太田述正コラム#8261(2016.3.8)
<皆さんとディスカッション(続x2926)>
<太田>(ツイッターより)
 「田母神俊雄氏– 事務所など家宅捜索 政治資金着服容疑…」
http://mainichi.jp/articles/20160307/k00/00e/040/199000c
 さすが、軍事「官僚」トップ経験者はご立派。
 「公金」は「年度」中に使い切らにゃアカンという感覚が身についてて、「組織」中枢において、残金を山分けして使い切ったってことらしい。
 田母神を空爆長にした防衛相は久間(ハト)で首相は安倍(タカ)だ。
 もとより当時の内局文官高官達に一義的責任はあるが、自民党が彼を世に押し出したってワケ。
 で、自民党に見切りをつけたチャンネル桜がアホにも彼に入れ込み・・。
http://blogos.com/article/165253/
 三文芝居に大団円。
<MH>
 –チャンドラボー<ス>–
≫どなたか、この「歴史家」の名前の英語表記を含め、この「歴史家」のインパール作戦観について、調べていただけるとありがたいですね。≪(コラム#8259。太田)
 この件、ネトウヨ系サイトで散見されるので、実在の人物か疑問でしたがおりました。
 Eric Hobsbawm
https://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Hobsbawm
 共産主義の歴史学者なんですね。
⇒「エリック・ホプスバウ」って書いてあったのに、よく「エリック・ホブズボーム」のことだと分かりましたね。
 ホブズボームならよく知ってます(コラム#432、7287)が・・。(太田)
 しかし「過激な世紀」なる本は見受けられません。
 インパール作戦及びチャンドラボーズに言及したのは多分これでしょう。
⇒スゴーイ、どうやって見つけたんです?(太田)
 しかし著者は全く違います。
 この文章の一番最後<のあたり>に、ボー<スは>東条英機<を必要としてい>た(when Bose needed Tojo)とあります。
https://books.google.co.jp/books?id=NOrJCgAAQBAJ&pg=PT193&lpg=PT193&dq=Eric+Hobsbawm%E3%80%80Battle+of+Imphal&source=bl&ots=me4oaK78hJ&sig=STjqE7yzvbhKpqvEs1F047qtT5w&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjZp-nltK7LAhUJFpQKHaYNBT0Q6AEIGzAA#v=onepage&q=Eric%20Hobsbawm%E3%80%80Battle%20of%20Imphal&f=false
 著書
 「Democracy Indian Style: Subhas Chandra Bose and the Creation of India’s Political Culture」
(2015年6月出版)
http://www.amazon.co.jp/Democracy-Indian-Style-Chandra-Creation-Political-ebook/dp/B016YFHUZ2/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1457348969&sr=8-1&keywords=9781412855334
 著者はオーストリア人教授
Anton Pelinka
https://en.wikipedia.org/wiki/Anton_Pelinka
 彼が上記本のP28にてHobsbawmの著書か何かから何かを引用したみたいですが、大本記事までは分かりません。
 残念ながら散々英語でググっても私にはこれが限界でした。
<KY>(同上)
 ・エリック・ホブズボーム
 「ポーランド系ユダヤ人を父に、エジプト・アレキサンドリアに生まれる。オーストリアおよびドイツで幼年期を過ごし、1933年に渡英。ケンブリッジ大学より博士号取得後、ロンドン大学バークベック・カレッジで教鞭をとる。・・・1914年から1991年までを「短い20世紀」として、『両極端の時代:短い20世紀』Age of Extremes: The Short Twentieth Century.(Extremesが複数形であることに注意。邦訳では『20世紀の歴史――極端な時代』と訳されている)を著わした。」
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%96%E3%82%BA%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%A0
 The Age of Extremes 英語wiki
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Age_of_Extremes
 ・書評
 「同書において著者は20世紀を、一九一四年の第一次世界大戦に始まり、ソ連共産主義が解体した一九九一年をもって終わる「短い世紀」と定義づけている。・・・マルクス主義歴史家というアイデンティティーを獲得した著者が、歴史家として成功する反面、マルクス主義の挫折を観察することになった足跡の記録である。」
http://tetsutarou007.blogspot.jp/2016/01/blog-post_155.html
 三省堂|20世紀の歴史
 ・日本語版への序文(一部)
 『・・・私が第二次大戦以前にオーストリア、ドイツ、イギリスの高等学校とケンブリッジ大学で習った歴史は、主要ヨーロッパ諸国とその学校なり大学なりが位置していた国の歴史にしかほとんど関心を払っていなかった。しかし本書は、正確には(流行の言葉で言えば)「ヨーロッパ中心的」なものではない。アメリカ合衆国の歴史はまったく 教わらなかったし、ヨーロッパの外の旧世界の歴史は、その地域がヨーロッパ帝国主義の犠牲になったかぎりにおいてのみ教わった。しかし、私の二〇世紀史の扱い方は、この意味で「ヨーロッパ中心的」ではないと思っている。読者は、私が地球上のいくつかの部分について、他の歴史家ほどには無知ではなく、逆にもっと強い関心をもっていることを容易に察知されるだろう。例えば、私の第三世界の扱い方は、私がサハラ砂漠以南のアフリカや東南アジアよりも、ラテン・アメリカとインドについてよりよく知っているという事実を明らかに反映している。
 ふり返ってみて、私はこの本の中に「ヨーロッパ中心主義」の真の実例を一つだけ発見している。それは、逆説的なことに、非西欧世界にかかわることではなく、アメリカにかかわる例である。『極端な時代』が、何らかの意味で二〇世紀史におけるアメリカの中心的地位を軽く見ているというのではない。どうして軽く見ることができるだろうか。そうではなく、アメリカの地位はあまりにも当然のことと考えられているから、ほとんど分析されていないのである。この本は一章以上の紙幅をソ連に割いており、このことで、著者は読者だけでなく著者自身にたいしてソ連を説明する必要があったからだと指摘された。また、アメリカの性質、特徴、内部構造については一章も割かれていないとも指摘された。いずれも正しい指摘である。もちろん、アメリカについての分析は本書の多くのところで、いわば言わず語らずのうちに行なわれており、容易にとり出してくることができるだろう。しかしアメリカの分析は、明示的なものではない。アメリカの歴史と社会の「例外的性質」を読者に説明する必要はないという本書の前提は、「ヨーロッパ中心的」というより「イギリス中心的」な前提だった。いずれにせよ、日本の読者がその立場に立たれることはないだろう。・・・』
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/20c_rek.html
→レビューでは『原書のあまりの文学的な文法に耐え切れず訳書に手を出しました。主語が何だったのか忘れるくらい、「~ではあるが」という文を入れ込むクセのある文章を書く人です』と書いてありました。邦訳は誤訳が多い?とも。
→著者のインパール作戦観については不明ですが、第三世界の記述並びにソ連に重点を置いてたからこそのインド独立観が確立したのではないかと。
⇒あなたも、そして、この後、登場する読者も、すぐに、「ホブズボーム」のことだと分かったようですね。
 どうやら、私がトロ過ぎたようです。(太田)
<Rz3JkGGA>
 コラム8259の英国の著名な歴史家って Eric Hobsbawm (Wikiに記載あり アドレス省略)ですよね?
 Condi Rice が昔 Stanford にエジプト生まれのイギリスの Marxist が客員教授していたと言っていた事がありますけど彼の事とは知りませんでした。
 多分 The Age of Extremes あたりに彼の歴史認識が書いてあると思うのですが、まだ読んでません。
 読んだ人の感想聞いてみたい。
<太田>
 お3方、どうも有難うございました。
 ただ、いただいた情報をチラ見した限りでは、残念ながら、WOprZT2Aサン提供の情報、根拠レスの巷のヨタ話って予感がしますねえ。
 WOprZT2Aサン、いかが?
<CEgu1TA.>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
 俺「割り勘だしめちゃくちゃ食ったろwwwwwwwwwww」 
 アホ「俺も負けねえ!」バクバクバクバク
http://bit.ly/1LDQ5Lq
<太田>
 それでは、その他の記事の紹介です。
 和歌山県の北山川の観光筏下り
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%B1%B1%E5%B7%9D
が紹介されている。↓
 ・・・Japan’s Kitayama village, located about three hours from Osaka in Wakayama prefecture, offers tourists a chance to discover what it’s like to sail down the swift currents of Kitayama River on traditional logging rafts. ・・・
http://edition.cnn.com/2016/03/06/travel/wakayama-rafting/index.html
 定番の、中共当局による日本礼賛をどーぞ。↓
 「・・・中国メディアの工控網はこのほど、日本の製造業には他国製造業がまったく太刀打ちできない「5枚の最強カード」、すなわち5つの絶対的な強さがあると論じている。
 日本の製造業における「絶対的な強み」として、記事が挙げた1つ目は「優れた生産方式によるコスト削減」だ。・・・
 2つ目は「ユーザーのためのイノベーション」だ。・・・
 さらに記事は、3つ目の強みとして「特許で築かれた鉄の壁」を挙げた。・・・
 4つ目は「生産技術の高さ」だ。・・・
 また記事は、・・・5つ目として「多品種少量生産」を挙げた。・・・」
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e8%a3%bd%e9%80%a0%e6%a5%ad%e3%81%ae%e3%80%8c%e7%b5%b6%e5%af%be%e7%9a%84%e3%81%aa%e5%bc%b7%e3%81%bf%e3%80%8d%e3%81%af%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%a0%ef%bc%81%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%82%82%e5%a4%aa%e5%88%80%e6%89%93%e3%81%a1%e4%b8%8d%e5%8f%af%e8%83%bd%ef%bc%81/ar-BBqqIpW?ocid=iehp#page=2
 「日本人と結婚し日本料理店4軒経営する男性のサクセスストーリー・・・
 今まで出会った日本人は、みんな時間を守り、仕事をまじめにこなす。・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0307/c94473-9026168.html
 以下、米大統領選予備選小特集です。↓
 <まず、民主党から。ありきたりの「分析」。↓>
 The Real Difference Between Hillary and Bernie–One is running to lead the party as it is; the other is running to lead the party to the left.・・・
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/politics/2016/03/the_real_difference_between_hillary_clinton_and_bernie.html
 <サンダースがいかに黒人問題に疎いかを示す発言、が紹介されている。
 (黒人はみなゲットーに住んでいる、或いは、白人には貧しい人はいない、かのように聞こえてしまう、とさ。
 いや、単に、サンダースは演説がヘタなのよ。(太田))↓>
 ・・・when you’re white, you don’t know what it’s like to be living in a ghetto. You don’t know what it’s like to be poor. ・・・
https://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/wp/2016/03/07/excuse-me-bernie-sanders-doesnt-know-how-to-talk-about-black-people/?hpid=hp_no-name_opinion-card-f%3Ahomepage%2Fstory
https://www.washingtonpost.com/politics/an-awkward-reality-for-bernie-sanders-a-strategy-focused-on-whiter-states/2016/03/07/311ad3e4-e412-11e5-b0fd-073d5930a7b7_story.html?hpid=hp_hp-top-table-main_sanderswhitestates-new-800pm%3Ahomepage%2Fstory
 <サンダースが、共和党の大統領候補者達は精神障害だと発言し(て精神障害者達から批判を受け)た、とさ。
 (やっぱり、単に、演説がヘタなのよ。(太田))↓>
 Bernie Sanders jokes about the ‘mental health’ of Republicans・・・
http://www.latimes.com/opinion/opinion-la/la-ol-sanders-mentalhealth-debate-20160307-story.html
 <米国建国理念は、英国王の恣意性を排除するために独立して憲法を制定したこと。トランプは、この理念に真っ向から背馳している、だとさ。
 (奴隷制維持とインディアンの土地取り上げのために独立するほど恣意性の高い自分達を憲法で縛ろうとしたってだけじゃん。(太田))↓>
 ・・・One reason constitutional government is such an extremely valuable possession is because it lessens the uncertainty of the social world. The point of having a constitution is to get rid of arbitrary power.
 In the American Revolution, the colonists sought to overthrow a king who had, as Thomas Paine put it, “a thirst for arbitrary power.” Trump deserves to be on history’s list of individuals with such a thirst. ・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/donald-trumps-thirst-for-arbitrary-power/2016/03/07/505129bc-e3a3-11e5-a6f3-21ccdbc5f74e_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-a%3Ahomepage%2Fstory
 <トランプは保護主義と同盟解体を叫んでるが、実現すれば、米国が世界指導国から退くことになり、世界はより危険になる、と。
 (何度も私が言ってるように、分相応にまで対外コミットメントを減らす以外に道はないんだよ。(太田))↓>
 ・・・He has also embraced trade protectionism and is highly sceptical about America’s alliance commitments overseas. Those policies, if energetically pursued, would represent a full-scale retreat from US global leadership — which would probably make the world a much more dangerous place. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/181106fa-e211-11e5-8d9b-e88a2a889797.html#axzz42GaRBmiD
 <経済問題で、トランプは、日本を中共、メキシコと同類に扱ってるが、昔と勘違いしてんじゃないの、とさ。
 (いや、案外、彼、日本と中共は、ひそかに提携しつつある、と「見抜いて」いるのかもよ。まさか?(太田))↓>
 ・・・Mr. Trump chastised Japan last week in a Republican candidates’ debate, naming it along with China and Mexico as countries where “we are getting absolutely crushed on trade.” He has previously accused Japan of manipulating its currency to achieve an unfair economic advantage, and of exploiting its military alliance with the United States to protect itself at little risk and cost.・・・
http://www.nytimes.com/2016/03/08/business/international/unease-after-trump-depicts-tokyo-as-an-economic-rival.html?ref=world
 <トランプが指名されたら、支持すると他の候補者全員が言明したが、みんなアタマオカシイんじゃないの、とさ。↓>
 ・・・when asked during the last debate whether they’d support Trump if he became the Republican nominee, every candidate left standing pledged he would. If the other candidates believe a Trump presidency would really be so unendurable, agreeing to support him in November is a strange way to show it. ・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/heres-what-the-gop-needs-to-say-to-scare-voters-away-from-trump/2016/03/07/33594b46-e4a7-11e5-a6f3-21ccdbc5f74e_story.html
 <前回の共和党候補者のTV討論会における、ルビオとトランプの間で交わされた、空前絶後(?)の、ペニスの大きさ論争のさわりをどーぞ。↓>
 ・・・Thus began <Rubio’s> own rants that reached a low point when he declared of Trump during a rally last month in Virginia: “I don’t understand why his hands are the size of someone who’s 5’2. Have you seen his hands? They’re like this.” Here, Rubio held his thumb and fingers closely together to depict something very small indeed. He added: “And you know what they say about men with small hands.”
 My naivete extends to the fact that I did not know that small hands are often equated to diminutive endowments elsewhere. But Trump, obviously more worldly than I, went all defensive at the debate, held out his arms and declared: “Look at those hands, are they small hands? And he referred to my hands — ‘if they’re small, something else must be small.’ I guarantee you there’s no problem. I guarantee.”
 <共和党は、長年、民主党系リベラルによる文化荒廃を批判してきたが、荒廃してるのはどっちだ、とさ。↓>
 Now we know. ・・・
 For decades, conservatives have done a great business assailing liberals for promoting cultural decay. Sorry, guys, but in this campaign, you have kicked away the franchise.
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-gop-vulgarians/2016/03/06/22bc1b0a-e25a-11e5-9c36-e1902f6b6571_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-b%3Ahomepage%2Fstory
 <とにかく、共和党のお歴々は、(より小さい悪である)クルーズ支持で団結せよ、だと。↓>
 Why the GOP establishment should stop worrying and embrace Ted Cruz・・・
https://www.washingtonpost.com/blogs/plum-line/wp/2016/03/07/why-the-gop-establishment-should-stop-worrying-and-embrace-ted-cruz/?hpid=hp_no-name_opinion-card-c%3Ahomepage%2Fstory
 <いや、クルーズよりトランプの方が、ひょっとして、まだマシかもしれないよ、とさ。
 (こりゃ、いつまで経っても、反トランプ戦線は共和党内じゃあ形成されないね。(太田))↓>
 Among some people, the new parlor game is choosing who would make the worst president: Ted Cruz or Donald Trump. This is not a lady-or-the-tiger dilemma, but a tiger-or-tiger one. The choice is between a fiercely friendless reactionary and a bombastic, thoroughly dishonest egomaniac. You pick.
 My choice is Trump. He wins in this close and ugly race even though I consulted a conservative lawyer who knows Cruz and he, to my surprise, chose the senator from Texas. He cited Cruz’s cramped interpretation of the Constitution — and a personality approximating that of a wolverine.
 The fact that Cruz is liked by few people who know him in Washington is deeply troubling. He is not seeking to be an astronaut who would spend the next four years alone in space but shooting for the White House where he would be politician in chief. As president, he would forever be at odds with Congress. We have had enough of that already.・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/cruz-or-trump-a-choice-between-two-dangers/2016/03/07/1b73e7ca-e493-11e5-b0fd-073d5930a7b7_story.html
—————————————————————————————————————————————–
太田述正コラム#8262(2016.3.8)
<生態系について(その4)>
→非公開