田述正コラム#7617(2015.4.21)
<皆さんとディスカッション(続x2604)>
<太田>(ツイッターより)
 「…童話として子供向けにアレンジされているという。特に昭和に入ってからは、残酷性や性的要素が排除されたそうだ。
 たとえば『かちかち山』は、狸(たぬき)はお婆(ばあ)さんを殺して逃げるだけでなく、「婆汁」にして、爺(じい)に食べさせたというのである。
 『桃太郎』は桃から生まれたのではなく、桃を食べた爺と婆が若返って交わり、男の子を生んだというのである。…」
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20150413-OYT8T50277.html?from=ytop_ymag
 残虐性において、ドイツの童話(コラム#7303)には及びもつかないが、日本の童話も相当なもんだわ。
 無菌童話しか与えられてない最近の子供達は可哀想だねえ。
 「…日本人が薬品製造の中に込めた人間本位という考え方は、中国人も学び、参考にする価値があるものだ。
 日本で最も多く購入したのが薬品だということから、…<教訓を汲み取って欲しい>。…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0421/c94476-8881083.html
 日本の人間主義を礼賛し、その体得を促すセットパターン。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 今や国立大だって全て税金でまかなわれているわけじゃない。
 逆に、全ての私立大に税金が投入されている。
 この主張に反対はしないが、もう少し、丁寧な言葉遣いをして欲しいね。↓
 「・・・国歌斉唱に至ってはほとんどの国立大が実施していない。国民感情としても『税金でまかなわれているのだから入学式や卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱は当然だ』と思っているのではないだろうか・・・」
http://www.sankei.com/premium/news/150421/prm1504210005-n1.html
 安倍首相の訪米の成功は、歴史を直視するところにある、とするNYタイムス社説だ。
 リベラルキリスト教の牙城が、最後に残ったところの、米国の第二次世界大戦参戦・勝利の「栄光」だけは守ろう、と死に物狂いにならざるをえないくらい追いつめられてるってことだな。
 憐れなことよ。
 それにしても、よくもまあこんな史実も論理も無視した妄想的な社説が書けるもんだわ。↓
 <戦中に朝鮮を暴虐的に占領しただとさ。↓>
 ・・・the success of the visit also depends on whether and how honestly Mr. Abe confronts Japan’s wartime history, including its decision to wage war, its brutal occupation of China and Korea, its atrocities and its enslavement of thousands of women forced to work as sex slaves or “comfort women” in wartime brothels.
 By now, that history should have been settled. That it is not settled is largely the fault of Mr. Abe and his right-wing political allies who keep questioning history and even trying to rewrite it, stoking regional tensions. ・・・
http://www.nytimes.com/2015/04/20/opinion/shinzo-abe-and-japans-history.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&module=c-column-top-span-region&region=c-column-top-span-region&WT.nav=c-column-top-span-region&_r=0
 最低限の矜持がないと、こんなコラム、掲載できねーってことなんだろうがね。↓
 <米国の生産年齢の黒人住民の男女比率は、83対100だとさ。黒人男性は死ぬか刑務所にいるため。↓>
 ・・・between the ages of 25 and 54・・・<f>or every 100 black women not in jail, there are only 83 black men. The remaining men — 1.5 million of them — are, in a sense, missing.・・・
 They are missing, largely because of early deaths or because they are behind bars.・・・
http://www.nytimes.com/interactive/2015/04/20/upshot/missing-black-men.html?action=click&pgtype=Homepage&version=Moth-Visible&module=inside-nyt-region&region=inside-nyt-region&WT.nav=inside-nyt-region&abt=0002&abg=1
 MYタイムスじゃないが、こんな分析も出てた。
 所得格差が大きかった米国がフランクリン・ローズベルトの政策によって小さくなったものの、レーガンの政策によって、1970年以降はまた大きくなった、とさ。
 (このことは一般的に知られているが、その実態の数字による紹介内容が衝撃的。(太田))↓
 ・・・ in inflation-adjusted 2012 dollars・・・inequality really was high during the 1920s. ・・・FDR・・・Between 1940 and 1970, the bottom 90 percent went from making, on average, $12,000 to $33,000. The top 1 percent, meanwhile, were stuck making “only” $300,000 this whole time. ・・・Ronald Reagan・・・the last 30 years, even as the top 1 percent have created a second Gilded Age. ・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/wonkblog/wp/2015/04/20/this-chart-explains-everything-you-need-to-know-about-inequality/?tid=hpModule_79c38dfc-8691-11e2-9d71-f0feafdd1394&hpid=z14
 アングロサクソン的価値観などくそくらえの国・地域の征服・統治をロシアがいかに出血大サービスで行ったかだな。
 それが、このロシア大人気をもたらしているんだろ。
 だから、ロシア人にしてみれば、どうして、欧州諸隣国やトルコや日本がロシア嫌いなのか、理解できないわけだ。↓
 「・・・ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの4か国で、18歳以上<を対象に>・・・調査した。
 「最も信頼できる国」は、旧ソ連の構成国だったことを反映し、1位はロシア(63%)だったが、日本は14%でこれに次ぎ、3位の中国(3%)を上回った。その一方で、「現在重要なパートナー」の設問(複数回答可)では、日本は23%で、ロシア(75%)、中国(35%)を下回り3位だった。」
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%82%92%e3%80%8c%e4%bf%a1%e9%a0%bc%e3%80%8d%ef%bc%92%e4%bd%8d%e2%80%a6%e9%87%8d%e8%a6%81%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%81%af%e4%b8%ad%e5%9b%bd/ar-AAboUzA?ocid=iehp
 だからどうした?↓
 「・・・将棋のアマチュア三、四段の男性17人に、対局の中盤の盤面を4秒見せ、「攻めるべきか、守るべきか」を2秒間で直観的に答えてもらった。その間の脳活動を計測すると、大脳の中心部にある「帯状皮質」と、前方の脳表面にある「前頭前野」が活動していた。
 特に、「攻めるべきだ」と感じたときは帯状皮質後部が、「守るべきだ」と感じたときは帯状皮質前部の活動がより強まっていた。この2か所の情報が前頭前野で統合され、最終的に攻めるか守るかの戦略を決定すると考えられるという。
 また、攻守の判断とは別に具体的な次の一手を考える際には、別の複数の脳部位が活動していた。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/science/20150421-OYT1T50004.html?from=ytop_main7
 将棋じゃなくチェスの話だが、男性たるチェスの達人が、女性はチェスに不向き、と発言したのでぶっ叩かれている。↓
 Nigel Short says men ‘hardwired’ to be better chess players than women・・・
http://www.theguardian.com/world/2015/apr/20/nigel-short-uk-grandmaster-men-hardwired-better-chess-players-women
 ノルウェーじゃ、ディジタル放送の時代だとしてFM放送廃止を決めた。↓
 Norway to end FM radio broadcasts. ・・・
http://www.csmonitor.com/World/Global-News/2015/0420/Norway-to-end-FM-radio-broadcasts.-Will-US-follow
 中共のインターネット検閲の仕組みが一目で分かる図が載ってるよ。↓
 
 This Chart Explains Everything You Need to Know About Chinese Internet Censorship・・・
http://foreignpolicy.com/2015/04/20/this-chart-explains-everything-you-need-to-know-about-chinese-internet-censorship/?wp_login_redirect=0
 山内センセのコラムに久しぶりに接したが・・。↓
 <イランでスンニ派が有力だった時期がある? ホントかよー。↓>
 「・・・イランでもスンニ派が有力だった時期にカスピ海沿岸で露命を繋(つな)いだザイド派は、10世紀頃から重要な拠点をイエメンにつくることに成功した。それ以来、イエメンはザイド派が堅持してきた本拠になったのである。
 <イランが前にも比較的最近、イエメンに介入したことがあるってのは驚かないが、説明が分かりにくいねー。↓>
 1960年代、シャー(国王)が君臨していたイランは、南イエメンに対するエジプトのナセルやソ連の影響力拡大を危惧し、北イエメンの王党派や部族にテコ入れを図ったものだ。当時のイランは、アデン湾やソコトラ島がソ連に支配される事態を憂慮し、石油タンカーのシーレーンへの脅威も感じていた。
 実際、エチオピアやソマリアとアラビア半島をつなぐ紅海とアラビア海の出入り口を押さえられるイエメンは、大産油国イランにとっても地政学的重要性を帯びていた。イランは74年にハムディ大佐の政変を支援した結果、1億ドルの援助を供与し、2000人以上の技術者を「国際福祉部隊」の名目で北イエメンに送り、道路や学校や診療所の建設にあたった。政変を成功させた参謀格は、後に大統領となるサレハである。3年後、サレハはハムディ死後まもなく彼の後釜に座った。こうしてアラビア海とアデン湾を掌握しようとしたイラン海軍の夢は雲散霧消してしまった。」
http://www.sankei.com/column/news/150420/clm1504200008-n1.html
 念的瞑想は、鬱の治療に薬と同じ位よく効くんだとさ。
 (要するに、人間主義者は鬱になりにくいってこと?(太田))↓
 Mindfulness as good as pills for treating recurrent depression・・・
http://www.theguardian.com/society/2015/apr/21/mindfulness-based-cognitive-therapy-treatment-chronic-depression-antidepressants