太田述正コラム#7362(2014.12.14)
<近代資本主義とは何か(その5)/私の現在の事情(続x47)>(2015.3.31公開)
もし、産業革命の先祖の家があるとすれば、そこで最初の工場群が建設されたところの、イギリスのマンチェスター(Manchester)<(注6)>だ。
(注6)「雨が降ることが多い場所であり、・・・綿花の栽培に・・・向いていたので行われるようにな・・・った。また雨の日、人々は自然と屋内にこもって活動することになるので、ギターなどの楽器の演奏をしたり、自分自身の内に向かい思索や瞑想を重ねることになり、文化がはぐくまれた。・・・
17世紀にはいると綿織物工業がおこり、1785年に紡績機に蒸気機関が導入される・・・。1830年、リヴァプールとの間に鉄道が開通し、マンチェスターで生産された綿織物がリヴァプール経由で世界中に輸出され、1894年にはマンチェスター運河の完成によってマージー川河畔にあるイーストハムともむすばれ、外洋航行船が出入りできるようになった。・・・
<現在、その>近郊を含む都市圏人口は・・・<英国>第3位である<が、>・・・<重要度において、(都市圏人口第2位の)>バーミンガムを凌<ぐことから、英国>第二の都市として<英国民に認識されている。>」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC
英国の投資家達が、奴隷によって生育された綿を、より糸へと、より迅速に紡ぐ方法を発見した後に生じた(created)ところの、工場の出現を、綿は駆り立てた。
これらの新しい工場群の中心たる機械化された紡績工場(cotton mill)を発明した人物は、資本主義の伝説たる原型的な天才的発明家のサミュエル・グレッグ(Samuel Greg)<(注7)>だった。
(注7)1758~1834年。英国の企業家で、クァリー・バンク工場(Quarry Bank Mill)を作った、工場システムの先駆者。北アイルランドのベルファスト生まれでハロー校卒。
http://en.wikipedia.org/wiki/Samuel_Greg
私は、1988年の英国防大学「留学」時に、英国国内研修旅行でイギリス北西部を選び、マンチェスター、リヴァプール、湖沼地帯等を訪問したが、その折、マンチェスター郊外にある、この水力工場
http://en.wikipedia.org/wiki/Quarry_Bank_Mill
も見学している。
このグレッグの成功を、奴隷が生育した綿、及び、ぞっとするような(ghastly)工場労働者達の諸状況、に結び付けることで、ベッカートは、ぎらぎらした光の中でグレッグの配役を変えてみせる。
女性達と子供達がこれらの最初の工場労働者達の圧倒的多数を占めており、彼らの全員が、1日14時間労働することとされ、夜には宿舎群に詰め込まれた。
仮にグレッグを天才として寿ぐのであれば、我々は、彼が、想像しうる最も強圧的な(coersive)労働諸システムに完全に依存していたこともまた認めなければならないことをベッカートは示唆する。
19世紀初頭には、英国は、そしてすぐに全欧州が、強固な綿製造諸工業を持つに至った。
しかし、それらは、輸入された綿に依存していたのであり、輸入元で最も重要だったのが米国だった。
南北戦争が始まった頃には、米国は、英国の未加工綿の77%、フランスの90%、そして、ロシアの92%、を供給していた。
同じ頃、米国の北部の諸都市で綿製造諸工業が出現し、米国自身の産業革命を推進しつつあった。
実際のところ、米国は、自身で綿を生育させるとともに<綿糸等を>製造もしていたという点で、他の工業化しつつある全ての諸国に比べて独特だった、とベッカートは記す。
もちろん、秘訣(trick)は、これらの新しい綿製造諸国の全てが、奴隷によって生育された綿に依存していたところにある。
資本主義に関する他の新しい学者達と同様、ベッカートは、奴隷制は、資本主義が破壊した旧弊の制度ではなく、資本主義を可能にしたところの、不可欠なものであった、という点を<我々に>納得させる(drive home)のだ。」(A)
(続く)
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–私の現在の事情(続x47)–
(新聞をとらなくなってから、選挙公報が届かないこともあり、)毎回、何も調べずに投票所に足を運んでから、投票先をその場で決めてきましたが、今回もそうしました。
今回は、投票所に入ってから、かつて私がそこから立候補し、野田前首相の政党でもある民主党にそこそこ議席をとらせなきゃ、という気持ちになり、小選挙区は民主党の藤田憲彦、比例も民主党に入れてきました。
最高裁裁判官の国民審査については、先般、ヘイトスピーチ判決を下した裁判官にXを付けたかったなと思っても、調べてこなかったので後の祭りでした。
帰宅してから藤田について調べてみました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E7%94%B0%E6%86%B2%E5%BD%A6
結果的にまあまあ妥当な選択をしたな、と胸をなでおろしました。
(立候補経験まであるというのに、投票姿勢がそんな適当ことでいいのか、と叱られそうですね。)
2年前の総選挙で、藤田は落選しているところ、今回、どんな人物なのか殆んど思い出せなかったくらいなので、その時の選挙で私は彼に入れなかったのではないかと思うのですが、何の記憶もありません。
(ところで、今、この文章を、タブレットで選挙速報をチラ見しながら書いています。
一昨日は、やはり、セットトップボックスに再起動をかけないとタブレットでTVを見れなかったのですが、一日おいた本日は、最初から問題なく見れました。
明後日、J:COMの係員がやってきた時に、話がややこしくならないよう、障害が再現されることを祈って(?)います。)
各チャンネルをざっと見た感じでは、池上彰を起用したTV東京が、単なる開票速報報道の域を超えており、一番ですね。
そうお感じになる人が多いのではないでしょうか。
今度の選挙は、概ね事前の予想通りの結果になりつつありますが、沖縄では、既に、この全体としての趨勢に完全に背馳する結果が出ており、共産党の18年ぶりの選挙区での当選、そして、4選挙区全部での自民党の敗北、というわけですが、これこそ、今回、最も注目すべきことかもしれませんね。
近代資本主義とは何か(その5)/私の現在の事情(続x47)
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