太田述正コラム#8111(2015.12.24)
<皆さんとディスカッション(続x2851)>
<太田>(ツイッターより)
 「…ソウル中央地方裁判所は…米国における現実的悪意の法理…公人の場合には、報道する側が、嘘の情報と知っていながらあえて報道している、もしくは、嘘かどうかも検証せず無謀に報道しているという、どちらかの要件を満たさない限り名誉毀損は成立し<ない>…に近い考え方であり、非常に先進的<だ。>…」
http://blogos.com/article/151352/
と産経前支局長名誉棄損判決を褒めてるご仁がいるが、同判決は、彼は「事実関係を確認しなかった」(コラム#8099)としたのであり、現実的悪意の法理「に近い」とは言い難い。
 この人判決を報じた朝鮮日報邦語版すら読んでなさそうだ。
 誤解のないように補足しておく。現実的悪意の法理なら「事実関係を確認しなかった」場合は有罪になるはず。
 だから、私は、「こんな判決を下した裁判所も落第」と記したのだ。
 そうじゃなく、こんな噂がある、と前支局長は書いたのであり、その限りにおいては事実なんだから無罪、としなきゃいかんのよ。
<dlF0dsx.>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 長谷川豊<の>2015年12月23日『私の戦争観』の、太田コラムの読者的な感想
http://blogos.com/article/151445/
 アメリカ人の人種差別主義とか、残虐な歴史的事実とか、そういうことを書いているのは悪くないと思いますが、ニューヨークは、おそらく太田さんのいうところのリベラルの巣窟ですよね。
 太田さんによると、リベラル≒民主党≒ニューヨークよりも共和党≒テキサスの方がましなのですよね。
 長谷川さんが例に挙げた、↓こんなことをいうようなテキサスのアメリカ人
 「白人よりもはるかに劣るアジアのイエローモンキーが」
 「白人よりもはるかに弱いくせに我々白人に逆らった挙句」
 「パールハーバーで卑怯きまわりない奇襲攻撃をし」
 「多くの同胞を殺した挙句、敗戦濃厚になっても竹やりで飛行機を突っついてくる」
 「そんな愚かな行為をやめさせるために、神がアメリカだけに与えたもうた原子爆弾という『神の矢』によって…」
 戦争を終わらせ、無駄な犠牲者を減らして「あげた」のだ。礼を言え。
 これが、一見まともそうなリベラルよりもましだなんて、なんか絶望的ですね。
 こういうテキサス人みたいな人たちがトランプの支持者で、トランプは支持者よりはましと。
 トランプの人種差別的な発言というのも、太田コラムを読んでいる限り、特に気になるほどのものはないんですが。
 トランプや、テロを受けたフランスは、イスラムを警戒しているわけで、それは人種差別ではなくて、すごく真っ当で必要な警戒心ではないかとしか思えません、太田コラムを読んでいると。
 でもそれは単純化しすぎでしょうか?
 トランプもフランスも、やっぱり人種差別主義なんでしょうか?
 記事の最後に近くなって、長谷川さんは「あの戦争の時、私の祖父たち、多くの日本人は、本気で日本に住む家族や子供たちを守ろうとして戦ったのではないかという気もしてならないのです」といいます。
 アメリカ人の程度の低さを身に沁みて体験しながら、まだ「本気で日本に住む家族や子供たちを守ろうとして戦ったのではないかという気」がする程度なんて、なんかとても残念な気持ちになりました。
 「本気で日本に住む家族や子供たちを守ろうとして戦った」に決まってますよね。
 他にどんな理由で戦ったというのでしょうか?わけがわからないです。
 太田さんの意見を読み過ぎると、日本人の平均的な感覚がどんなものかわからなくなるんでしょうか?
<yNZI6oZ2>(同上)
 子供の頃、戦争の映画とか授業で聞いた内容で、死ぬと解ってて徴兵されて戦地に行ったって感覚がどうにも理解出来なくて、実際に戦争に行った爺ちゃんにその辺の疑問をぶつけた事があったんだけど、爺ちゃんは「戦争行かないと村八分にされる、自分だけならまだしも親族まで村八分にされるから行かないなんて選択肢は無かった」って言ってたました。
 そういう意味では確かに日本に住む家族や子供達の為に戦に行ったって事なんだろうけど、多分現代の俺達が思ってる感覚とはチト違うと思う。
 戦争終わったって聞いた時は勝ち負け云々よりも「ああヤレヤレこれでやっと日本に帰れる」ってんでホッとしたって言ってたな。
 まぁその後で、日本に帰してやると騙されて付いて行ったらシベリアだったらしいですが。
 この長谷川豊って人は俺と同年代で、しかも同じく戦争を経験した爺ちゃんから戦時中の話を聞いて育ったって事なんで何となく感覚が解るんですが、「本気で日本に住む家族や子供たちを守ろうとして戦った」ってハッキリ言い切られると微妙な違和感を感じちゃうんスよ。
 この違和感をどう説明したら良いのか解らないんですけどね。
>太田さんの意見を読み過ぎると、日本人の平均的な感覚がどんなものかわからなくなるんでしょうか?
 これは絶対にある。
 前にも書き込んだけど太田コラム読み続けて行くと、周りの人達と安全保障関連の話がどんどん噛み合わなくなってくる。
 しかもその説明が超面倒臭い。
 前段階の膨大な情報を丁寧に説明して、その上で結論の話をしないとまず誰も理解してくれない。
 俺みたいに頭悪い奴は普通、起→承→転→結みたいに順序立てて説明されてやっと理解するんだけど太田さんは起→結だからたまにコラム読んでても???ってなるし。
 太田さんみたいに思考がいきなり事の本質にたどり付ける人なんて万人に1人も居ないから当たり前の話ではあるんだが。
<太田>
 長谷川という人もyNZI6oZ2クンも違うんじゃないかなあ。
 私見では、先の大戦を経験した日本人の大部分は、兵士であろうとなかろうと、人間主義的大義を自覚して、或いは、人間主義の大義を潜在意識の中で抱いて、現実に、或いは気持ちの上で、支那、米国等と戦ったんだよ。
 しかし、当時、人間主義という言葉があったわけじゃないし、とりわけ潜在意識の中で人間主義を抱いていた人に、面と向かって問い質したって、答えるのは、とりわけ、的確に答えるのは、むつかしかったんだと思うんだな。 
 (人間(じんかん)には、支那人やインド人等、日本人、そして日本人中の身内も含まれることに注意。) 
 で、敗戦によって、対外的に、特に軍事的に、人間主義政策を遂行するという重荷から解放されて、日本人の大部分はほっとしたんだわさ。
 それ以降は、利己と利他の間を揺れ動く精神障害の大男の米国を道具に使って、戦前・戦中の日本の人間主義的対外軍事政策を彼らに代執行させてきたわけだけど、その結果は、あらら、わが身に降りかかり、日本人の大部分が脳軟化症に陥っちまって現在に至っとるんよ。
 
 それでは、その他の記事の紹介です。
 本日、医者に行った時に待合室で週刊文春の年末年始合併号に目を通したら、美智子妃が雅子妃のことを「私が先の自分中心主義」と形容し、愛子内親王に、しばらく前から、二人だけで会って「無私たるべし」との教育指導をされてきたおかげで、内親王の周りの人々への姿勢によい変化が現れている、という記事が載っていた。
 ところが、小和田家は学業さえ熱心にやっておれば後は自由放任でよいという主義で、雅子妃の母親は、皇室の教育方針も時代に応じて変わらなければならない、という考えである、とも。
 話半分としても、何となく納得。
 バカ身内を持って、美智子妃はご苦労が絶えないねえ。ホントに頭が下がる。
 それにしても、皇太子の影が薄いったらないねえ。
 日本の女性の就業率は高まり、米国並みの水準に。
 その一方で、男性の就業率の逓減状況が続いている、とさ。↓
 Japan’s female labor-participation rate has risen to 70.1 percent for working-age women, up from 62.7percent in 1997 — on par with the United States. ・・・
 the participation rate for men ages 25 to 64 has continued its steady slide of the past 20 years — falling to 92.9 percent in 2014 from 94.8 percent in 1997.
 <既雇用者の保護のため、とりわけ、若年男性において、就業率の大幅低減がもたらされている、と。↓>
 The decline has been especially severe in the key 25-to-29-year-old age group, which has fallen to 93.6 percent in 2014・・・
http://foreignpolicy.com/2015/12/23/a-surge-in-womens-employment-is-driving-japans-economy/
 1種類の本しか売らない、森岡書店
http://dotplace.jp/archives/18720
の好意的紹介記事が載っていた。↓
 Japanese bookshop stocks only one book at a time・・・
http://www.theguardian.com/books/2015/dec/23/japanese-bookshop-stocks-only-one-book-at-a-time
 ソマリアが(キリスト教由来の)クリスマス行事と(キリスト教暦に立脚しているところの)年賀行事を禁止。↓
 Somalia bans Christmas celebrations・・・
 <既に、2009年にシャリーアを採用。↓>
 Somalia・・・officially adopted Sharia in 2009・・・
http://www.bbc.com/news/world-africa-35167726
 <同国には、そもそも、キリスト教徒なんて殆どいないのだが、アフリカ諸国から平和維持部隊が来ていて、その多くがキリスト教徒。↓>
 Somalia banned Christmas and New Year’s — even though it celebrates neither. Here’s why.・・・
 Although there are almost no native Christians in Somalia, the country hosts more than 22,000 peacekeepers as part of an African Union mission, and many of them are Christian.・・・
 Somalia mostly uses the Islamic calendar, so Jan. 1 is not observed as the beginning of the new year there.・・・
 <イスラム過激派に対して優勢に立ちつつあるソマリア政府だが、その政府がどんどんイスラム原理主義的に。(だから、イスラム教そのものが問題なんだって。(太田))↓>
 As the [Somali] government gains more control, state actors are joining the vicious two [Islamist terrorists and clan authorities] to persecute Christians・・・
 <ブルネイでもクリスマス行事を禁止したばかり。↓>
 Earlier this week, the sultan of Brunei also banned public Christmas celebrations, saying they could “damage the beliefs of the Muslim community,”・・・
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/12/23/somalia-banned-christmas-and-new-years-even-though-it-celebrates-neither-heres-why/
 トランプが大統領候補になったら、共和党は終わりだとさ。
 (そうは思わんねえ。(太田))↓
 ・・・If Trump is the Republican nominee in 2016, there might not be a conservative party in 2020 either.
https://www.washingtonpost.com/opinions/a-conservative-party-jeopardized-by-trump/2015/12/23/3335339c-a8e2-11e5-8058-480b572b4aae_story.html
<太田>
 <K.Kさん、>富士通旧への秀丸インストール、及び、富士通旧、新、DellへのSkypeインス トールを行おうとしたところ、富士通新が起動できなくなっていることを発見。
 バックアップファイルからのOS等再インストールが必要なので、オフ会後の作業 ということで、再発防止策を含め、ご指示をいただければ、と思います。
 しかし、私の友人の言うように<(コラム#8104(未公開))>、どうして、こんなに私のパソコンには障害が生じるんでしょうかねえ。
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太田述正コラム#8112(2015.12.24)
<二松啓紀『移民たちの「満州」』を読む(その4)>
→非公開