太田述正コラム#7715(2015.6.9)
<皆さんとディスカッション(続x2653)>
<太田>(ツイッターより)
 「東大女子:なぜ増えない…「お得感なし」学歴隠す卒業生も…」
http://mainichi.jp/select/news/20150604k0000e040208000c.html
京大だって東大よりちょっと多いだけだ。
 国立大が入試成績だけで合格者を決めているからに決まってんだろ。
 (<昨>日の「ディスカッション」参照。)
 日本人はかまととぶりっ子が多いアルね。
<太田>
 上掲(☆)中に、「韓国のソウル大も男女半々です」ともあるけど、韓国も入試成績だけで合格者を決めているはずなのに、おかしいじゃないか、という反論を予想してたんだが、誰も反論しないね。
 私の解答は、以下の通り。
 「ソウル大学の正門と東京大学本郷キャンパスの正門(赤門)は、両国大学入学試験競争の象徴でもある。毎年この門を通過する高校生はそれぞれ3000余人」
http://japanese.joins.com/article/973/116973.html
 韓国の人口は5000万人。
https://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&aq=&oq=%e9%9f%93%e5%9b%bd%ef%bc%9b%e4%ba%ba%e5%8f%a3&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4RNOA_jaJP583JP584&q=%e9%9f%93%e5%9b%bd%ef%bc%9b%e4%ba%ba%e5%8f%a3&gs_l=hp…0i4i37j0i3l2j0i4i37l2.0.0.1.3690452………..0.sMk4U_2JlYM
 他方、日本は1億2000万人。
 よって、ソウル大は、日本に置き換えれば、7200人を毎年入学させている勘定になる。
 そこまで広げれば、東大プラス慶応=9500人、に接近する。
http://www.admissions.keio.ac.jp/fac/adms_data.html
 その慶応じゃあ、女子率は35%(☆)というんだから、「ソウル大も男女半々です」の「半々」はサバ読んでるとして、少なくとも、そんなにおかしな結果じゃないってことになる。
<太田>(ツイッターより)
 「…中国は尖閣諸島への野心を隠さず、いま南シナ海の岩礁埋め立て・軍事基地化を急いでいる。そんな中国に対する抑止力を高めるために、米国や豪州などと連携を強化する。それが安保法制を見直す根本的な理由だ。
 だが政府、与野党はそんな核心部分に踏み込むのを避けてはいないか。
 なぜかといえば(続、政府与党は脅威と名指しして、いたずらに中国を刺激したくない。
 野党も中国を脅威と認めれば、では日本がどう対応するのか、直ちに問われる。
 具体的な対案がない限り、政府与党を攻め切れなくなる。
 そういう事情だろう。…」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015060802000130.html
 ちゃうんだな。
 防衛省は中共が現実的脅威ではまだないことを知っており、自民党はもとより、つい最近まで政権を担っていた民主党もその認識を共有してるからだよ。
 私に言わせれば、軍事バランス以前に、そもそも中共に日本侵攻の意図がないわけだが・・。
 とまれ、東京新聞の「右」旋回の気配は好ましいことであるな。
<太田>
 関連記事だ。
 自民党も脇が大甘だが、野党も政治屋ばっかしだなあ。↓
 「世論も「違憲」批判拡大…安保法案ムード一変で官邸に焦り・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/10209107/
<太田>
 次回の東京オフ会は、7月25日(土)を考えていますが、いかが?
<TT>
 3月に太田さんから開催頻度を減らすことを提案されたのを受けて、4か月に一度(年に3回)くらいにしましょうという話になりました。
 単純に「前回から約4か月後」としても良いでしょうが、7、8、9月は猛暑日も多く、参加人数がさらに減るかもしれないので、10月半ば以降でどうか、ということを幹事団でちらっと話しました。
 開催頻度を減らすなら、むしろそういう調整をしても良いと思います。
<太田>
 私が「開催頻度を減らすことを提案」した、と受け取られたとすれば、必ずしもそうではないのであって、オフ会のあり方を常に再検討するのは当然のことです。
 それはともかく、「参加人数がさらに減るか」どうかは、有料コラム読者の数と同じで、無料購読者数に基本的に連動しており、開催頻度いかんにかかわらず、・・毎月開催ともなれば、いささか事情は異なるかもしれませんが・・参加人数の逓減状態が続くことは必至です。
 さて、今年は、地方オフ会開催予定がないので、結果的に東京オフ会開催頻度が昨年に比べて増える形になっていますが、私にとっては、昨年と同じペースということになりますし、昨年は、市民講座を5回やったので、それも広義のオフ会と見れば、今年は、オフ会頻度が半分以下のペースに落ちたことになります。
 で、何が言いたいかというと、(広義の)オフ会は、「ディスカッション」とも「有料コラム」・・シリーズものが多い・・とも違って、私に、立ち止まって、それまでの私の思考を整理する機会を与えてくれる貴重な場になっている、ということです。
 他方、私が言うべきことではありませんが、オフ会参加読者にとっても、(単に私との間だけではなく、)対面方式で、やりとりがなされるオフ会は、意義があるはずです。
 (もちろん、これは、オフ会一参加者たる私にとっても当てはまります。)
 そこで、見通し得る将来にかけて、オフ会を、少なくとも春夏秋冬1回ずつ、年4回のペースで開催を続けたらどうだろうか、というのが私の考えなのです。
 もとより、(役割を含め)幹事団固定方式の現在の東京オフ会のやり方を維持する必要は全くないのであって、幹事団から入退出する、或いは、役割を変更する、のは完全にご自由ですが・・。
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 とにかく、キリスト教は野蛮なんだわさ。↓
 「・・・男の聖書の理解の仕方に共鳴したという山陰地方の60代の男性牧師は「油で清めるのは一概に非聖書的とは言えないと思うが、文化財にかけるのはおかしい」と話す。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20150609k0000m040046000c.html
 
 核兵器専門家を入れろー。↓
 「<日本の>プルトニウム「2・3トン急増」の謎・・・
 原子力委事務局も原子力委員も海外プルトニウムの現状に詳しくないことが露呈した。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH63539MH63PTIL01F.html
 日本は自動車産業を死守できるだろうか。↓
 「「自動運転でグーグルに勝つ」自信の理由・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO87732520V00C15A6000000/?dg=1
 Battle of zero-emissions cars: Hydrogen or electric?・・・
http://www.bbc.com/news/business-33005362
 ホント、ニッチ産業であるねえ。↓
 「・・・前田敦子さんや大島優子さんら、人気メンバーの卒業。AKB48の人気を機に女性アイドルグループが増えたことによるファンの流出――。「減速」の要因は様々だが、今回の総選挙は視聴率も前回を上回った。いったい、誰が投票しているのか。・・・初めはお祭り騒ぎだったが、投票結果が彼女たちの露出度に直結し、将来につながる。・・・「世間一般の関心は低くなったが、ファンにとって選挙はより大事になっている」。「ファンは選挙に『義務感』と『達成感』を見いだしている」・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH667V7JH66UTIL01F.html
 まんまと僕も乗せられたってことだな。↓
 「ベイマックス」ヒットの裏にディズニー秘策・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO87719500V00C15A6000000/?dg=1
 セウォル号と東方之星の引き上げまでの時間の違いを元に、状況と国情の違いを論じた記事だ。↓
 ・・・The Sewol has been completely submerged 44 m under the surface.
 The authoritarian nature of the Chinese government facilitated a quick decision to raise the Eastern Star just 72 hours after the accident・・・
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2015/06/08/2015060801394.html
 習ちゃん、怒ったフリ、ご苦労さんでござんす。↓
 「「なぜ日本に接近するのか」、「第二次世界大戦の被害者のくせに」 フィリピンに「苛立ち」隠せぬ中国メディア・・・中国をナチスになぞらえたことに「怒り」爆発 ・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e3%80%8c%e3%81%aa%e3%81%9c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e6%8e%a5%e8%bf%91%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%8b%e3%80%8d%e3%80%81%e3%80%8c%e7%ac%ac%e4%ba%8c%e6%ac%a1%e4%b8%96%e7%95%8c%e5%a4%a7%e6%88%a6%e3%81%ae%e8%a2%ab%e5%ae%b3%e8%80%85%e3%81%ae%e3%81%8f%e3%81%9b%e3%81%ab%e3%80%8d-%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%aa%e3%83%94%e3%83%b3%e3%81%ab%e3%80%8c%e8%8b%9b%e7%ab%8b%e3%81%a1%e3%80%8d%e9%9a%a0%e3%81%9b%e3%81%ac%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%bb%e3%83%bb%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%82%92%e3%83%8a%e3%83%81%e3%82%b9%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%9e%e3%82%89%e3%81%88%e3%81%9f%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%ab%e3%80%8c%e6%80%92%e3%82%8a%e3%80%8d%e7%88%86%e7%99%ba/ar-BBkQVWP?ocid=iehp#page=2
 中共人民の日本讃嘆は、今日も続く。↓
 「大阪都構想にネットユーザーが羨望の眼差し 「これが民主主義か」「自治体の再編など政府の紙切れ一枚で決まるのに…」・・・」
http://www.sankei.com/premium/news/150609/prm1506090006-n1.html
 安倍首相の3重の勘違い・・一つは、(私だけが指摘しているところの)中共自身の意図の読み違え、もう一つは、経済関係は維持しつつ対中冷戦に入った米国、更には、(対中武器禁輸の維持を除き)冷戦に入るつもりがないEU・・との温度差、三つ目は、G7の形骸化が分かっていないこと・・は目も当てられないね。↓
 「・・・安倍首相は、南シナ海の海洋安全保障、中国が描く陸と海のシルクロード(一帯一路)構想をめぐり日米同盟を基軸に中国との対決姿勢を強め、TPPや日EU・EPAの締結を急ぐ戦略を鮮明に打ち出している。
 中国との経済関係を深めるメルケル首相の反応は予想通り冷たい。欧州は地理的に東南アジアとは離れているため、中国が南シナ海やAIIBを通じて、米国が第二次大戦後築いた安全保障と金融・経済の秩序に挑戦し、自らのルールを築こうとしていることへの切迫感に乏しい。
 <このくだりは、筆者の独断だな。(太田)↓>
 さらに中国経済がいずれ米国経済を追い抜くのはもはや不可避で、米国単独ではなく、欧州も加えた3極で新たなルールを構築すれば軍事的な紛争は解決できる、中国の台頭は制御できる――と考えている。
 米国の中にもヘンリー・キッシンジャー元米国務長官やロバート・ゼーリック前世界銀行総裁のような対中協調派は少なくない。
 ゼーリック前総裁は英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿(7日、電子版)で「オバマ政権のAIIBに対するネガティブな対応は戦略的な誤りだった。いくつかの中国の動きは不安定で米国の抵抗を要するが、AIIBは歓迎されるべきイニシアチブだった」と指摘している。
 米国にとってはG7より対中外交の方が重要になっている。日本のメディアではG7はまだ大きく取り上げられているが、世界金融危機をきっかけに主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれるようになり、G7の重みはなくなった。英メディアの中には役目を終えたG7の廃止を求める声もある。・・・」
http://blogos.com/article/115618/
 米国の識者達にしてみると、欧米イデオロギーを全面的かつ明確に排斥した中共が、いかなるものを目指しているのか分からないのが、不安でしょうがないようだね。
 (太田コラムを読みなさい!(太田))↓
 ・・・Across America, the belief about an ideologically anti-Western China is spreading. Yet from China, general answers to the question “What does China want?” are either evasive or given in a way that often is incomprehensible to American audiences.・・・
http://foreignpolicy.com/2015/06/08/china-us-policy-rivalry-tension-great-powers-accommodation/?wp_login_redirect=0
 ソ連時代の栄光を取り戻そうとしているプーチンは、ロシアに経済的破滅を招来しつつある、とオバマ語る。
 (そんな悠長な話じゃなく、モンゴルの軛に遡る、実存的危機意識に駆られて、プーチン/ロシア国民が緩衝地帯の拡大に全身全霊を傾けとるのよ。(太田))↓
 ・・・Obama said of Putin. “Does he continue to wreck his country’s economy and continue Russia’s isolation in pursuit of a wrong-headed desire to recreate the glories of the Soviet empire, or does he recognize that Russia’s greatness does not depend on violating the territorial integrity and sovereignty of other countries.・・・
http://www.csmonitor.com/World/2015/0608/Obama-Putin-is-destroying-Russia
 「停戦」後も、そのロシアによる、ウクライナ侵略は休むことなく続いている。
 (こうして、いつか、ウクライナ全土が呑み込まれる。(太田)↓
 ・・・the Ukrainian government released a report on May 6 saying that since the signing of the second Minsk cease-fire deal on Feb. 18, the separatist fighters have captured 28 towns or villages ・・・
http://foreignpolicy.com/2015/06/08/russian-backed-rebels-are-restarting-the-war-in-ukraine/
 サダム・フセインは、大量破壊兵器を持っているとの彼の対イラン向けブラフを、米CIAが見抜けないほど間抜けだとは夢にも思わなかった結果、米国によって政権を転覆され、殺害されてしまったとさ。↓
 ・・・The Iraqi dictator wanted to maintain the bluff that he had weapons of mass destruction to keep “his number one enemy,” Iran, at bay. His mistake was in assuming U.S. intelligence would realize he did not have WMD and would “eventually lower the (economic) sanctions and, more important, not attack him.”・・・
http://www.latimes.com/books/jacketcopy/la-ca-jc-mike-morell-20150607-story.html
 世界で憲法を持っていない自由民主主義国は、英、ニュージーランド、イスラエルのみだと。
 (日本も実はそうだけどね。(太田))↓
 ・・・Britain is one of just three major democracies・・・<with> New Zealand and Israel・・・that lack formal, written constitutions. ・・・
 <英国は「選挙独裁制」であり、議会は行政府のほぼ言いなりだし、裁判所は違憲立法審査権を有しない。↓>
 Britain’s system is sometimes referred to as an elected dictatorship because it lacks a true separation of powers. The courts have no mandate to vet the laws, and Parliament generally falls in line with what the prime minister and his government decide.・・・
 <憲法なんてものは、変化する時代に柔軟に対処することを妨げるだけ、という意見が英国では依然根強い。
 (正解。だから、日本人は「憲法」なんて無視しとるのよ。(太田))↓>
 Philip Norton, a member of the House of Lords and a constitutional scholar, said that codifying the constitution would amount to fitting the country with “a straitjacket” when it needs to be flexible enough to evolve with changing times.
 “It’s undesirable, unnecessary and unachievable,” Norton said.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/europe/after-800-years-britain-finally-asks-do-we-need-a-written-constitution/2015/06/07/6097b50c-e908-11e4-8581-633c536add4b_story.html
 オーストリア大公夫妻を暗殺した、ボスニア・セルビア人のプリンツィプ・・かつて(コラム#98で)プリンシップと表記したが改める・・の像が、昨年のサラエボ(ボスニア)に次いで、ベオグラード(セルビア)にも建立された。
 (ちなみに、「事件での<彼ら>の行動の結果がセルビア王国の滅亡につながったため、必ずしも肯定的な評価とはなっていない。プリンツィプの評価は賛否が分かれる。ボスニア・ヘルツェゴビナでも、プリンツィプをテロリストと見なす意見と、英雄と見なす意見の両方が存在する。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%B4%E3%83%AA%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A3%E3%83%97 )↓
http://www.bbc.com/news/blogs-news-from-elsewhere-33048005
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太田述正コラム#7716(2015.6.9)
<文明の衝突と欧米人(その1)>
→非公開