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タイトルコラム#1687をめぐって
記事No151
投稿日: 2007/03/12(Mon) 23:15
投稿者太田述正
 アングロサクソンの起源が明かされたというのに、全く反響がないので、拍子抜けしています。

タイトルRe: コラム#1687をめぐって
記事No154
投稿日: 2007/03/13(Tue) 01:46
投稿者遠江人
人種的にはバスク系だったというのは正直驚きました。
<
br>しかし何故、イギリス人の先祖達は、自分たちの言語(バスク系
の言葉)を捨ててケルト系の言葉やベルガエ人の言葉にあっさり鞍替え
できたのでしょうか。日本人としてはピンとこないところです。(古代
の日本人が大和言葉を捨てて支那語に鞍替えするとかいうのは、ちょっ
と想像しがたいです)
自分たちの言語を捨てて他の民族の言
語に鞍替えするというのは、世界の歴史的には、そう珍しいことではな
いのでしょうか?言語に詳しい方がいらっしゃったら是非教えていただ
きたいところです。

英語についてですが、イギリ
スではノルマンの征服以降、宮廷等、公の場ではフランス語が使われる
ようになり、公式の場から英語は消え、一時期イギリスはフランス語の
国になっていました。しかし、いろいろあってイギリスがフランスの領
地をあらかた失って領地がほぼイギリスのみになると、貴族達にも意識
の変化が起こってきて(イギリス人という意識に目覚めてきて)上流社
会の中で英語が復活していき、1362年には英語が公用語になったそうで
す(議会が英語で開会を宣言し、法廷で訴えるときに英語を使ってよろ
しいということになった)。300年近くも英語が公式の場になかったの
に、それが復活してきたくらいですから、何故その先祖のイギリス人達
が、あっさりバスク系の言葉からケルト・ゲルマンの言葉に鞍替えでき
たのかは謎ですね。
(参考:新潮選書「アングロサクソンと
日本人」渡部昇一 p49〜)

タイトルRe^2: コラム#1687をめぐって
記事No155
投稿日: 2007/03/13(Tue) 01:51
投稿者遠江人
先の投稿で、メッセージ:強制改行 にしたら見てのとおり変なところで改行されてしまっています。
改良の余地あり、でしょうか。

タイトルRe^2: コラム#1687をめぐって
記事No156
投稿日: 2007/03/13(Tue) 08:51
投稿者太田述正
 オッペンハイマーは、遺伝子学者であり、独自の方法論を編み出した人物です。そして、オッペンハイマーら遺伝学者が、遺伝子学の方法論を言語発展史論に応用することで、言語発展史もまた、急速な進歩を遂げつつあります。
 これらの方法論を用いて日本人及び日本語の起源が解明されることが期待されます。

 さて、以下記したことには、私の考えも入っていることをお断りしておきます。

 恐らく征服者としてやってきたわけではないケルト人の言語がなぜ、アイルランド島等に普及したかですが、書き言葉がなかった当時、社会全体の人々が身につけたいと思ったであろう新技術たる農業技術は、口伝えで普及したに相違なく、バスク系の言語からケルト系の言語への乗り換えはこの過程で起こったということではないでしょうか。
 (縄文語は弥生語によって取って代わられた?)

 他方、イングランドについては、私の参照した典拠の範囲では、明確にゲルマン系の人々の最初の渡来の時期が出てこなかったのですが、彼らは征服者としてやってきたというのがオッペンハイマーの考えです。つまり、4世紀のアングル・サクソン・ジュート人の来訪によって、支配者の交替が生じた、とオッペンハマーは指摘しています。
 いずれにせよ、ゲルマン系がバスク系(一部ケルト系)の原住民の支配者として1000年以上のオーダーで君臨してきたとすれば、原住民も支配者の言語を話すようになったはずです。
 アイルランド島の人々が、わずか400年内外のイギリスによる支配で、ほぼ完全にケルト系の言語を捨て、英語を話すようになったことを思い出してください。
 問題は、なぜあまたある渡来ゲルマン人の言語の中、ブリガエ人の言語が原住民及び他のゲルマン系の人々に選択されたかです。
 オッペンハイマーは、鉄器といった新技術をブリガエ人が携えてきたからではないかと推測していますが、これを裏付ける証拠はまだ得られていません。

タイトルRe^3: コラム#1687をめぐって
記事No330
投稿日: 2007/04/23(Mon) 21:33
投稿者遠江人
「日本人のアングロサクソン論(続)」シリーズがまだ完結していませんが、その中で取り上げていただいた渡部昇一氏の『アングロサクソンと日本人』について一言。
この本については、軽い読み物としては面白いと感じていたのですが、太田さんが言うように、渡部氏は一切典拠を示しておらず、個人的な想像と思い込みによる部分があるように感じていたので、渡部氏の感想文以上のものとしては受け取っていませんでした。なので、いつか太田さんにこの本を読んでいただいて、いろいろとツッコミを入れてほしいなぁなどと思っていたのですが、(ちょっとだけ期待して)掲示板の投稿に典拠として忍ばせておいたら、すぐに本を読んでいただけたようで、「日本人のアングロサクソン論(続)」シリーズでこの本が取り上げられているのを目にしたときは、内心、小躍りしてしまいました(笑)
アングロ・ノルマン語、ウォルポール、ヒューム等、やはり渡部氏の思い込みによるところが多かったようで、大変スッキリしました。ありがとうございます。


言語の乗り換えについてですが、ちょっと調べてみると消滅する言語というのは思ったより多いのですね。
危機に瀕する言語
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E3%81%AB%E7%80%95%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A8%80%E8%AA%9E
韓国のように、ハングル等、母国語に異様にこだわるのを隣で見ていると錯覚してしまいますが、昔はもっと頻繁に言語の乗り換えが行われていたのかもしれませんね。大和言葉も実は何回も上書きされた言葉かもしれませんし、オッペンハイマーの方法論を用いての日本人及び日本語の起源解明は大いに期待したいところですね。

アングロサクソンの起源についてですが、民族的な起源は分かってきつつあるようですが、なぜアングロサクソンに「化学反応」が起こったのかを改めて考えてみると、(素人考えで申し訳ありませんが)島国であるという空間的要因も関係があったりするのでしょうか。ある程度面積があって島が細かく分裂しておらず、大陸のすぐ近くに位置し、大陸には古代から栄えた文明が存在する、といった条件が揃うと「化学反応」が起こり得るのかもしれません(?)。といってもサンプルとなるのがイギリスと日本くらいしか無いので厳しいところではありますが、しかし、イギリスはその島国の中にスコットランド、ウェールズ、アイルランドと「同居」していて、日本はそのような「同居」が無かったことでイギリスでは更に化学反応が強く起こったのでは、とかいろいろと想像できますね。近代に入ってから科学反応を起こした島国といえるかもしれない台湾(あの国民党に支配されたにも関わらず、あまり他を頼らずに、自由で民主的な社会を実現し、高度経済成長を成し遂げました)を絡めてみたりすると更に面白いかもしれません。


それにしても、アングロサクソンの正体といった話題は、太田コラムにとって最大関心事かと思いきや、読者の方々からすればそうでもないのでしょうか。私はアングロサクソン論の回は食い入るように見てしまうのですが。(もちろん軍事関係も興味ありますヨ)
とにかく、アングロサクソン論が最大関心事の読者は存在しますので、これからも大いに期待しています。

(ついでにしょうも無い話で申し訳ないのですが、最近「星を継ぐもの」(ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫)という有名なSF小説を読む機会がありました。最後まで読み終わって、小説としての感想とは別に、「これこそアングロサクソンの本質的、根源的なことを見事に表しているのではないか」と強く感じるところがありました。もちろん物語の中でアングロサクソンのことなど語ってはいないのですが、とにかく読み終わったあとそう感じました。ネタバレになるので内容については言えませんが、太田さん、皆さん、いつか図書館に行く予定がありましたら、もののついでにぜひこの本を借りてみてください。(SF小説としても大変素晴らしい作品です。ちなみにジェイムズ・P・ホーガンはイギリス、ロンドン生まれで、現在はアメリカ合衆国在住だそうです。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BBP%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3))