太田述正コラム#8062(2015.11.29)
<二人題名のない音楽会>(2016.3.15公開)
1 始めに
25日に、読者のAKJさんからお誘いがあり、お言葉に甘えて、昨日、半日、ご一緒させていただきました。
その「二人題名のない音楽会」のご報告です。
幸い、昨日午前中にディスカッションの配信も有料コラムの配信も終えることができ、しかも、時間が余ってしまったので、理髪に行こうかと一瞬思いつつ、西馬込近くの理髪店のカットのみが690円だったのは平日の11:00以降だけだったと思い直し、結局、東急カードのポイントの期限が迫っていたことこともあり、五反田の東急ストアの本屋でカレンダー、手帳、そして新書本2冊・・どちらもコラムに仕立てる所存・・を買ってから池袋の東京芸術劇場に赴きました。
2 劇場
(1)演奏会–14:00~16:00
出し物は下掲の通りであり、(アンコール曲を除き、)フィンランドの作曲家のシベリウスづくしです。(↓この中に出てくるヴァハラの写真は本物より良過ぎ。)
http://yomikyo.or.jp/2014/12/181.php
◎シベリウス 『カレリア』組曲 作品11(1906年出版)(注a) 指揮:オスモ・ヴァンスカ(注b) オケ:読売日本交響楽団
代替として、指揮:Michael Schonwandt オケ:Radio Kamer Filharmonie でどうぞ。https://www.youtube.com/watch?v=2FJIy3UirHA
(注a)「3曲から構成される。シベリウスの管弦楽曲のうち比較的よく演奏される作品で、第3曲「行進曲風に」は単独で演奏されることも多い。
第1曲:間奏曲劇の第3景、リトアニアの王女ナリモンドがカレリアの住民から税を取り立てていた時代の場面の音楽。ほぼ1つの主題の繰り返しからなる。
第2曲:バラード劇の第4景、ヴィープリの場内で吟遊詩人が歌う場面の音楽。原曲ではバリトン独唱が入った。
第3曲:行進曲風に(アラ・マルチャ)劇の第5景、16世紀の場面の音楽。2つの主題からなる行進曲。・・・
カレリアは、フィン人の発祥の地」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%82%A2_(%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9)
「カレリアは中世以来、ロシア(ルーシ)とスウェーデンの争う場所となり、東方から布教される正教会と西方から布教されるカトリック教会(のちにプロテスタント)がしのぎを削る前線となった<が、>・・・最終的にはカレリア全土は18世紀半ばには全てロシア帝国に割譲された。1918年のフィンランド独立により<カレリアの一部はフィンランド領になったが、>・・・1939年の冬戦争および1941年の継続戦争によって<フィンランドはカレリア領を更に削られた。>」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AA%E3%82%A2
(注b)1953年~。フィンランド人。ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。(パンフレット)
⇒カレリアの歴史一つとっても、固有の領土論のナンセンスさが分かろうというものです。
さて、客演指揮者だからなのでしょうか、オケ団員達も演奏終了後、指揮者に向かって拍手しており、まるで自分達自身を褒めているようで、やや怪訝な思いになりました。(太田)
◎同上 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47(1903年作曲・1905年改訂)(コラム#3617、7702等) 指揮・オケ:同上 ヴァイオリン:エリナ・ヴァハラ(注)
抜粋収録ですが、ヴァハラ本人による演奏をどうぞ。指揮:Okko Kamu オケ:Lahti Symphony Orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=UznQlqO7pTw
(注)1975年~。米国生まれだがフィンランドで育ち、同地のシベリウス音楽院で音楽教育を受け、12歳の時にオケにソリストとしてデビューし、爾来活躍。
https://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GGHP_jaJP668JP668&q=Elina+V%C3%A4h%C3%A4l%C3%A4&gws_rd=ssl
◎バッハ 「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」からの1曲だと思われる。アンコール曲。
(おまけ:彼女の演奏するこの曲Fantasy(作曲家?)、ぜひご視聴を。)
https://www.youtube.com/watch?v=XMBw777B1jE
⇒女性だけど、大柄で、ヴァイオリンを軽々と扱っていて安定感がある演奏でした。
演奏終了後、今度は、オケ団員達が彼女に向かって拍手したことについては違和感はありませんでした。(太田)
◎シベリウス 交響曲 第1番 ホ短調 作品39(1899年作曲)(注) 指揮:オケ同上
代替として、指揮:Ashkenazy オケ:Philharmonia Orchestra でどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=qWE7_imNOzk
(注)「チャイコフスキー、ボロディン、ブルックナーの影響が随所にうかがわれる。」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9)
⇒初めて聴いた曲ですが、なかなかイケました。(太田)
⇒全般に関する雑感です。
私は、前から2列目の右端から3番目の席だったのですが、真ん中を見なければならない映画の場合と違って、座席の位置は基本的に問題にならないことが分かりました。
この劇場、AKJさんも言っていましたが、そもそも、音響が、前回ご一緒したサントリーホールより良さそうなせいもあるのかもしれませんが、ソリストとの距離が近かったからか、前回と違って、ソリストの音がオケに負けてしまう、などということは全くありませんでした。
指揮者やその更に左手に立つソリストが見づらいこともあり、自分の正面であるところの、最後列のコントラバス奏者達を概ね眺めていたのですが、手前から4人目の女性コントラバス奏者がなかなかの美人であったところ、演奏の前後にコントラバスとともに立つと、顎のあたりから下がすっかり隠れてしまうほど小柄で華奢で、手も小さそうなのに一生懸命弾いていることに心を動かされ、ずっと心の中で声援を送りました。
パンフレットに団員全員の名前と顔写真が載っていたので、彼女を探したけれど、残念ながら発見できませんでした!
このオケ、ぎりぎりの団員数でやっていて、彼女、誰かが欠けたために、穴埋めで急遽呼び出されたのかもしれませんね。
何となく、東京の一流オケといえども、経営が大変そうな様子が伝わってきました。
なお、掲載されていた(指揮者陣を除く)団員97人中、外国人とおぼしき人はわずか2人で、しかも、どちらもアジア系ではありませんでした。
国立大学どころではない、内弁慶の組織であることよ、と思いました。(太田)
3 アフター
(1)コーヒー–16:40~17:20
コーヒー通のAKJさんは、チェーン店中、一番のお好みがタリーズであるとのことで、タリーズコーヒー五反田西店
http://www.tullys.co.jp/shop/index.html
http://www.tullys.co.jp/
で、暫時、時間調整をしました。
(2)夕食–17:30~20:00
AKJさんの最初の予定は「ミート矢澤」
http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13042320/dtlmobile/
だったのですが、予約ができない店で、行列に並んで待たなければならない、ということで、「意気な寿し処阿部五反田店」
http://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13046127/
に変更。
本格的な海鮮コース料理を堪能することができました。
4 蛇足
木曜の夜にIE上で「東京芸術劇場」を検索してそのHPをチェックした直後にツイッター画面に切り替えたら、「こちらのユーザーもフォローしてみませんか? 」欄に、東京芸術劇場とぴあ系のチケット会社が表示されて、その手際よさというかあざとさに、仰天しました。
しかも、翌金曜も、ツイッターのこの欄に、再三、東京芸術劇場とぴあ系その他のチケット会社が表示され続けたのです。
AKJさんいわく、同じブラウザ上では、そういうことはよくあるとのこと。
で、家に戻ってから検証してみました。
検索をBingでかけたのか、それとも、グーグルバーをインストールした後でグーグルで検索をかけたのかはっきりしなかったので、念のため、両方で検索をかけることとし、「東京文化会館」と「サントリーホール」でやってみたのですが、どちらについても、ツイッターは全く反応しませんでした。
ご案内のように、ツイッター自身についても、その神秘的なアルゴリズムに瞠目している今日この頃であるわけですが、果たして、検索エンジンとツイッターのアルゴリズムは連動しているのかしていないのか、等、ご存知の方は、ぜひ教えていただきたいものです。
二人題名のない音楽会
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