太田述正コラム#7356(2014.12.11)
<近代資本主義とは何か(その2)/私の現在の事情(続x45)>(2015.3.28公開)
3 ハーヴァード大の歴史に係る問題意識の中における位置づけ
「どうして、選良たる少数派が権力を維持する諸社会構造が恒久化したのだろうか。・・・
ベッカート自身は、この大きな設問を、産業革命を開始させた商品である綿の10年に及ぶ研究を通して解答を探してきた。
そして、彼は、綿は、現在の全球的資本主義システムを形成した、と主張する。
資本主義システムは、その最善の部分においては栄光あるものだが、その最悪の部分においては、再安価な労働力と諸物資を求めるところの「底辺への競争」なのだ、と。
ベッカートの作業は、<この本>において頂点に達した。
彼は、その序文で以下のように記す。
とりわけ苛つかせるのは、どうして、何千年もの緩慢な経済成長の後に、人間達のうちのわずかな部分(strands)が18世紀末に突然はるかに富んだのか、という疑問だ。
⇒当時の最先進国のイギリスにおいてさえ、「イギリスの1086年から1688年までの600年余の一人当たり実質GDPの伸び率は年0.29%でした。しかも、1086年から1170年にかけての84年間の伸び率は、産業「革命」後半期の1801年から1831年にかけての30年間の伸び率に匹敵していますし、16世紀前半の伸び率は実にその2倍もありました・・・他方、1688年から、産業「革命」初期の1760年までは0.31%の伸び率にとどまっており、1760年から1780年は0.01%と伸びが止まり、1780年から1801年にかけては0.35%で、ようやく産業「革命」後半期(1801年~1831年)に0.52%に加速した程度です」(コラム#1586)から、ベッカートの叙述は、間違っていると言うべきほど不正確です。
なお、そもそも、イギリスには産業革命はなかった、という、かねてからの私の指摘については、コラム#1477、1489、1501、1515、1570、1586、1999を参照してください。(太田)
学者達は、現在、これらの数十年を「大いなる分岐(great divergence)」であった、と言及している。
それは、工業化した諸国とそうしていない諸国の間、植民者達と被植民者達の間、全球的北と全球的南の間、の分断、という、今日、いまだに続く巨大な諸分断(divides)の始まりだった。
全球的視座に立つことで、欧州における工業賃金の上昇とアメリカ大陸における奴隷労働の同時的興隆といった、諸大洋にまたがる(transoceanic)諸関係(connections)への資本主義の依存に対して、新鮮な光が照射される。
「私は、イギリスの産業革命について、数百冊の諸本を持っている」とベッカートは述べる。
「そして、これらの諸本は、当然そうでなければならないが、そのほとんどが綿製造業の拡大に焦点を当てているところ、それは、綿製造業こそが産業革命の始まりだったからだ。
それから、我々は、米国における奴隷制農業の拡大についての数百冊の諸本を持っている。
しかし、この二つの諸物語は、私が示すように、極めて固く相互に繋がっている。
というのも、欧州の綿製造業の成長につれて、綿への巨大な諸需要がそこに出現したからだ。
そして、綿は欧州大陸では生育しない一方で、米国のような諸場所では非常によく生育することから、そこにおける綿農業は巨大な拡大が生じたのだが、その殆んど全てが奴隷労働に立脚していた。
つまり、奴隷制は、19世紀に資本主義が出現するにあたって、中心的な存在だったのだ。
⇒かねてから、私は、イギリスは最初から(その個人主義とコインの両面たる)資本主義社会だったと指摘しているところ、ベッカートの資本主義19世紀出現説には全く与することはできません。(太田)
(続く)
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–私の現在の事情(続x45)–
アイリスプラザからのPRメールで1000ポイントを贈呈されたのにまんまと乗せられて、送付代金のかからない5,000円をぎりぎり超えるように、スプレー式消火器と無加水鍋(アイリスオーヤマ製)を購入し、昨日届きました。
で、本日、添付レシピを見ながら、肉じゃがを作ってみたのですが、この鍋の使い方を一部間違えたり、材料をありあわせのもので置き換えたりし、また、諸材料の分量もいい加減で、調理手順まで何回か間違えてしまった、にもかかわらず、出来上がった肉じゃがのおいしいこと。
自炊をされている方には、この鍋、お奨めです。
明日は、ビーフカレー・・さすがに無加水とはいかず、カップ1~2杯の水を入れる・・を作ってみます。
(あの、メーカーが倒産してしまった)ノンフライヤーもどき・・鶏を唐揚げにしたり、揚げるだけのハンバーグを買ってきて調理する時など、実に手軽にやってのけられる・・に引き続き、私の食生活を豊かにしてくれる製品という点で、今度のも大当たりでした。
後、関心があるのは圧力釜くらいですが、こちらは若干お値段が張るし、急いで調理をする必要がある立場でもないので、当面は、買う気はありません。
本日は、先日買って、2階に置いてあったレコードプレーヤーを1階のピアノ部屋に降ろして、komuroアンプに、パソコンからでもこのレコードプレーヤーからでも繋げるようにセットしました。
パソコンとレコードプレーヤーを置く場所がかなり離れているので、両方から届く地点にアンプを持って行くのに手こずりましたが、これで、ピアノ部屋の当面の整備は、ヤマハ音源の電子ピアノとの接続だけを残し、一応完了です。
せっかく、ピアノ室のオーディオ環境が整ったので、ピアノ協奏曲用カラオケCDを買ってみようという気になり、下掲等で検討を始めました。
http://www.sheetmusicplus.com/
海外からの取り寄せになりそうなので、現在円安なのがちと気になりますが・・。
近代資本主義とは何か(その2)/私の現在の事情(続x45)
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