太田述正コラム#0489(2004.10.1)
<読者の皆さんへ>

 再び、このコラムを今後どうするかを考えるべき時期が来たようです。

 8月のまぐまぐのコラム人気投票にエントリーするにあたって、「アングロサクソン論と軍事論の観点から、世界の歴史と現状を踏まえ、日本がどうあるべきかについて、読者自身に考えてもらう材料を提供します。」と記したところですが、読者の皆さん、「考えて」いただいているでしょうか。
 皆さんから、もっと憲法・安全保障・外交等に関する政策論を展開してほしいと求められることがしばしばありますが、みずから「考えて」いただくのが私のコラムの主眼ですので、ご理解をたまわりたいと存じます。
 
さて、防衛庁を離れてから三年半以上が経過したこともあって、最近(狭義の)「軍事論」を採り上げる機会が減っているのが残念です。
 そのうち、改めて現役の防衛庁の友人等からインプットをもらおうかと思っています。今しばらくお待ち下さい。
 一方、「アングロサクソン論」(注)については、あらゆる機会をとらえ、さまざまな観点からアプローチしてきましたが、探せば無尽蔵に書く材料が出てくる、という感じです。

(注)アングロサクソンの本来の生業は戦争である(コラム#41等)、という意味では広義の軍事論もアングロサクソン論だ、と言ってもいいのかもしれない。そこで、アングロサクソン論と並列の軍事論には、あえて「(狭義の)」という修飾語をつけた。

 ところで、コラムに対する反応については、朝鮮半島に関するコラムに対するものが突出しています。
これは、朝鮮半島は日本にとって距離的にも歴史的にも一番身近な地域なので、当然と言えば当然なのですが、国連の安保理常任理事国になるとならないとにかかわらず、日本は世界のあらゆる地域のことを考えなければならない存在であることは間違いないのですから、もっと読者の皆さんも関心を抱かれる地域を多角化していただきたい、とつねづね願っています。

 また、私としては、私が国内外情勢を切って行く際に援用している(狭義の)軍事論とアングロサクソン論そのものについてのコメントも期待しているのですが、(狭義の)軍事論については最近余り話題にしていないので最近コメントが得られないのはやむをえないとしても、私のアングロサクソン論について、(材料をご提供いただく方はおられますが、)本格的なコメントをいまだかつて一度もいただいたことがないのは不思議でなりません。
 軍事に比べ、アングロサクソンについて考えさせられる機会は、皆さんの日常生活の中でいくらでもあるはずであり、ご自分自身のアングロサクソン観を構築しておられる方も決して少なくないと拝察します。
 アングロサクソン論についてのコメントをぜひお願いする次第です。

 もとよりこの際、私のコラムの全般的評価や今後のあり方等についても忌憚のないご意見をいただければ幸いです。

 更に、しばしばお願いをしているところですが、時々お前のコラムを書いてやる、という読者の方が出てくることも首を長くして待ちわびております。一人だけで書きつづっていくことには自ずから限界がありますので・・。
 
 最後になりましたが、私のホームページを読みやすくするためにご協力いただいているお二方の読者の皆さん、あるいは私に代わって典拠をダウンロードしていただいたお一人の読者の方に、改めて御礼申し上げます。

<読者1>
こんばんは、はじめまして。
最近購読を始めたものです。
バックナンバーを読み返しては居るのですが、未だにアーサー王とかトロイのところで止まっています。
アーサー王の話については、あのお話は随分アイルランド民話と結合しているみたいですね。
そして、アイルランド民話に出てくる神の一族に、トゥワハ・デ・ダナーンと言う種族が居ます。
そのトゥワハ・デ・ダナーンの語源はギリシア人であったとどこかの本で読みました。
まさにトロイの末裔とギリシア人は一緒にブリテンとアイルランドにやってきたのかもとか、そう言う事を考えておりました。
でも、このような話はアングロサクソンの話とは違いますね。

ともあれ、これからは更にバックナンバーを読んで、アングロサクソンについて知識を仕入れて行きたいと思います。

最後に、皆が北朝鮮問題に興味があるのは、差し迫ったアジア大戦の予感がある事。
そして、南北朝鮮の第五列、中国の工作員に国会やマスコミが乗っ取られている事。
加えて、地方参政権や年金を不法滞在の南北朝鮮の者達から搾取されて、日本国民の生活がぼろぼろにされてしまいそうだと言う不安が強すぎるためだと思います。
そう言う正規戦以外での日本侵略と、前述の近隣で起こりそうな戦争については太田先生は如何なお考えをお持ちなのでしょうか?
それを皆は聞きたいのだと思います。

<読者2>
毎日、楽しみに読んでいます。
10月1日のコラムを読んで、びっくりしました。
是非、続けて欲しいです。

アングロサクソンと軍事論と言われても、個人的にアングロサクソンと接点は無いですし、軍事とも接点はありませんので(笑)

日本は、イスラム教徒とキリスト教徒の戦いに巻き込まれる必要はないし、米英と欧州の戦いにも巻き込まれるたくもありません。

軍事的には、憲法と、非核三原則、武器禁輸がある以上、現状で仕方が無いと思います。
ただ、中韓北の反日を見ていると、もう少し、兵器の更新が早めになればとは、思いますが・・・

現在700兆円以上の累積赤字がある以上、10年??20年は静かにしてるのが、吉だと思います。

当分、内向きに、国富を蓄える方が良いのでは?
積極的に国際貢献の名の元に、大風呂敷を広げる必要はないのではと。

防衛を固めて、商売に励んで居れば、それで良いじゃないですか?

<読者3>
太田様、現出しているコンフリクトを歴史,外交,経済の面から,新鮮な視点を論じていただき感謝しています。

太田様のアングロサクソン論に共感しております。先の大戦のバトルオブブリテンにしましても,英国は旧式になってしまった戦闘機を大量製造,活用して攻勢をしのいでしまいました。現在,兵器生産の裾野の広さを示す,自動車産業においては英国はみすぼらしい状態にあります。

昨日,太田様の観点から先端創薬開発に関わる会社(製薬会社を意味しない)を国別に調べると,米国73社,英国17社,独13社,スイス7社,日6社,蘭2社,スウェーデン2社,墺1社,愛蘭1社となった。仏と伊は出てこない。仏にはかの有名なパスツール研究所があるのにと,歴史的英仏関係を想い起こすといろいろ考えさせられます。

今後の論述に期待しております。

<読者4>
太田さま、いつもありがとうございます。

10月1日づけのコラムですが、「アングロサクソン論」はちょっとテーマが大きすぎるんではないでしょうか?
 私も先ほどちょっと書いていましたが論文になってしまうのでやめました。

 もう少し具体的にテーマを細分化すると読者も応答しやすくなると思います。

 コラムは、「先生」と「生徒」の関係であって、「先生」から指されないと発言しないのがお国柄なんで、ここはひとつ「先生」が生徒が面白がる質問を提示するというのはどうでしょう?

 質問は「YES]か「NO」で答えられるものを原則として「その理由」を述べなければならないというルールはどうでしょう?

<太田>
読者2は、アングロサクソンとの接点はないとおっしゃっていますが、ニュースを見れば、米国によるイラク「戦争」の話が毎日出てきますし、英米の人が書いた本の翻訳書を読むこともあるでしょうし、米国製のソフトやシステムを勤務先の会社が使っていることもあるでしょう。
こうしてみると、アングロサクソンとの接点はいくらでもあるのではありませんか。
そういう時に、私が言っている話とはちょっと違うぞとか、言っている通りだな、と思われたら、それをお知らせいただくだけでも立派なご意見なのです。
しかつめらしいことを考えずに、お気楽にご意見をたまわりたいと存じます。
どんなご意見であれ、私にとっては参考になり、また励みにもなるので、どうぞよろしく。