太田述正コラム#0402(2004.7.6) 
<韓流・韓国・在日(続)>

2 韓国

 第一の疑問に答えるべく、もう一度「朝鮮紀行」を繙いてみましょう。
 李氏朝鮮(末期)には、良いところが少なく、悪いところが多く、悪いところの中では政治の悪さが際だっている、とバードが考えていたことが分かります。

 (1)李氏朝鮮のどちらかと言えば良いところ
  ア 人々の情感の豊かさ
既にご紹介しました。
 イ 人々の知能の高さ
「知能面では、朝鮮人はスコットランドで「呑みこみが早い」といわれる天分に文字どおり恵まれている。その理解の早さと明敏さは外国人教師の進んで認めるところで、外国語をたちまち習得してしまい、清国人や日本人より流暢に、またずっと優秀なアクセントで話す。」(24頁)、
  ウ 人々の識字率の高さ
「諺文[ハングル]は軽蔑され、知識階級では書きことばとして使用しない。とはいえ、私の観察したところでは、漢江沿いに住む下層階級の男たちの大多数はこの国固有の文字が読める。」(111頁)、
エ 人々の親切さ
「国土に住んでいるのは身体壮健で親切な人々<だ>」(556頁)、
 オ 安全
 「ソウル・・ほど安全な環境をもつ都会はほかにない。私自身がそうしたように、女性が西洋人のエスコートをつけずに城壁の外をどちらの方向へ馬に乗って出かけても、なんら問題は起きないのである。」(58頁)、

 (2)李氏朝鮮のどちらかと言えば悪いところ
  ア 人々の心の貧しさ
 「朝鮮の教育はこれまで愛国者や思想家や高潔の士を輩出せずにきている。」(489頁)、「名誉と高潔の伝統は、あったとしてももう何世紀も前に忘れられている。」(344頁)、「朝鮮人の・・尊大な横柄さ、傲慢さ、慢心・・」(197頁)、「彼らには東洋の悪癖である猜疑心、狡猾さ、不誠実さがあり、男同士の信頼はない。」(24頁)、「朝鮮の重大な宿痾は、何千人もの五体満足な人間が自分たちより暮らし向きのいい親戚や友人にのうのうとたかっている、つまり「人の親切につけこんでいる」その体質にある。」(556頁)、
 イ 人々の宗教心の欠如
 「朝鮮人の受け入れる宗教は、努力せずにお金を得る方法を教えてくれる宗教である。」(91??92頁)、「心からにせよ形だけにせよ、畏れ敬われる宗教的儀式や経典が存在せず、人々の心に宗教の入りこんでいる形跡がなんら見られないのは、朝鮮人の非常にめずらしい特徴である。」(502頁)、
 ウ 女性差別
「女は蟄居しており、きわめて劣った地位にある。」(24頁)「女性の蟄居は500年前、社会腐敗がひどかった時代に家族を保護するために現王朝が導入した。それがおそらく今日までずっとつづいてきたのは、・・男が自分の妻を信頼しないからではなく、都市社会と上流階級の風紀が想像を絶するほどに乱れ、男どうしが信頼し合えなかったからである。」(437頁)、
 エ 文化の不存在
 「美術工芸はなにもない。」(29頁)、「ソウルには・・見るべき催し物も劇場もない。・・旧跡も図書館も文献もなく、寺院もない・・」(85頁)、
オ 政治の搾取性
 「公正な官吏の規範は存在しない。・・朝鮮には階層が二つしかなかった。盗む側と・・人口の5分の4をゆうに占める・・盗まれる側である。・・「搾取」と着服は上層部から下級官吏にいたるまで全体を通じての習わしであり、どの職位も売買の対象となっていた。」(344、558頁)、「朝鮮の官僚は大衆の生き血をすする吸血鬼である。」(392頁)、「気候はすばらしく、雨量は適度に多く、土壌は肥え、内乱と盗賊団は少ないとくれば、朝鮮人はかなり裕福でしあわせな国民であってもおかしくない。もしも「搾取」が、役所の雑卒による強制取り立てと官僚の悪弊が強力な手で阻止されたなら、そしてもしも地租が公正に課されて徴収され、法が不正の道具ではなく民衆を保護するものとなったら、朝鮮の農民はまちがいなく日本の農民に負けず劣らず勤勉でしあわせになれるはずなのである。・・旅行者は朝鮮人が怠惰であることに驚くが、・・朝鮮じゅうのだれもが貧しさは自分の最良の防衛手段であり、自分とその家族の衣食をまかなう以上のものを持てば、貪欲で腐敗した官僚に奪われてしまうことを知っているのである。」(432??433頁)、「搾取の手段には強制労働、法定税額の水増し、粗放の際の賄賂要求、強制貸し付けなどがある。黄金を貯めていると告げ口されようものなら、官僚がそれを貸せと言ってくる。貸せばたいがい元金も利子も返済される、貸すのを断れば罪をでっちあげられて投獄され、本人あるいは身内が要求金額を用意しないかぎり笞で打たれる。」(433頁)、「国民のエネルギーは眠ったままである。上流階級は愚かきわまりない社会的義務にしばられ、無為に人生を送っている。中流階級には出世の道が開かれていない。エネルギーをふり向けられる特殊技能職がまったくないのである。下層階級はオオカミから戸口を守るのに必要なだけの労働しかせず、それには十二分な理由がある。首都ソウルにおいてすら、最大の商業施設も商店というレベルには達していない。朝鮮ではなにもかもが低く貧しくお粗末なレベルなのである。階級による特権、貴族と官僚による搾取、司法の完全なる不在、労働と少しも比例しない収入の不安定さ。いまだ改革を知らない東洋諸国の政府が拠りどころとする最悪の因習を繰り返してきた政府、策略をめぐらすどろぼう官僚、王宮と小さな後宮に蟄居したせいで衰弱した君主、最も腐敗した帝国との緊密な同盟関係、関係諸外国間の嫉妬、国じゅうにはびこり人々を逃れさせる迷信、こういったものがこぞって力を存分に発揮し、朝鮮を・・うんざりするほど汚らしい状態にまで落ちぶれさせたのである。」(556頁)、

 (3)その他
  ア 反日
 「三世紀にもわたる[豊臣秀吉の朝鮮出兵以来の]憎悪を抱いている朝鮮人は日本人が大嫌い・・」(47??48頁)、
イ 親中国
「朝鮮人<は>清国人には好感をいだいている・・」(64頁)、「歳入は正規の歳出一切をゆうにまかなえ、その収入源は関税で、税関は清帝国海関から貸与された有能かつ真摯な税官吏のもとで運営されている。」(31頁)、

(続く)