太田述正コラム#7773(2015.7.8)
<皆さんとディスカッション(続x2682)>
<太田>(ツイッターより)
 「…トヨタ前役員、不起訴へ…「悪質性低い」と判断…
 オキシコドンは膝の痛みを止める目的で家族から送ってもらったもの…」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150707-OYT1T50130.html?from=ytop_main1
 違法性の認識を自供したこと、既に社会的制裁を受けていることも考慮したのだろうが、トヨタに不満はあるまい。
 2017年末までに、米陸軍は、更に4万人削減されて45万人に。
 1940年の27万人に次ぐ低水準だとさ。
http://www.bbc.com/news/world-us-canada-33437533
 人口比で陸上自衛隊並になるわけだが、時代の終わりを感じさせるねえ。
 それにつけても、20万人もいる海兵隊をを何とかしろってんだ。
<K.K>
 ・・・HDDの件ですが、現時点ではHDDが原因かどうかはわかりませんので、様子見でお願いいたします。
 (もう少し、障害の頻度が高ければ特定しやすいのですが・・・。)
<太田>
 困ったもんです。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 私の推測。
 自衛隊は状況を把握→経産省が本件のプレイアップに反対→政府もそうすることにした→当然、防衛白書もそのラインで作成→陸幕・・まさか中共当局じゃあんめい・・が櫻井サンに垂れ込むと同時にお仲間の佐藤議員にご注進。
 それにしても、担当審議官はカワイソーだな。↓
 「・・・<防衛>白書は今月下旬の閣議で報告される見通しで、この日の部会で了承手続きを取る予定だった。だが、部会長の佐藤正久参院議員が「中国の東シナ海でのガス田開発についての記述がほとんどない。外務省も防衛省も国民に知らせないといけない。安全保障法制に非常に大きく関わる」などと指摘。記述の修正を求める意見が相次ぎ、この日の部会で了承されなかった。・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASH775F8XH77UTFK00H.html?iref=comtop_list_pol_n02
 <あのFTまで本件をお取り上げ遊ばした。白書室関係者の人事は「解決」まで凍結だな。↓>
 ・・・If a reprint of the whole document is deemed necessary, the process could take months, a senior official said.
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/916ec02c-249e-11e5-9c4e-a775d2b173ca.html?siteedition=intl#axzz3fG0whDI7
 「・・・ジャーナリストの櫻井よしこ氏は産経新聞への寄稿で、最近1年間にプラットホームが12カ所へ倍増したと指摘し、中国の軍事利用に警鐘を鳴らした。
 これを受け菅義偉官房長官は平成25年6月以降、中国がプラットホームを増やした実態を政府が把握し、中国に繰り返し抗議したことを明らかにしたが、詳細については、情報収集や外交交渉への支障を理由に言及を避けた。・・・」
http://www.sankei.com/column/news/150708/clm1507080003-n1.html
 また、精神障害の気の毒な日本の知識人が・・。↓
 <法律に規範性はあるんだから、法的安定性は喪失しないよ。憲法には規範性はなく、最初から空文化しとるのよ。↓>
 「・・・憲法の解釈が時の政権によって変更可能ということなら、法的安定性は喪失し、憲法は空文化します。・・・
 <ここはその通りだ。↓>
 そして安倍首相の主張には無理がある、と言葉を継いだ。「安倍さんは事あるごとに、占領軍に押し付けられた恥ずかしい憲法だと批判してきた。自ら侮蔑を公言するような憲法に従って、憲法に抵触する可能性のある安保法案の合憲性を主張しなければならないところに、この法案のわかりにくさの原因がある。
 <中谷サン、意外によく分かってるヒトなのかもね。↓>
 中谷元・防衛相の『現在の憲法を、いかにこの法案に適応させていけばいいのか、という議論を踏まえて閣議決定を行った』という発言には、法案の作成プロセスが、本末転倒の議論であったことが明確に表れている」・・・
 <ちゃうの。吉田ドクトリンに毒された人ばっかしだから、宗主国サマのご意向に従ったと安倍チャンが勘違いしとるところの、今次安保法制に対する抵抗感があんまし強くないんだよ。↓>
 国会審議は安倍政権のシナリオ通りに進んでしまうように見える。なぜなのか。・・・「あの戦争を体験として語れる人間が存在しなくなりつつあることが大きい。つまり同時代性を失っていることが原因です」・・・
 <そう。太田コラムを読みなさい。↓>
 歴史はいかようにも解釈できる面があるが、歴史を知る専門家の話に謙虚に耳を傾けることから始めることです」・・・
 <ちゃうちゃう。安保防衛問題になんて興味ないから、宗主国に言われた最小限度のことだけやるために、憲法を持ち出して「指示」を値切るってだけよ。↓>
 憲法の理念をないがしろにするかのような政治家の発言を、冷静に分析する。「彼らにとって憲法が邪魔な存在、足かせになっている。まさに憲法が機能し、歯止めになっている証左なのです」。・・・
 <属国ブランドなんて、世界中で全く魅力ないから、ブランド価値ゼロだよーん。↓>
 日本は70年間かけて磨いてきたブランドを前面に出していくのか、それを捨てるのか……。その選択を今の国会では迫られている。・・・」
http://mainichi.jp/shimen/news/20150707dde012010003000c.html
 吉田松陰は、弟子達の能力を最大限に発揮させることに長けていた名教育者に過ぎないんであって、彼自身の主張なんてどーでもいいのさ。↓
 「松下村塾の世界遺産登録 韓国政府「問題意識ある」・・・
 吉田松陰は日本近代化の主役となった伊藤博文らの師として日本では尊敬されているが、征韓論や大東亜共栄圏などを提唱し、朝鮮の植民地化を含めた日本の帝国主義政策に理論を提供した。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/07/2015070702487.html
 戦前も戦後も日本との間に結んだ条約は全て無効ってわけだが、その限りにおいて少なくとも論理的一貫性はあるね。↓
 「・・・ 植民地支配をめぐる韓日間の解釈のずれは、65年に結ばれた基本条約でも解消されなかった。
 条約第2条は「1910年8月22日以前に大韓帝国と大日本帝国との間で締結された全ての条約および協定は、もはや無効であることが確認される」と規定している。
 これをめぐり、韓国は強圧・違法行為による条約が締結当時から違法・無効だと解釈しているのに対し、日本は「もはや」という文言を根拠に、締結当時は合法だったが「国交正常化時点」から無効だと解釈した。・・・
 1940年代に日本の軍需企業に強制徴用された被害者らは、後身の新日鉄住金(旧・新日本製鉄)や三菱重工業を相手取り損害賠償請求訴訟を起こし、一審、二審で敗訴したものの、2012年に大法院(最高裁)が<日韓基本条約の存在にもかかわらず(太田)、>「個人の請求権は有効」との判断を初めて提示し、審理を高裁に差し戻した。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/07/2015070701919.html
 もっともらしいこと書いてるけど、中共当局は、「2020年までに戸籍制度の一本化<を>打ち出」してるでえ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B2%E6%9D%91%E6%88%B8%E7%B1%8D ↓
 「・・・中国では都市戸籍を持つ4億人が、農民戸籍を持つ9億人の犠牲の上に立って繁栄を謳歌している。中国共産党はここ数年、内需を拡大するために農民 工の給料を上げる政策をとってきた。それによって農民工の給料は少々上がったのだが、その一方で中国の輸出競争力が削がれてしまった。・・・
 このことからも分かるように、中国の経済発展は農民を安い賃金でこき使うことによって成り立っている。農民を安い給料でこき使うことができなくなれば、大した技術を持っていない中国は成長し続けることはできない。
 中国が民主主義の導入を嫌う真の理由がここに隠されている。そして、民主化が叫ばれているにもかかわらず、第2の天安門事件が起こらない理由もここにある。
 現在、中国の都市の生活水準は先進国並みになった。そんな国で共産党はかなり強引な統治を行っている。それでも都市に住むインテリや中産階級が黙って共産党に従っているのは、彼らが現行のシステムにおける利益の享受者であるからに他ならない。
 真に民主的な政府ができれば、その政府は9億人もいる農民の意見を代弁することになる。それでは都市に住むインテリや中産階級の望むところではない。本来、民主化運動は都市に住むインテリや中産階級がその担い手になるはずなのだが、彼らは真の民主化が進めば都市戸籍という特権を失ってしまう。だから、民主化運動が盛り上がらない。これが、いくら非難されても、中国で共産党体制が続く真の理由である。」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44213?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top
 新たにギリシャで蔵相になった人物の紹介がなされている。
 ((役に立たない)経済学者の後また(役に立たない)経済学者かよ。次は、せめて歴史学者にしなさい!(太田))↓
 Euclid Tsakalotos: Greece’s new finance minister・・・
 <奥さんは英国人の経済学者。↓>
 Born in 1960 in Rotterdam, married to British economist Heather Gibson
 <オックスフォード大とサセックス大で学び、前者で経済学博士号取得。↓>
 Studied economics, politics and philosophy at the universities of Oxford and Sussex, and completed his PhD in economics at Oxford University
 <アテネ大学教授。↓>
 A professor at the university of Athens since 2012・・・
 <オックスフォード大当時、ギリシャ共産党員として活躍。↓>
 It was during his time at Oxford University that he joined the student wing of Greece’s eurocommunist party, motivated by what he saw as the unjust treatment of the Greek left – who spearheaded the resistance against Nazi occupation – in the civil war that followed World War Two. ・・・
http://www.bbc.com/news/world-europe-33416316
 ギリシャの歴史学者(アテネ大教授)、ギリシャ人を叱る。↓
 <(これ以上の貧困には耐えられない、だから年金のこれ以上のカットなど論外だ、と言うが、)バングラデシュ、ザンビア、リベリア等、ギリシャより貧しい国はいくらでもある。(耐えられるに決まってんだろ。)↓>
 ・・・“They don’t know what poverty is,” ・・・Thanos Veremis, historian emeritus at the University of Athen・・・said. “When people tell me it can’t get worse, I say of course it can. There’s Bangladesh and there’s Zambia, and there’s Liberia and there’s a host of countries that are much worse than Greece was and will be, which is what people don’t realize.”・・・
http://www.nytimes.com/2015/07/07/world/europe/greek-no-vote-may-have-its-roots-in-heroic-myths-and-real-resistance.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&module=first-column-region&region=top-news&WT.nav=top-news&_r=0 (昨日のと同じ)
 IMFの示唆にも関わらず、ドイツは頑なに債務の削減に反対しているが、ドイツ人の規則遵守精神は恐るべきもの、とするコラムだ。↓
 ・・・Now Germany is refusing to budge on cutting Greece’s mountain of debt, even as the leftist leadership here — and the International Monetary Fund — insist that no deal is viable without such a reduction.
 <ドイツ語じゃあ、債務=罪、だ。↓>
 This tough stance comes from a rules-oriented nation where even the language is conspiring against Greece’s struggles: Germans use the same word for “debt” and for “guilt.”・・・
 <車が全くいなくても信号を守るし、地下鉄の駅で改札のあるところの方が少ない。↓>
 ・・・when streets are clear of cars, and where most subway stations use the honor system, operating without turnstiles.
 <だから、債務の削減はせず、その代わり、人道的支援はしてやる、という態度になる。↓>
 The adherence to rules is such a key tenet of life there that many Germans say they would rather send humanitarian aid if Greece goes bankrupt than forgive its debts and risk breaking the covenant that when money is borrowed, it must be repaid.
 <ユーロが導入される前は、破産した個人が債務をゼロにできるのは30年経ってからだったし、今でもクレジットカード使用率は欧州最低だし、現金しか受け取らない大店舗すらある。↓>
 Until the introduction of the euro, bankrupt individuals in Germany could wipe out their debts only after 30 years. Credit card usage in the country is among the lowest in Europe, and even many big-box stores there take only cash.・・・
 <(よって、)独副首相(社民党党首)は、赤旗とマルクスの肖像が飾られている社民党本部(から、ギリシャ非難の雄叫びを上げる。)(ギリシャとドイツの元共産主義者同士の戦いだな。まさに、欧州文明内の内ゲバだよ。(太田))↓>
German Vice Chancellor Sigmar Gabriel・・・spoke from his party’s headquarters in Berlin, where red flags still fly and Karl Marx’s images adorn office walls. ・・・
 <ピケティは、ドイツは、第二次大戦後、債務を半額にしてもらったことを忘れたのか、と嫌味を表明。↓>
 Thomas Piketty pointed to Germany’s post-World War II debt restructuring. That deal, done under different circumstances, wiped away about half of what Germany owed other nations, including Greece.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/europe/to-greeks-german-offers-of-help-sound-more-like-a-threat/2015/07/07/3c5be31e-24ab-11e5-b621-b55e495e9b78_story.html?hpid=z1
 第一次世界大戦後、債務でもってドイツは超インフレ、不況になり、ナチスドイツの台頭を許したではないか、と畳みかける記事だ。
 (戦争の結果の債務の問題は別だろう。(太田))↓
 ・・・better than the Germans. It’s not just that they benefited from the deal in 1953, which underpinned Germany’s postwar economic miracle. Twenty years earlier, Germany defaulted on its debts from World War I, after undergoing a bout of hyperinflation and economic depression that helped usher Hitler to power.
 <1990年代にも途上国の累積債務の、米国の財務長官ブレイディの名で呼ばれる減額が行われ、ラテンアメリカと発展途上諸国の経済が救われた、と。
 (こりゃ、実質、発展途上国に対する経済援助だろ。プライドがあるはずのギリシャのくせに発展途上国扱いをされたいと見える。(太田)↓>
 It is a general lesson about the nature of debt. Yet from the World War I defaults of more than a dozen countries in the 1930s to the Brady write-downs of the early 1990s, which ended a decade of high debt and no growth in Latin America and other developing countries, it is a lesson that has to be relearned again and again.・・・
http://www.nytimes.com/2015/07/08/business/economy/germanys-debt-history-echoed-in-greece.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&module=first-column-region&region=top-news&WT.nav=top-news&_r=0
 ジェファーソンは別途功績があったが、黒人差別だけが功績の南軍のリー将軍は功績がないので断罪されるべきだ、とするコラムだ。
 (ジェファーソンの功績・・独立だの自由だの民主だのを謳った・・の大部分は、タテマエだけの功績だったんだから、彼だって功績は殆んどないよ。(太田))↓
 ・・・ there’s a categorical difference between, say, Jefferson, who has never been honored for his slaveholding, and Lee, who led an army into battle to defend the proposition that white people should be allowed to buy and sell black people. It’s time to remove his name from California schools.
http://www.latimes.com/opinion/editorials/la-ed-two-california-schools-consider-changing-name-from-robert-e-lee-20150707-story.html
 
 国民国家/ナショナリズムは、ルソーやヘーゲルが生み出した新しい観念だとしている。
 (国民国家はジャンヌダルクが事実上生み出し、ナショナリズムはフランス革命で最初の民主主義独裁のイデオロギーとして生み出されたんだわさ。(太田))↓
 ・・・The nation-state was a new idea when Rousseau, Hegel, and their cohorts rationalized its existence and predicted its ascent. Today, the entire earth is parceled out according to their ideology. ・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2015/07/06/metrosophy-philosophy-and-the-city/?action=click&pgtype=Homepage&module=opinion-c-col-right-region&region=opinion-c-col-right-region&WT.nav=opinion-c-col-right-region
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太田述正コラム#7774(2015.7.8)
<現代日本人かく語りき(続)(その5)>
→非公開