太田述正コラム#8471(2016.7.7)
<入院「バカンス紀行」(その6)>(2016.10.21公開)
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[日本における医師の人気上昇等–よもやま話]
「現在の医学部受験は、中堅ランクの国公立大医学部で東京大理科Ⅰ類合格レベル、私立大医学部であっても早慶理工学部合格レベルの学力が求められる。
なぜ、医学部受験はここまで過熱し、難易度が高まっているのか。
まず、理由として挙がるのが、医師になれば、食いっぱぐれがないことだ。その気になれば、70歳になっても働くことができるし、医師は激務とはいえ社会的地位も高く、勤務医であっても平均年収は1000万円を超えてくる。
それに加えて、08年以降、有名私立大の医学部が、相次いで数百万円単位で学費を値下げし、受験しやすくなったことだ。
次に、これまでとは異なる受験者層が、医学部に流れてきていることが挙げられる。
同じ理系でも理工学部などを卒業し、製造業などに就職してもシャープや東芝のように今の時代、いつ何時会社が傾くか分かったものではない。それは文系もしかりで、医師と並ぶ最難関資格の弁護士資格を取得しても、食べていけない弁護士が続出する時代だ。
消極的な理由だが、世の中に医師ほど安定して収入が得られる資格がなくなり、優秀な層の流れ着く先が医学部ということが、過熱している要因の一つといえる。
ちなみに、下位の医学部の難易度まで上がっている理由は、「かつて金を積めば入れた下位の医学部も、長らく多額の寄付金を集めたことで裕福になった。今ではちゃんと医師国家試験に合格できる、優秀な生徒を集めるようになっている」からだ」
http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e5%8c%bb%e5%ad%a6%e9%83%a8%e3%81%ae%e9%9b%a3%e6%98%93%e5%ba%a6%e3%81%8c%e3%80%8c%e6%9d%b1%e5%a4%a7%e4%b8%a6%e3%81%bf%e3%80%8d%e3%81%ab%e3%81%be%e3%81%a7%e4%b8%8a%e3%81%8c%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%90%86%e7%94%b1/ar-AAgXt21?ocid=iehp#page=2
(2016年6月13日アクセス)
この記事は、私が入院した6月14日にディスカッションで紹介するつもりであったものだが、読んだ時点まで、こんなに医学部医学科への入学がむつかしくなっていること、つまりは、医者人気が高まっていること、に迂闊にも気付いていなかったので、ちょっと驚いた記憶がある。
ちなみに、日本の2015年の医学部医学科総入学定員は9134人、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E9%83%A8
これに対して、東大理科Ⅰ類の入学定員は1108人(2016年)で、
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu03/e08_01_j.html
入学偏差値は68.8(3社平均。2016年)
http://daigakujuken-plus.com/nyuushi-hensati-ranking/toudai/rika1rui/
だ。
もう少しよもやま話を続ける。
私の主治医の神原医師の出身校である横浜市立大学医学部医学科の入学偏差値は69.2で全80校中23位、泌尿器科担当医の医師の出身校である東京医科歯科大学医学部医学科の入学偏差値は72.3で6位だ。
https://www.med-pass.net/rank/hensachi/
また、お二人とも、たまたま女性だが、医学生の女性比率の高さを見てみると、横浜市立大学は男性比率43.57%で第5位、東京医科歯科大学は男性比率46.54%で第11位だ。
このように、女子学生の方が多い医学部医学科が珍しくなくなっている
https://www.med-pass.net/rank/danjohi/
ことも驚いた次第だ。
なお、神原医師と浅野医師は、それぞれ、大森赤十字病院の循環器科と泌尿器科の副部長であり、それぞれ、部長・・どちらも男性・・と出身大学が同じ
http://www.omori.jrc.or.jp/departments/tabid/294/Default.aspx
http://www.omori.jrc.or.jp/tabid/112/Default.aspx
であることは、病院の診療科ごとに、特定大学の縄張りが成立しているのか、と憶測したくもなる。
ところで、神原医師が、大森赤十字病院の検査部長を兼務していることに、今気付いた。そのために、同病院の循環器科には、もう一人、専任の副部長(男性医師)がいることにも・・。
http://www.omori.jrc.or.jp/departments/tabid/294/Default.aspx 前掲
http://www.omori.jrc.or.jp/tabid/203/Default.aspx
とまれ、主治医一つとっても、私の今回の入院先は恵まれていた、ということになりそうだ。
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(続く)
入院「バカンス紀行」(その6)
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