太田述正コラム#9441(2017.11.4)
<石野裕子『物語 フィンランドの歴史』を読む(その1)>(2018.2.17公開)
1 始めに
K.K作業の一環で、ネジとドライバーをアマゾンで買った際に、配送料をゼロにするために2冊本を買ったのですが、どちらも中公新書で比較的最近出版された欧州関係の歴史書であり、まず、石野裕子『物語 フィンランドの歴史–北欧先進国「バルト海の乙女」の800年』を取り上げることにしましょう。
なお、石野(1974年~)は、津田塾大修士、博士(国産関係論)、博士課程在籍中にヘルシンキ大留学、津田塾大等の非常勤講師等を経て常磐短大キャリア教養学科准教授、専攻フィンランド史、国際関係学、という人物です。
http://researchmap.jp/vanhatie23/
率直に申し上げて、斜め斜め読みした感触では、余りインスパイアリングな本ではなさそうなのですが、できるだけ、インスパイアリングなコメントをつけるべく心がけます。
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[イギリス料理よりも不味いフィンランド料理?]
「2005年、仏大統領ジャック・シラクが、ドイツとロシアとの首脳会談でイギリスの食事を「世界でフィンランドの次にまずい国」と軽口をたたいた。世界で最もまずいと言われるイギリス料理よりもさらにまずいという意味である。同年に開かれた欧州食料安全機関のセレモニーで、伊首相シルヴィオ・ベルルスコーニは、フィンランドの食事を「辛抱しなければならない」ものと表現し、さらにフィンランド人はトナカイをスモークするんだと冗談めかして語った。このベルルスコーニの発言に、フィンランド外務省はイタリア大使を呼び出す事態にまで発展した。・・・
フィンランドの伝統的な食事<について、>・・・あえて特徴を言うのなら、長い冬を乗り越えるため高カロリーで、オーブンを使った料理やスープといった温かいものが多い。手軽に入手できなかったのでスパイスをほとんど使わないことも特徴といえる。・・・
フィンランドで有名な食べ物といえば、・・・黒いお菓子「サルミアッキ」<(注1)>かもしれない。サルミアッキには、塩化アンモニウムと甘草の一種リコリスが入っており、タイヤのゴムの味とも言われる独特な味が特徴的である。・・・
(注1)「塩化アンモニウムによる強い塩味とアンモニア臭がある・・・
サルミアッキのキャンディは、北欧周辺地域では伝統的に食べられ、北欧5ヶ国ではその国を代表する菓子といってよいほど、子供から大人までに食べられている。・・・
菓子の他にもウォッカなどの蒸留酒(Salmiakki Koskenkorva、サルミアッキ・コスケンコルヴァ)、アイスクリーム、コーラ、豚肉 (salmiakkipossu)などサルミアッキで味付けされた食品がある。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%83%E3%82%AD
私が知るフィンランド人全員がサルミアッキ好きである。」(253~254)
フィンランド料理は、「スパイスをほとんど使わない」というのだから、イギリス料理とは違って、正真正銘不味そうだ。
サルミアッキは「北欧5ヶ国<だけ>で・・・食べられている」ところ、スウェーデンのシュールストレミング・・「製塩に必要な日射も薪も乏しく、塩は貴重品だった<ことから>用いられた樽で薄い塩水に漬ける保存方法<では、>・・・ニシン<の>・・・腐敗は防げても発酵は止められなかった<結果の産物>・・」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0
といい、北欧人達は、臭いものに目がない変わった人々のようだ。
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(続く)
石野裕子『物語 フィンランドの歴史』を読む(その1)
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