太田述正コラム#0460(2004.9.2)
<オリンピックでのメダル獲得数(その1)>
1 メダル獲得数
アテネオリンピックが閉幕しました。
そこで、1996年のアトランタ、2000年のシドニー、2004年のアテネの三大会での各国のメダル獲得数(金銀銅の三種のメダルの合計)の推移を調べてみました。
私が比較したのは、米国、「英国」、ロシア、「日本」、中国、ドイツ、「インド」の五つとアングロサクソン(米国と英国の合計)です。
私の工夫は、米国にプエルトリコ、中国に香港を含ませたのはもちろんですが、「英国」に英国以外にオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ジャマイカ、バルバドス及びバハマを含ませ、「日本」には日本以外に韓国、北朝鮮及び台湾を含ませ、「インド」にインド以外にパキスタン及びバングラデシュを含ませたところにあります。
「英国」で括った国々は英国の元首(現在はエリザベス2世)を元首としていただいている国々です。「日本」というタイトルの下に四つの国々を一括りにしたことにはご批判があろうかと思いますが、かつて日本帝国を構成していた国々を一括りにした、ということです。「インド」で括った国々は英国領インド時代には一体だった三国です。
下の表をご覧下さい。
アトランタ シドニー アテネ
米国 101 97 103
「英国」 91 106 102
(アングロサクソン 192 203 205)
ロシア 63 88 92
「日本」 47 55 77
中国 51 59 64
ドイツ 65 56 48
「インド」 1 1 1
(資料源:
http://www.mapsofworld.com/olympic-trivia/olympic-games-results/atlanta1996.html、http://www.mapsofworld.com/olympic-trivia/olympic-games-results/sydney2000.html、http://www.mapsofworld.com/olympic-trivia/olympic-games-results/athens2004.html)
アトランタからアテネにかけて、競技の数が増え、メダルの数も増えていますが、この表から分かることは次の通りです。
まず米国と人口が米国の半分くらいしかない「英国」が、米国とほぼ拮抗しており、かつ「英国」の人口がロシアに及ばないにも係わらずそのロシアを凌駕していることは、「英国」のスポーツ面での卓越性を示すものです。
また、米国と「英国」の合計を見ると、アングロサクソンがいかに世界のスポーツ界に君臨しているかを改めて痛感させられます。
次ぎにロシアがソ連邦崩壊後の虚脱時期を脱し、スポーツ大国の地位を回復しつつあることがうかがえます。
「日本」の高度成長には顕著なものがあります。米国ないし「英国」の半分から四分の三へと勢力を拡大しています。しかも、伸張してきている中国をこの間追い抜いています。
(このことは、北朝鮮を合計から除いても、メダル数は42→51→72なのであてはまる。ちなみに、北朝鮮のメダル数は5→4→5だがこの間金メダルはない。この間、日本、韓国、台湾のメダル数は伸び続けている。台湾は1→5→5だが、アテネで史上初めて(しかも二個も)金メダルを獲得したので、伸び続けていると言ってよい。)
とはいえ、「日本」の人口も経済発展水準もロシアをはるかに上回っていることを考えれば、ロシアの後塵を拝しているのは自慢できたことではありません。
中国は世界の人口の四分の一を占め、しかもこのところ高度経済成長が続いている割には伸びがはかばかしくありません。
ドイツは人口8,000万しかないことを考えれば頑張っていますが、顕著な低落傾向がうかがえます。
「インド」は中国に匹敵する人口を抱え、経済も上向きだというのに、メダル数が無に等しいことには首をひねらざるをえません。(この三回でインドに金メダルはありません。パキスタン、バングラデシュはメダル数ゼロです。)
(続く)