaganda.・・・
<しかし、徒手空拳ではIsisと戦えない。とにかく、対抗言論を構築する必要がある。(そりゃ、イスラム教そのものを否定するしかないんだよ!(太田))↓>
One cannot fight something with nothing. The administration is going to have to spend a great deal more time, effort and resources, and work closely with its regional allies, to develop a set of messages that can push back effectively against the prophetic, mystical appeal of the Islamic State’s theater of cruelty.・・・
http://www.nytimes.com/2015/02/19/opinion/the-isis-theater-of-cruelty.html?ref=opinion&_r=0
マシな方のフランスの識者もまだまだだねえ。↓
<「近代化に伴う問題」に関して、フランスのイスラム教徒達と中東のイスラム教徒達との「混乱を結合させて語る」必要があるに決まってんだろ。(太田)↓>
「・・・フランス・・・のムスリムは、近代化に伴う問題と同時に、現代社会の危機、例えば学歴や若者の失業など、先進国特有の問題にも直面しています。彼らの苦境と中東の混乱を結合させて語るのはまるで幻想です・・・
<欧米に、この「混乱」に責任なんか基本的にないけど、とにかく、「中東に近い欧州はイスラム社会とのしがらみが強い」ちゅうか、文化、文明において近似性があることを忘れちゃいけんで。(太田)↓>
このような過激勢力を台頭させた責任は欧米にもあります。・・・中東に近い欧州はイスラム社会とのしがらみが強い。(旧オスマントルコ分割時の)英仏の秘密協定や植民地支配にまでさかのぼれます。しかし、ISを生んだのは米国のイラク侵攻です。『欧米』ではなく米国の責任。米国が中東の政治的均衡を壊したのです・・・
<そりゃ、(その外延を含む)欧州<米国<イギリス、というまともさの序列がしからしめたってだけのことだわさ。(太田)↓>
先ほど先進国と途上国の歴史のズレに触れましたが、西側世界の中でも時差がある。9・11後の米国は異常であり、欧州は分別ある古い世界として、それを戒める役回りを自覚していました。仏独ロの首脳が、平和主義者として共同で会見したんです。米国よ、正気に戻れと・・・
<外延たるロシアを含め、欧州諸国は、その野蛮性において、共通しているからだよ。(太田)↓>
ところがここ2年ほど、かつて米国が感染した好戦的なウイルスに欧州もやられた感があります。印象的なのは『ロシア嫌い』です。欧州はイラク戦争時の共同歩調を解いたうえ、ロシアにいら立つようになった。米国の姿勢に近づきました・・・
<欧州諸国は一貫して親露なんであって、米国と拡大英国を含むイギリス(英国)が全て反露になったってことよ。(太田)↓>
驚いたことに、賢明で分別があると思われたカナダや豪州までが好戦的になった。スウェーデンもプーチンに厳しい。みんなロシアやアラブ世界にいら立っています。西側の熱病はまずリーダーの米国を襲い、欧州を巻き込み、好戦的な、いわば狂気が世界に広がりつつある」・・・
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11608952.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11608952
後段はともかくとして、前段は、大部分の女性にとっちゃショックだろなあ。↓
「・・・美人は健康で長生きなうえに性格もいい・・・
チンパンジーのメスは、発情期になるとお尻が赤く膨らむ。それがオスを興奮させるそうで「人間の女が赤い口紅をつけるのは、チンパンジーのメスのお尻の信号を体の前に移したのだ」・・・」
http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2015021774561.html?iref=comtop_list_andm_n02
ガーディアンが、この「美人」の小保方嬢が引き起こした大騒動についての大長編力作記事を載せた。
「美人」が「性格」が悪いと、どんな大災厄が起きうるかってことだな。
(これ、小保方嬢問題を、極めて根源的な切り口で取り上げてるんで、関心ある人はぜひ読むべし。(太田))↓
http://www.theguardian.com/science/2015/feb/18/haruko-obokata-stap-cells-controversy-scientists-lie
—————————————————————————————————————————————–
太田述正コラム#7496(2015.2.19)
<挫折した恋の効用(その3)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x2543)
- 公開日: